ぴっちりスーツなボイロ(筋肉娘)でスペオペ風ロボ物 作:その辺の残骸
襲撃はビーチで遊んだ翌日の未明に起こった。
鋭い感覚で空気の変化を察して、仮眠から目を覚ました葵は、リビングに向かった。
水色の長髪がなびく。
葵が歩いている廊下は長く、通りかかる部屋は概ね広々としている。襲撃者を少しでも惑わすために、空き部屋にも明かりを灯してあった。
ここは森に囲まれたプライベート・ヴィラ、いわゆる貸し別荘だ。
周囲を巻き込まないよう選んだ滞在先であり、敵にとっても攻撃を仕掛けるに格好の場所。ゆかり達は、最初からここが戦場になるよう仕向けていた。
保険がかかっているので再建はされるだろうが、戦闘の犠牲にするのが申し訳ないくらいに立派で居心地が良い滞在先だった。
「お待たせしました」
マキと茜は既に着替えを終えていた。
マキは壁際で腕組みしている。姿勢を正した葵がリビングに入ってくると軽く手を振った。いつも通り陽気な調子。
茜は床に座って武器のチェック中だ。
姿が見えないゆかりは、既に外に出ているのだろう。
金髪ロングヘア、長身な女蛮族の身体を包むのは黒色のナノ被膜と赤色のプロテクター。セクシーで大人びたカラーのナノスキンスーツが、グラマラスな肢体を引き締めている。
マキのバストは本当に豊満で、しかも重力に全く負けないロケット型だ。
ピンク髪の茜はナノスキンスーツは初々しい印象。気品のある薄紅色に白い装甲のスーツだ。
胸の大きさは葵と寸分違わず同じ。
マキには大差を付けられているが、膨らみは十分にある。
「おっ来たな。ちょうど起こしに行こうかと思ってたところや」
「時間は全然余裕あるよ。はいこれ、葵ちゃんのスーツと装備ね」
葵は自分専用のナノスキンスーツを受け取る。
その場で着替え始め、Tシャツとドルフィンパンツを脱いだ。下着も外して、一糸纏わぬ姿に。ナノスキンスーツは素肌に直接身に着ける必要があるのだ。
外で警戒しているゆかりや、この場にいるマキと茜も同じく全裸になってから装着していた。
生まれたままの姿に心細さを感じて、逃げ込むようにナノスキンスーツを装着した。
葵は大きく広がった首の穴から足先を通して、スーツを引っ張り上げる。この段階ではゆったりとしたスーツを頬から顎にかけてのプロテクターで固定。フィッティングスイッチをONにする。
一気にスーツが圧着され、排出された空気が水色の髪と髪飾りを揺らす。
きつい、と感じるほどに締め付けが強い。特に漏れ出せば大惨事になる股間とお尻の奥をガードする装甲板は喰らいつくかのように密着してくる。
プロテクターで覆われた部分を除き、肢体に光沢のある水色のナノ被膜が張り付いている。
ナノスキンスーツが密着したことで、程よい大きさの双丘や形のいいお尻が、裸体そのまま浮き彫りになる。
スーツは縮んでフィットすることで胸の先端やおヘソの形まで丸わかりにした。
局部だけは頑丈なV字型の装甲で隠され、可愛らしいお尻の間には、頑丈なフレームがI字に食い込む。
「ふぅ――――」
最後に無意識に髪を掻き上げる大人っぽい仕草をしてみせる葵。それは、クールでカッコいい憧れのお姉さんであるゆかりの影響であった。
ナノスキンスーツを着てしまえば、葵は戦うことに集中できる。実は尿意を感じているのだが、それを抑える必要はなく、排出すればスーツの処理機能が働き、リサイクルされるのだ。
「準備終わりました。状況は?」
凛々しい表情の葵がマキに訊く。
敵の戦力はパワードスーツ装備の特殊部隊。
政治的に投入できる最低限の戦力といったところか。夜闇に溶けるような黒尽くめの装甲の一個中隊が、音もなく三方から迫っていた。
なぜ分かるかと言えば、ナノスキンスーツにリンクさせたヴィラの周辺に隠されたカメラとセンサーのおかげだ。
一見ただの別荘だが、八洲の企業が提供しているのはプライベート・ヴィラはワケありの利用者を守るために様々な防衛設備が施されている。
ここを借りることができたのは、琴葉家の人間である茜の口利きのおかげだった。
葵は用意されていたスナイパー仕様のレールガンを手にした。
ずっしりと重い分厚くて長いバレルの銃を抱えると、緊張に身体が強張る。
狙撃を担当する葵は責任の重大さを感じている。
「大丈夫。リラックスや葵」
そんな水色髪の妹に、立ち上がった茜が声をかけ、気持ちを落ち着かせる。
姉が一緒にしてくれると、何でもできる気がしてくるから不思議だった。茜は観測手として葵をサポートする。
観測機器に加え、予備弾薬や自分の銃を抱えており、大荷物だ。
「手筈通り、わたしとゆかりんが"出撃"する。二人は頃合いを見計らって脱出の準備をお願い」
マキはあえて迎撃とは言わない。
「「了解です」」
「今日もいい返事だね! それじゃ行動開始だ♪」
茜と葵の声が綺麗にハモる。
ひたむきな姉妹に触発され、マキも気合を入れた。
豊かなヒップが力強くも艶やかに引き締まった。
作戦の最終確認を行い、廊下を颯爽と駆け抜けてマキは外に飛び出した。
予想より寒い。夜の冷たい空気を頬で感じた。
「やっほ、ゆかりん」
「おや、マキさん」
ゆかりの背中に声をかける。
紫髪の無表情な美少女は片膝をついてしゃがみ、遠くを窺っていた。ヴィラは小高い丘の上に建っている。
月の光があるとはいえ、動き回るなら照明か暗視装置が必要ほどに暗い。
しかし、マキとゆかりは夜目が効くのではっきり見える。
「キミもお待たせ」
隠しておいた愛用の重機関銃を拾い上げると、マキは紫髪の相棒の隣に立った。
「上手く罠にかかってくれると良いのですが」
「駄目だったらその時はその時。頑張ろう」
闇のなかで蠢く敵の姿を捉え、その動きを追いつつ会話する紫髪と金髪。
二人の少女の瞳は闘争を前に爛々と輝いていた。
共に筋肉質であり、対照的な胸部を持つ肉体には力が漲る。
結月ゆかり、弦巻マキ。
美しい乙女達が秘めた暴力は解放の刻を今か今かと待ちわびていた。
同時刻。
葵は茜を先導して階段を昇っていた。
琴葉姉妹は武芸を修めているが、師であるゆかりとマキのような戦闘兵器染みた戦闘力は流石にない。
なので、今回は二階からの狙撃に専念する。
(今のうちに処理しておこう)
階段を上がりながら葵は、身体を軽くしようと決心した。
局部装甲の裏で、排出された温かい液体がすぐさま吸収されていく。
その勢いはとても弱い。
ゆかりを見習い、出せる時に出しておくことにしたのだが、トイレ以外で済ませるのは気が引けた。
「きゃっ!」
不意に爆音が鳴り響き、葵は足を止めてしまう。
遠くで起こった爆発だが地面が揺れるほど強烈であり、威力を示している。
事前に仕掛けておいた爆発物に敵が引っ掛ったのだ。
突然の爆発で驚いてしまった葵は、下腹部にかける圧力を過剰に強めてしまう。
「あっ……!」
自分の意志で制御していない放出に脚を止め、水色の被膜に覆われたお尻を突き出すようにしてしまう葵。
こっそり処理しようとしていたのにバレてしまったので、赤面している。
「心配せんといて葵。お姉ちゃんも一緒やから」
とても優しい声だった。
恥ずかしそうに振り返った葵に片目を瞑る茜。
片手を下腹部に添え、どこか艶やかに微笑んでいる。息が少し荒く、恥ずかしそうだ。
局部を覆うナノマシン装甲の下では、葵と同じく温かい液体が放たれている。
「やっぱりお姉ちゃんに隠し事はできないね」
「妹が困っとるのに気付かないなんて、お姉ちゃん失格やからな。これからもどんどん頼ってな」
処理を終えた葵は、姉の頼もしさや優しさに感じ入った。
迷いと憂いは全部吐き出した。
心と体を整えた琴葉姉妹は廊下を駆け抜けていく。
レールガンを抱え、葵はバルコニーに転がり込み、腹這いの狙撃姿勢を取った。
「はー重かった。よっこらせっと」
その隣で茜が持ち込んだ大量の銃火器と弾薬箱を置き、葵の狙撃をサポートするための観測機器を手にした。