ブラックナイト
○月〇日。
夕方。興信所に戻って、今日の報告をして帰ってきた。
午後7時。
所長から電話がかかってきた。言い忘れたことがあったのかと思ったが違っていた。
「さっき、大前さんから聞いたばかりや。昨日、襲ってきた連中、民泊の事件の報復もあったが、EITO大阪支部も狙ってたらしい。買収に応じる訳もないから、爆破して安く叩く積もりやったんやと。どこまでもなめちょる。で、大前さんが、闇サイトハンターからの情報をEITO東京本部経由で連絡してきたところによると、ダークレインボウとは無関係の組織で、企業乗っ取り斡旋屋があるらしい。その業態自体を『ブラックナイト』と言う。組織名は不明。昨日の奴らは、そこに斡旋して貰ったらしい。以前『蒲鉾屋』や『運送屋』の事件があったやろ。どうも、その『ブラックナイト』が噛んでいるらしい。」
「所長。予備校の事件は?」「それもやろうな。天王寺駅界隈で事件が未遂に終った事件も怪しいな。とにかく、これからも事件の陰に『ブラックナイト』が噛んでいるかも知れんから気をつけてくれ、と言われたらしい。」
「気をつけてくれ、って言われても、念の為に折りたたみ傘をみたいな訳にも行きまへんやん。」
「お前、上手いこと言うな。ところで、あのクスリ、効いてるか?」
「あの、って、どっちです?ドリンク?錠剤?」
「両方。」
「元気にはなりますけどねえ。『子作りに効く』は誇大広告でしょ。芦屋さんがタダでくれるから飲んでるけど。」
「まあ、お互い気長に頑張ろう。明日昼から現着やったな、頼むで。」
「何の話?」
俺は、澄子の理解力を考えながら、かいつまんで話した。
「嫌な銭もうけやな。EITO大阪支部も毎回大変な目に遭ってるな。あんたらのヘルプした仕事も多いんやろ?」
「そうやねん。俺らも大阪守ってるんやな。あの民族は『白蟻』やって言う人もいる。強引にでも乗っ取る積もりの所には手を出す。以前、歯の掃除道具、買い占めたことあるやろ?」
「ああ、あった。その乗っ取りの噂聞いた、あの会社の製品のファンが購買運動広めたんや。それで大人しくなった。」
「千里の道も一歩から、やな。」
澄子は、下着を床に落した。目が魔物や。
ゲームやったら、正義の魔獣召喚するとこや。
・・・助けてくれー。
澄子は、EITOの話を聞きながら、違うことを考えていたに違い無い。
やっぱり、当面、『里子』は禁句や。
俺は、ただの「雄カマキリ」や。
ぜーんぶ、雌カマキリのもんや。
―完―