高濃度猿侵蝕体“マネキン・モブ”   作:アースゴース

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短編なんだ
最近あんまり出番のないキャラを出したかったんだ


404のライブを見に来たA

 『~♪』

 

 ライブハウス“404ERROR”では、妄想エンジェル達のライブが開かれていた。

 観客席には、リズムに合わせてペンライトを振るファン達がひしめき合っている。

 

 「……!(妄想エンジェル…神)」

 

 ツイッギーによって作られたクローン、Aもその一人だ。

 普段はRandom_Playを始め、六分街の店で様々なバイトをしたり、ビデオを見まくっている彼女だが、どうやら今日はライブ鑑賞らしい。

 自身を作ったツイッギーよりはむしろアンビー、11号に似て(彼女達ほどではないにせよ)やや表情に乏しいものの、嬉しそうな雰囲気は伝わってくる。

 

 「……で、お忍びで地下アイドルの見物に来たのが俺……! 悪名高いIT企業のオーナー尾崎健太郎よ」

 「その悪名高いオーナーに誘われてきたのが私よ」

 

 隣では、明らかに上流階級らしき二人の男女がライブを見て何やら話し合い、満足そうに頷いている。

 ライブに集中しているAは別に気にしなかった。

 

 そうしている間にもライブは最高潮を迎え、やがて終わりが来る。

 ファン達は終わりの時を惜しみながらも、それぞれの帰路についていった。

 

 

 

 Now Loading......

 

 

 

 「……!(スマホを忘れたあっ)」

 

 404にスマホを忘れてしまったAは、急いで取りに向かっていた。

 幸い、404はバーなどが営業しているためにまだ開いているようだ。

 しかし、先ほどまで経っていた場所を見るが、スマホはどこにもない。

 

 「……?(しまった、パクられた? ネコババはよくないでしょう。誰かに聞いてみよう)」

 

 Aはその辺にいた従業員に聞いてみようとする。

 しかし、その前にある人物を見かけた。それは、お世話になっているバイト先の店長……アキラだった。

 

 「……?(あれ? 店長! ご無沙汰じゃないですか)」

 「Aじゃないか。どうしたんだい?」

 「……(スマホをなくしたのん)」

 「何? それは大変だ。僕も一緒に探そう」

 「……!!(あざーす。店長=神、店長は最も神に近い男なんや)」

 

 ほどなくしてスマホは見つかった。

 誰かが拾ってくれたようで、従業員に預けられていたのだ。

 

 「……(あざーす)」

 「構わないさ。次からはなくさないようにね」

 「……(ウッス)」

 

 嬉しそうに小躍りするAだった。

 

 「……?(そういえば、店長はどうしてここに?)」

 「ああ、知り合いのアイドルグループ……妄想エンジェルに用があってね」

 「……!?(なにっ、妄想エンジェルと知り合いっ。もしかして店長は他のアイドルとも知り合いなんじゃないスか?)」

 

 Aが好きなのは妄想エンジェルだけではない。

 ボンプのアイドルグループ“satellite”も、“お天気リポート”も好きなのだ。

 店長の知り合いの多さに、彼女は驚かされていた。やはり裏稼業でプロキシやってる人達は違うな……そう思っていた時だった。

 

 「店長さーん!」

 「……!?(この声って、ま……まさか)」

 

 アキラを呼び、誰かが近づいてくる。

 見覚えのある三人組、まさに先ほどまでライブをやっていた妄想エンジェルだった。

 

 「……(おお)」

 「あれ、店長さん。その子もしかしてモーソー族?」

 「うちの店でよくバイトしてくれる子でもある。紹介しよう、Aだ」

 

 Aはペコリとお辞儀をした。

 彼女は、マネモブから直々に武術を教わっている一部の野蛮な姉妹とは違い、そこそこ礼儀正しいのだ。

 

 「Aちゃんやな! ウチは妄想エンジェルの作詞担当・千夏や!」

 「メインボーカルのアリアだよ、よろしくね!」

 「そして僕がリーダーの南宮羽」

 「……(我が名はA)」

 

 Aはこの瞬間を噛みしめていた。

 こんなに嬉しい日は、姉妹達やガルシアと共に光の道を歩めるようになったあの日以来だ。

 

 「……?(もしかしてアイドルになれば他のアイドルと会い放題なのでは?)」

 「いきなり何を言うとるんじゃあっ」

 「おやおや? Aちゃんもアイドルに興味がおありで?」

 

 天啓を得たAに千夏がツッコミを入れ、羽が悪乗りする。

 しかし、Aはシルバー小隊クローンなのでダンスはキレキレかもしれないが、歌唱能力は……

 

 「……(愛)」

 「何やねんその“愛”って」

 「恐らく“愛”じゃなくて“哀”だ」

 

 ともかくAは歌唱に適していない。

 アイドルへの道はここでとん挫してしまった……

 

 「……?(それで、店長は彼女達に何の用が?)」

 「ああ、僕は彼女らのプロデューサーでね」

 「僕達の練習を見て欲しいから呼んだんだよん」

 「……!(おいおい、店長ちょっと掛け持ちしすぎじゃね? ビデオ屋の店主に適当観の先生ェ、アイドルのプロデューサーって……もうメチャクチャだな)」

 「僕はできることをしているだけさ」

 「……(限度があると思われるが……)」

 

 相も変わらず変に肩書の多い店長に呆れるA。

 だが、店長の謎の多さはさておき、Aにはやるべきことがあった。

 

 「……?(あ、あの練習の前に不躾(ぶしつけ)で申し訳ないんスけど、自分ファンなんスよ……握手してもらっていいスか?)」

 

 憧れのアイドルとの握手である。

 

 「いいよ!」

 「……!!!!!!!!(あざーす)」

 「あれ? ウチは?」

 

 ガシッガシッ

 

 Aは、両手でそれぞれアリア、羽と握手した。

 しかし、いくらシルバー小隊クローンのAと言えど、手は二つだけである。このままでは千夏と握手ができない。考え抜いた末、Aは奥の手を使うことにした。

 Aの持つバッグから、金属の腕が伸びる。

 

 「……っ(しゃあっ)」

 「なにっ」

 「……(もしもの時のロボティック・アームなのん。メンテに出してたのを取りに行ってたんだよね)」

 

 ガシッと、ロボティック・アームが千夏の手を掴む。これが正真正銘、奥の手である。

 別にAは義肢なわけではないが、ツイッギーの御目(おめ)()のような切り札が欲しくなったので、頑張ってバイト代で変な機械を買い集めているのだ。

 

 「……(あの……写真もいいスか?)」

 「いいよいいよ、一緒に撮ろう!」

 「僕が撮ろうか」

 「……(店長あざーす)」

 

 Aがスマホを操作する。

 すると、その待ち受け画面が目に入った。

 

 「あれ? この人Aちゃんにそっくりだね。もしかして姉妹?」

 「ちょお待てや、横におるんはマネモブやないか」

 

 待ち受け画面には、腕を組んだマネモブとツイッギーの姿があった。

 これはかつて、灘・真・神影流の広報のために撮った写真の一つであるが……流石に消されたはずのシルバー小隊が堂々と載っているのはダメだろ(元反乱軍の人のコメント)ということで、お蔵入りになってしまった写真である。

 Aはスマホをアキラに渡した。

 

 「……?(もっとオシャレしてくればよかったかな?)」

 「でもAちゃん、そのパーカーに合ってるよ」

 「何かラーメン食べて太ってそうなデザインだけど」

 

 ちなみにAが着ているのはUNRESSと書かれた白いパーカーである。

 

 「さあ、撮るよ。はい、チーズ」

 『チーズ!!!』

 

 パシャッ

 

 「……!(流石は店長、写真の腕も一級品だあっ)」

 「我ながら良い出来だと思ってるよ」

 

 やはり、店長達の撮影技術は凄い。Aはそう思った。

 ホクホク顔のAは、そっと写真をお気に入りに入れた。

 

 「Aちゃん、もしよかったら練習も見て行かない?」

 「……!(行きまァす!)」

 

 こうして、Aはホイホイとライブの練習にまでついていった。

 もしかしたら、Aが弱点を克服し、アイドルになるまで秒読み……かもしれない。

 

 

 




タフどこだよ

ほぼオリキャラとはいえこんなにAを題材にした話書いてんのは俺だけだと思ってんだ
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