倉持は、急ブレーキをかけた。
狭い路地の端と端にロープがピンと張ってあった。
真夏とは言え、雲行きが怪しい天気で夕方や。
俺は、自慢じゃないが視力がいい。
ロープ
○月〇日。
「倉持、止まれ!!」
倉持は、急ブレーキをかけた。
狭い路地の端と端にロープがピンと張ってあった。
真夏とは言え、雲行きが怪しい天気で夕方や。
俺は、自慢じゃないが視力がいい。
倉持も悪くないが、頭が時々お留守になっている。
ぼうっとしていても、咎める積もりは無い。
恋愛かあ。澄子と一緒になったのは、『勢い』に過ぎないが。
それでも、俺が調べている間、倉持は警察に電話、興信所事務所にも連絡した。
「とりあえず、『道路交通法違反』やな。」
10分経つか経たないかで、所轄の警察官がやってきて、ロープを外した上で、応援を呼んだ。
俺の名刺を見て、警察官は、「南部興信所言うたら、花菱先輩の?」と尋ねてきた。
「お知り合いでしたか。花ヤン、いや、花菱所員の。」
「ようしごかれました。通報ありがとうございました。四條畷やったかな。模倣犯ですわ。ばれへんと思っている学生でしょうね。」
帰宅すると、ゴロゴロ鳴って、雨が降ってきた。
梅雨明けしたばっかりやのに。まあ、長くはないやろう。ゲリラやな。
晩飯を食いながら、夕方のことを言うと、「嫌な世の中やな。むしゃくしゃしたら、他人に当たる。後のこと考えんと。そう言えば、倉持君、どうなん?」と澄子が尋ねた。
「さあな。本人が決めることやけど、『高嶺の花』には違いない。時々、ぼうっとしていることがある。当面、運転は俺自身がした方が無難かな。所長には、失恋したら、あんじょう慰めてやれ、言われてるけどなあ。」
「アンタは反対なん?」「反対な訳ないやろ。もし倉持がカップルになったら応援するで。」
「そうなん?私は、もう応援してるで。」
澄子は、七夕用の笹を用意してあって、客が望めば渡している。当然、『短冊』も用意してある。
そして、書いたばかりの短冊を俺に見せた。
『倉持君の織り姫がこっち向いてくれますように』
俺は、笑いを堪えるのに苦労した。
笹に吊さないように、俺は何度も念押しした。
出来れば、『失恋』にならんように、と俺は心の中で祈った。
縁は異なもの味なもの。成り行き任せや。
俺も、『ワコと一緒になる積もり』が、ひょんなことから澄子を嫁にした。
本人も院長も辻先輩も『不倫』を勧めるが、そうも行かない。
仕事柄、『不倫の悲惨さ』を知っているからかも知れない
今年の七夕は、はっきり空が見えそうやな。
「今年の七夕は、はっきり空が見えそうやな。」と澄子は言った。
同じことを考えてたか、と感心をしていたら、股間を触ってきた。
「そ、そやな。」
俺は、覚悟した。
―完―
それでも、俺が調べている間、倉持は警察に電話、興信所事務所にも連絡した。
「とりあえず、『道路交通法違反』やな。」
10分経つか経たないかで、所轄の警察官がやってきて、ロープを外した上で、応援を呼んだ。
俺の名刺を見て、警察官は、「南部興信所言うたら、花菱先輩の?」と尋ねてきた。
「お知り合いでしたか。」