機動戦艦ナデシコ The Blank of 3years Another story   作:ルーチェ

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第13話

 

 

ミナトさんを攫った連中から一度だけ手紙が放り込まれていたが、その後は何の連絡もない。

それがようやく出発から5日後に犯人に動きがあった。

長い峡谷の間にさしかかった辺りのキャンプ地で、今度は炊飯器の中に犯人からの手紙が投入されていたのだ。

発見したのは私で、それをアカツキさんに伝えるとすぐにクルーが招集された。

 

「こりゃぁ、やっぱり誰か内部の者の犯行だな」

 

ウリバタケさんの考えに納得する者が頷いている。

しかしアカツキさんの考えは違うようだ。

 

「いや…考えてみたら、自由にボソンジャンプができるヤツってこともあるんじゃないの?」

 

「木連の…優人部隊か?」

 

「高杉さん…」

 

ウリバタケさんとプロスペクターさんがとんでもないことを言い出す。

 

「怪しさではダントツだね」

 

アカツキさんたちの言い分がわからなくもないが、高杉大尉を疑う彼らに私は腹を立てた。

 

「待って下さい! 仲間を疑うんですか? 高杉大尉がそんなことするはずがありません!」

 

「甘いなぁ。考えてもみろ、ヤツは木連の人間だぞ。それにミナトさんを誘拐したのも木連絡みだ。そうなれば疑う理由としては十分すぎるぜ」

 

「ウリバタケさんの言うように木連絡みだということなら、私だって容疑者の一人じゃないですか! 私もボソンジャンプのできる元木連優人部隊の人間なんですから!」

 

「そ、そりゃイサミちゃんも元は木連の人間かも知れないが…今はオレたちナデシコの仲間じゃないか。疑ってなんかいないよ」

 

「今の高杉大尉だって私たちの仲間です!」

 

私の剣幕にたじろぐウリバタケさん。

そこにプロスペクターさんが割って入った。

 

「まあまあ、彼がそうでないにしてもこのことは我々以外には内密にしときませんといけませんな。なにしろ木連絡みとなると国際問題に発展しますからね。間違ったらまた戦争になってしまいます」

 

 

しかしそれからすぐに高杉大尉の疑いは晴れることとなった。

隠密行動をしているゴートさんたちからの連絡で、怪しい人物がキャラバンに出入りしているというものであった。

その情報によると容姿はどうも女性だということで、高杉大尉の疑いが晴れて私は安堵するのだった。

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

夜になった。

消灯時間になると各トレーラーの明かりも消えて真っ暗闇になり、漆黒の世界で唯一の光点は警備のエステバリスとジンのサーチライトだけだ。

そんな中、こっそりとキャンプ地を抜け出てくる人影がある。

私とイネスさんの二人だ。

人質交換の場所として指定されたのはキャンプ地から2キロメートルほど離れた場所で、大勢で行けば敵に警戒されるのでイネスさんの付き添いは私だけということにしておいたのだ。

記憶はないもののそれなりに戦闘経験があるようだし、いざとなればジャンプして逃げればいいということで私はアカツキさんからCCを持たされた。

 

真っ暗闇の中で懐中電灯を使えば行動を容易に悟られてしまうとのことで、ウリバタケさんから「スターライトスコープ」を渡されている。

夜間などの暗闇の中でも僅かな光源を感知して、その反射光から周囲の起伏などをスコープ内に映像化してディスプレイするというもの。

そのゴーグル状のスコープ着用して二人で並んで歩く。

そして高さが5-6メートルもあろうかという大岩がゴロゴロしている場所までやって来ると、私たちの前に忍び装束に身を包んで覆面で顔を隠した女たちが現れた。

どうやら高杉大尉の言っていた木連の忍者部隊のようだ。

表向きは女性の軍人はいないが裏工作をするスパイ的な兵士ならいると国分寺博士が言っていたが、それが嘘ではなかったということになる。

 

 

「取引に応じる気になったようだな」

 

「ええ。そんなことよりもミナトさんはどこ? 無事なんでしょうね? 早く会わせなさいよ」

 

私がミナトさんの無事を確認しようとすると、木連忍者はそれを却下する。

 

「もちろんだ。しかしその前にゴーグルを取れ。本当にフレサンジュ博士本人か確認する」

 

仕方がないので私たちは指示に従いゴーグルを外した。

イネスさんが素顔を晒したところで木連忍者は次の要求をする。

 

「遺跡で発見したプレートは持って来ただろうな?」

 

「物事は順番に。今度はこちらが人質を確認する番よ」

 

イネスさんは腰に手を当てて言い放つ。

命の危険はないものの捕まればプレートを奪われるだけでなくその解析を強要されるのだから不安がないわけがない。

しかし堂々と木連忍者と対峙しているその姿にはそんな彼女の内心を悟らせないものがあった。

 

「…よかろう」

 

木連忍者の一人が左手を振って合図をすると、暗がりの中からミナトさんを連れた男が現れた。

彼女は両腕を後ろ手に縛られ、口をテープで塞がれている。

 

「さあ、プレートを出してもらおうか」

 

 

 

木連忍者に促されイネスさんがプレートを出そうとした瞬間、いきなり数台の空戦エステバリスが上空に現れて巨大なサーチライトでその場の全員を照らしだした。

続いて男性の声が辺りにこだまする。

その声には聞き覚えがあった。

イネスさんを攫おうとして失敗したあの男のものだ。

 

「貴様ら木星蜥蜴にフレサンジュ博士を渡すわけにはいかん。遺跡の秘密を独占させてたまるか!」

 

問答無用といった感じで空戦エステバリスは木連忍者たちに銃を乱射する。

 

「イネスさん、伏せて!」

 

イネスさんをかばいつつ、私は地面に伏せる。

 

「くそっ、撤退する!」

 

思いもよらぬ邪魔が入ったものだから取引は失敗だと判断して木連忍者たちはミナトさんを連れて逃げようとする。

しかしそのタイミングに合わせて崖の上から3機の陸戦エステバリスが登場し、敵の空戦エステバリスを攻撃しつつ谷側へと崖を滑り降りて来た。

それは友軍機、リョーコさんたちのエステバリス部隊だ。

 

「くっそー…人質交換の最中に割ってはいるはずが、飛び入りのせいで台無しだぜ。ヒカル! イズミ! 説明おばさんを空戦エステバリスの連中から守るのが最優先だからな!」

 

「了解」

 

「えー、でもミナトさんはー?」

 

コミュニケのウィンドウが開き、他の2機に乗っているイズミさんとヒカルさんの顔が映る。

 

「そっちはアキトたちに任せるしかねえ!」

 

リョーコさんたちにばたばたと撃墜されていく地球過激派の空戦エステバリス隊と、その下を逃げていこうとする木連忍者たち。

大混乱になっている地上を木連忍者の男はミナトさんを担ぎ上げて走って行く。

ミナトさんのことは心配だが、私の役目はイネスさんの保護であって逃げ道の確保に専念するしかない。

アキトさんたちなら必ずミナトさんを助けてくれるはずだ。

 

「イネスさーん、イサミさーん、こっちこっち!」

 

コミュニケを通してヒカルさんの声がした。

リョーコさんたちのエステバリス隊は地球過激派のエステバリスをほぼ片付けたことで撤退モードに移行したらしく、ヒカルさんは私とイネスさんを誘導してくれる。

 

「行きましょう、イネスさん!」

 

私はイネスさんを守りながらヒカル機のいる所へと走って行った。

 

 

一方、木連忍者たちの逃げる方向にアキトさんの月面エステバリス立ち塞がった。

 

「おっと。ここから先は行かせない」

 

「貴様! 人質がどうなってもいいのか!」

 

木連忍者が叫ぶと、その直後ジュンさんとゴートさんが光学迷彩を解いて突然木連忍者たちのそばに現れた。

ジュンさんがエステ整備用のレンチでミナトさんを担いでいた男の後頭部を背後から殴りつけて、男が体勢を崩したところでゴートさんがミナトさんを抱きとめる。

そして後退しつつコミュニケに叫んだ。

 

「人質奪取に成功、援護を頼む! 繰り返す、人質奪取に成功、援護を頼む!」

 

「おのれえっ!」

 

取引の最中に地球側の過激派に乱入され、さらに人質を奪われた木連忍者たちはもうやけっぱちといった感じだ。

 

「フレサンジュ博士を確保しろ!」

 

私とイネスさんがヒカル機へ向かって走っている姿を見つけて後を追おうとする木連忍者たちだが、アキト機の放つ弾幕が行く手を遮った。

 

 

「かくなる上は!」

 

木連忍者の一人がポケットに手を入れ、何かのスイッチを押しながら叫んだ。

 

「出でよ! ダイマジーーン!」

 

するとすさまじい轟音と共に地面が割れて、その下からダイマジンが姿を現した。

木連忍者はダイマジンに向かいジャンプして乗り込む。

 

「いた仕方ない。“都市”の秘密もろとも、そろって消えてもらうぞ」

 

ダイマジンのスピーカーからは木連忍者の呪いのような声がして、続いてミサイル攻撃が始まった。

むざむざ敵に渡すことになるならいっそすべて破壊てしまおうということらしい。

なんとも短絡的な連中だが、ヤツラにとっての選択としては他にないのだ。

 

ダイマジンの攻撃を避けながら、ゴートさんとジュンさん、ミナトさん、そして私とイネスさんは走り続ける。

そんな私たちを援護するためアキト機が弾幕を張りつつ後退していった。

 

「ゴートさん、早く安全な場所に!」

 

アキトさんの指示で私たちはリョーコさんたちの陸戦エステバリス隊のところへ逃げて行く。

すでに敵の空戦エステバリス隊は全滅していた。

ゴートさんとジュンさん、ミナトさんはリョーコ機に保護され撤退を開始する。

私はイネスさんがヒカル機の手のひらにちゃんと乗れたことを確かめてから続いて乗り込んだ。

 

「急ぐんだ!」

 

リョーコ機からジュンさんが叫ぶ。

ヒカルさんはリョーコ機の方へと向かって飛び立とうとした。

 

「させるかあぁぁぁあっ !!」

 

木連忍者の叫び声が聞こえたかと思うとダイマジンが光を放ち始めた。

その光はボソンジャンプ特有のものだ。

 

「この状態で? マズい! このままじゃ巻き込まれる! 止まって、ヒカルさん !!」

 

「ええっ !?」

 

私が力いっぱい叫んだものだからヒカルさんは咄嗟に自機を止めた。

するとその正面、リョーコ機とヒカル機の間に割って入るように木連忍者のダイマジンの機体がボソンアウトする。

しかしその向こうにはまだボソンジャンプに入っていない木連忍者のダイマジンの姿がある。

 

「新手? …じゃない、の?」

 

2機のダイマジンはチカチカと消えたり現れたりを交互に何回か繰り返すとそのうちに両方とも姿を消してしまった。

呆然とするゴートさん、ジュンさん、ミナトさん。

そしてヒカル機の手の上の私とイネスさんも同様にその様子を見つめるだけだ。

 

「ボソンアウトが過去にずれたのね…」

 

イネスさんはそう呟いた。

 

 

 

荒野に再び静寂が戻ったと思うやいなや、いきなり照明弾がいくつも撃ち出されて辺りは昼間のように明るくなった。

その中をこちらに向かって走って来るのは旧ナデシコクルーたちの乗ったトレーラーで、運転席にはアカツキさん、助手席にはプロスペクターさんとユキナちゃん。

さらにトレーラーのコンテナの上にはウリバタケさんと高杉大尉が座り込み、せっせと照明弾を打ち上げる姿が照らし出されている。

 

「やっほー!」

 

ウリバタケさんと高杉大尉はまるで花火を楽しんでいる子供のようだ。

 

 

「ミナトおねーちゃーん!」

 

停車したトレーラーの助手席から飛び降りて駆けて来るユキナちゃん。

ゴートさんに支えられながら立っているミナトさんに抱きついた。

 

「心配したんだよー」

 

「ごめんね、ユキナちゃん」

 

ミナトさんはユキナちゃんの頭を撫でながら笑顔で謝る。

 

「でも無事に帰って来てよかった」

 

「うん、ありがと」

 

数年ぶりに感動の再会した姉妹のような二人を横目にアカツキさんとプロスペクターさんが私に声をかけた。

 

「なんか派手にやってたねえ。計画とはだいぶ違うけど、ちゃんと人質は救出できたみたいでよかったよかった」

 

「そっちは上手くいったんですけど…」

 

私が口を濁すとプロスペクターさんが眉をひそめる。

 

「何か問題でも?」

 

「ええ、まあ、ちょっと。それよりなぜ高杉大尉まで…?」

 

コンテナの上から飛び降りて来た高杉大尉が代わりに答えた。

 

「ここまできて仲間はずれはないだろう。イサミまでオレに内緒にしてたなんてオレは悲しいぞぉ。言っただろ、オレは正義の味方だってさ」

 

高杉大尉はそう言って「これは内緒にしていたバツだぞ」といった感じで私の頭を拳でコツンと軽く叩いた。

内密に進めてきた計画だったが、彼にはバレバレだったようだ。

ミナトさんが誘拐されてからずっと旧ナデシコクルーのメンバーが何かコソコソやっていることは気づいていたそうで、しかし下手に口出しすると面倒なことになるだろうと考え、私たちの方から協力を求めてくるのを待っていたという。

それなのに誰も頼ってくれなかったものだから最後の最後になって自分にも参加させろと言い出したのだそうだ。

もちろん内緒にしていたことが彼の立場を慮ってのことだとは理解しているので、仲間外れにされたことについて怒ってはいない。

そして最後に彼は言った。

「今またこういった()()があるなら絶対に参加させろよ」と。

彼は私よりもずっと()()()()()()の性格をしているようだとつくづく感じたのだった。

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

昨夜の出来事が何もなかったかのように隊列を組んで走り続けるキャラバン隊。

旧ナデシコクルーのトレーラーの運転席にはゴートさんとジュンさんの姿がある。

ミナトさん救出のために別行動をしていた彼らも合流して旅を続けることになったのだ。

トレーラーの後部貨物室には私の他にイネスさん、アカツキさん、プロスペクターさん、エリナさん、ウリバタケさん、ユキナちゃん、そしてミナトさんがいる。

 

「ミナトさん、お身体は大丈夫ですか?」

 

「ウフフ…平気、平気。さすがは木連ね。女には優しかったもの」

 

私はミナトさんの身体を気遣うが特に問題はないらしい。

やっていることは誘拐という乱暴なものだが、敵であっても女性に礼儀正しく接するとはやはり「腐っても木連の人間」だ。

その点だけは認めてやっても良いと思う。

 

「それにしても人質を無事取り戻したのはいいけど、敵を一人も捕まえられなかったっていうのは失敗よね」

 

「仕方ねえだろ。人命優先だったし、とんだ伏兵まで出てきちまったんだから。大した戦力じゃなかったが、逃げ足だけは速かったなー」

 

エリナさんとウリバタケさんが昨夜の話題を持ち出した。

 

「ま、敵は最低でも2派いることがわかった。それだけが収穫かな」

 

アカツキさんの言うようにイネスさんのプレートを狙っている陣営は木連極右勢力と地球過激派という2派があると確定できた。

 

「それより木連忍者のジンはいったいどうなってしまったんでしょうか?」

 

私は木連のダイマジンが消えてしまったことがずっと気になっていたのだ。

するとイネスさんが解説し始めた。

 

「たぶん時間の環に囚われてしまったのよ」

 

「時間の環、ですか?」

 

「そう。正確なところはわからないから推論でしかないけど、まず間違いないでしょう。今から説明するわね」

 

そう言ったイネスさんの後ろにホワイトボードが現れた。

そして彼女はそのホワイトボードにペンで左右に線を引き、その上に3つの点を書いて、それぞれの点にA、B、Cと名前をつけた。

 

「この横軸は時間の変化で、左から右に時間が流れていると思ってちょうだい。そして左側から順に時刻A、時刻B、時刻Cの時点をとります。そもそもの問題は時刻Cにボソンジャンプをした誘拐犯のロボットが、時間をさかのぼってそれより前の時刻Aに出現してしまったことにあります」

 

「それで、一瞬だけロボットが2機現れたんですね?」

 

「そう」

 

「その原因は例のアレですか? ボソンジャンプの時間のずれっていう」

 

「ええ。ナデシコの場合は時間が遅れる方向にずれたけど、あのロボットは時間をさかのぼる形でずれたんだわ。さて、ここからは推測が入るんだけど、我々以上にもう1機のロボットの出現に驚いた犯人は途中、つまり時刻Bでボソンジャンプを中止してしまったのだと思われます」

 

物理学など理系の分野に関しては不得手な私はイネスさんの説明を理解しようとは思うのだが、よくわからない点が多々ある。

わからないままでは先に進めないと、素直に疑問点を訊いてみた。

 

「それならなんで元々の位置にいた機体まで消えてしまったんですか? ジャンプを中止したのなら最初の機体はそのままのはずじゃないですか?」

 

「ここでタイムパラドックスが発生したのよ。つまり時刻Bでボソンジャンプを中止したために、過去にさかのぼって時刻Aに第2の機体が出現することもなくなったワケでしょう?」

 

「そう…ですね」

 

「ということは時刻Bにボソンジャンプを中止する理由もなくなるわけでしょうが」

 

「え? それじゃ、結局ボソンジャンプを行って?」

 

「そう、再び時刻Cにボソンジャンプを実行し、時をさかのぼって時刻Aに第2の機体が出現して…」

 

「それに驚いて時刻Bにジャンプを中止…」

 

「そして、またまた時刻Aには第2の機体が出現しなくなるから、時刻Cにジャンプを実行してしまう……とまあ、時刻AからCの間で無限にループを繰り返しているのよ」

 

「じゃあ、機体が2機とも消えてしまったのはどういうわけですか?」

 

「あのロボットは時刻AからCの間で無限ループに陥っているんだから、時刻C以降の時間線上には存在していない。したがって時刻Cを通り越した我々の目の前から消えてしまった。そういうこと」

 

「自業自得とはいえ悲惨な末路…ですね」

 

「もっとも本人は何が起こっているのか気づいていないでしょうけど」

 

「もしあの時、私たちの乗ったエステがあのジンに接触してしまったら…」

 

「たぶん巻き込まれて、一緒に無限ループに落ち込んでいたでしょうね。あの時のあなたの判断は確かだったわ」

 

「……」

 

あの時に私はとっさにヒカル機を止めたが、あれは自分がナデシコのボソンジャンプに巻き込まれてしまったという経験が本能的に危険を察知したのだろう。

事の深刻さには私は言葉がなかったが、私だけでなくその場にいた全員が言葉を失った。

ボソンジャンプは上手く使いこなすことができれば非常に便利なシステムだが、一歩間違うと命さえ失う恐ろしいものなのだということを再認識したのだ。

シリアスな展開に貨物室の空気は重くなり、さすがにお気楽な旧ナデシコクルーたちも口を閉じてしまうのも無理はない。

しかしいくら悩んだり心配したとしても自分の力ではどうすることもできない現実だと察し、すぐに()()()()彼らに戻ったのだった。

 

 

ミナトさんを無事に救出して当面の問題がなくなったキャラバン隊は一路極冠遺跡に向かって走っている。

それからは地球過激派・木連忍者のどちらの邪魔も入らずに何事もなく時は過ぎ、出発から10日目の夕方に私たちは目的地に無事到着したのだった。

 

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