新・中年探偵幸田の日記   作:クライングフリーマン

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俺は、偶然見付けた男を追い掛けていた。
住之江区の住宅街。
建て売り住宅や。戸数が多く、入り組んでいる。まるで迷路や。
だが、俺はその迷路のパターンを知っていた。
追い詰める自信はあった。



107.俺のカン

俺のカン

○月〇日。

俺は、偶然見付けた男を追い掛けていた。

住之江区の住宅街。

建て売り住宅や。戸数が多く、入り組んでいる。まるで迷路や。

だが、俺はその迷路のパターンを知っていた。

追い詰める自信はあった。

だが、俺が追い掛け出した時、奴は持っていた出刃包丁は、途中で捨てた。

何か他に武器を?拳銃?まさか。俺は言いようのない不安と共にアイディアが浮かんだのを認識した。

そうか。これだ。今こそ使おう。

服の左肘に入っているDDバッジを右手で押した。

DDバッジとは、総子の従姉大文字伝子が率いるエマージェンシーガールズや、伝子の関係者全員が持っている。危機的な状況に対応する為、普段から身に着けている。総子が『二足の草鞋』でやっているEITO大阪支部のEITOエンジェルズも関係者も身に着けている。

総子は入所当時は生意気な奴やったが、東京の中津興信所の手伝いをする内、調査員としての腕も上がった。先輩の俺を抜いて所長夫人になっても、俺を立ててくれている。

以前、事故の為、東京の依頼主のところへ行くのが大幅に遅れそうになった時、大前さんと喧嘩してまで俺を東京に飛ばそうとした。その総子からDDバッジを受け取った時、「身の危険があった時、遠慮無く押して。アンタの判断に任せる。後は庇ってあげるから。」と言われた。

どっちが先輩か分からんな、と思ったが、今がその時や。

アイツに追いついた時、音が聞こえた。ヘリの音やない。オスプレイや。

オスプレイの爆音はどんどん近づいて来た。

間違い無い。EITOのシステムで探知したんや。持っているだけでGPSで位置確認、押すと、緊急信号。よう出来てる。

そこは、袋小路やった。

アイツがナイフガンを構えた時、間一髪、オスプレイから降りるロープを伝って、EITOエンジェル1号姿の総子が降りて来て、アイツに跳び蹴りした。

間もなく、バイクに乗った門田警視がやってきた。

パトカーの警官隊もやってきた。

「お手柄や、幸田所員。」「お手柄よ、幸田所員。」

 

俺の自動車を搬送してきた倉持が、俺の頬をつねった。

「痛い!何すんねん、倉持。」

「先輩、夢じゃないですよ。スマートキーで車泥棒した時、家人に出刃包丁を突きつけられて、逆上して刺して逃亡したそうです。」

「ナイフガンの事は、ウチの鬼軍曹が可愛がってくれるよ。」と、門田は笑った。

 

バッジを押したのは俺の山勘だが、誰も気に留める気配はなかった。

だが、所長には、報告をしておこう。

―完―

 

 

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