一度ヤった後の物語   作:すっごい性癖

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短編なので話を纏めるために主人公に賢くなってもらったら予定の10倍くらい話の展開がが巻かれてる

というか、ほぼ別物になってしまっている


拗らせている彼女(彼)

「めんどくさいって……、酷い言いぐさですね」

 

「事実、面倒くさいことこの上ない発言だ。自分から離れておいて、連絡を寄こさないのは何故だと、君はそう言っている訳なんだけど……」

 

「……」

 

言い返す言葉が無いのか、その場で黙りこくる彼女。その様相を見た感じ、言われて自身の発言の異常さに気が付いたみたいだ。思わず『嘘だろ……』とぼやきたくなるような身勝手さだ。いっそ清々しいほどに。

 

しかし、いつまでも無言のままというのも面倒だ。さっさと話を進めよう。

 

「それで、なんで急に距離を置いたの?」

 

「ーーそれ、は……」

 

「いや、質問を間違えたかな。言い直そう。なぜ、今になって会いに来た?」

 

この一か月、確かに自分から会いに行くことはなかったが、それでも彼女について知ることは多かった。一回、彼女と身体を重ねたことによるものか、コレまでと視点が完全に異なっていたからだろう。

 

一月ほど前までの彼女に対する認識は、一言でいえば物好き。

 

こんな、辛気臭い場所に一人籠って本を読んでいる私なんかにちょっかいをかけてくるなんて、よっぽどの変人なのだな、としか思っていなかった。

 

「あの日までの私は、あくまで君のことを物好きな後輩、としか認識していなかった。君自身にさして興味はなかったし、その周囲についても無論、その通り」

 

「君が日中、ここ以外の場所で誰と、どんな風に関わっているのかなんて興味もなかった。それは、私には関係のないことでしかないから……」

 

彼女がどんな人間なのか、とか、どこで誰と、は私の人生においては見る必要も、考える必要もない話。

 

あくまで、放課後に現れる後輩、というだけ。

 

「でもね、興味が無いということと、知らないことはイコールではない。空が青い理由だって、炎が赤い理由だって、興味は無くても生きていれば、何となくの理屈は学ぶ」

 

「それと同じで、君に興味が無くても、君を知ることは出来た。ーーそれこそ、一日一緒に居たんだ。時間はいつもの何倍にもあったしね」

 

あの日、一度寝ただけで彼女の総てを把握した、などと思いあがったような事を言うつもりはない。あくまで知ったのは、本で言うところの序論の部分。

 

けれど、今まで0の視座にいた私にとってその変化は絶大なものだった。

 

「あの日、気づいたんだ。君は、ずっと……。それこそ、出会った日からだ」

 

 

 

「私の身体にしか興味が無かったな」

 

 

 

あの日、彼女と一日を共にして気づいたのは、たった一つのこと。

 

日中、私に向けている視線と、夜中、身体を重ねている時に向けている視線に差異が無いということだ。

 

 

「こんな、図書室に籠っているような辛気臭い女に、なんで君は執心しているのか、ずっと疑問だったんだ。一緒に過ごしていても、君は友情、尊敬、恋心、性欲。それらの感情を見せることはなかった」

 

「それは一緒に映画を見ている時も、その後も。ーー身体を重ねている時だってそうだった。君の瞳に、それらの感情は存在していなかったよ」

 

「あの日君について知ったことは二つ。一つは今言った感情の話」

 

「で、もう一つは、君の身体について。服を脱ぐまでは勘違いしていたが、君、本当は男の子だったんだね」

 

ビクッ、と、彼女の身体が初めて揺れた。きっと、それが確信に近い話だからだろう。

 

「君は男の子で……、だけど私に接近した理由は友情でも恋心でも、性欲でもない。じゃあ、何が原動力なのか……」

 

 

 

「君さ、女体が憎いんだろう?」

 

 

 

「……」

 

 

 

返事はなかった。

 

 

「君と身体を重ねている時に感じたのは、ある種の憤りだった。ーーいったい何に怒っているのか、その対象が何なのか。それは分からないが、君の身体を突き動かしている物は怒りだと、私はそう受け取ったよ」

 

「君はずっと、私のことを怒りの瞳で見つめていたんだ、と。そう受け取った。勝手ながらね」

 

「で、後は結論。その怒りの感情と、君の身体。その両方を鑑みるとだ。理由、過程はどうあれ、君自身の女体への復讐心という線は消せなかった」

 

 

「だから、君の関心は私自身では無く、あくまで『私の身体』と結論付けたわけだけど……、合ってるかな?」

 

 

 

 

しばらくの沈黙が場を支配した。が、少し過ぎると彼女の感情の堰は決壊する。

 

 

 

「……でもでもでもっ!!」

 

 

「それとこれとは話が別でしょうッ!!私がどんな人間なのかっていう話と!!先輩がッ、私に連絡を一切してこなかったって言う話はッ!!」

 

 

「色々聞きたいことがあるでしょう?!今まで話しかけてきていた後輩が、急に話しかけてこなくなったこと!こんな格好をしているのに、実は男だったこと!!そもそもっ……」

 

 

「私が先輩にそんな理由で手を出したって考えているならッ!!それこそ、殴ってやろうとか、怒りの感情とか沸いているでしょうッ?!」

 

 

思いのたけを吐き出したのか、はーッ、はーッ、と息を荒げる彼女。先ほどまでずっと私に詰められていたからか、大分鬱憤がたまっていたのだろう。

 

それで、まぁ……、連絡しなかった理由か。

 

色々……は、ないけど大まかな理由は

 

 

 

「興味が無いから、かな」

 

 

 

 

「……興味」

 

 

 

「うん、正直君が話しかけてこなくなったこととか、男だったこととか、なんで私を狙ってきたのかとかあんまり興味が湧かなかったんだ」

 

「そんなモノよりよっぽどこの本の方が興味深いよ。なんてったって、平均10ページに1人死んでいるんだから」

 

 

がくり、と彼女の肩が落ちた。

 

失意なのか、なんなのか。理由は分からないが、彼女の力は抜けたらしい。

 

 

「まぁ、せっかく来たんだから座りなよ。ーー久しぶりにゆっくり話でもしよう」

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