新・中年探偵幸田の日記   作:クライングフリーマン

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『チキンレースやる気やったら、御堂筋だけでいい。曖昧な表現は、陽動やさかいや』


109.『犯罪の万博』

『犯罪の万博』

○月〇日。

澄子は、今日の「捕り物」について俺が語る話を聞いて呆れた。

「後で、所長から聞いた話やと、日本人やないらしい。電動キックボードの『模範運転した』巡査に近づき、殺して入れ替わった。普通のサイトと闇サイトで実行犯を捜して、大阪府警を混乱させ、恥をかかせたかったらしい。今のところ、ダークレインボウとの関わりは出てきてない。しかし、流石元ヤンのねえさん達やなあ。『チキンレースやる気やったら、御堂筋だけでいい。曖昧な表現は、陽動やさかいや』って。で、襲われそうな場所を片っ端から割り出して、線包囲で向かえ撃った。俺の受持は、阪急百貨店の阪神優勝セールの引ったくりや。すぐ捕まえたけどな。50万円貰い損ねたやなんて、言ってたわ。」

「そんな上手い話やったんや。まあ、欲に目が眩んだら、足元しか見ィへんわな。」

「そもそも、電動キックボードの免許化せんとなあ。あれ、危ないのになあ。国交省も金で動いているから、知ってて野放し。方々で問題起こしてる。こらあ犯罪増えるで。」

「なんでなん?」

「お役所の縦割り。責任者多いから、簡単に前に進まへん。協力するから銭払え、の世界。」

「世知辛いなあ。」「世知辛い世の中なあ。」

「万博。もうじき終るな。」「行きたいか?」

「別に行きたいと思わへん。1970年に行ったから。」

「こんにちは。」「こんにちは。」

2人して歌い出すところだったが、門田さんと倉持がやってきた。

「この度は、身内の不祥事が原因で、事件に巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした。」

「いえいえ。仕事ですから。それに被疑者は『なりすまし』やったんでしょ?」

「いいえ。手違いがあって、那珂国人が入れ替わったんじゃなくて、帰化していたんです。」

「じゃ、一応、日本人ですね。」

「はい。洗いざらい白状しました。以前、万博会場の警備に行った時、何となく嫌になったらしいです。」

「先輩。以前言っておられた、『異常な万博フェチ』、巡査の近くにもいたんです。」と、横から倉持が言った。

「詰まり、やたら自慢するヤツか。呆れた。それで、『犯罪の万博』か。」

「元から警察に向いて無かったんですね。」と、澄子がフォローした。

「明日、記者会見します。」

「ご苦労様でした。」

俺達は2人を見送った。

「1本つけるか?」「ああ、頼むわ。」

 

空を見上げると、曇り空だった。

 

万博か。どうでもええわ。

金の無駄使いやんけ。

税金、下げてくれ。

―完―

 

 

 

 

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