「確か、青森が『ねぶた』で、弘前が『ねぷた』、違ったかな?」と、俺は応えた。
「私は、弘前の出身で、『ねぷた』の方です。」警察官の宮前は言った。
七夕
○月〇日。
「倉持、止まれ!!」
倉持は、急ブレーキをかけた。
狭い路地の端と端にロープがピンと張ってあった。
一昨日の事だった。
担当した警察官と花ヤンが揃って挨拶に来た。
「幸田さん、『ねぶた祭り』と『ねぷた祭り』の違い、分かります?」花ヤンが尋ねた。
「確か、青森が『ねぶた』で、弘前が『ねぷた』、違ったかな?」と、俺は応えた。
「私は、弘前の出身で、『ねぷた』の方です。」警察官の宮前は言った。
「偶然、七月七日生まれですが、お祭りは旧暦です。あ、先日はご協力ありがとうございました。犯人はやはり地元中学生で、四條畷の事故を受けて、真似をしたようです。」
「そうですか。事故にならんで良かった。」
2人が帰ると、「ホンマに物騒な世の中や。防犯カメラ、幾つあっても足らんな。」と、澄子に言うと、「そうか、旧暦がホンマの、天の川デートなんやなあ。」と呟いた。
「あ。思い出した。小学校の同級生で、天野言う子がおったんや。」
「ひょっとしたら?」
「ひょっとした。イジメに遭ってた。仲に入って、止めたら、『ああだこうだ言わんときや』って言うて来た。」
「どうしたん?」
「川に投げ込んだ。ほんで言うてやった。『天の川』の水は美味しいか?って。」
「ほんで?」「転校した。子供は残酷なこと思いついて言うからな。今の世の中は、子供未満の政治家もおるけどな。ちちめんどくさい日本語、とか、ちちめんどくさい日本の習慣とか言うて。そんなん言うてるから落選するんや。」
「今夜、素麺にするか?・・・ってもう用意してあるけど。」
夕食の時、素麺を食べていると、所長から電話がかかってきた。
「え?和歌山の?分かりました。明日、倉持と行って来ますわ。」
電話を切ると、澄子が喪服を用意し始めた。
「聞いてたんか。」「幾つ?」
「70。まだまだ早いわな。折角『元の鞘』に収まったのに。あの人、心臓に病気持ってたからな。」
素麺を食べながら、興信所の利用客の話をした。
人の運命は、分からない。
『今夜は』すんなり眠れそうや。
―完―
※「ねぶた」と「ねぷた」の違いは、主に形と開催地域にあります。青森市の「ねぶた」は立体的な人形型、弘前市の「ねぷた」は扇型の平面的な絵が特徴で、それぞれ運行中の掛け声も異なります。どちらも「眠り流し」に由来する、睡魔を追い払い厄を流すための行事です。
※「弘前ねぷた」と「青森ねぶた」の大きな違いの一つは、跳人(はねと)の存在です。青森を起源とする跳人は、決まった衣装さえつければ祭りに自由参加できるということが大きな魅力。青森青年会議所の呼び掛けが始まりとされますが、全国の伝統的な祭りの中で自由参加できるのは極めてまれなことでした。一般観光客でも自由に参加することが可能となったことで、「青森ねぶた」の観光化は加速します。
「川に投げ込んだ。ほんで言うてやった。『天の川』の水は美味しいか?って。」
「ほんで?」「転校した。子供は残酷なこと思いついて言うからな。今の世の中は、子供未満の政治家もおるけどな。ちちめんどくさい日本語、とか、ちちめんどくさい日本の習慣とか言うて。そんなん言うてるから落選するんや。」
「今夜、素麺にするか?・・・ってもう用意してあるけど。」