ニンジャ・アンド・ライク・ア・ドラゴン   作:ハンニャハラミ

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※この物語はフィクションです。
実在の人物、団体、事件とは一切関係ありません。
また、ニンジャなどという非科学的存在は存在しません。
いいね?


序章「メリークリスマス&ハッピーバースデー」

欲しいのは銃か、ウイルスか、クロームメタルの心臓か。

 

ヤクザ組織にスカウトされて、クローンどもと殺し合うか。

 

それとも頭に電脳埋め込んで、暗黒メガコーポに無謀な戦いを挑んでみるか。

 

生きるか死ぬか。ニューロンを焼き切るか、焼き切られるか。

 

それともアサシンの放った銃弾が、お前の頭を吹き飛ばすのが早いか。

 

ここはネオサイタマ。欲望渦巻くケオスの都市だ。

 

 

「なんつってな。そんな街にも、クリスマスはやってくるってもんさ」

 

昔どこかで読んだ小説の印象的な一文がふと頭をよぎり、彼は歩を進める。

 

クリスマスの夕方であるネオサイタマに「デスフラッド・ヤクザクラン」のレッサーヤクザである彼「カスガ・イチバン」は久しぶりの休暇に何をしようかとあてもなく歩いていた。

 

 

ワインレッドのスーツに身を包み、ツーブロックのパンチパーマという今時のヤクザには珍しいスタイルであり、

ノーサイバネ・ノードラッグのヤクザである。

ドラッグもサイバネもやらなくても強い者は強い。

そう彼は信じている。なぜなら自分のオヤブンは実際そのとおりであり、

そして「ニンジャ」だからだ。

 

「オヤブンを筆頭に何かの会合があるって言うからいきなり休みとボーナスもらったけど……クリスマスにマルノウチスゴイタカイビルで何するんだ?」

 

財布に入った複数枚の万札を眺め、

そして財布を懐にしまう。

 

「アーラ、デスフラッド=サンのとこのイチバンじゃない。クリスマスになんてシケたツラしてるのよ」

 

「ん?なんだよザクロ=サンか」

 

「なんだよとはなによォ」

 

ピンク色のボンズヘアーにファー付きのコートを着た2m以上の偉丈夫がそこに

 

 

「ア?」

 

 

ピンク色のボンズヘアーにファー付きのコートを着た2m以上の淑女(自称)がイチバンに話しかけてきた。

 

 

ネオカブキチョ内のセクシャルマイノリティが主に活動をしている地区、「ニチョーム」に絵馴染という店を構えているママ、ザクロである。

 

オイラン銭湯で産み落とされ、オイラン銭湯の従業員に育てられたイチバンにとって昔からの顔なじみであった。

 

 

「いやぁ、せっかくもらった休みをどう使おうか悩んでてさ。」

 

「アータ、もう即断即決ってのは大事よ!大事!モタモタしてたらIRCいじって終わりになりかねないんだから!」

 

身長180はあるであろうイチバンよりも背の高いザクロがバシバシとイチバンの肩を叩く。

正直痛い

 

「グワッ わかってるてば!どうせならうまいもんでも食おうと思ってさ」

 

「フゥーンどうせなら奮発しなさいよ」

 

「オウ!マルノウチスゴイタカイビルにでも行ってくるぜ!」

 

ひらひらと背中越しに手を振りその場を後にするイチバン。

 

ふぅと溜息をついたザクロは自分もイチバンと変わらない状況であることを思い出し、とりあえず歩き出した。

 

 

 

「マルノウチスゴイタカイビル……舌噛みそうな名前だよな相変わらず。」

 

近道である裏通りを通っていくイチバン。この近辺は借金取りのシノギの関係上何度か通ったことがある。

危険も比較的少ない。それでもホームレスが寝泊まりしていたり、

ヤンクがたむろしている。

 

だが、あからさまにヤクザであるイチバンを見てそそくさと目をそらす。

 

「アイエエエエ!」

 

「ホワーン!ホワーン!」

 

「なんだ!?」

 

女と子供の悲鳴が聞こえてくる。

クリスマスに似つかわしくない声の出処へ向かって彼は走り出した。

彼はヤクザである。

 

しかしながら彼は悲鳴を気にしないというネオサイタマの常識を嫌う男であった。

 

 

「こっちは道端で拾ったパチンコの玉をさぁ!数えてたわけ!クリスマスのパワーで大当たり引くため!!ワカル?」

 

「ウンウンウン!」

 

「そしたらいきなり頭にスリケンが当たってさあ…パチンコの玉を落としちゃったって……コト!?」

 

「ウンウンウン!」

 

スウェット上下の典型的なヤンク二人が、親子に対してインネンをつけていた。

 

大きな声でまくし立てているヤンクは紙でできたスリケンを持ち、

もう片方はあまり知恵がないのか自分の股間をまさぐっていた。

 

「アイエエエ!スイマセン!」

 

「ホワーン!ホワーン!」

 

「これはもうパチンコ玉弁償してもらわないとねイカチワくん!」

 

「ウン?ファーっ!ファー!」

 

「えっなに?この女の人を指差してなに興奮しだしたの?」

 

知恵のなさそうなヤンクが更に興奮し始めた

 

「クリスマスファックパーティヤりたぃぃ!ヤりたぃぃ!」

 

「アッ!確かにお得じゃん!」

 

「アイエエエ!!?」

 

「ホワーン!!」

 

母親は目を丸くし、

息子の鳴き声はさらに加速した。

得体のしれないヤンク特有の頭の悪いバカな行為に対し恐怖している。

 

「じゃあ古い金塊(安ビール)にタノシイ混ぜてガキも含めた集団ファックパーティしようか!」

 

「ウン!」

 

ヤンクの魔の手が二人に迫ろうとしている!

ブッダよ!クリスマスとはいえ寝ているのか!

 

だが!

 

「ザッケンナコラー!」

 

赤紫色の巨大な影がヤンク二人に飛びかかる!

暗黒プロレス技、ドロップキックだ!

 

「グワーッ!」

「アバーッ!」

 

赤紫色、ワインレッド色のスーツを着た彼のドロップキックはヤンクを同時に吹き飛ばしていた。

特に知恵がかわいそうなヤンクに関してはボールが蹴られていた。

 

イチバンが間一髪間に合ったのである。

 

「アイエ!?」

「エッニンジャ!?」

 

「クリスマスに胸糞悪いことしてんじゃねえ!」

 

シカめいて立ち上がるヤンク、ボールを蹴られた方は痙攣している。

 

「ハァ!?タンパク質ボランティア行為は推奨され」

 

「ウオーッ!」

 

その時だ!ボールを蹴られていない方のヤンクの背後からサラリマンめいた男がタックルを仕掛けてきた!

 

「グワーッ!」

 

イチバンほどではないが高身長のサラリマンのアンブッシュのタックルだ!

ひとたまりもない!

 

「なんだぁ?」

 

「あなた!」

 

「パパ!」

 

「おっ、旦那さんか!よかった!」

 

「ウオーッ!」

 

が、サラリマンはイチバンにもタックルを仕掛けてきた

 

「エッ。マッタマッタ!俺はグワーッ!」

 

 

「本当にスイマセンでした!」

 

「いいっていいって。さっきも言ったけど端からみたらヤクザがヤンクけしかけてるように見えるもんな」

 

悪さができないよう縛り付けた上でヤンクをマッポに突き出した(母子を脅していた動画を渡しながら)イチバンとサラリマンはマルノウチスゴイタカイビル近くの路地で会話していた。

 

トラブルの原因としては、家族サービスでテンプラを食べに行こうとしたとき息子が持っていた紙のスリケンが飛ばされ、

それを追いかけた息子と妻とはぐれてしまったことにあったようだ。

悲鳴はきこえていたが出遅れたのも当然である。

裏通りはアウトロー以外には迷路同然だ

 

「それに奥さんとお子さんも心配そうにこっち見てるし行ってやんなよ」

 

「なんとお礼すればいいか……」

 

「そうかあ……今度ジュースおごるくらいでいいって。それに、俺もテンプラ食べたくなってきたし暇つぶしにはいいかなって」

 

「あ、ありがとうございました!」

 

テンプラ屋に行くという目的ができたイチバンは途中まで親子と同じ道を歩くことになった。

 

「オジサンはニンジャなの?」

 

「え?」

 

「トチノキ!スイマセン息子が……」

 

「いいんですよ奥さん。トチノキ、俺はニンジャじゃないしニンジャだとしたら悪いやつだと思う」

 

「ナンデ?」

 

「なんでってそりゃ……い、いずれわかる!」

 

疑問に思うトチノキと裏腹に父母はイチバンに会釈した。

 

 

「で、ではオタッシャデ!」

 

「へいへいオタッシャデ」

 

店の前まで着くとタイミングをずらしてそれぞれ店内に入った。

ヤクザと親子連れが同時に入るのは絵面が良くないからだ。

 

「家族サービス、ねえ……。アッ喫煙席あります?ない?アッハイ」

 

一人用テーブルに案内され、

テンプラのネタが運ばれるまで待つイチバン。

 

窓際からだいぶ遠いがそれでも外の様子が窺い知れる。

光り輝く人工的な摩天楼は巨大なクリスマスツリー群めいていた。

 

「おまたせしました」

 

「おっきたきた。いただきます」

 

『オヒトリサマテンプラセット』

『ケモビールジョッキ』

 

シャキーン

シャキーン

 

「イチバンはHPがかいふくした! なんてな。ごちそうさまでした。」

 

 

RPGゲームがあったら黄色いHPの数字が白くなるような感覚をイチバンは妄想しながら一息つく。

 

違うテーブルからさっきの親子の会話が聞こえてくる。

 

「ニンポ!バクハツ・ジツ!」

 

「子供ってのは元気で」

 

 

 

「なんだか昔を思い出すなぁ」

 

 

 

「カブーン!」

 

 

 

サケをさらに飲み、上機嫌になっていくイチバン

 

 

 

 

 

KABOOOOOM!!

 

 

 

 

 

彼の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ピッピッピッ

 

(なんだここは……)

 

ピッピッピッ

 

(白い天井……点滴……心電図みたいな音……)

 

ピッピッピッ

 

「お目覚めか?多分一年くらい意識がなかったぜ。宿主さんよ」

 

無精髭にメガネをかけた男が覗き込む。だがその装束は緑色のジャケットを羽織っているもののまるでカートゥーンの

 

「まあ、今お前さんが見てるのもイメージ映像……いや、コトダマ空間なんだけどな」

 

ピッピッピッ

 

「コトダマ空間てのは……まあある意味仮想現実?お前たちモータルの言葉で言うとな。」

 

「アンタ誰だよ……」

 

ピッピッピッ

 

無精髭にメガネをかけた男が驚いた顔を見せる。

 

「驚いた。案外適正があるんだな。コトダマ空間の」

 

「というかコトダマ空間ってのは自分のイメージの具現化だろ?なんでこんなにはっきりと集中治療室のイメージが」

 

「誰だって聞いてんだよ」

 

無精髭にメガネをかけた男が覗き込む。だがその装束は緑色のジャケットを羽織っているもののまるでカートゥーンの

 

ニンジャの衣装だ。

 

「ドーモ、カスガ・イチバン=サン。俺のことは……そうだな。下っ端でカイデンネームもないけど」

 

「ナンバって呼んでくれ。」

 

「俺はニンジャだ。」

 

 

 

 

序章◆メリークリスマス&ハッピーバースデー◆ 終

 




次回 

◆第一章 ボーン・オブ・ソウカイニンジャ◆
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