キヴォトス D.U.近郊 シラトリ区立図書館へようこそ!   作:ぱる@鏡崎琴春夜

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「月の骨」が来ないので、じっくり自分の好きな奴を布教するターン


十六冊目 文学探偵なるものを聞きしなり

 さて、他館に頼んだ本がまだご用意できないので、他のお仕事を優先していきましょう。本日もレファレンスのお時間です。

 

 カウンターに私が座っていると、とてとてと背の小さい黒髪の女の子が近寄ってきました。目を隠す長い黒髪に黒のベレー帽と黒の制服。アクセントカラーに赤をちりばめたその制服には見覚えがあります。確か正義実現委員会の生徒さんだったかな? この図書館でもよく見かける生徒さんグループの一つです。

 

「あの、探してほしい本があるんです!」

「はい、どのようなものでしょうか?」

「えっとぉ、小説がメインテーマになってるお話の推理小説が読みたいです……そういうのが読みたいなって思って……そういうのありますか?」

 

 不安そうに尋ねる生徒さんの顔をしっかりと見て、私は頷きます。

 

「はい、ありますよ。ご案内いたします」

 

 パァァっと輝いたお顔で、少女は私に続いて歩き出しました。

 

 さて、小説がメインテーマになった推理小説。私はあるシリーズが二つ思いつきました。

 

 

 

「まずは、こちらですね。松岡圭祐著『écriture 新人作家・杉浦李奈の推論』シリーズです」

「松岡圭祐って聞いたことがある気がします」

「そうですね。推理小説作家として名前が売れている方ですし、映像化も多いですから。『万能鑑定士Qの事件簿』などもこの人の作品です」

「あ、それ家にDVDがあった気がします」

 

 こちらの作品は、小説の話をメインに据えるというよりは、小説を取り巻く出版業界の姿をメインに据えたものと言えるかもしれません。第一巻は芥川と太宰と盗作についてだったり、別の巻では絶海の孤島に集められた小説家たちに巻き起こる殺人事件と感想文だったり、シンデレラの始まりはどこだったのかを知るために文学研究機関を頼ってみたりと、小説が軸にありつつも、文学研究や出版、法律についても幅広い作品と言えます。

 

 私は棚から取り出した第一巻を手渡します。彼女は表紙を眺めた後、パラパラと気まぐれにページを開いて数行読むのをニ、三回繰り返した。どうやら気に入ったようで、次はなんですか? という目で、私を見てきました。

 ふふふ、では次に参りましょう。

 

「次はこれ、『ビブリア古書堂の事件手帖』です。こちらも有名な作品ですね」

「あ、これも聞いたことあるかも」

 

 たしかにこちらも有名なものですから、どこかで聞いたことはあったかもしれません。こちらは殺人事件なども起こらず平和な雰囲気を持つ推理小説ですね。舞台が古本屋と言うこともあり、そこに持ち込まれるものを中心に綴られるストーリーは、なんだか少し親近感を感じます。まぁ、感じつつもそれほど読めているわけではないので、また続きを読みたいとは思います。

 

「ありがとうございます。面白そうなのを紹介してくれて、嬉しかったです」

「いえいえ、良き本と出合えるお手伝いができたのであればよかったです」

 

 頭を深々と下げる生徒さんの感謝を受け取ります。

 やっぱり本との出会いは一期一会、運命がないと出会えないものではあります。そしてその運命を手繰って結んであげられるのは誰でもできます。ですが、司書はそのために訓練を積み、本を読み、レポートを提出してきた人々です。人より優れているという自信は無いですが、それでも助けられる機会が多い分、ちゃんと導けるようにしたいですね。




と言うわけで、今日も私の好きな本を推す話でした。
正実モブちゃん可愛いよね……

ビブリア古書堂の事件手帖は、本編よりスピンオフを手掛けられる峰守ひろかず先生の方をよく読んでいます。妖怪とかメインで、私の好みのジャンルなので……あと、峰守先生は図書館舞台の作品も書いているので、そういうところでもそっちに寄ってしまうとか……というかビブリア古書堂の事件手帖を知った理由が、スピンオフの方からなので……まぁ、そういう話です。

月の骨、白鯨をスレの方でリクエストされていますが、月の骨は届かず、白鯨は本日最寄りの図書館が休館日なので、数日お待ちください。


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