『犯罪の万博』
○月〇日。
澄子は、今日の「捕り物」について俺が語る話を聞いて呆れた。
「後で、所長から聞いた話やと、日本人やないらしい。電動キックボードの『模範運転した』巡査に近づき、殺して入れ替わった。普通のサイトと闇サイトで実行犯を捜して、大阪府警を混乱させ、恥をかかせたかったらしい。今のところ、ダークレインボウとの関わりは出てきてない。しかし、流石元ヤンのねえさん達やなあ。『チキンレースやる気やったら、御堂筋だけでいい。曖昧な表現は、陽動やさかいや』って。で、襲われそうな場所を片っ端から割り出して、線包囲で向かえ撃った。俺の受持は、阪急百貨店の阪神優勝セールの引ったくりや。すぐ捕まえたけどな。50万円貰い損ねたやなんて、言ってたわ。」
「そんな上手い話やったんや。まあ、欲に目が眩んだら、足元しか見ィへんわな。」
「そもそも、電動キックボードの免許化せんとなあ。あれ、危ないのになあ。国交省も金で動いているから、知ってて野放し。方々で問題起こしてる。こらあ犯罪増えるで。」
「なんでなん?」
「お役所の縦割り。責任者多いから、簡単に前に進まへん。協力するから銭払え、の世界。」
「世知辛いなあ。」「世知辛い世の中なあ。」
「万博。もうじき終るな。」「行きたいか?」
「別に行きたいと思わへん。1970年に行ったから。」
「こんにちは。」「こんにちは。」
2人して歌い出すところだったが、門田さんと倉持がやってきた。
「この度は、身内の不祥事が原因で、事件に巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした。」
「いえいえ。仕事ですから。それに被疑者は『なりすまし』やったんでしょ?」
「いいえ。手違いがあって、那珂国人が入れ替わったんじゃなくて、帰化していたんです。」
「じゃ、一応、日本人ですね。」
「はい。洗いざらい白状しました。以前、万博会場の警備に行った時、何となく嫌になったらしいです。」
「先輩。以前言っておられた、『異常な万博フェチ』、巡査の近くにもいたんです。」と、横から倉持が言った。
「詰まり、やたら自慢するヤツか。呆れた。それで、『犯罪の万博』か。」
「元から警察に向いて無かったんですね。」と、澄子がフォローした。
「明日、記者会見します。」
「ご苦労様でした。」
俺達は2人を見送った。
「1本つけるか?」「ああ、頼むわ。」
空を見上げると、曇り空だった。
万博か。どうでもええわ。
金の無駄使いやんけ。
税金、下げてくれ。
―完―