生徒会防衛室長不知火カヤは元ミリオタ公務員 作:MIHI
連邦生徒会の海豹
“連邦生徒会長が行方不明に⁉︎”
“不法武器の取引量1000%増加!連邦生徒会の怠慢!“
「はーーーーーーっ、全く。相変わらずメディアっていうのはいつもキャッチーな文句を書くもんだな」
ただでさえ彼女は糸目であるのにさらに目を細める。
ヴァルキューレ警察学校に治安維持を全力で実施するよう指示し緊急事態案件にはリンに出撃要請書を叩きつけてSRTを現場へ入れることでなんとか治安の悪化は可能な限り抑えてはいるが、なかなかどうして厳しい。
古巣の部隊は一応動かせる地位を兼務してはいるが、それを大々的に動かすのは政治的に不味い。
やはりヴァルキューレへのテコ入れが間に合わなかったのがやはり口惜しいところだ。
「けれどこれは実際事実。生徒会長が偉大であるが故に。
だからあれほど緊急事態に係る内規の大幅改正を訴え、内部調整も終えて案を折角作りはしたものの」
横に置いた15cmパイプファイルには、連邦生徒会内部の内規一覧を挟んでいた。
その中には、緊急事態などにおける対処規定の第二次改正案として連邦生徒会緊急事態対応実施規定からの補足分である実施要領までをせっかく作ってあった。
けれどもそれは水の泡となった。
連邦生徒会長の失踪だ。
内部規定の改正は連邦生徒会長の決済がなければ有効とならない。連邦生徒会各室長のレク及び調整を終え、最終案として連邦生徒会長へ上申する矢先の事だ。
私は室長の椅子について1年程は、まずは足元からと次長として勤めていた時から温めていた改革をぶち上げて、ぶち上げまくった。まだヴァルキューレ警察学校の黒い部分への対処を終えてはないものの、ある程度は固める事ができ、ようやっと生徒会のあれこれ気になる箇所が改正出来るかもと考え最低限必要そうな規定をぱぱっと改正し終え、腰を据えて抜本的な改正を準備していた。
なぜ改正をこれほどまでに執着していたのか。
それは、連邦生徒会の組織としての脆弱さであった。確かに連邦生徒会長は確かに超人と言わざるを得なかった。であるからこそ、彼女に甘えて寄りかかる者も多かった。
だがそれは組織として健全と言えるのだろうか?
それは職務放棄ではないか?
であればこそ。公務員時代では出来なかった歯痒い思いをぶつけて作った改正規定案だった。
連邦生徒会制服の襟につけた
防衛室長よ、職務へ忠実であれ。全てはキヴォトス市民のため、子供達のために、そして友人のために。
全力を賭して動け。
「連邦捜査部“シャーレ”ですか。外の大人の方を“先生“として迎え入れる・・・・・・と」
それは、私をここまで連れてきたかの生徒会長が置き土産として連邦生徒会にひいてはキヴォトスに残していった布石。
「見極めなければ。その先生とやらが本物の大人なのかどうかを」
あのお方が選んだ方だ。そう問題はないとは考えているが、信頼にたり得る人物かどうかはわからない。
この世界は狂っている。
神秘という謎な力を持っているが故に銃撃されても痛いだけで済むこの世界にとって、銃撃戦はありふれたものだ。そして爆発テロまがいの爆発も日常であり、手榴弾や銃が護身器具としてありふれているという最高に世紀末な世界だ。
まぁ美少女が多いのは眼福だけど。
なお子供がなまじ力を持つ為に行政、司法、立法が全て生徒で運用され、けれど所詮まだ精神が子供な生徒であるが故にあれこれと弱みをつけ込もうとする大人の何と多いことだ。
前の世界でもそういう大人は多数存在したが、この世界ではよりたちが悪い。権力を握っているのが生徒であるからか、不安定な心につけ込み利益を最大化しようとする。
だが、子供は大人が保護すべきであるとの思想が強かった“以前”と比べるとなんとも歯がゆい。
だからこそ、今できる職権でもって守護らねば。
歩みを止まるな、止まると全てが水泡と帰す。
「室長、そろそろお客様がお見えになる時間です」
「おや、もうそんな時間ですか。さて、先生とやらがどんな面をしているか見に行くとしましょうか」
席を立ち資料を挟んだバインダーを手に向かう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「やはりここは居心地が良いですね」
シャーレの部室にコーヒーとバームクーヘン片手に良くサボりにくる彼女は、連邦生徒会防衛室長不知火カヤその人である。
リンちゃん曰く次期生徒会会長とまで目されていたそうだが、カヤ本人にやんわりとお断りされた為今は防衛室長に収まっているという話を聞いたことがあるくらいだが、そんな人物とは思えないほど彼女はグデーーっと持ち込んだ安楽椅子にコーヒーとバームクーヘン片手にのんびりと新聞を読んでいる。
最初は品定めをするような表情をしていたものの、七囚人の脱獄等の一件等色々あり、最近では彼女の眼鏡にかなったのかよく防衛室の仕事が飽きたと行ってよくシャーレの部室に遊びに来る。
「最近はどうですか?落ち着いてきましたか?」
“そうだね、生徒の皆からの相談事もだんだん増えてきたよ”
「へぇ、それは良いことです。では、そろそろ貴方がそわそわとしている理由についてお聞かせ願いますか?」
実は彼女に聞きたいことがあった。
つい先ほどアビドスの学校の生徒から助けて欲しいと連絡があり、何か知ってそうなカヤに事前に話を聞いておきたかったのだった。
「アビドス高等学校・・・・・・ですか。これまたどうしてでしょう?」
彼女の普段は見えないほど細められた瞳が、瞼の奥で少し揺れたが特には気にしないことにする。人には触れられたくないモノもあるから。
“アビドス高等学校の子達から救援要請が届いてね。少しカヤから話を聞いておきたいと思って”
「救援要請、ですか。やはり彼女たちの事態は切迫しているようですね」
“それはどういう?”
「彼女達の学園は生徒会でさえも見捨てた学園なのです。あの学園の自治区はもはや消滅寸前で存続すら厳しい状況です。お入用でしたら資料を後ほどお渡しいたしましょうか?」
“あぁ、いやそこまでは大丈夫だよ。直接この目で見てくるから”
「あぁ、そうですか分かりました
ちょっとその件で連絡したい場所がありますのでお電話をお借りしても?」
“良いよ”
そういうと彼女は安楽椅子から立ち上がり、私のデスクの上にある固定電話を使うために側に寄ってきた。
あっ良い匂い。
さらにシニヨンに纏められたピンク色の髪と制服の間に見えたうなじは最高だった。
その様子を勘づかれたようで、カヤにジト目で見られたので居住まいを正すと彼女はすぐに切り替えて受話器を手に取ると手慣れた様子で電話番号を入力し電話で話始めた。
「やぁ久しぶりだね、カヤだ」
「おやこの声はマチじゃないか。久しぶりといっても昨日ぶりと言った方が正しいかな?」
「そうだねぇ、最近色々と物騒だからの大変さ」
「ところでちょっと頼まれごとをお願いしたいんだが・・・・・・
明日からざっくり1週間程アパッチの
「良いのか?済まない、助かる」
「と、言うことで。私も後からアビドスに行きます。明日の朝には向こうに合流致しましょう」
“良いの?防衛室の仕事とかあるんじゃ”
「防衛室の仕事は私がいなくたって回るようにしてあります。それにーーーーーー」
アビドスはそろそろ行かねばならないと考えていましたから。
早速出かけて来るよ、と言ってなぜか軽装で出かけたシャーレの先生の出発を見届けると、防衛室に戻り保有している資料を印刷して手にとる。
「先生はそれなりにポヤポヤしているし大丈夫か?いや、良い大人なんだし行く前に色々揃えるでしょ」
「えーっと、資料はどこに保存してたっけ。
あった、このフォルダだ」
資料としては
それらの紛失したらヤバそうな書類を全て纏めて調え、クリップで留めパンチングしパイプファイルに綴じ込んだ。
そして傍に置いておいたガンケースに突っ込む。
「さて、そろそろ行きますか。あ、飲み物ある程度買っておかないと」
アビドス周辺の地域は砂漠。以前は巨大な自治区を有していたアビドスの周辺地域も、今や何かがあった際に外に放り出されれば簡単にポックリ死にかねないような試される大地と化し、在校生徒が最早一桁という有り様だった。
「あ、そうだ次長。ちょっと明日からアビドスに出張してくるね。私がいない時の体制はいつも通りで」
「了解しました室長。ところで、別件なのですが。アビドスに行く前にこの書類の決済をお願いします」
次長が抱えていたバインダーに挟まれた書類はほぼ山だった。
思わず顔が引き攣ってしまう。
「ちょっっっっっと明日出張に行く上司に向かって出す書類の状態じゃないよね!?」
「いや、いつも通りですよ?」
次長から差し出されたのはカヤの決済が必要な決済文書の案の塊だった。バインダーに挟まれた書類の山。
思わず受け取ってしまいまじまじと見るが何度見ても差し出された大量の決済文書の量は変わらなかった。
仕方がないので今日中に決済を終えることを覚悟するしかなかったのである。
決済の際に一通り書類に目を通しながらサインをひたすら続けるただの単調な作業に飽きたので、ちょっと連絡をしておこうと思いついた。
連絡先はモモトークに入れてあるアビドスの通称おじさんである。
『シャーレの先生が本日そちらへ向かいましたので、迎い入れていただきますか?私も明日の朝そちらに向かいます』
するとすぐに返信が来る。
『ようやっと生徒会は動く気になったってこと?』
文面からして彼女は今ビッキビキに怖い顔をしていそうだ。
それは仕方がない事だ。
何回も生徒会に支援要請を出されてきてはいたものの悉くは無視された。
挙げ句の果てには、私へ直接の手紙がきたくらいである。
その要請が来た際防衛室として可能な限りの範疇で支援をしたが、結局は今に至るというわけだ。
『私からは可能な限り支援をしたつもりですよ』
『それは感謝してるけどさ〜それと』
『なんでしょう?』
『昨日きたアビドス宛の1000万の匿名寄付金ってカヤからのでしょ?』
『何のことでしょうか?』
『まぁいいや。ありがと』
『私は何もしていないですが』
『素直じゃ無いんだから〜』
それでモモトークの連絡を終えた
いや〜匿名の寄付金なんて知らないなぁなんのことだか知らないっすねぇ()
さて、さっきからスマホをいじっている私にピキり始めている次長が見えたので、一応言い訳しておくか。
「アビドスの生徒会長に連絡入れてただけだからそんなに怒らないで?」
「何のことでしょうか?それより早く終わらせてください」
「ハイ、ワカリマシタ」
静かにキレた次長は怖い。大人しく終わらせておこう。
翌朝。私は古巣であるブレイトン工業学園の所有している飛行場に来ていた。
飛行場の守衛の子に身分証を見せて通してもらい基地のインターホンを鳴らし暫くすると見知った顔が出てくる。
「久しぶりだね、イサ」
「お久しぶりです、カヤさん。1ヶ月ぶりですかね?」
「それぐらいにはなるかな?」
彼女は吉田 イサ。
良く私の私物であるアパッチのガンナーを引き受けてくれる子だ。
過去に色々と助けたこともあって結構懐かれていると自覚はしているつもりだ。
ただ、D.U.とブレイトン飛行場は結構離れているため私用でもなかなか会えずじまいなところもある。
「準備は大丈夫ですか?」
「アビドスに行くんですよね?砂漠ですので水、食料多めに持っていくつもりです!」
「パーフェクトだよ、イサ」
「感謝の極み」
ここでヘルシングネタを一つ入れ、イサの運転する車で飛行場の制限区域内へ入る。
制限区域には、格納庫が所狭しと並んでいる。
一番目を引くのはB-52“戦術”爆撃機であろう。8発のジェットエンジンを搭載する爆撃機はキヴォトス最大級の航空機であろう。
他にもFA18FスーパーホーネットやらAC-130やらが羽を休めている。
そんな巨大飛行場の片隅に小さめの格納庫がある。
そこの格納庫の前で車を止め、格納庫の大きめの自動で開く扉があくと中にはAH-64DアパッチロングボウとMH-60Aブラックホークが鎮座している。
私物で両機を保有しているが、流石に室長をやりながら自分で整備は難しい。そのため、委託という形で普段はブレイトン学園の技術陣に整備してもらっている。
なぜアパッチとかブラックホークとかを私物でもっているのかって?そりゃあもちろん自身の創業企業であるスリーダイヤモンドグループが一つ、スリーダイヤモンド重工業が生産した機体であるのと同時に、単純に趣味だ。アパッチのフォルムが何とも男心(今は女だが)をくすぐる、さらにそのかっこよさを強さに変えるロングボウレーダーやFCS、さらには装甲化されたバスハブコックピット!それがなんとも最高だと思わないかね!?(ry
はい(冷静になった)。ということで飛行場を離陸しアビドスへ向かう。距離で言うと30分くらいで着くかなぁとざっくり考えていた。
「カヤさん!前方6000に巨大機械生物ビナーを確認!レーザー照射中、いつでもヘルファイア発射可能です!」
目の前にはビナーと呼ばれるクソデカ機械が暴れていた。
「どうしてこうなった⁉︎」
Tips:AH-64D(この物語の世界線)
AH-64D アパッチロングボウとは、キヴォトス最大の重工業製造企業スリーダイヤモンド重工業(通称TDHI)とブレイトン工業学園が開発・製造した戦闘攻撃ヘリコプター。
初期型であるAH-64A型にロングボウレーダーを搭載し大幅な能力向上を図ったAH-64の派生型である。
採用はブレイトン工業学園とSRT、そのほかPMC企業に私物で持っている不知火カヤと霧雲マチ。
ロングボウレーダー及びその他改修によりAH-64Aから生存性が7倍、目標撃破能力で4倍の能力をもち、敵目標撃破能力は4倍と謳われ、総合戦闘能力はAH-64Aの28倍とされる。
なおブレイトン工業学園に納入されたAH-64D12機は現在全てが最新型機であるAH-64Eガーディアンに改修済である。