ぴっちりスーツなボイロ(筋肉娘)でスペオペ風ロボ物 作:その辺の残骸
高速駆逐艦ガーベラ号を追跡しているのは地球の戦艦である。
戦艦トルヴァクスは大企業の連合体であるヒュドラ・グループに忠誠を誓っている。
不甲斐ない地球政府が十年前の戦争に敗北したがために独立した、植民惑星を再服従させることを目的とした工作活動を担う艦なのだ。
トルヴァクスは独航艦でありながら、小艦隊に匹敵する圧倒的な打撃力を備えている。
だが、サン・リノル星系においては一気呵成に攻め立て、ヴォルテクスの名で恐れられる女傭兵達を粉砕するワケにはいかなかった。
サン・リノル星系との関係は地球政府だけでなく、ヒュドラ・グループにとっても重要なのである。
アレクセイ大佐はサン・リノルの政府と粘り強く交渉し、やっとのことで特殊部隊を用いた小規模な暗殺作戦を黙認する約束を取り付けた。
トルヴァクスは現在、本星付近に待機している。
その艦橋で、アレクセイは特殊部隊の兵士を載せた二隻の降下艇が惑星の大気圏に突入するのを見守っていた。
堅牢な降下艇の外殻は大気圏突入の熱に耐え、問題なく進入している。
「くだらん」
アレクセイは憤りを口にした。
降下艇二機に分乗した特殊部隊の一個中隊。そんなものはトルヴァクスの抱えるごく僅かな戦力でしかない。
気高い
「だが、好機ではある。上手くやれよ。
同時に部下に手柄を立てさせる絶好のチャンスだと考えてもいる。
奇襲という形であっても、自分の部下がヴォルテクスの首を獲れば、
「マキさん、脅威評価をお願いします」
「低脅威、C-ってトコロかなー」
琴葉姉妹と海で泳ぐのを楽しんだ紫髪のゆかり。
砂浜の偵察という名の散歩を気ままにしてきた金髪のマキ。
二人が合流してしばらく経った。
ゆかりとマキは、遠巻きにピンク髪と水色髪の少女を見守りながら、そんな会話をしていた。
琴葉姉妹は、二人組の若い男に話しかけられていた。
日焼けしていて、マッチョ。軽薄で不道徳と暴力にそこそこ慣れた、チャラ男のテンプレという感じ。
賑わうビーチで美少女が遭遇する危険といえばナンパである。いかにセレブ向けのビーチといえど、軽薄で強引な男が寄ってくるものだ。
琴葉姉妹に絡んでいる二人組は、確かにイケメンと評価できる顔ではある。
だからと言って、気品を漂わせる佇まいの茜と葵とはとても釣り合わない。
もっとも、当人たちはそんなことは欠片も思っていない。
清楚な雰囲気の女の子相手なら楽にヤれるという浅い考えで、執拗に話しかけている。
「それじゃ、ウチらはこれでお暇します。行こう葵」
「うん、お姉ちゃん。失礼します」
丁寧にお辞儀をして、二人組から離れる琴葉姉妹。
取りつく島もなく、後に残されたチャラ男二人は茫然としている。
にこやかに微笑みながらも、茜は有無を言わせずという態度で別れを告げたのである。
相手の気持ちを損ねることなく、しかし強く出るべきところでは我を通す。八洲の武家ならではの話術であった。
ナンパしてきた男たちも少なくとも小金持ちではあるのだろうが、その程度では、幼い頃から厳しい修練を積んできた上流階級には敵わないのだ。
「おー凄い。見事なナンパ捌き」
「二人だけで修行の旅をしてきただけありますね」
こちらに向かって歩きながら手を振る琴葉姉妹に、ゆかマキは揃って感心している。
まずは二人に自力で対処させて、危ない状況になれば、助けに向かうつもりだったが最初からそんな心配は無用だった。
弟子の実力を低く見ていた自分を恥じる紫髪と金髪のお姉さんである。
「自分の身は自分で守るってのが旅の基本ですから」
「そんなに褒められると照れちゃいます」
ゆかりとマキは、琴葉姉妹の先ほどの見事な対応をベタ褒めする。大抵のことは卒なくこなす良くできた弟子たちだ。
我に返ると、軽くあしらわれたのが悔しくなり、チャラ男二人は茜達の背中を追いかけていた。
連れらしき金髪と紫髪の美女と仲良く話している。逃がした魚の大きさを思い知り、余計に悔しさが募った。
どちらも常識と目を疑うほど派手でエロい水着を着ている。
胸は悲しいほど薄いが、ボディラインと尻の大きさは抜群な紫髪の女はCストリングのスポーツビキニ。金髪の頭の緩そうな巨乳女は鮮やかな赤色のスリングショットだ。
その肉体は日焼けしたマッチョな男でも劣等感を抱くほど筋肉質なのに、この上なく魅惑的な曲線をしていた。
欲望と未練たらたらの視線に気付かないゆかマキではない。
「まだこっち見てるよ。いい加減にしてもらうおうっと♪」
マキはその視線を鬱陶しく思い、笑顔のまま見つめ返した。
陽気な金髪美少女だが、その気になって少しばかり殺気を込めてやれば、大の男でも竦ませる。
鋭い眼光に睨まれたチャラ男達は背筋にぞっとする感覚を覚え、青ざめながら顔を見合わせた。
「いっ行こうぜ!」
「そっそうだな! 女なんて他にもいっぱいいるわけだしな!」
虚勢を張って互いを慰めながら、四人組の美少女に背を向けて慌てて退散する。
逃げるチャラ男の背中を見つめるゆかり。平坦な胸なのに、まるで突き出たバストを持ち上げるかのように腕を組んでいた。
追い払ったマキは「ばいばーい」と手を振っている。
紫髪と金髪の姉ちゃんズは、清純でも潔癖でもない。
むしろ、遊びを好む。同性、異性を問わずウェルカムで、しかも面食いだ。
琴葉姉妹と一緒でなければ誘いには応じていた。
ナンパのタイミングが悪かったとしか言いようがない。その点ではチャラ男たちは不運だった。もっとも、ゆかマキと一晩付き合うことができたとしても、それはそれで不幸になったかもしれない。
二人は、男たちと同じタイプでよりクオリティの高い男性との経験も豊富なので、結局雄としてのプライドを粉砕されることになるのだから。
一人の女もひっかけずに帰るというのは、彼らなりのプライドが許さないというもの。
「ちょうど良さそうなのがいる!」
「よし、巻き返そうぜ!」
十代後半の女の子に袖にされた悔しさから、またしても同じくらいの年代の女の子をターゲットにした。
黒い競泳水着を着た少女達だ。
競泳水着はハイレグタイプで、地球製のそこそこのブランド。さっき見かけた紫髪と金髪の女に負けないくらい筋肉質で、割れた腹筋が浮き出ている。
あちこちのビーチやプールを物色してきたが、こんなに体を鍛えた十代の女の子は見たことがない。
片方は金髪、挑発的で周囲を小馬鹿にするような笑み。
肩を並べている銀髪のロングヘアは、無表情で周囲の人間に何の関心も見出していない。
二人とも前髪を赤メッシュにしていた。髪と水着がお揃いということもあり、仲の良さが窺える。
「なに、急に。ウザいんだけど」
脇目を振らず話しかけたが、途端に金髪と銀髪の少女は不快感を露わにする。
予想外の鋭い眼差しに怯みながらも、めげずに話しかけるチャラ男コンビは、哀れでさえあった。
「やってしまいましょう、アティア」
「そうだね、イヴ」
少女達が言葉を交わした直後。タイミングばっちりのハイキックが同時に男たちの顎を蹴り上げた。
ひっくり返すように倒れ込むチャラ男。こちらもタイミングばっちり。
「あんた達のせいで、食い込んじゃったじゃん」
ハイレグの競泳水着で大きく脚を上げたことで、股間の布が食い込んでいた。
大袈裟に苛立ちながら、食い込みを引っ張って直す金髪赤メッシユの少女。
イヴと呼ばれた銀髪赤メッシユの少女も静かに股間の布地を引っ張っている。
砂の上に気絶したナンパ男を残し、イヴは無感情にすたすたと、アティアは「弁えろよ、バーカ」と罵倒してから、大股で歩いた。
前髪赤メッシュの少女達の挑発的な視線の先に、ゆかり達がいる。
「おっ来ましたね」
「二人は後ろに。いきなり殺り合うってことはないだろうけど、念のためにね」
ピンク髪と水色髪の姉妹を庇い、挑戦を受けて立つ構えの紫髪と金髪。向かってくる赤メッシュの少女たちが何者であるか、だいたい見当が付いていた。
アティアとマキは笑い、イヴとゆかりは無表情。
表情はどうであれ、四者は獰猛で攻撃的なオーラを発して、視線で火花を散らす、
張り詰めた空気に思わず抱き合いそうになる琴葉姉妹。
しかし、怯えていては武家の名が廃る。
修練で鍛えた精神力と琴葉家の気概で耐えた。
場の緊張は刻一刻と高まっていく。
金髪と銀髪の少女はゆかり達に近寄ると、見上げてきた。
「アタシはアティア、こっちの無表情なのはイヴ。ねえ、お姉さん達。アタシ達も仲間に入れてもらっていい?
金髪赤メッシュの挑発的な少女が名乗る。意外にも人狼は友好的な態度を取った。