新・中年探偵幸田の日記   作:クライングフリーマン

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「まあ、ウチは浮気調査が主やからな。」
「あんた、ホンマにウチで良かったん?」
「また、言うてる。10年経って子供出来へんかったら、里子貰おう。本庄先生なら、『ツテ』があるやろ。」



108.亭主孝行

亭主孝行

○月〇日。

澄子は、先日の、俺の冒険譚をはらはらしながら聞いていた。

「映画みたいな展開でスリリングやったわ。ホンマに、アメリカの探偵みたいに認知されてへんから、不便やな。」

「まあ、ウチは浮気調査が主やからな。」

「あんた、ホンマにウチで良かったん?」

「また、言うてる。10年経って子供出来へんかったら、里子貰おう。本庄先生なら、『ツテ』があるやろ。」

電話が鳴った。所長の南部からだった。

興信所の死後の休みは、あって無いようなもんや。

「殺し?ナイフガンナイフですか?すぐ行きます。」

背広を用意しながら、澄子は尋ねた。

「ナイフガンナイフ言うたら、あの特殊なナイフ?」

「うん。実物見た数少ない人間やからな。確認に行くだけや。阿倍野署に。」

「確認かあ。そんなんも仕事なんや。」

「俺ら興信所と警察は、持ちつ持たれつや。日本では、探偵は認められてへん。でも、調査員はOKや。信用は、小さなことからコツコツとや。」

「気ぃつけて。」

お決まりの文句で送り出された俺は、阿倍野署に到着した。

玄関受付で申し出て、担当の刑事を呼んで貰う。

「間違いないですわ、。よう分からんけど、この柄のとこが特殊で、EITOでもなかなか再現出来へんらしいです。」

「成程ね。どうもご苦労様でした。」と刑事に丁寧に送り出されて、帰った。

帰ったら、熱燗とおでんが待っていた。

いや、熱燗とおでんを用意した澄子が待っていた。

こういう時は、事件の事を思って、なかなか寝付かない俺のことをよく知っているからや。

「やっぱり、もっと早く『養子縁組』した方がええかな?」

心の中で呟いた積もりが、声に出してしまった。

「ほな、本庄先生に頼んどいて。でも、ウチの体をカビだらけにせんといてな。今日は、ええけど。」

「ふん。」

やはり、倉持と門田さんのことで『進展』を見て、子供がが欲しくなったかな?

もう「高齢出産」は死語になりつつある。でも、澄子には多分無理や。セックスが強いことと、子供が出来ることは別」やねん。悔しいけれど。

もっと、早く出逢ってればナア。そんなん言うてもなあ。

藤島先生や辻先輩は、ワコに不倫せえ、と唆すけどなあ。

「蓼食う虫も好き好き」やな。いや、「あばたもえくぼ」かな?

明日は、遠出がないだけマシやな。

口コミで、『浮気相談』には向いている、という評判があるらしい。

最近は、泉南も和歌山も案件が増えてきた。

他府県は、ちょっと辛いな。

考え込んでいるウチ、うたた寝になった。

澄子は、力が強い。

布団敷いて、俺をお姫様抱っこして寝かすのも上手い。

許せよ、ワコ。俺には、恋女房がいるんや。

―完―

 

 

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