ぴっちりスーツなボイロ(筋肉娘)でスペオペ風ロボ物   作:その辺の残骸

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サン・リノル

 ガーベラ号はリゾートとして有名な本星を持つサン・リノル星系を航行していた。

 

 無重力空間を舞う少女。ピンク色の長い髪が華麗に流れる。

 休憩を終えた茜は颯爽と通路を滑り、高速駆逐艦ガーベラ号のメインブリッジに入った。

 

 念のためだが戦闘に備え、艦内の人工重力は切ってあった。

 

「待たせてゴメンな葵」

 

 先に管制席に着いていた妹の葵に声をかけ、茜も操舵席に座る。ナノスキンスーツに覆われたお尻がシートに押し付けられた。

 

 ガーベラ号は戦闘艦だが、その操舵席のレイアウトは機動兵器に似ている。

 

 そのため、可変MFである零桜の操縦に慣れているピンク髪のお姉ちゃんにとっては扱いやすい。

 茜が操縦桿とフットペダルに手足を置けば、ナノスキンスーツのコネクタがシートと接続される。

 

 これで高加速中の軌道変更や被弾の衝撃でGがかかっても、シートから弾き飛ばされることはない。

 

「よーし、燃えてきた! 今日も頑張るで!」

 

 体を固定して操縦桿を握ると、自然とやる気が湧いてくる。そんな姉の様子は葵にも分かり、微笑みを向けていた。

 

 茜と葵は琴葉家という八洲きっての武家の生まれ。

 猛々しい家柄だが、お嬢様なので普段は脚を閉じて清楚に座っている。

 だが今は機動戦闘を想定した姿勢になっていた。茜だけでなく管制席の葵も両脚を開いている。

 

 股間部分の白い装甲板がかなり目立つ刺激的な恰好である。

 二人とも可憐な顔立ちなので、脚を広げた今の格好は猶更にギャップがあった。

 

 琴葉姉妹は高速駆逐艦の運用を任されており、強い責任感で役目をこなしていた。

 

 横髪を長く伸ばしたショートヘアの紫髪、結月ゆかりと金髪ストレートロングの弦巻マキ。この二人が琴葉姉妹の今の師匠だった。

 

「ゆかりん、急いで急いで!」

「分かってますよ」

 

 琴葉姉妹が来る前にメインブリッジにいたゆかりとマキは格納庫に向かっているところだ。

 先行するマキが、曲がり角からひょっこり顔を出し、手振りで急かす。

 

 可愛い弟子二人を待たせないよう急ぎ気味で移動すると、マニューバフレームに搭乗するべく舞い上がる。

 

 今回使うのは琴葉姉妹が持ち込んだ八洲製第三世代可変MF、零桜。

 複座型のMFである零桜のドライバーシートにゆかりが、後部のガンナーシートにはマキが座ると決めていた。

 

 二人が装着しているのは、黒いスキンが大人っぽい印象のナノスキンスーツだ。

 筋肉質でありながらも女性美を突き詰めたセクシーな肢体がナノスキンでラッピングされている。

 

 ゆかりとマキの肉体美は圧力で引き締められ、これでもかと強調されていた。胸の大きさには随分と差がある紫髪と金髪だが、腹筋は揃ってバキバキだ。

 

「先に行きますよ」

 

 マキを追い越し、ゆかりは先んじてコクピットに潜り込んだ。

 

 胸の膨らみは皆無で、アスリート然とした純然たる美ボディの持ち主であるゆかり。だが、ゆかりのお尻は肉感的で絶妙な曲線を描いている。

 

 金髪碧眼というイメージ通りの爆乳デカ尻のナイスバディである金髪の相棒を上回るヒップサイズを誇っていた。

 立てばクールに引き締められ、歩けば自信たっぷりに揺れ弾むのである。

 

「少しきついですね」

 

「うん、座れないことはないけど」

 

 長身の美少女であるゆかりとマキにとって、零桜のコクピットは狭苦しい。

 可変機特有の複雑な構造のためにコクピットスペースそのものが狭いのだ。

 

 二人揃って大きなお尻をもじもじさせながら、どうにかシートに押し込んでいた。

 

 次は琴葉姉妹へのちょっとしたサプライズの準備として、スーツの腕プロテクターから投影したホロコンソールを叩く。

 

 すぐにナノスキンの変色が始まる。カラーチェンジが終わるとブリッジに通信を入れた。

 

「お待たせしました葵さん。発艦シークエンスを開始してください」

 

 涼やかな面持ちで告げつつ、反応を期待する紫髪の蛮族お姉さん。

 

『分かりました。あっその色!』

『ウチらのスーツの色や!』

 

 ゆかりに応じた葵は目を輝かせ、茜の視界にもホログラムでコクピット映像を表示した。

 

「喜んでくれたみたいで嬉しいな♪」

 

 マキの発案で、ナノスキンスーツの色を琴葉姉妹カラーに変更したのだ。

 

 顎、首元、四肢、股間のプロテクターは無垢な白色。ナノ被膜の色はガンナーシートのマキが水色、ドライバーシートのゆかりは薄赤。

 

 尊敬する二人のお姉さんが、自分の色を纏ってくれたことが嬉しくて、琴葉姉妹は感激していた。

 ゆかりとマキがヘルメットを被っていることもおり、目指している理想の肉体になった大人の自分がシートに座っているようでもあった。

 

 発艦シークエンスが進み、灰白色の零桜は戦闘機形態でカタパルトにロックされた。

 

『では発艦します』

『二人の零桜、大切に使わせてもらうね』

 

「どうかお気をつけて!」

 

 射出される零桜。蒼い航跡を残しながら直進すると、華麗な旋回でデブリ帯に向かった。

 

「んぅ♪ いい旋回♪」

 

 体に感性荷重を感じて、狭苦しいシートに押し付けられるマキだが、気持ち良さそう。

 

 ゆかりと同乗することは稀なので、チャンスを与えてくれた姉妹と零桜に感謝している金髪の女蛮族である。

 

 マキはわざわざスーツの耐G性能を緩めて、ゆかりの操縦を肌で感じていた。

 マキが歓びの声を上げると、ゆかりも旋回の勢いを強める。相変わらずクールな無表情だが、ゴキゲンであった。

 

 二人の身体はナノスキンスーツで頭から足先まで完全に覆われ、密閉されている。ヘルメットまで被っているのは、零桜のコクピットを汚さないためだ。

 

 零桜は琴葉姉妹の大切な機体であり、コクピットは聖域という考えのゆかマキである。

 

 それだけでなく、茜も葵もゆかり達が見たこともないほど機内を清潔にしていた。

 「流石、八洲の上流階級」と意識の高さに女蛮族は揃って感心するばかりであった。

 だからこそ、髪の毛一本、汗一滴でも残すのが申し訳なかった。

 

「ポッドを射出してください。コントロールは私が――っと流石はマキさんです」

 

 零桜が人型形態に変形し、減速しつつデブリ帯に入った。

 

装備してきた作業用ポッドを主翼から切り離し、ゆかりが操縦の片手間でドローンを操る。

 マキはゆかりが指示するよりも早く、ポッドを射出していた。

 

「いやーそれにしても好都合だったね。十年前にわたし達が作った残骸が処理されずに残ってるなんて」

 

「いわゆる政治的モニュメント、地球に対する見せしめとして、あえて残しているのでしょう。とにかく、こちらは寡兵なのですから、使える物は使わせてもらいましょう」

 

 デブリの大部分は十年前の独立戦争で起こった戦闘で撃沈された戦闘艦が占めている。それらの残骸は武装を再利用できる状態にあった。

 

 十年前の独立戦争当時、サン・リノル星系は中立の立場であった。

 

 当時から高級リゾートとして知られていたサン・リノル本星には地球の富裕層が保養に訪れることも多く、地球との関係は密接かつ良好と言えた。そのため、戦火を免れると思われていた。

 

 だが、サン・リノル政府の楽観的な予想に反して地球は惑星アンゼリスで起こった反乱鎮圧への協力を求め、武力による恫喝を仕掛けてきた。

 

 あまりにも一方的で傲慢な地球政府に対してサン・リノル星系は激怒。

 傭兵を雇って地球軍に応戦することを決意した。

 

 地球に服従しても見返りはなく、これまで容認されてきた自由を治安維持の名目で奪われるという確信があった故の決断だった。

 余談だが、態度次第で味方に引き込めた多くの植民惑星を敵に回してしまったことも、地球の敗因の一つである。

 

 とにかく、紫髪と金髪の蛮族はサン・リノルが集めた傭兵部隊の一員となった。

 

 獅子奮迅の働きで地球軍の艦隊を撃滅。デブリに仕立てたというわけだ。この戦いは二人にとって、惑星アンゼリスに迫る大艦隊と対決する良い予行演習となった。

 

「それにしてもまた地球と対決か」

「いずれはこの日が来るとは思っていましたが、意外と早かったですね」

 

 惑星ナトス・タブを離れ、救助した調査グループをスポンサーに送り届けてから数日経つと、ガーベラ号は所属不明、未知の大型航宙艦にストーキングされるようになった。

 

 ストーカー艦は距離を大きく離しつつアクティブステルスを効かせ、戦艦級の巨体を隠しながら追跡しているつもりのようだったが、ガーベラ号の電子戦装備はその姿を暴いていた。

 

 未知の艦とはいえ艦の形状は地球の企業いわゆるヒュドラ・グループを形成するメーカーの戦闘艦に酷似していた。

 

 アクティブステルスの欺瞞パターンも似ているという葵の指摘もあり、ゆかり達は相手は地球の工作部隊だと推測している。

 

 ゆかり達がサン・リノル星系を目指したのは休養のためではない。

 迎え撃つのにうってつけの場所だからだ。

 

 最終的に独立派に組したサン・リノル星系ではあるが、近頃は地球との関係を修復して、どっちつかずの中立派に回帰する動きがあった。

 

 失った勢力を回復するため、これを歓迎している地球にとっては政治的な制約になる。

 汚れ仕事専門の部隊であっても派手に動けないとゆかりは考え、今回の作戦を仕組んだ。

 

「終わりました。帰還します」

「この仕掛けが無駄にならないといいけどなー」

 

 マキの心配にゆかりは「大丈夫ですよ」と断言。

 

「おっいつもながら言い切るね、ゆかりんは」

「私とマキさんという極上の餌があるのです。油断したフリをすれば、必ず食いついてきますよ」

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