キヴォトス D.U.近郊 シラトリ区立図書館へようこそ! 作:ぱる@鏡崎琴春夜
おや、桃色の長い髪をした女の子がやってきましたね。
「こんにちは、何かご用ですか?」
「その……ここには、『えっちな本』とかありますか?」
うーん、こう言うのって可愛い女の子がしてくるものじゃないと思うんですけどね。図書館の司書へのセクハラ問題自体はあるのですが、まさか、こんなに若い子からされるとは……まぁいいや。『ほんとに無いもの以外は無いことはない』が当館のモットーなのでね。ご紹介いたしましょう。
「そうですね……見たところ学生さんですしR18はご紹介できませんが、それ以外でなら……できればもうちょっと条件が欲しいところなんですけど」
「うふふ♡ じゃあ、『いっぱい載ってる』のと『ちょっと特殊なの』がいいです」
「───あぁ、それなら一冊良いのがあります……閉架の方なので少々お待ち下さい」
私は席を立って、閉架書庫に向かいます。図書館は一般の人が自由に本を手に取れる開架と、その逆の閉架があります。本当に効率よくするなら全て閉架が一番なのですけど、図書館は本を貯め込むだけでなく、その知識を市民の皆さんに還元するのも大事なお仕事なのです。
さて、じゃあ閉架書庫行きになるのはどんな本かという話もしておきましょう。基本的には貴重な本や余り人気が無い本、古い本が閉架行きになります。どうやってもスペースの問題はありますからね。他だと、理由があって閉架の方に移していることなどもあります。私が知っている図書館ですと、盗難防止装置が無く、ライトノベルがいっぱい奪われた結果全部閉架書庫行きになったのでした……。全ては奪った泥棒のせいです。当館では発覚次第見つけ出します。そういう神秘みたいなアレです。
なお、古い本などは、さらに時間が経つと廃棄されることになるのですが、そこについてはまたいつか機会があれば語りましょう。
「まぁ、これが、貴女の思う『エッチな本』なのですね!?」
「すみません、大きい声は他の利用者様のご迷惑となりますので」
戻ってきた私に開口一番そう言ってきたので、私の名誉のために静かにさせます。
閉架から持ってきて渡したのは、ヨシジマシウ 絵 『フェチ用語辞典』です……私の趣味じゃないですよ? これは頼まれた条件の中で出した検索結果なだけで……この本の分類は145.7 異常心理学の分類です。意外ですか? でも.7の意味を知ればそう思わなくなるんじゃないでしょうか。
.7は意欲の異常。そう聞くとちょっとしっくりきませんか?
何はともあれ、桃髪の女の子は興味津々と言った感じで人目につかない机の方に向かって行きました。
自分もちょっとは恥ずかしいんじゃないですか。
気を取り直して、あらすじの時間ですね、ご紹介しましょう。と言ってもあらすじも何もない本です。辞典ですからね、いろんな性癖について解説する本となっています。背の高い人、低い人や牙なんかから眼球や病人、嘔吐だったりなんかまで、色々載ってます。えぇ、本当に色々……
絵も可愛いですが、所謂萌え絵ではなく、カートゥーンって言うんですかね?
絵は詳しくないので間違ってるかもしれませんが、インモラルさ、淫靡さが際立つ絵です。
ちょっと性癖に詳しくなりたい方、新しい扉を開きたい方にはおススメできますよ。