大文字伝子の冒険   作:クライングフリーマン

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伝子は、バターとマーマレードの、たっぷりかかったトーストを頬張っていた。
高遠は、おさむには、このトーストは食べさせるわけには行かないな、と思った。
「学。夢の中の素麺、旨かったか?」
「また。伝子、認知症になったの?3日間連続で嫌味言って。ハズハラだよ。」
「婿イジメだよ、婿養子。」
「お邪魔だったら、出直しますけど。」



387.ある一日

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。

高峰くるみ・・・みちるの姉。勤めているスーパーの店員だが、大文字家には、配達も担当している。

山村美佐男・・・みゆき出版編集長。伝子の担当でもあり、高遠の担当でもある。

藤井康子・・・伝子マンションの区切り隣に住む。モールで料理教室を経営している。

大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。

 

 

=================================================

==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 

 

午前10時。伝子のマンション。

伝子は、バターとマーマレードの、たっぷりかかったトーストを頬張っていた。

高遠は、おさむには、このトーストは食べさせるわけには行かないな、と思った。

「学。夢の中の素麺、旨かったか?」

「また。伝子、認知症になったの?3日間連続で嫌味言って。ハズハラだよ。」

「婿イジメだよ、婿養子。」

「お邪魔だったら、出直しますけど。」

顔を出したのは、高峰くるみだった。みちるの姉である。

「学。インターホン。」

「はいはい。実はね、朝早くから個別訪問営業している人がいてね。時々、インターホンの電源切ってるんです。知り合いなら、大抵電話かけてくるし。」

「ああ。そうだったんですか。私、てっきり『2番目』さんの為に頑張っておられるのかと。でも、ドア施錠していないし。あ。配達ものは。」

「はいはい。」

高遠は、急いで『台所直通引き戸』を引いた。

来客は、廊下を回るが、こういう場合は、ソファーをずらして、台所に行けるようにしてある。所謂勝手口がない為である。台所から伝子が『出動』する場合があるが、外のベランダには、外部からの出入り口はない。

藤井のところと反対側の仕切り隣は確保して、部屋はあるものの、台所に必要な食料品などは遠回りになるから勝手口は付けられないので、そのままだ。

「大文字さん、高遠さん。」

くるみは、荷物を運んだ後、改まって向き直った。

「来年、なぎささんの替わりに、みちるが副隊長やるって本当ですか?」

「改まって、何事かと思ったら。期待してますよ。あつこもいずれ出向から引き揚げるから、みちるがやらないといけなくなる。くるみさんは、反対なの?」

「いいえ。お役に立てるかな?と思って。」

「大丈夫ですよ、くるみさん。お仕置き部屋の常連だった頃とは違うんだから。」

みちるの2回目の妊娠は流産にならなかった。子供は順調に育っている。

修練を積んで、みちるは、トンファー、三節棍、五節棍、ブーメランの使い手になった。

伝子の後輩でもある愛宕は、みちるの叔父である署長と温かく見守ってきた。

愛宕が『片づけ隊』に志願したのは、みちるの為でもあった。

2人の励ましに、くるみは深く頭を下げて、帰って行った。

くるみの夫、高峰は所謂『札付き刑事』だった。

伝子と出逢い、伝子の尽力で警察を退職、警備会社の警備員としてDDメンバーに参加している。

DDとは、高遠が名付けた『伝子』を中心にした、主に伝子の後輩が参加している『仲良し倶楽部』である。

メンバーに何かがあれば、助け合う、暗黙の了解が出来ている。

 

午前中、伝子と高遠は、『本来の仕事』に没頭した。

伝子は翻訳家、高遠は小説家が本業である。

対テロ組織EITOは、成り行きで参加し、今では仕切り隣の藤井や、伝子の母愛子も特別隊員として参加している。

昼食時。ペペロンチーノスパゲティを食べながら、伝子は言った。

「結城には、幸せになって貰わないとな。」

先日、身バレしかけて改名した結城のことである。

結城は、あつこの推薦でEITOに参加、後輩達の先達としての位置もさることながら、さりげなく後輩達の思いや行動を観察、伝子に報告してきた。

なぎさ、あつこ、みちるの伝子シスターズとは、違う『懐刀』的存在だった。

いつも自分のことは後回しにしてきたことは、伝子はよく知っていた。

「そうだね。きっと、上手く行くさ。コウさんの知り合いだったことも幸いしたけど、編集長の見立ては確かだよ。」

「褒めすぎよ、高遠ちゃん。あ、チャイムチャイム。」

山村編集長は入って来ようとして、一旦出てからチャイムを押した。

ピンポーン。

「はいはい。どなたでしょう?」

「山村ですけど、お邪魔かしら?」

「どうぞお上がり下さい。」

「編集長。さっき、データ送りましたよ。」

「確認したわよ、ちゃんと。結城さんと新庄さん、お似合いのカップルでよかったわ。」

「演奏旅行、何日間だっけ?高遠ちゃん。」

「確か、五日間ですね。」

「五日もあれば、充分ね、子作り。あら、下品かしら?」

2人は苦笑した。

午後3時。

編集長が帰るのと入れ替わりに藤井が入ってきた。

「あら、藤井先生。今月の『報酬』です。」

「じゃ、替わりにならないけど、これ。」

藤井は、教室で作った、たこ焼きを渡した。

 

雑談をしながら3人で、たこ焼きを食べていると、「昨日遅く、総子からメールが来ててね、なかなかの大捕物だったらしい。」と伝子は話した。

EITO大阪支部は、伝子の従妹がチーフをしていて、興信所夫人と『2足の草鞋』を履いている。大阪・ミナミの雑居ビル火災に関連して、米国で流行っている麻薬『へんだにる』が隠匿されていたことが発覚した。被疑者は別件で逮捕されていた、元地上げ屋で、那珂国マフィアと関連しているらしいが、ダークレインボーとの関連は不明らしい。尤も、判明していたら、伝子達にも知れることになるのだが。

「前の事件とも関連していそうだが、その内、何か分かるだろう。」

 

そこへ、綾子が入って来た。

たこ焼きの匂いを嗅いで、「私の分は?」と綾子が言うと、全員で「無い!!」と応えた。

 

―完―

 

 




「はいはい。実はね、朝早くから個別訪問営業している人がいてね。時々、インターホンの電源切ってるんです。知り合いなら、大抵電話かけてくるし。」
「ああ。そうだったんですか。私、てっきり『2番目』さんの為に頑張っておられるのかと。でも、ドア施錠していないし。あ。配達ものは。」
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