やってまいりました千紫万紅の樹海窟。巨大な洞窟の中に樹海の如く生い茂る無数の植物と、地面に咲く色とりどりの花から構成されるエリアだ。
周囲には様々な花の香りが漂い、壁面を埋め尽くす苔は自ら光を発して幻想的な光景を作り出している。
「なあ何でせっかくの満月の日に洞窟に行くことにしたの?」
虫嫌いでありダイスバトルに負けた敗北者たるサイザが負け犬の遠吠えのように愚痴を漏らした。
「そんな文句垂れんじゃねえよダイス運クソザコゴミカスロリコーンクァンタム」
「幼児性愛の量子って何?」
「ロリコンじゃないが?」
セロのボケにツッコミを入れつつ、俺は市場で買った採掘スポットが書かれている地図と現在位置を見比べながら移動していた。
クソザコゴミカスロリコーンクァンタム・・・?
洞窟だし、よさげな鉱石一つや二つあるだろ!!という憶測から色々調べた結果、実際に存在していたため、ピッケル消費も兼ねて現在採掘スポットに向かっている最中だ。
ピッケルが消耗品かどうかは一旦考えないものとする。
ちなみに前回の教訓を踏まえて、今回はインベントリにまあまあ余裕を持てる数のピッケルを持ち歩くことにした。え?武器?そんなものないよ。
にしてもかなり広いなこの洞窟。どうやって出来たんだろう。あれ?行き止まり?・・・ん?????
「あれ?道間違えた?」
「は?」「自害しろ」
「ちょ~~~~っとまってなぁ?・・・あれぇ・・・?何でぇ?現在地見間違えたかぁ?」
現在地を見てみるとさっきいた場所と明らかに違う場所いる・・・?やばい記憶能力が終わってる。
「なんだよ着いたのかと思ったんだけど?俺の時間を無駄にした罪としてその命神に返せ」
「ダイスバトルに勝った癖に地図すらまともに読めないんですね。可哀想」
申し訳程度の聖職者要素を混ぜながら殺しに来ようとするセロと、ここぞとばかりに煽りまくるサイザを無視して俺は滅茶苦茶頭を抱えていた。
「俺どこで見間違えた?絶対途中まで道あってたはずだろ・・・バグ??」
「バグってるのはお前の頭だろ」
「ロリコーン黙れ」
「は?」
何で間違えたのか。いつ間違えたのか本当に疑問だが、悩んでいても目的地にワープするわけではない。
「取り合えず一旦戻るぞ」
「お前信仰心足りないんじゃない?ダイス振る?」
「全知全能の邪神、乱数の女神教?」
「信仰心があればどんな判定もクリティカルになります。まあ俺はダイス振る時に祈ってないんだけど・・・あ?」
「一セッションでクリティカル14回出した化け物の言葉は違うな・・・ってお前どこ行ってんの?その先壁だぞ?」
セロは戻る道とは逆方向。つまり何もない行き止まりのほうにいきなり歩き始めた。
「ここ採掘スポットじゃないから採掘しようとしても対していいものでないと思うぞ」
俺の言葉に全く聴く耳を立てずに、何もない壁に歩いていくセロ。
そうして、壁の目の前に着くとなぜか壁を触り出した。
「おい?何かウイルスにでも罹っは????????????」
セロの目の前の壁が崩れ始め、謎の道が出現した。
「何してんの?????お前?????」
「はーーーーー!!!!!きっっっっっっっっしょ!!!!!きっしょ!!!きっしょ!!!!!お前乱数の女神と寝た!!!!????何なんマジで!!!!!????お前のせいでシナリオ作るとき必ずクリティカル情報とか考えないと行けなくなったんだが!!!!!?????死ね!!!!!!!」
サイザはセロの行った行動に困惑しまくり、俺はこの
「あんな邪神と寝るわけねえだろ死ね。まぁ・・・これが強者と弱者の差ってことだな」
「あほ死ね」
「チートやってるだろ」
こいつ死なねぇかな~出来るだけ苦しみながら。
そんなことを考えながらセロが見つけた隠し道の奥へ俺たちは突き進んでいった。
~~~~~~
まあまあ長い道のりを抜ける先には驚きの光景が広がっていた。
一面に広がる星空と彼岸花、生気を感じられない巨大な枯れ木。
そしてその木のそばには一つの墓と一人の半透明なNPCがいた。
「・・・普通にめっちゃきれい」
「あの幽霊の服装滅茶苦茶現代的じゃない?」
「遥かなる太古・・・神代という時代・・・偉大なる神人・・・ふーん?」
普通に景色に見とれてた・・・危ない危ない。もしかしたらあのNPCがいきなりビーム打ち出すかもしれないからな。油断は禁物。
NPCの見た目はサイザが口に出したように、あまりにも現代的な服装だった。
さっき会ったなんちゃって科学者みたいな見た目ではなく、現代的で機械で量産されたような精密性を感じられる。
「あら?・・・アーサー・・・じゃないみたいね」
ん???????アーサー??????気のせいだよな?何かどっかの危険プレイヤーリストみたいなのに似たような名前が載っていたような気がするけど気のせいだよな????????
「あんた誰?」
サイザがRPモードを入れながら話しかけた。
「私はセツナ。あなたが言っていたように既に死んだ存在」
「そう、私はサイザ。」
「私はセロと申します。以後お見知りおきを」
「・・・あっ俺?俺は・・・俺?俺であってるよな?・・・俺は
俺とセロもサイザに乗っかりRPをすることにした。
セロとサイザが変な目でこっちを見てきてるけど気にしない。というか野郎が女の振りしてる方がキショいだろ。
「別に私自身は死んだことに未練を持っているわけじゃないの・・・でも私の死が彼を縛り付けてしまっている」
「彼って誰なの?」
うーんやっぱサイザRPでも口調何か荒いな?
やっぱり品性というものはにじみ出るもの。そう!俺のように!!!!!
そんなあほなことを考えると手元にウィンドが現れた。
ユニークシナリオEX!?ユニークシナリオじゃなくて!?俺はサイザとセロの方向を向いた。
どうやら二人にも同じウィンドが表示されているらしい。
こんなのwikiにも書いてなかった・・・今自分は世界の秘密的な何かの目の前にいるような気がして、体が震えた。しかしそれは恐怖ではない。この先にある未知に対する興奮による武者震いだ。
答えは決まっている。俺たちは迷わず【はい】を押した。
するとセツナは語り出した。どこか希望を抱くような瞳をこちらに向けながら。
「彼は・・・ウェザエモンは私の恋人。ちょっとしたすれ違いで私が死んで・・・それからずっと、彼は私のお墓をずっと・・・そう、ずっと守り続けているの」
「暇なんだねその人」
その瞬間セロがサイザの膝に蹴りをかまし、体勢が崩れたところに惚れ惚れするようなアームロックをかけた。
「お気になさらず。彼女の持病です」
「は?何なの?今大事な場面なのわからないの?」
「それをおまっゲフンゲフン!あんたがいうのか」
いきなりの出来事に一瞬停止していたセツナだが、すぐに思考を取り戻しこの喧嘩を止めに入った。
「だっ大丈夫よ!気にしないで!」
「おい、本人が気にしてないって言ってるぞ?早く放せ」
「はーい黙りましょうね。今からあなたの言論の自由は剝奪されます。おじさん、この先はおじさんにお任せします。」
「おじさんって・・・まあおじさんなんだけども・・・あれ?一人称おじさんのほうがいいか?」
「やめろ、マジで、やめろ」
「あっはい」
セロの圧により、一人称おじさんは却下となったところでセツナは少し・・・いやかなり戸惑いながら話を続けた。
「え~っと・・・生きていた頃の私が死んで、どれだけ経ったのかは分からないけど。気づいた時には私はこうなっていた・・・さっきも言った通り、別に私は死んだことに未練に思っているわけじゃないの」
「じゃあ、あんたは何でそんな姿になっちまってんだ?」
セツナは巨大な枯れ木を見上げた。周りにある大量の彼岸花とは反対に葉っぱの一つも残っていない枯れ木。
異質と捉えるかべきか、彼岸花に栄養を取られた被害者と捉えるべきか。
セツナは答える。
「死とは終わり。終わってしまったものは過去であって、誰かの今を・・・未来を縛るものではないわ。だから、私はあの人が今も私の
だからこそ、と続けながらセツナは枯れ木から夜空に浮かぶ満月に目を移した。
「彼は私が構成したプログラ・・・ええと、魔法を使ってここに結界を構築した。月光の魔力を利用し、座標を次元の裏側に「反転」させることで誰にも干渉されないように」
待って?プログラムって言いかけた?てかさらっとやばいことやってない?座標を次元の裏側に反転させるって何?超能力バトル漫画の能力じゃん。
「でも月がその光を失う時・・・新月の夜だけは結界に綻びが出来る。彼のいる裏座標へと通じる綻びが生まれるの」
「ふむ・・・つまり俺たちに何をさせたいんだ?」
一瞬セロからの目線が強くなった気がした。しょうがねえだろ!?口でのRP全然やったことないんだからさぁ!?
セツナはこちらを振り向き深く頭を下げて俺たちにお願いをした。
「どうか、ウェザエモンを・・・あの人を、眠らせてあげてください」
なぁるほどねぇ。ウェザエモンとやらをぶっ飛ばして、成仏させるのがこのシナリオのクリア条件ということか。
「正直、あんたの話の何割かは分からなかったが・・・つまりはそのウェザエモンをお天道様の元までぶっ飛ばせばいいんだろ?なら任せてくれ。ご察しの通りうちらは血の気の多い奴しかいないからな。喧嘩沙汰ならお手の物ってやつさ」
「おじさんはともかく私をこいつと一緒にしないで欲しいんですが?懺悔の後に自害しなさい」
「は?あんたが一番血の気が多いでしょ?そうじゃないっていうならさっさとこのアームロック解いてくれない?」
「無理♡」
「死ね」
「な?」
「あはは・・・」
これにはNPCも苦笑いするしかない・・・クソ、何もギャク思いつかねぇ・・・!!!
それはともかく、正直自分が一番したかった質問があったのですることにした。
「なあセツナさんよぉ。そのアーサーってやつのフルネームを聞けないか?」
セツナは予想外の質問に驚き疑問を呈した。
「どうしてそんな質問を?」
「いやぁ・・・何か指名手配犯にそんな名前の人がいたような気がしてな?」
そんな偶然の一致もあるんだな~みたいな顔をしながらも、セツナはその人の名前を告げた。
「彼女の名前は、『アーサー・ペンシルゴン』というのだけど・・・え?どうかしたの?」
その発言の瞬間絶望と共に来た道の方から微かな気配を感じた。
「なんだ・・・?足音・・・?」
どうやらセロも気づいた様子。そして俺の勘はこの気配は最悪な人物であることを告げている。
俺はすぐさまピッケルを装備した。
その行動に全員が困惑しているが今はそれどころではない。
俺は走り出し、そのまま勢いをつけてサイザの脳天にピッケルを叩きつけた。
「え??はぁああ!!??エビお前何してるんだむぐぅ!?」
セロの口を手で強引に塞ぎ、出来るだけ小さな声で、セロに簡潔に要件を伝えた。
「今すぐ自害しろ」
「は?」
「このシナリオは既に独占されている。そしてそれだけじゃない。このシナリオを独占しているのはシャンフロ最大規模のPKクランだ。」
ここまで伝えればセロは分かってくれると信じ、サイザの
「セツナさん。俺たちのことは誰にも話さないでください」
「えっえ?」
ピッケルを思いっきり振り回し、自身の脳天に直撃させる。
これがシャンフロ初めての自害だった。
~~~~~~
「いや~ごめんね?ちょっと道を間違えちゃったみたいで・・・ってどうかした?」
「あっいやなんでもないわ・・・それとアーサー」
「ん?どうしたのセッちゃん」
「アーサーって・・・指名手配犯なの?」
「え?」
クリティカルってクソだよね!!!!!!!!!
というわけでユニークシナリオEX&初のPKと初めての原作メインキャラ登場でした。
本当は秋津茜殿にしたかったけど、ウェザウェザしたかったからね仕方ないよね。
作者が一番好きなキャラはウェザエモンと秋津茜なんですよね。忍者にしたのもそれがあります。
そして忍者ジョブで墓守のウェザエモンと相対する・・・まあそういうことです。
あのジョブに就職する話が投稿されるまでに設定公開がされていなければ、オリジナル設定で突っ走ります。
地図を見ていたはずなのに何故か別の場所に移動していた・・・なんでやろなぁ?エビくんの頭が終わっているからではありません。じゃあなんでやろなぁ?答え合わせはウェザエモンが討伐された後で!
エビくんの突然のPKには驚いた人も多いでしょうが、彼は割と手段を選ばないというか。一つの手段を見つけたらそれ以外の手段が頭から飛ぶタイプなので。今回はたまたま最適解でしたけどね。
今回のタイトル。「女神が微笑む相手と鼻で笑う相手」前者はクリティカル魔人のセロ。後者はダイス芸人のエビくんになっております。こんなところでクリティカルする!?と思うかもしれませんが、私の身内にはするやつがいます。一回のセッションで20弱のクリティカルを決めた犯罪者が。GMは泣いてました。ちなみに私は2回連続ファンブルしてその人を背中から撃ちました。
あと今後キンクリ多用するかもです。準備期間が長すぎるからね仕方ないね。
出来るだけ丁寧に書いていくつもりですが、どうしようもなかったり、クソほどしょうもなくて書かなくても進行上に問題なかった場合は飛ばします。
UA数一万突破ぁぁぁあああ!!!!普通にすごくないですか?今後も自分の好きを読者様に届けていく所存です!あと感想( ゚д゚)クレ!!!!
それでは、あの失踪の前で立ち止まらず歩いて行った先でまた会いましょう。