2人組は、簡単にバイクごと転倒した。
引ったくり現行犯
○月〇日。
俺と倉持は、中央区博労町の難波神社近くの路地で高齢者が引ったくりに遭うのを目撃した。
バイクに乗った2人組は、引ったくった筈のバッグからペットのリードのようなものが出ているのを確認した。
「な、何だ、これ?」「どうなってる?」
高齢者の「おばあさん」は、そのリードを思い切り引っ張った。
2人組は、簡単にバイクごと転倒した。
「ててて。何すんだよ、ババア。危ないだろうが。」
「危ないのは、てめえらだろうが。もう面は割れてるぞ。観念しろ。」
「うっせー、ば、ババアじゃねえのか。」
倉持は、360度ドラレコを操作して、一部始終を撮影した。
おばあさんは、2人組を引きずり降ろし、バイクを2人組の上に乗せた。
そして、俺が「預かっていた手錠」を渡すと、2人にかけた。
「どこかの誰かさんとどこかの誰かさん、引ったくり現行犯逮捕。弁護士呼ぶのは、後にしてね。」
間もなく、パトカーがやってきた。
2人組は、外国語で何かを叫んだが、おばあさんは言った。
"I know you can speak English"
部下の警察官が逮捕連行されて行くのを見送った、おばあさんは、変装を解いた。
「協力ありがとう、幸田調査員、倉持調査員。」
「やっぱり、ババアだ。」門田は、ゆっくりと若者の股間を踏んづけた。
「も一度、言ってごらん。」
倉持は、ドラレコのSDを門田(もんでん)警視に渡した。
「ご苦労様。」
「学習能力のない若年犯罪者じゃ、判断能力のあるババアに勝てないわよね。」
「警視。変装、上手いですね。」と、倉持が褒めると、「若い頃は潜入捜査官もやったことがあるの。芦屋が、この役やりたがったけど、しゃしゃり出ちゃった。」と警視は舌を出し、離れた所に駐めてあった、ナナハンに乗り去って行った。
「カッコイイ!!」
見とれている倉持に、「手籠めにして貰えよ、倉持。」と揶揄うと、「はい。」と、虚ろな目で言った。
「アカン。目に♡マークついとる。」
興信所に戻って所長に結果を報告すると、所長は「それはええかも。確か、警視は『ゴケさん』やで。しかし、定年間近になって、昇格して府警に配属とはなあ。世の中変わったなあ。」と、言った。
「一般の会社みたいな再就職出来るようになって欲しいな。」
「嘱託警察官か。今は、総合職とかしかないからな。」
花ヤンも横ヤンも話に乗ってきた。
「なるかもな。あの人、小柳さんのお姉さんやし。」
所長の言葉に皆は絶句した。倉持以外は。
―完―
2人組は、外国語で何かを叫んだが、おばあさんは言った。
"I know you can speak English"
部下の警察官が逮捕連行されて行くのを見送った、おばあさんは、変装を解いた。
「協力ありがとう、幸田調査員、倉持調査員。」