ソードアート・オンライン〜Sonic Blader〜   作:タケノコさん

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第13話 絶対ナル刻時者

 ボス戦というのは総じて時間がかかるものである。それはフロアボスであろうと、イベントボスであろうと同じことだ。俺はこれまで4層分のフロアボスと戦った(2層は途中参加だった)が、どれも一時間くらいはかかっていた。ボスの強力な攻撃をかいくぐりながら、その高いHPを削り取るのはどうしても時間がかかってしまう。しかもSAOは、少しの無茶が命取りになるデスゲームだ。慎重に戦わなければ命を落とすことになり、簡単にはペースを上げられない。しかし、今戦っているボス、≪ルーナ・ザ・ペスターレラビット≫の場合はどうだろうか。まだ10分ほどしか経っていないというのに、5段あるHPバーは残り一本半になり、このままいけばあと5分程でたおしてしまうだろう。

 NPCから得た情報だと、このウサギは少なくともコボルトロードに匹敵する強さを持つはずだ。確かにあの頃と比べたら、俺たちはレベルアップして、装備も多少は充実し、強くなっている。だけど全体をまとめる統率者がおらず、スイッチは各パーティーごとで、連携の「れ」の字もない、バラバラな今の俺たちがこんなペースで≪コボルトロード≫を倒せるとは思えない。

 また、≪ペスターレ・インパクト≫も恐ろしいと言えばそうなのだが、状態異常がスタンだけというのは、第二層の真ボス、トーラス王の≪ナミング・デトネーション≫による麻痺と比べたら見劣りしてしまう。かといって攻撃力が増しているかと言われたらそうではないし、デバフの効果範囲も≪ナミング・デトネーション≫未満だ。どう見ても明らかに下位互換のスキルなのだ。トーラス王が連戦からの登場だったのを考えると、単体で現れた餅つきうさぎはもっと強いスキルを持っててもおかしくない。

 しかもこいつには恐らくだが弱点がある。あそこじゃないかと検討はついているが、そこが攻撃しにくい場所にあって、ちょこまか動くせいでなかなか狙えない。弱点を狙えないと聞くと強いんじゃないかと思うだろうが、弱点以外の場所でも十分、いや十二分にHPを削り取れているのが現状だ。むしろリスクを犯してまで、無理やり弱点を狙う方が愚かなのかもしれない。しかもそこが弱点かも確認できていないのだ。このまま弱点を気にせず戦った方が賢明だろう。

 結論を言うと、こんな紙耐久で劣化版スキルしか使えないボスが、コボルトロードと互角だとは思えない。ひょっとしたら、HPバーが黄色やがて赤色に染まった時に、真の力を解放するのだろうか?ここまでの残念さを吹っ飛ばしてしまうような、とんでもない技が控えているかもしれない。

 

「ここにいる皆に告ぐ。ボスのHPを一本にする前に作戦会議を行いたい。パーティーリーダーまたはその代理の者は私のところまで来てくれ。それ以外のメンバーは、会議終了までボスへの攻撃を禁ずる。」

 

 そんな俺の不安と同じようなことを考えていたのか、作戦会議の招集がかけられる。声の主は例のイケメン、セティーだった。

このタイミングでボスへの攻撃を禁ずるのは賢明な判断だ。大抵のボスは、HPが一本になったり、その半分の黄色になったり、さらには残りあと少しという赤色になると、攻撃パターンが変化する。前述の通り、このボスが本当にコボルトに匹敵するのであれば、大幅な凶暴化もあり得る。そうならないためにも攻撃は一旦休止させるべきだし、凶暴化しても大丈夫なように備えなければならない。そのための会議だろう。

 会議はキリトに任せて、俺はこのまま目の前のウサギと戯れていよう。

 

「ジン、君も来て欲しい。」

 

 前言撤回。俺までセティに召喚された。面倒だが、とりあえず行っておこう。

 

「シヴァ、HP回復したか?こいつの相手頼む。」

「オッケ〜だ!スイッチ〜!」

 

 後ろで回復してたシヴァとスイッチする。俺は戦線から一度離脱し、セティーの元へと向かう。

 

 パーティーリーダーの会は開幕早々揉めた。原因はいつものごとく、キバオウだ。

 

「なんで攻撃したらあかんのや!あんた何する気なんや!」

「君は怒ることしか能が無いのかい?」

「なんやと!」

「まぁまぁ、気持ちは分からんでもないが、一度落ち着いたらどうだ?」

「ワイはこいつと話しとるんや。黙っといてくれや。」

 

 怒り心頭なキバオウと、煽るリンド、それをなだめるバンダナ剣士。こんなレイドで大丈夫か?

 

「自己紹介が遅れてすまない。俺はセティーだ。」

 

 まずは主宰者のご挨拶から始まる。セティーはこの場に揃った人たちに向かって話し出した。

 

「私は独自の情報網で今回のボスの情報を手に入れた。それによると、ボスのHPが一本になると攻撃パターンが急変する。その対策のために作戦会議を開きたいと思う。」

 

 やはり俺の思った通り、このボスにはまだ隠された力があるようだ。ただ気になることがある。それは…

 

「独自の情報網やと?!まさか、あんたもビーターか!!」

 

 代弁ありがとう、キバオウ君。気になること、それは情報の発信源だ。

 情報といえば、情報屋のアルゴがいる。奴の情報網は広く、現状では一番信用されている、そして俺も信用している情報屋だ。今回のボスについての情報もアルゴから買ったのだが、『1月1日午前0時に、始まりの街周辺の草原で、コボルトロードと同程度のイベントボスが出る』としか聞いておらず、そこにボスの詳細な情報は一切無かった。それは即ち、その情報がアルゴの情報網に引っかからなかったということだ。それだけでなく、βテスターであるキリトもそんな情報は知らないようだった。期間限定イベントなのでβテストでやってるはずはなく、知らなくて当然といえば当然なのだが、そんな情報をこのイケメソは一体何処から手に入れたというのだ?

 

「情報源については教えることはできない。だけど私はβテスターではない。そもそも、今回のイベントはβテストにも無かったものだ。βテスターでもこの情報は持っていない。気になるのであればβテスターに聞いてみればいい。」

「どうなんや!」

 

 キバオウの視線がこちらに向かう。セティーめ、責任を押し付けやがって。ボス戦の後で3分の2殺しの刑にしてやる。

 

「セティーの言うとおり、そんな情報はβテストに無かった。」

「俺も知らねーぞ。」

 

 いつものごとく、適当に受け流す。知らないことを知らないというのは当たり前だろう。だけどキバオウは納得できないでいた。

 

「あくまでもシラを切るつもりか?セティーはん。残念やが、あんたの言うことは信用できん!ここまできて攻撃禁止も納得でけへん。ワイらで勝手にやらせてもらうわ。」

「今回の件については俺もキバオウに同意する。このまま総攻撃を仕掛けさせてもらう。」

 

 キバオウとリンドは捨て台詞を吐くと、早々にパーティーの元へと戻っていった。

 

「今言った通り、俺の情報網は独自のものだ。信用できないということなら、戻ってくれても構わない。」

 

 セティは俺たちの目をしっかり見据えて発言する。

 

「信用するかどうかはおといて、とりあえず話だけでも聞かせてくれないか。」

「ありがとう。時間が惜しい。では本題に入ろう。」

 

 バンダナ剣士の提案により、俺たちはとりあえずセティーの話を聞くことになった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 セティーの話が終わる頃、キバオウ達の攻撃によってボスのHPがついに一本を下回った。

 

ーーグォアァァァ!!

 

 ウサギが雄叫びを上げる。雄叫びと共に、ウサギの持っている杵に変化が起きた。見た目は木製だったそれは、まるでメッキのように表面が剥がれ落ち、その中から黄金の輝きを発していた。そしてウサギが黄金の杵を振りかじすと、何処からともなく餅らしきものが現れた。ウサギはその餅もどきをパクリと丸呑みする。すると減っていたはずのHPは1本分、まるっと回復してしまった。これで敵の残りHPは2本に戻ってしまった。なんということをしてくれたのでしょう!一本しか無かったHPバーも、(うさぎ)の餅であっという間に二本に増えてしまいました!

マジかよ。HP回復、セティーの言うとおりじゃねーか。やはりセティーの情報は全部正しいものなのだろうか?

 セティーの話によると、このウサギはHPが1本を下回るたびに回復を繰り返すらしい。回復モーションに入ってからおよそ5秒でHPが回復するから、それを阻止し、一気に残りの一本分削ってしまおうというのがセティーの提案だ。

 

「本当ならこうなる前に処理したかったが、仕方がない。各員指示通りに動いて欲しい。」

 

 各々、パーティーに作戦の伝達に向かう。俺とキリトもシヴァに今後の動きを伝達すべきなのだが、その前に…。

 

「さて、真の本題を聞かせてもらおうか。」

 

 そうだ。このまま解散してしまっては、セティーが何故俺を呼び出したかが分からない。俺たちのパーティーの代表はキリトだ。キリトがこの場にいるというのに、何故俺を呼び出すのか。

 

「まず、先ほどは君たちに迷惑をかけてしまったようだ。申し訳ない。」

 

 俺とキリトに向かって頭を下げる。悪意が無いのは分かったから。本題、あくしろよ。

 

「話は二つある。まずは一つ目だが、私たちを君たちのパーティーに入れて欲しい。」

 

 私たち?何故複数形なのか、その疑問はすぐさま解決された。

 

「あたしからもお願いするわ。」

 

 電波女のハルカが、仲間になりたそうにこちらを見ている。

 

「パーティーリーダーはキリト、君に任せる。俺は全体に対する指示を出す。」

 

 再び頭を下げるセティー。何だ、何だよ、何なんですか!?この三段活用級のサイコカップルは!?

 

「俺は別に構わないが…。」

 

 そう言って俺を見つめるキリト。キリトが二人を仲間にさせたそうにこちらを見ている。

 

「分ぁったよ。入れ入れ。で、二つ目の話は何だ?」

 

 パーティー加入の話は俺無しでもできる。俺を呼び出す理由をはよ聞かせろよ。

 

「二つ目の話とは、ボスの攻略についてだ。ジン、君に重要な任務をお願いしたい。」

 

 パーティー加入の操作をしながらセティーは話し出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ≪ルーナ・ザ・ペスターレラビット≫は雑魚ボスだった。だが奴は…弾けた。セティーの情報通り、うさぎは凶暴化してた。暴れん坊ウサギは新たなソードスキルを覚えて、ニューイヤーボス討伐隊(仮)に襲いかかる。無謀にも突っ込んでいったキバオウ達は大ダメージを被り、一時撤退を余儀なくされていた。ざま〜wwwwww

 新たなソードスキル。その名も≪ペスターレ・デストラクション≫。俺を殺しかけた、コボルトロードの≪鷲羽≫、攻略組を壊滅に追い込んだ、トーラス王の≪ナミング・デトネーション≫、それらに匹敵する凶悪なソードスキルだ。どこが凶悪なのか。それは麻痺に匹敵する恐ろしいデバフだ。盲目(ブラインドネス)と呼ばれるそのデバフは、プレイヤーの視界を奪い、なんと20秒間もの間、何も見えなくなってしまうというものだ。何も見えず、何が起こっているのか全く分からず、その状態でボスと戦わなければならない。

 盲目の恐ろしさは、敵がどう攻撃してくるか分からないだけではない。どこにどう逃げたらいいのかさえも分からなくなるのだ。目が見えなければどこに味方がいるかも分からず、下手に動くとぶつかってしまう。そうなれば敵の攻撃から逃げ遅れてしまう。ホークアイのように、見えなくても見えているのなら何とかなるだろうが、そんな変態的な能力を持った奴なんて、俺は一人しか知らない。そもそも、目が見えない状態でホークアイが機能するかも分からない。

 俺はセティーから、この凶暴ウサギを狩るキーパーソンに選ばれたのだ。そして与えられた任務を遂行すべく後ろで待機していた。

 

「来るぞ!!」

 

 何が来るんです?第三次(大惨事)≪ペスターレ・デストラクション≫だ。前方から飛んでくるセティーの声。それに応えるように、ウサギは大きな咆哮をあげる。俺は呼吸を整え、目を閉じる。

 何故目を閉じるのか。それはこいつのソードスキルのデバフ効果を受けないようにするためだ。瞼を通じて強烈な光が瞳に届く。この光を目に入れたら最後、一瞬でブラインドネスを受けてしまう。

 光り始めて15秒後、ドスンという音とともに地面が揺れる。この揺れの正体は、そう、このクソウサギが登場した時と同じものだ。そう、それはつまり…、

 光が収まったので目を開ける。そこには俺の予想通り、いや、セティーの予言通りの景色が広がっていた。前方にいるプレイヤーは皆一様にスタンしてしまっていたのだ。一部のプレイヤーは目を閉じるのが遅れたせいか、スタンだけでなくブラインドネスにもかかっている。そしてそこに杵による広範囲攻撃が炸裂する。幸いにも、どのプレイヤーもセティーの忠告通り防御体制をとっていたので、全体攻撃を喰らってもHPがイエローゾーンまで落ちているプレイヤーはいなかった。

 ブラインドネス、スタン、広範囲攻撃の三連コンボを、全てまともに喰らってたらパーティー崩壊待った無しだろう。だから何としてでも回避したいものだが、そう簡単にはいかない。

 まず第一の難関があの光だ。目を開けていればブラインドネスになってしまうし、回避しようと目を閉じれば結局何も見えなくなってしまう。どちらにせよ結局、攻撃はおろか、まともに身動きできなくなるのだ。しかも杵が光っている間はウサギは無敵状態になるらしいのだ。それはつまり、一度光りだしたらそれを止めることはできない。目を閉じる方がブラインドネスにならないためマシではあるが、何も見えない状況で次のスタン攻撃を待たないといけない。

 そして次のスタン攻撃、これも範囲攻撃だ。しかも目の見えない状況で襲ってくる。これを食らえば最後、相手のコンボ終了まで何もできず、動けない身体に次の攻撃がヒットすることは避けられない。

 そして最後の範囲攻撃、場合によっては目が見えず、動けないところに襲いかかってくる。そもそも範囲攻撃なので、状態異常にかかっていなくても回避は困難だ。盲目やスタン状態の奴が回避できるはずがない。

 この三連コンボを凌ごうと思ったら、普通だったら、フラッシュ攻撃の隙に、目を瞑りながら敵の攻撃範囲から抜け出すくらいしかない。逃げるのに15秒という十分な時間もある。しかし敵から離れてしまえば、隙ができて、餅のようなものを食われて回復してしまう。そんなことを繰り返してたら、何回やっても何回やっても≪ルーナ・ザ・ペスターレラビット≫が倒せないよ。

 そんな状況を打破する方法がある。それが先ほどの会議で話したクール男セティー考案の作戦だ。そして俺はその中でも重要な役割を担うことになった。そのための準備も整った。

 

「スイッチ!」

「スイッチ。」

 

 俺は噂のセティーとスイッチし、前方に出る。前後が入れ替わる瞬間、一瞬だけセティーと目があう。準備はできた。指揮は任せたぞ。それをアイコンタクトで伝える。

 俺は前線でクソウサギと戯れる。杵のフルスイングを掻い潜りながら、もふもふしたくならない奴のボデーを短剣で斬りつける。スイッチして1分もたたないうちに、奴のHPは一本間近となった。

 

「攻撃やめ。取り囲め。」

 

 セティーの指示で敵を取り囲む俺たち。キバオウ、リンドのパーティーもとりあえずセティーの指示に従っているようだ。≪ペスターレ・デストラクション≫をまともに食らえばレイド全体が崩壊するが、当たらなければどうということはない理論のもと、一斉攻撃に備える。

 

「目を閉じろ。」

 

 セティーの合図で全員が一斉に目を閉じる。杵が光りだす。≪ペスターレ・デストラクション(殺戮ディナーショー)≫の始まりだ。果たしてウサギが肉となるのか。それとも俺たちが餌になるのか。俺の働きにより、運命は決まる。そう、≪ペスターレ・デストラクション(くそうさテクニック)≫を回避する鍵は俺が握っている。

 俺が任されたこと。それは時計になることだ。≪ペスターレ・デストラクション≫によるスタン攻撃は、第一段階のウザウサフラッシュ開始からきっかり15秒後に発動する。実際に二回分カウントしたが、間違いなくどちらも15秒だった。その15秒を正確にカウントするのが俺の役目だ。

 瞼の向こう側から光が発せられる。それと同時、俺はカウントを始めた。

15,14,13…

 

「カウント0に合わせて跳べ。」

 

 そう、奴のスタン攻撃を、タイミングにあわせてジャンプすることで回避しようというのだ。奴の攻撃によるスタンは、地面を揺らし俺たちの脚に伝わることで発生する。だったら地面が揺れるタイミングで空中に浮かんでいればいいじゃないか。これがセティーの考察だ。というか、既に≪ペスターレインパクト≫で確認済みらしい。手の早い奴だ。そして俺にそのジャンプのタイミングを指示しろと言うのだ。

 15秒をカウントするだけなら誰でもできる。試しにやってみるといい。スマホのストップウォッチ機能を起動させ、時計などで1秒の感覚を確認することなく、目を閉じて欲しい。そしてスタートを押し、己の信じる15秒が経過したらストップする。14秒〜16秒の間で止められただろうか?

 だが今回の作戦は、14秒間でも16秒でも許されない。ここには重装備のタンクもいる。そんな重たい奴がジャンプしても、滞空時間はせいぜい0.5秒、いやもっと短いだろう。カウントが早ければ、着地後に地面が揺れてスタンしてしまうなんてこともありえる。逆にカウントが遅ければ、ジャンプする前に地面が揺れてジエンドだ。しかもジャンプすれば当然隙ができ、範囲攻撃を無防備な状態で喰らうことになる。つまり、犠牲を出さないようにするためには、最低でもコンマ5秒、いや、それでもダメかもしれない。本気で犠牲ゼロを狙うなら、誤差はコンマ2秒以内に収めなければならない。

 さて、ストップウォッチで実際に計測した者ならコンマ2秒以内に収めることがいかに難しいかお分りいただけた事だろう。何度か挑戦すれば稀にそうなるかもしれないが、今回の作戦では皆の命がかかっている以上、何度もトライすることは出来ない。一発で正確に15秒をカウントしなければならない。俺にはそれができる、そして多分、この場に俺以外の適任はいない。

 何故俺がそんなことができるのか。答えは俺には絶対テンポ感があるからだ。絶対テンポ感というのは、テンポを正確に刻む能力だ。それを応用すれば、1秒を正確に刻む事ができる。

 俺にこんな能力が身についたのは、幼い頃、それこそ1歳の頃から、ばぁちゃんの厳しい音楽指導を受けてきたからだ。察しの良い読者の方もいるかもしれないが、一応言っておくも、絶対音感なんかも身についている。

 絶対テンポ感なんていうのは、俺がシヴァのホークアイを理解できないように、普通の人からしたら理解できない変態的能力だと思う。こんな能力があるせいで、現実(リアル)では他人に嫉妬されたものだ。そう、シヴァのように。

 セティーからこの役目を頼まれた時、俺は快諾した。普段の俺ならこんな面倒なこと断っていただろう。そもそも、俺は怪しい男の指図なんて受けるタイプのにんげではない。だが、できるかどうか分からない奴に命を預けるくらいなら、俺がやる。結局頼れるのは自分だけだ。そう思って引き受けることにしたのだ。

 瞼の向こうから届く光を感じながら、俺はカウントを続けた。コンマ〇一秒の誤差をも許さない一秒の間隔、身体に染み付いたテンポ60の感覚を頼りに、カウントしていく。もうすぐ15秒。俺は皆に聞こえるよう、声をあげて最後のカウントダウンを始めた。

 

「5、4、3、2、1」

 

 ゼロになる直前、俺は跳び上がる。目には見えないが、多分他のプレイヤー達も跳び上がっただろう。

 

「ゼロ!」

 

 その瞬間、ドスンという音とともに大地が大きく揺れる。俺は範囲スタン攻撃を、ジャンプでかわすことに成功した。再び地面に足をつく。瞼を通過する光が収まったのを感じ、俺は目を開く。目の前に杵を振り上げたクソウサギがいた。

 

 ウサギの攻撃。杵を振り下ろす。

 キリトとシヴァがパリィした。

 攻略組はニヤリと笑った…。

 

 さぁ、今度はこちらが攻める番だ。さぁ、殺戮ディナーショー(ウサギ狩り)を始めよう。

 

「総員、攻撃開始。」

 

 セティの合図とともに俺達ニューイヤーボス討伐隊(仮)のメンバーは、それぞれソードスキルを発動させ、ウサギに斬りかかる。まずは至近距離にいる俺を含めた前線組が仕掛ける。俺は先日修得した新ソードスキル≪トライ・ピアーズ≫を放ち、ボスのHPを削っていく。そして後衛がすぐに襲いかかる。ボスのHPバーは見る見る減っていった。

 ウサギのHPはあっと言う間にレッドゾーンとなり、撃破まであと僅かとなった。だがウサギはさらに狂戦士(バーサーカー)化していた。数多の剣でその身を切り裂かれながらも、そんなこと気にも留めず杵を振りかざす。

 杵による攻撃が来る。だが俺はソードスキルの硬直により動けない。それは他のプレイヤーも同じだ。俺はHPは満タンなので喰らっても死ぬようなことはないだろうが、HPが減っているプレイヤーが喰らえば死につながるかもしれない。何としても止めなければ。

 そんな俺の心中を察してか、セティーが動いた。あのイケメソは、なんと硬直している俺の身体を踏み台にし、ウサギの頭に跳びかかった。そして曲刀による四連斬撃ソードスキル≪ファラント・フルムーン≫を放った。一閃目でウサギの右耳を断ち、二閃目で今度は左耳を斬り取った。耳を断たれたせいか、ウサギは攻撃モーションを崩し、悶え苦しんでいた。三撃目でウサギの脳天を斬りつける。そして最後の一撃、満月の軌跡を描きながらウサギの胴体を真っ二つにする。それがトドメとなり、ウサギは蒼いポリゴン片となり爆散する。

 

Congratulation!!

Level Up!!

 

 勝利、そして成長の証が目の前に表示された。これで俺は13レベルとなった。その下にはボス撃破の報酬が表示される。金と経験値と、≪ペスターレラビットの肉≫とかいうアイテムが入っていた。今日のご飯は…焼肉かぁーーー!?NPCに頼んで調理してもらおう。

 

「お疲れ〜。」

「お疲れさん。カウントダウンありがとうな。」

 

 シヴァとキリトから労いの言葉がかけられる。

 

「そっちこそお疲れ。最後は見事なパリィだったよ。」

 

 最後のパリィでシヴァとキリトがシンクロしていたのを見ていて少し驚いた。シヴァとパーティーを組んで随分と一緒に戦ってきたから言えるが、あいつはタイミングを合わせるということが苦手だ。二人で狩りをしてた時も、スイッチのタイミングにばらつきがあった。だが、それに対して有り余る攻撃力を以って、敵を粉砕☆玉砕☆大喝采していた。それが今回はどうだろうか。キリトと一瞬のズレもなく、同時にウサギの杵を弾いていた。

 多分、キリトがシヴァに合わせたのだろう。だがシヴァの剣さばきに片手直剣で合わせるというのは大変だ。なぜなら、同じタイミングで敵の攻撃を弾こうと思ったら、剣の振り始めではなく、剣の振り終わりのタイミングを合わせなければいけない。各々が持つ剣の重さが異なり、的にヒットするまでの時間が異なるからだ。シヴァは重い両手剣を使っているようで、振り始めから的にぶつかるまでの時間が、短剣や片手直剣と比べて僅かに長い。つまり、短剣や片手直剣でシヴァの両手剣と同じタイミングで敵の攻撃を弾くためには、剣の振り出しを僅かに遅れさせ、攻撃を後出しする必要がある。その振り始めのタイミングを見極めるのがなかなか難しいというか、センスや慣れを要する。

 さらに、シヴァは、一撃の威力を高めるために力をためて振り出しを遅くしたり、あるいは自慢の筋力を使って無理やり素早く振りだしたりと、振り出すタイミングがまちまちだ。俺は、今ならシヴァのタイミングに合わせることはできるが、それは第一層や第四層で二人で何時間も狩りをしてきたからであり、第一層のボス戦では何とかスイッチができる程度にはタイミングを合わせることができるようになったというわけだ。

 俺の知る限り、ボス戦以外でキリトとシヴァが行動を共にしていない。キリトはアスナと一緒だったからな。そんな、ボス戦でしか会わない人の癖の強い剣さばきに、自分の剣を合わせるなんて、簡単に出来ることじゃない。

 シヴァのパワーもさることながら、シヴァの剣さばきに一発で合わせるキリトの剣術には、お見事としか言いようがない。これこそ本物のビーターの力なのかもしれない。

 

「見事な仕事ぶりだったよ。」

 

 そう声をかけるのはハンサムガイ、セティーだった。

 

「俺を踏み台にした男が何の用だ。」

 

 皮肉を込めて言い返してやる。俺を踏みつけて、挙句の果てにはラストアタックボーナスまで掻っさらっていきやがった。嫌味も言いたくなるってもんだ。

 

「ボスを犠牲ゼロで倒す最善の手段だと判断しての行動だったのだが、君には不服だったかな?」

「当たり前だ!」

 

 ことごとくムカつく野郎だ。確かに最善の手段だろうが、迷わずそれを実行してしまうとは。無茶というか、破天荒な野郎だ。塩の許可とったの?って話だ。

 

「ところで、セティーはボスの弱点が耳だって、いつ気づいたんだ?」

 

 キリトがそう問いかける。俺はシヴァがうさ耳の話をした後、キバオウに茶々を入れられた時に、逃げるうさぎを見て、もしやと思った。結局、うさぎの弱点はうさ耳だったわけだが…。まさかこのエセ好青年は、ラストアタックボーナス欲しいがため、裏ルートで仕入れた情報のうち、弱点の情報を伏せていたのだろうか?

 

「私がそれに気づいたのは、君たちがキバオウに注意されていた時だ。キバオウの怒声にうさぎが怯えていたから、もしやと思ってね。」

 

「何で会議でその話をしなかったんだ?」

 

 情報源が例の裏情報でないであろうことは分かった。だが俺はこの腹黒イケメンを信用していない。キバオウの注意は会議の前だ。そこで気づいたなら、この場を仕切る者として、会議で言っておくべきことだ。もし、意図的に隠蔽していたとしても、俺は謝罪や賠償を要求するつもりはない。俺はどこぞのクズどもとは違うんだ。けどもし己の欲望のために意図的に隠蔽していたのなら、ただの他人レベルだったセティーの信用がキバオウ達と同じレベルに落ちるだけだ。

 

「理由は二つある。一つはその情報に確信を持てなかったこと。二つはムリに弱点を狙っていくよりも、胴体への攻撃を続けた方が安全だと判断したからだ。その上で黙っていた…というのは君も同じだろう?」

 

「……あぁ。」

 

 俺は反論できなかった。事実、俺も同じように考え、胴体への攻撃で満足してしまっていた。だからセティーの言い分には納得した。

 だが、一方で警戒心はより強くなった。こいつは、俺がボスの弱点に気づいていたと知っていた。この事実から判断するに、セティーは高い洞察力の持ち主なのだろう。ひょっとしたら俺の左腕が動かないことにも気づいているかもしれない。こいつの前で下手な態度を取れば、あの事件(・・・・)のことも知られてしまうかもしれない。

 

「セティー、お疲れ様。あなた達もお疲れ様。あたしの勘通り、ジンはこの戦いのキーパーソンだったわね。」

 

 そう声をかけるハルカ。出たな!電波女め!

 

「あたしの勘だ?どうせセティーと二人で俺をこき使うことを決めてたんだろう?」

 

「まぁ〜まぁ〜、落ち着いて〜。」

 

 怒り新党な俺を制止するシヴァ。俺はこいつらに文句を言いたいんだ。

 

「今回の作戦に君を採用したのは私の独断だ。気分を害したようなら謝罪しよう。申し訳ない。これはお詫びのしるしと、今回の作戦の報酬だ。受け取ってくれ。」

 

 俺の目の前にトレード申請画面が表示される。そこに表示されていたのは、≪鏡餅≫というアイテム。

 

「さっきのボスのドロップアイテムだ。食べるだけでAGI(俊敏)が1上がるアイテムだ。」

 

 セティーって、すげーいいやつだよな!!アイテムくれるし、イケメンだし、ハンサムだし、ナイスガイだし。マジデイケテルゼー。

 ここはありがたく受け取ろう。

 

「へぇ〜、これってそんな効果があるのか〜。」

 

そう言ってシヴァはアイテムを取り出す。ってか、お前も持ってたのか!?

 

「俺もだぞ。」

 

ブルータス(キリト)、お前もか。

 

ならばと俺は先ほど手に入れた≪ペスターレラビットの肉≫を具現化させる。こっちは肉だぞ!今日のご飯は焼き肉だぞ!!

……と、不毛な争いはここまでにして、ペスターレラビットのステータスを見てみる。そこには驚きの効果が書かれていた。

 

「俺には≪ペスターレラビットの肉≫がドロップしたんだけど、こっちは食べたらSTR(筋力)が1上がるアイテムみたいだ。」

「あたしのドロップ品も≪ペスターレラビットの肉≫よ。」

 

 どういう…ことだ!?

 どうやら、参加したプレイヤー全員にアイテムが渡ったらしい。だが、ボスドロップが二種類あるだと!?アイエエエ!?ニシュルイ!?ニシュルイナンデ!?

 

「これは私の推測だが…。」

 

 と前置きをして、セティーが話し始める。

 

「ドロップアイテムが違うのは、ドロップ品がビルドの違いに依存しているからだろう。動きを見た限りではキリトとシヴァ、そして私も筋力優先のビルドだ。三人にはAGIが上がる≪鏡餅≫がドロップした。逆にジンとハルカは俊敏優先のビルドだ。二人にはSTRが上がる≪ペスターレラビットの肉≫がドロップしている。」

 

「さすがセティーね!」

 

 と褒め称えるハルカ。こいつは一体セティーの何なんだよ!と思ったが、セティーが怖ろしい目でこっちを睨んできそうなので、

 

>そっとしてておこう。

 

「なぁ〜、ジン〜。アイテムをトレ〜ドしね〜か〜?俺〜、筋力一極ビルドだからさ〜、AGIが上がるアイテムよりも〜STRが上がるアイテムの方がい〜んだ〜。だから頼む〜!!」

 

 そう言って頭を下げるシヴァ。やっぱりコイツは筋肉ムキムキマッチョマンの変態だったか。

 一極ビルドというのは珍しい。一極にすれば確かに個性が出て、自分の強みをより生かすことができる。だがそれは裏を返せば、自分の弱点も明確になってしまうのだ。デスゲームと化したこのゲームでは、やり直しやアバターの作り直しはできない。ビルドエラーはそのまま死に繋がってしまう、過酷な世界なのだ。大抵の人はそうならないよう、個性を生かしつつも弱点を補えるようなバランスでパラメーターを振っていることだろう。

 とか言っておきながら、実は俺もほぼ一極ビルドだったりする。俺の場合はシヴァとは対照的に、俊敏にほぼ一極振りしている。ほぼと言うだけあって、筋力にも極僅かだが振っている。理由は簡単。筋力を上げない限り、重い剣を上手く扱えないからだ。

 現に武器強化詐欺の時、新武器で戦っていたが、剣の重さに筋力がついていかず、剣の振りが遅れていつもの調子が出せないでいた。その時の反省を生かし、最前線で戦っていけるような武器を振れる程度には、筋力を上げている。

 さて、ここで俺は選択に迫られた。シヴァの頼みを断って、焼き肉を食べるか。シヴァの頼みを聞き入れて俊敏を高めるか。うむ、どうしようか?

 

「これ付けるからさ〜!頼む〜!!」

 

 シヴァからトレード申請があった。≪鏡餅≫の下には≪シルバリック・ダガー≫なるアイテムが表示される。気になってステータスを見てみる。

 

「な"ん"じゃ"ぁ"こ"り"ゃぁ"!!」

 

 驚きのあまり濁点の奇声をあげてしまった。≪シルバリック・ダガー≫は、今の俺の愛剣≪ブロンズダガー+6≫に比べて少し重いが、攻撃力は約1.5倍もあった。強化された俺の武器の1.5倍だ。強化を続けて使っていけば、少なくとも10層あたりまで使えるだろう。重さはさっきレベルアップしてゲットした3ポイントから1ポイントだけ筋力値に振れば問題ない。そろそろ武器替えを考えていた俺にとってこんなにオイシイ話はない。

 

「この話、乗った!!」

 

 俺は手早い操作で≪ペスターレラビットの肉≫をトレード欄に入れて、申請する。そして確認画面で◯ボタンを押し、トレードを完了させる。

 早速ポイントを筋力に1、俊敏に2振り、≪シルバリック・ダガー≫を装備する。そして右腰にささっている鞘へと手を伸ばし、銀色に輝く柄を握り、ゆっくりと引き抜く。白銀の刃が鋭く輝きながら顔を出す。刀身を全て抜いた時、≪シルバリック・ダガー≫は月光に照らされ、その全貌を露わにする。ダガーにしては細く長めの刀身をもつその短剣は、剣の先から柄頭まで、全てが聖なる色に輝いていた。

 俺はソードスキルの構えをして、そこにさらに新たな光を纏わせる。緑色に光るその剣の力を解放し、俺は短剣ソードスキル≪アーマーピアス≫を発動した。白銀の剣が緑の光を纏いながら虚空を貫く。そして改めて≪シルバリック・ダガー≫の全身を眺める。

 

「ふつくしい…」

 

 思わず声に出てしまう。

 そんな風に一人静かに喜んでいる俺とは対照的に、

 

「よっしゃ〜!!パワ〜アップだ〜!!」

 と大声ではしゃぐシヴァ。

 

「なかなかいい剣じゃないか。」

 と目を輝かせるキリト。

 

「だろー?」

 といつの間にかキリトと話しているバンダナ剣士。キリトが言ったいい剣って、俺の剣のことじゃねーのかよ!

 

「本当にいいの?」

「あぁ、まだその時じゃない。」

 そして謎の電波を受信する二人組。

 

 なんというか…、カオスだ。混沌だ。

 

 

「なぁシヴァ、この短剣、どこで手に入れたんだ?」

 

 私、気になります。

 

「あぁ〜、エルフのキャンペ〜ンクエストってあるだろ〜?あれだよ〜。」

 

 キャンペーンクエスト?そういや第三層あたりでそんなのあった気がするな。が、俺は基本的にレベルを上げに専念していて、そのついでに討伐クエストや採集クエストをこなすことはあるが、キャンペーンクエストのような長ったらしいクエストはやったことない。だが、キャンペーンクエストではこんなにいい武器が手に入るのか。もし上の方の層で出くわしたら、手を出してみようかな。

 

「さて、いい武器も手に入ったことだし、レベル上げにでも行くか。シヴァ、お前はどうする?」

「俺かぁ〜?俺は明日に備えて休むよ〜。」

「明日?新年早々何かあるのか?」

「私とデュエルすることになっている。」

 

 と、横からセティー。人は彼を決闘者(デュエリスト)と呼ぶ。※呼びません。

 そういえば、ウサギ戦前にギルド勧誘されたけど手合わせするまで保留にするとか言ってたな。でもまぁ、シヴァの勝ちで終わるだろう。シヴァのパワーがあれば、誰にも押し負けることは無いだろうし、実際にキバオウやリンドとも手合わせして勝ってるらしい。攻略組で先陣きってるプレイヤーでも勝てないような、怪力でしかもホークアイ持ちというこの化け物相手に、攻略組でさえないこの男が勝てるはずがない。俺を踏み台にして攻撃をするなど、ある程度戦闘のセンスがあることは認めよう。だが、アスナの高速突きや、キリトの一発でタイミングを合わせてしまう剣さばき、そしてシヴァの強烈な一撃と比べたら大したことない。俺が真似できないようなことを平気でしでかす奴らに、俺が真似できる程度の戦闘技術だけじゃぁ絶対に勝てない。

 

「そっか。シヴァ、負けるなよ!!」

「おうよ〜!」

 

 と元気な返事が返ってくる。

 

「んで、キリトはどうするんだ?」

「俺はこいつにレクチャーを頼まれててな…。」

「クラインだ。噂は聞いてるぜ。よろしくな!!」

 

 キリトがレクチャー相手と思われるバンダナ剣士は手を差し出してくる。

 

「ジンだ。まぁ、よろしく。」

 

 こちらも手を出して恒例の握手をする。これからよろしく関わっていけるか(そもそも関わることがあるのか)分からんが、とりあえず儀礼だけはこなしておく。

 

「そっか。なら俺はもう行くよ。」

 

 そうして俺は歩き出した。

 

「また会おうぜ!」

 

 と、クラインとかいう男は手を振りながら俺を送り出す。初対面の人にも挨拶を忘れないとは、何とも義理堅い男だ。俺は手を挙げてそれに応えた。

 攻略組を散々ディスってる俺だけど、人間全てを憎んでいる訳ではない。キバオウのように、誰かを見下し、貶めることでしか自分の存在価値を保てないような奴が嫌いなだけだ。ディアベルのように誰とでも公平に接する人、エギルのように悪いことは悪いとはっきり言える人、シヴァのように誰とでも友達になってしまう人、クラインのように義理を忘れない人、俺はそんな人なら付き合いたいと思うし、そんな人としか付き合うつもりはない。クラインとは今後とも付き合いがあるかもしれない。キリトのレッスンを受けるわけだから、いつか攻略組の仲間入りして、最前線で会うことになるだろう。

 

 今日のご飯は…鏡餅かぁーーー!?

 俺は一足先に最前線へと向かった。

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