新・中年探偵幸田の日記   作:クライングフリーマン

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「倉持、止まれ!!」
倉持は、急ブレーキをかけた。
狭い路地の端と端にロープがピンと張ってあった。
真夏とは言え、雲行きが怪しい天気で夕方や。
俺は、自慢じゃないが視力がいい。



99.ロープ

ロープ

○月〇日。

「倉持、止まれ!!」

倉持は、急ブレーキをかけた。

狭い路地の端と端にロープがピンと張ってあった。

真夏とは言え、雲行きが怪しい天気で夕方や。

俺は、自慢じゃないが視力がいい。

倉持も悪くないが、頭が時々お留守になっている。

ぼうっとしていても、咎める積もりは無い。

恋愛かあ。澄子と一緒になったのは、『勢い』に過ぎないが。

それでも、俺が調べている間、倉持は警察に電話、興信所事務所にも連絡した。

「とりあえず、『道路交通法違反』やな。」

10分経つか経たないかで、所轄の警察官がやってきて、ロープを外した上で、応援を呼んだ。

俺の名刺を見て、警察官は、「南部興信所言うたら、花菱先輩の?」と尋ねてきた。

「お知り合いでしたか。花ヤン、いや、花菱所員の。」

「ようしごかれました。通報ありがとうございました。四條畷やったかな。模倣犯ですわ。ばれへんと思っている学生でしょうね。」

帰宅すると、ゴロゴロ鳴って、雨が降ってきた。

梅雨明けしたばっかりやのに。まあ、長くはないやろう。ゲリラやな。

晩飯を食いながら、夕方のことを言うと、「嫌な世の中やな。むしゃくしゃしたら、他人に当たる。後のこと考えんと。そう言えば、倉持君、どうなん?」と澄子が尋ねた。

「さあな。本人が決めることやけど、『高嶺の花』には違いない。時々、ぼうっとしていることがある。当面、運転は俺自身がした方が無難かな。所長には、失恋したら、あんじょう慰めてやれ、言われてるけどなあ。」

「アンタは反対なん?」「反対な訳ないやろ。もし倉持がカップルになったら応援するで。」

「そうなん?私は、もう応援してるで。」

澄子は、七夕用の笹を用意してあって、客が望めば渡している。当然、『短冊』も用意してある。

そして、書いたばかりの短冊を俺に見せた。

『倉持君の織り姫がこっち向いてくれますように』

俺は、笑いを堪えるのに苦労した。

笹に吊さないように、俺は何度も念押しした。

出来れば、『失恋』にならんように、と俺は心の中で祈った。

縁は異なもの味なもの。成り行き任せや。

俺も、『ワコと一緒になる積もり』が、ひょんなことから澄子を嫁にした。

本人も院長も辻先輩も『不倫』を勧めるが、そうも行かない。

仕事柄、『不倫の悲惨さ』を知っているからかも知れない

今年の七夕は、はっきり空が見えそうやな。

「今年の七夕は、はっきり空が見えそうやな。」と澄子は言った。

同じことを考えてたか、と感心をしていたら、股間を触ってきた。

「そ、そやな。」

俺は、覚悟した。

―完―

 

 

 

 

 




それでも、俺が調べている間、倉持は警察に電話、興信所事務所にも連絡した。
「とりあえず、『道路交通法違反』やな。」
10分経つか経たないかで、所轄の警察官がやってきて、ロープを外した上で、応援を呼んだ。
俺の名刺を見て、警察官は、「南部興信所言うたら、花菱先輩の?」と尋ねてきた。
「お知り合いでしたか。」
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