ただ行く当てがないからなんとなく進んでいるだけである。
そんなレ級に無言でついてくる、深海棲艦残党達。
彼女達も、何も考えていないのかも知れない。
うーむ…さっきの護衛の艦娘は見たことない艦娘だったな…。しかも盾みたいな艤装を付けているから第六駆逐隊の誰かかと思ったら二人とも黒髪ショートだったし…
青空にちぎれ雲が彩られた空の下で、レ級は曇天のように悩んでいた。
そのくせ主砲と思われる奴は吹雪と同じような配置だし…でも魚雷発射管は連装…
思い出す限り、レ級の脳内にそんな艦娘はいない。
「…なぁ、チ級。さっきの護衛の艦娘は誰だ?」
とうとうレ級はチ級に聞いた。
聞いて、とても驚いた。
「アレですか?レ級さんは知らないんでしたっけ。アレは【量産型艦娘】です。生産しやすく、武装の換装も容易な化け物です。
深海棲艦が不利なのもアレのせいですね」
チ級が『アレ』呼ばわりしているのを聞くと、なんとも複雑な気分である。
深海棲艦には艦娘ではなく、モノかただの兵器ぐらいにしか見えないのかも知れない。
「すまん。ありがとう」
とりあえず礼を言い、前に向き直すレ級。
だが今度は、チ級が話しかけてきた。
「そういえばレ級さん、一般のレ級は航空機を持っているそうですが、レ級さんは持っていないんですか?」
文面が読みにくい。一般のレ級も私であるレ級も言い方が同じだから尚更なのだが、今は無視することにする。
「いや…どうだろう。試してみるか」
ちなみに、レ級の知ってる発艦は、尻尾の滑走路から大量に出すやつと、蹴っ飛ばすやつである。
だが残念ながら、産廃であるレ級の尾に滑走路は無い
「グボッ!?」
ということで、レ級は尻尾の口に手を思いっきり突っ込んだ。いきなりで苦しむ尻尾。ごめんよ。
何か硬いものに触れたのを感じ、レ級はそれをつかんで引き抜いた。
「何だこれ」
おそらく艦載機であるのはわかるのだが、今までの深海棲艦の艦載機の中で一番異形の形をしている。
頭部こそ今までの菱形みたいな艦載機と同じ形なのだが、そこから蛇のように太い胴体が伸びている。水平尾翼は主翼よりもちょっと小さい見た目だ。
あと甲高くキィキィ鳴いてる。
「命名・【深海蜥蜴艦爆】だ」
割り込んできたリ級がドヤ顔で言う。可愛い。
…蛇じゃね?
「レ級、これ発艦させて偵察機の運用したらどうだ?」
名案を出すリ級。
だが、【艦爆】に【偵察】を任せてよいのだろうか?
「蜥蜴艦爆よ、めっちゃ機体軽くできない?」
おもむろに語りかけてみるレ級。すると蜥蜴艦爆は恐ろしいことをした。
口から爆弾を吐き出したのである。吐き出された爆弾は幸い爆発せず、海中へ沈んでいった。
「でももっといると思いますよ」
リ級のアドバイスでまた数機の蜥蜴艦爆を出す。
そして同じように爆弾を吐き出させると、レ級は艦爆達をぶん投げた。
「お、面白いこれ視野を共有できる」
ほんのりうっすらと、艦爆が見ている景色が見れる。
さらに、艦隊に共有できるようだ。
でもこの後艦娘と戦闘になるんじゃ…?
そんなレ級の予想は、見事当たることになる。
深海蜥蜴艦爆。
モデルはヘルダイバー。蛇な気がする。
意外と制空値も高い。