ソードアート・オンライン〜Sonic Blader〜   作:タケノコさん

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プロローグ

2022年人類はついにーー

完成なる仮想空間を実現した

 

2022年11月6日(日)

 時刻は12時50分。頂点まで昇った太陽が傾き始める頃、早めに昼飯を済ませてしまった俺こと、神田靖人は何をしているかというと…、ベッドで横になっていた。

寝ている訳ではない。待っているのだ。もうすぐ始める歴史的なビッグイベントを。

 

Sword Art Online

通称SAO

 

 世界初のVRMMORPG(バーチャルリアル大規模オンライン型ロールプレイングゲーム)として登場し、βテストで記録的な高評価を得た伝説(予定)のゲーム。こいつの正式サービスがもうすぐ開始されるのだ。今日は日曜日なので高校はお休みだ。信じている訳ではないが、今は神様に感謝したい。ありがとう。神様。

 

 時計を見る。時刻は12時52分。

 開始時刻は13時ちょうどなので、まだ8分もある。

 

 VRMMORPGというのは、コントローラーを使ってキャラクターを操作する今までのゲームとは違い、仮想空間に飛び込み、その中で自分のアバターを自分の身体のように動かして冒険をするという、新感覚の大規模なオンラインロールプレイングゲームだ。SAO購入者、1万人が同じ仮想世界に飛び込み、そこで共に冒険できるのだ。

 仮想空間には、ナーヴギアというヘルメット型のハードを頭にかぶり、それをインターネットに接続し、ネットワークを経由して飛び込むことができる。

 ナーヴギアは、ソードアート・オンラインをも開発した天才、茅場晶彦によって開発された、最新ハードだ。脳から身体へと送られる運動信号をキャッチし、それを仮想空間の身体(アバター)に送り、仮想空間で得た感覚信号を脳に送る機能を備えている。これによって現実世界と仮想空間とを繋いでいる。誰が名付けたのかは知らないが、こうして仮想空間と繋がることを「ダイブする」という。本当に仮想空間に飛び込んだように感じることを表現するのに、まさにぴったりの言葉だと思う。

 ナーヴギアには、脳と現実世界の身体との間でやりとりされる信号を完全に遮断する機能もあり、運動信号が送られても、現実世界の身体が動いてしまうことはない。だから現実世界のことを気にすることなく、思う存分仮想空間を走り回ることができるのだ。

 

「靖人、私部活に行ってくるね。」

「いってらー」

 

 玄関の方から聞こえる妹の声に生返事を返す。両親は仕事で帰りが遅いので家には俺一人だ。そして再び時計を見る。時刻は12時55分。もうすぐだ。震える手を抑えるようにしてナーヴギアをかぶり、電源を入れる。

 ナーヴギアといい、ソードアート・オンラインといい、こんな素晴らしいものを開発する茅場晶彦とは全くもって天才である。

 茅場晶彦の凄さに感心しつつも、ナーヴギアに表示された目の前の時刻を見る。

 

12:57

 ゆっくりと流れる時間に対して、俺の鼓動は速くなる一方だった。

 

 βテストは、3ヶ月前から1ヶ月の間行われた。応募者10万人に対して、選ばれたのたったの1,000人ぼっち。俺はそのわずか1%という微かな可能性を勝ち取り、βテスト参加の権利を得ることができた。しかし、都合によりβテストに参加することはできなかった。

 かなり悔しかったが、今はそんなことは些細なことだ。なんせもうすぐ正式サービスが始まるのだ。

 俺はケーキのイチゴを最後に食べるようなタイプの人間だ。楽しい事がもうすぐ始まるというワクワク感が好きだ。βテストに参加できなかったものの、おかげでワクワク感を長く感じることができている。

まだかまだかと思いつつ、時間を見る。

 

 

12:59

 もうすぐだ。もうすぐ始まる。俺はカウントダウンを開始した。

 

59,58,57...

 

 カウントダウンが速くなりそうになりながら、今か今かとその時を待った。小学校の遠足前夜でもこんなにワクワクしたことはなかった。

 

 

 

 

3,

 新しい世界で何をしようか

 

2,

 どんな敵が待ち受けているのだろうか

 

1,

 どんな出会いが待っているのだろうか

 

0,

 そして俺は息を吸い、目を閉じる。そして仮想空間へとダイブする合言葉を唱えた

 

「リンクスタート!」

 

 この呪文により、俺は仮想空間へと吸い込まれた。

 

 

ソードアート・オンライン

 このゲームが俺の予想とは違う意味で歴史に名を残すとは、この時は思ってもみなかった。

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