ぴっちりスーツなボイロ(筋肉娘)でスペオペ風ロボ物 作:その辺の残骸
「それでは行きましょう」
「おっけー」
ゆかりはマキを伴い医務室へ。無重力の通路を流れるように進んでいく。
ゆかりの髪留めで束ねた横髪。マキのストレートの超ロングヘア。
二人の髪は華やかな香りを放ちながら靡く――無重力空間のため、髪が大きく揺れていた。
スペースが狭い船では髪の毛も自由にできない。邪魔にならないよう髪を纏めなければならないのだ。
その点、ガーベラ号は少人数で運用された大型艦なので自由にできる。とても快適だ。だからこそ大切に使い続けたい。
「お先に!」
と、そんなことを考えていると、後ろにいたマキがゆかりを追い抜いた。
金髪ロングの美少女蛮族の長身が素早く身を翻す。カーブの予備動作。
鮮やかな赤に染まったナノスキン装甲のブーツで、曲がり角の壁を蹴った反動で加速する。無重力での伸びやかな動き。
金髪碧眼、巨乳、巨尻。煌びやかな美貌を誇るマキの躍動を黒と赤のナノスキンスーツがトレース。大きな胸とお尻が揺れていた。
そんなに急がなくても、と思いつつゆかりも壁を蹴ってスピードアップ。
胸が平らなアスリート体形のゆかりの肉体は、黒と紫のナノスキンスーツで浮き彫りだ。
紫髪の女蛮族の動作は見惚れるほど見事。目を見張るほど豊かなお尻が揺れたり、震えたり、引き締まっている。
お尻に纏った黒い被膜が無表情な結月ゆかりのクールさを引き立てている。健康的で力強く、美麗な臀部だ。
すぐにマキに追いつく。無重力空間での移動は高速でスムーズだ。
「スピード出し過ぎないでくださいね。壁をぶち抜いたら洒落になりませんよ」
「大事な船を壊すようなマネしないよ」
ゆかりの注意は完全に冗談というわけでもない。マキの超人的な脚力なら全力で蹴れば艦内の壁や床くらいぶち抜けてしまう。
損傷による不具合が心配なので、現在ガーベラ号船内の人工重力は大部分がオフになっている。
例外の一つが医務室周辺区画。医務室が無重力では不都合が多く、それが致命的になりかねないので人工重力を発生させ続けている。
幾つかの気密ハッチとエアロックを抜けて、有重力ブロックに。壁のモニターに1Gの表示がある。
「おっ」
「んっ」
有重力ブロックに踏み込んだ瞬間、突然身体が重くなる。押し付けられるような感覚を覚えるゆかりとマキ。
現在の重力制御技術なら区画単位で異なる人工重力場を作り出せる。が、細かいグラデーションを持たせるまでには至っていない。重力作用の区切り目の表示こそあれ、0Gの世界からいきなり1Gの世界に入り込むことになるのだ。
日常的に無重力と有重力の空間を頻繁に行き来している蛮族達でも、この感覚には永遠に慣れそうにない。身体の内側がずしりと重さを帯び、体液が下に押される。
急に尿意が強まることもある。実際、二人とも自分の下腹部を見つめていた。
我慢できないほどではなく、ナノスキンスーツで今すぐ処理する必要性もない。そのまま長い脚の大きな歩幅で医務室に向かった。
「むむっ」
マキが何やら気付いて声を漏らす。金髪のアホ毛で何事かを受信したかのよう。続いてゆかりがマキの感覚を肯定して頷く。
「アティアちゃんとイヴちゃん」
「ばっちり起きてますね」
女蛮族たちは、その鋭い第六感で医務室から発される、
茜と葵に
「遅かったね、待ちくたびれたよ」
「恐れをなして逃げ出したのかと思いました」
赤メッシュの少女たちは医務室のど真ん中に立ち、腕組して待ち構えていた。
挑発的に笑っている金髪のアティア。冷徹な戦意を滲ませる銀髪のイヴ。
「あはは、二人ともすっかり快復したみたいで……」
「ずっとこの姿勢でお二人を待っていたんですよ」
後ろで苦笑いする茜、心配そうな葵。ピンク髪と水色髪の健気な姉妹は、室内に緊張が漲るのを肌で感じ取っていた。超極薄のナノスキンスーツは肉体を保護しながら、素肌の持つ鋭敏な感覚を機能させている。
「快復したのなら何よりです。手加減した甲斐があったというものです」
ナノスキンスーツの装甲ブーツが甲高い靴音を鳴らす。ゆかりが進み出たのに合わせ、マキも同じタイミングで歩み出す。
宿敵である紫金のヴォルテクスを向かう迎え撃つように、人狼の少女達も肩を並べて前進。
「その恰好は意思表示ってことで良いのかな?」
マキがお姉さん的な余裕のある態度で訊く。
「そう思ってもらって構いません」
「地球のやることに興味ないからね、アタシ達」
医療ポッドから出たアティアとイヴは琴葉姉妹が提供した予備のナノスキンスーツを装着していた。形のよい双丘の先端が被膜を押し上げ、つんと浮き出ている。
カラーリングは白色。デフォルト設定のままだ。
「ただし敗けたとはいえ、下にはつかないよ」
「対等の扱いを要求します」
一応、捕虜という扱いだが、態度がデカい前髪赤メッシュの少女たち。いずれは力をつけて、ヴォルテクスにリターンマッチするつもりだ。
ゆかりとマキは顔を見合わせた。すみれ色の瞳と碧眼が交差する。これくらいのほうが、張り合いがある。
「どう思うねゆかりん?」
「私は賛成ですよ。対等な関係のほうが気を遣わなくて良いですからね」
「オッケー、なら決定だね」
と、ここで視線をアティアとイヴに向け直すマキ。
「けど、対等ってからにはわたし達と同じくらい働いてもらうよ」
マキは両手を腰に当て、胸を張った。煽るような好戦的な笑顔。トップクラスに豊満なバストをぶるんと揺らし、金髪の女蛮族は自らが成熟した女であることを少女たちに誇示。
「当然です」
「むしろ、あんた達の仕事奪うくらいのつもりでいるよ」
「それは心強い。期待させてもらいましょう」
ゆかりはクールに告げた。長い横髪をかき上げる仕草で大人っぽさを演出。
蛮族と人狼が合意に達すると、室内の緊張が緩んだ。
「「良かった……」」
見守っていた琴葉姉妹が手を握り合って安堵する。いざとならば身を挺して争いを止める覚悟だった。
「さて、と」
ヴォルテクスとの会話を打ち切ったアティアがくるりとターン。それにイヴが付き沿う。
背を向けたことで、ゆかりとマキの視界に入る生意気な少女たちのお尻。あどけない印象の白色に覆われているが、野性的な雰囲気。
「改めてよろしくね、茜、葵」
「お世話になります」
アティアとイヴが琴葉姉妹に挨拶する。その光景は微笑ましく、平和的なものであった。