プルセナスホロウ。
まるで生命とは無縁の無機質な白い建造物が動くそのホロウで、ラミル……いや、レミエールと何者かが話していた。
「私、
レミエールは発信機を停止させた。
それに対し、呆れたような声を出すのは、奇妙な浮遊した物体だった。
まるで、ピストンのついた多角形の物体の正面に、三角形のモニターらしきものがくっついた異形の姿をしている。
『レミエール、悠長に考え込んでいていいの? パエトーンとTOPSの追手、そしてあのエーテリアスがあなたのいる場所へ向かっている』
「わかってるってば。あのくらい、片付けるのはわけない……パエトーンと、あのエーテリアスは別だけどね」
『……』
パエトーンの秘密を知るレミエールは油断などしていない。しかし、彼女の言うエーテリアス……マネモブも、虚狩りですら全く油断できる相手ではなかった。
追跡こそまいたものの、虚狩りである自分の動きについてきたまでか、羽すら無効化する手段を持っている。
『とにかく、油断しないほうがいい。あのエーテリアスの戦法は割れているが、TOPSがどんな“対策”を講じてくるのか分からないわ』
「そんなに心配? あ、そうか。私のことじゃないんだ」
『ええ……あなたと……あのエーテリアスを同時に敵に回したであろうTOPSには同情を禁じ得ないわ』
二人は同じ方向を見やる。
そこに残されていたのは、マネモブの“残気”……!
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対虚狩り制圧機甲テラー・ラプトル・エグゼキューター
その名の通り、TOPSが対虚狩りを想定して設計したテラー・ラプトルだ。
装甲厚、火力、機動力、エネルギーゲイン……新たに追加された侵蝕障壁も加わり、一切が通常のテラー・ラプトルを凌駕する性能を誇っている。
『下を見てください』『今日もバカが湧いてきてますね』
ホロウの一画で待機状態にあるその機体のすぐそばに、気配を消したマネモブはいた。
暗殺武術・灘神影流の技術もさることながら、デッドエンドブッチャーのように休止状態の低活性にあるマネモブのコアは、エーテルエネルギーが感知され辛かった。
そのため、ここまで近くに接近していてもレーダーに引っかからないのだ。
『いい
マネモブはエグゼキューターを観察する。
果たしてこの機械が虚狩りに、あのラミル改めレミエールに通用するかどうかを。
答えは――否!!!
『ウ…ウソやろ』『こ…こんなことが』『こ…こんなことが許されていいのか』
対虚狩りというよりも、当代虚狩りのおやつ(物理、氷弱点)すぎる装甲に戦慄するマネモブ。
これの何を見て対虚狩りだのとほざいたのか。試作段階であることや、TOPSへの軍事力規制があることを考慮しても弱き者である。
大金持ちな闇のフィクサーの集まりなんだからもうちょい頑張れよと内心思うマネモブ。
『なぜこいつがプロになれなかったんだ?』
TOPSが心血を注いで設計した兵器でさえこの有様。新エリー都の闇は思いのほか深いのかもしれない。
『殺すだけでは済まさない』
「えっ」
しかし、伝説の初代虚狩り(推定)、レミエール・ダン中佐相手でも時間稼ぎくらいにはなるだろう。
マネモブはこの兵器をレミエールにぶつけることにした。従ってまず最初に行ったのは、制御権の強奪である。
エグゼキューターのハッチをいとも簡単に開けるマネモブ。
これは、エグゼキューターの基本的構造がテラー・ラプトルとあまり変わらなかったこと、そしてマネモブが灘・真・神影流に属する元反乱軍の門弟からの情報によりテラー・ラプトルの構造を把握していたことが大きい。
内部に侵入したマネモブは、操縦者の顔に手をかけた。
「あ、ああ……」
『あざーす』
ガ シ ッ
『“ランブル・フィッシュ”は武器・凶器の使用を認められてませーん』
「う あ あ あ あ」
気絶させられ、適当なホロウの外に通じる裂け目に放り込まれた操縦者。
今やマネモブの暴走を止める者はおらず、哀れなエグゼキューターはバカエーテリアスの手に渡ってしまった。
『新改造人間ハイパーガッちゃんだ』
ロボットを操縦し、テンションが上がり、あらゆるレバー、ボタン、パネルを試すマネモブ。
しかし、操縦など素人もいいところな腕前は、当然の如く暴走という結果を呼び寄せた。
『どわーっ』『ロデオがなんの訓練になるんやっ』
ガッション、ガッションと見た目の割に軽快な足音を立てながら、千鳥足であちこちをふらつくエグゼキューター。この恐るべき機械が向かう先はレミエールの元……なのだが、マネモブもレミエールの場所を知らないし、もちろんレミエールもマネモブの場所が分からない。
なので、マネモブはレミエールを探しながらホロウを彷徨うことになった。
ホロウでの活動限界が搭乗者>超えられない壁>機械というこの奇妙なパイロットが見つけたものとは……
Now Loading......
レミエールの幻影を追ってホロウを探索するリン、ビリー、シーシィア、プロメイア一行は、やがて棺にも似た奇妙な箱を発見した。
しかし、そこに現れたのは対虚狩り制圧機甲テラー・ラプトル・エグゼキューターだった。
「このデカブツは一体……!? あのメカ・ロームル軍団より強そうなんですケド!?」
「おお、あの装甲厚、エネルギーゲイン……悔しいが、流石はTOPSの仕事だ。ほんのり
「対虚狩り制圧機甲、テラー・ラプトル・エグゼキューターだな」
「うお、名前ダサッ、ダセーよ。もう少し何とかならなかったもんかね」
酷い言われようだが、事実なのでしょうがない。
エグゼキューターはなぜかその場で足踏みしている。
所在なさげに動く機体を訝しみながらも、プロメイアは声を上げた。
「操縦者に告ぐ。誰の命令を受けてここにいる?」
『悪魔王子…龍を継ぐ男だ』
「えっ」
「なにっ」
「な、なんだあっ」
一行は驚愕した。
このいかにもな兵器に乗っているのが、知り合いのエーテリアスだったことに。
「何やってんだよえーっ」
『すみませんちょっとやりすぎました』
「ま、またTOPSから奪ったのか……」
「マネモブってTOPS相手なら何してもいいとか思ってない?」
『そうですけど何か?』
「流石にやり過ぎたらアウトというかギリギリグレーなんですけど? いくらTOPS相手でも後ろめたくて表に出せない活動以外にそれやったら全部違法で即タイーホですけど?」
『おーっ怖ィイ』『怖いです』
流石にやり過ぎたと反省するマネモブ。
やはり野蛮人の血は争えず、野蛮な手段も平気で使うことに躊躇いはない。
それにどうせ、このエグゼキューターは極秘なので、メカ・ロームルとは違い奪われても朽峰グループは知らぬ存ぜぬを貫くしなかい。もちろん、ヤケクソで売りつけることもできない。
「ったく、しょうがねぇな。取りあえず降りて来いよ」
『ハイデース』『あっ』
「は?」
ビリーが手招きする。
しかしその時、エグゼキューターが突如としてめちゃくちゃな動きで暴走した。原因はもちろん操作ミス。
銃火器の類が放たれていないのがせめてもの救いか。
「ギャー!? な、なんでこっちくんのー!?」
「シーシィア! 俺のバイクに!」
「あざーす」
激しい音を立てて、地団駄のように足を踏み鳴らす姿はまるでどっかのバイ菌が作ったロボットの如し。
ビリーとシーシィアはコミカルに逃げ回り、プロメイアは華麗に躱す……どころかまずエグゼキューターが来ないであろう位置にいる。
「はは、何やってるんだろう……何やって……」
少し離れた場所から、リンがそれを見ていた。
しかし、彼女の体はレミエールの残影を目にした瞬間、まるで操り人形と化したかのように棺へと向かった。
「……」
リンが棺に触れる。
すると、中から飛び出た何かが、リンの胸へ飛び込み――凄まじいエネルギーが吹き荒れた。
「なにっ」
『な…なんだあっ』
気づいた時にはすでに遅く、リンは変異していた。
人がエーテリアスへと異化する様相に似てはいるが、それとは根本的に異なる何か……しかし、変異の際に周囲のものを取り込むのは共通しているようだ。
事実、マネモブは部屋のコレクションなどを、ポンペイは(彼はかなり特殊ながらも)バイクを取り込んで生まれたエーテリアスだ。
黄金の光と共に、周囲の瓦礫が吸い込まれる。
エグゼキューターとて例外ではなかった。
『う あ あ あ あ』
「ま、マネモブゥゥゥゥ!?」
慣れない操作としょうもないミスで耐えきれなかったエグゼキューターは、内部のマネモブごとリンに突っ込んでその一部となってしまった。
「マネモブ……」
『俺ならここにいるぜ』
「えっ」
しかし、マネモブはビリーの隣にいた。
「あれ、吸い込まれたんじゃ……」
『“
「ってことは……?」
ビリーは前方に降り立ったリンを見る。
肉体は機械と融合し、腕は何対も存在する。まるで異形の爬虫類であるかのような姿は、リンであった頃の面影など存在していない。
瓦礫、エグゼキューター、マネモブの分身を取り込んだリンが、吠える。
『G H O O O O O O O O ! ! !』
「何が始まる……!?」
今までとは次元が違うこの事態。
一行は、嫌な予感というものを強烈に感ながらもリンを救うために戦う。
次回、『死闘』
焦天残火・パエトーン。その手に掴むは“太陽”か、あるいは――
ボンプイベントを見たワシのコメント
ホローウェル大先生って誰だよ!?
↓
いやちょっと待てよ(ホローウェル大先生はボンプより少し背が高い、技術者)
↓
ふうん、ブートピアにはノルムーがいるんだな。うー合わせろ。く…苦しい…息ができない、私は語尾が『なのだ』な小さい体格のキャラを見ると息ができなくなるんだ
↓
(ホローウェル大先生の真の姿を見て)えっなにっなっなんだあっうああああいやああああ