新・中年探偵幸田の日記   作:クライングフリーマン

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小町は京都府警に他府県の応援要請をするように進言した。提案した、かな。とにかく、奈良県警、滋賀県警。兵庫県警から若干名、警備の応援が来た。何か抜けてへん?」


105.軋轢の真相

 

○月〇日。

珍しく、事務所に総子が長くいるようなので尋ねてみた。

事務仕事は所長がやっているから、所長夫人としては、たまに所員として調査員をする位だ。EITO大阪支部のチーフではあるが、管理職ではない。勤務時間は、事件の無い時は自由らしい。

「なあなあ、お嬢。小町って京都府警で有名な刑事やったんやろ?何でこっちに?それと、何で小柳さんと仲悪いん?」

「何で何でって、子供みたいやな。EITO大阪支部来たんは、その前にダークレインボー絡みで、『妙なナイフの切り口』っていう共通点があったから、名目上京都府警と警視庁の合同捜査になったんや。その時、EITOと関わりになって、お父さんの神代警視正が修行という名目で大阪府警に転勤させて、大阪府警からEITO大阪支部に出向してるんや。」

「ああ、『かわいい子には旅をさせよ』ってやつやな。」

「そいうこと。で、仲悪い件、ウチと気が合うようになってから、打ち明けてくれた。別に特記条項でもないから、個人情報やけど、言うてもええやろ。小町が京都におる頃、『五山送り火で何か起るかも知れない』とか言う、脅迫文っぽい手紙が京都府警に来た。知っての通り、『五山』やから、狙われる可能性のある場所が五カ所ある。小町は京都府警に他府県の応援要請をするように進言した。提案した、かな。とにかく、奈良県警、滋賀県警。兵庫県警から若干名、警備の応援が来た。何か抜けてへん?」

「大阪府警か。」「大阪府警は、小柳さんが赴任したばっかりで、具体的なこと書いてない、つまり、何何を爆破するぞ、みたいに書いていない、あやふやな手紙で応援は送れない、って断った。結局、『陽動』を見抜いた小町は、2つの反社を潰した。結果オーライではあるけど、ホンマに同時にテロ起ったらどうするねん。それからも何度か小柳さんとは、やりあったらしい。小柳さんは、神代警視正に恩義あるから断る訳にいかんかったけど、ホンマは小町に来て欲しくなかったらしい。」

「その、小町のオヤジさんは2人が仲悪いこと・・・。」

「知ってる。知ってて、来させたんや。」

「『かわいい子には旅をさせよ』ってやつでか。」

「そう。期限付きでな。年度末の人事異動で、小町は府警に戻る。警視正としてな。東山署でなく、違う署の『署長』やな。」

「うあわあ。やっぱり超エリートなんや。」「そらそうや。京大卒やで。」

「小町が京都にいた頃、ゆう・・・あ、これは内緒の話やな。ごめんやで。」

「ふうん。色んな歴史があるもんやなあ。あ、ついでに。門田さん、定年迎えたら、退職?」

「いや。一般の会社で言う『嘱託社員』やな。警察も人手不足やからな。」

横ヤンこと横山が花ヤンこと花菱と帰って来た。

倉持は、今日も有給休暇か。

「これ、今日の担当割り当てな。倉持、今日は休みや。総子がたまたま休みやから、幸田のフォローに入ってくれ。案件は、天王寺区の『浮気調査』や。」

「了解。」「了解しました。」

自動車に乗るなり、助手席の総子は言った。

「ブスやなあ。」「調査対象は奥さんの方?」

「間男はイケメン。銭やな。」

総子は独り合点をした。

 

―完―

 

 

 

 

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