高濃度猿侵蝕体“マネキン・モブ”   作:アースゴース

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ゴリラは怒ってなどいない。ある夢に遊んだことを告白しているだけだ 4

 超危険エーテリアス“マネキン・モブ”がロスカリファに侵入している。

 その知らせを受けた空巡局は大騒ぎだった。マネモブと言えば、地上とは離れたロスカリファにすら名が轟くエーテリアスである。

 住民からは流石にミス・サンブリンガーやシグリッドが負けるとは思われてはいないが……敵対者(別に敵対してない者も含む)を冷徹非情にぶちのめし、危険な技をいくつも持ったエーテリアスであることに変わりはない。

 

 その上、マネモブ侵入の報告から数時間後、エネルギー区で重大な事故が発生した。

 この事件において真っ先に疑われたのはマネモブ。この異常エーテリアスがエネルギー区に侵入し、作業員や機械に危害を加えたと推測された。

 

 この事故の調査および人員の救出に向かうのがシグリッド率いる空巡局と、リン、ビリー、シーシィア、ヴェリナ……そしてピュロイスの一行だった。

 特にこのピュロイスの力によってレールの上を全力疾走できるようになった一行は、多くのボンプを救出していく――

 

 『人生の悲哀を感じますね』

 

 そんなことはいざ知らず、シンギュラ・リークから抜け出したマネモブは、エーテリアスをしばきあげつつ調整タワー周辺を練り歩いていた。

 全てはシンギュラ・リーク経由で調整タワー内のエレベーターを利用し、ブーアストラム内へ侵入するために。

 

 『しかし…』

 

 だがマネモブは、侵蝕症状に晒されたボンプを見捨てることができずにいた。

 目の前には作業員らしきボンプ(名をサイモンと言う)が倒れている。ここで助けなければ彼には死が待っているだろう。

 

 『息の根を止めるべきです』

 

 マネモブは対象を仮死状態にすることで侵蝕から守るという技がある。

 ならば早くやれよと思われるかもしれないが……それ以前に邪魔が入っているのだ。

 

 目の前にそびえる、まるで砲台のようなメカ。

 重大な侵蝕に晒されたせいか、動く者に見境なく攻撃するほどに暴走しているようだ。

 その名は“エアスペース・センチネル”……ノルムーが生み出した自律型殺戮機動兵器。

 

 『何が“GKドラゴン”だ』

 

 センチネルはマネモブを認識した瞬間、エネルギー弾を放ってくる。

 だが……その程度の遠距離攻撃ならマネモブにとってカモがネギを背負ってきたようなもの。

 

 『灘神影流“弾丸すべり”』

 

 エネルギー弾がマネモブを逸れていく。

 日々の鍛錬や強敵との激戦を乗り越えたマネモブにとって、もはやエネルギー弾すらも弾丸すべりの対象となっていた。

 弾幕の嵐を突き抜け、マネモブがセンチネルへと迫る。

 

 『アソビハオワリダッ』『“塊貫拳”』

 

 センチネルの砲身に、貫通する気が叩き込まれる。

 極まった技によるそれは、センチネルの巨体を揺るがす威力を持っていた。

 これを脅威と見なしたセンチネルは、ついに高機動モード……四脚モードへ変形した。

 

 四方に開いた砲身の中央に、エーテルコアが露出した。

 この機械が侵蝕に晒されているという紛れもない証拠である。

 

 『お前…なんで人殺しなんてやったんだ』

 

 しかし、マネモブというスピードファイターな上に一撃必殺持ちのエーテリアスを前に、エーテルコアを露出させてしまったのが致命的な計算ミスだった。

 高速で接近したその直後、マネモブが宙を舞う。

 

 『灘神影流“鷹鎌脚”』

 

 スパッと、センチネルのエーテルコアが真っ二つに切断された。

 それと同時にセンチネルは全ての機能を停止……機械的な死を迎えた。

 

 『サーシャしっかりしろ』『薬の時間だぜ…』『さあ飲めっ』

 『ンナッ(はうっ)』

 

 マネモブは死にかけのボンプを、ゆっくりと仮死状態へと移行させる。

 しかし、仮死状態になる直前にボンプは衝撃の情報を残す。

 

 『ンナナナ……ンナ……ンナンナ……(天使様……どうして……こんな……)』

 『えっ』『なにっ』『な…なんだあっ』

 

 このボンプは天使と言った。

 天使とはつまり、(マネモブ視点の情報では)レミエールである。

 ボンプからレミエールの名前が出たということは、このボンプにレミエール関わりがあったということ。

 つまり、ボンプを絶望的な状況に追いやったのはレミエールを置いて他にいない。

 

 マネモブの発想は飛躍していた。

 

 『“虐殺のバッカー”よ…お前の前ではどんな極悪人でも可愛い天使に見える』『殺すだけでは済まさない』『ボコボコに殴られ…犯され…死ぬんや』

 

 かつてないほどの怒気が辺りを支配する。

 

 『畜生! 殺ってやるぜ』『キー坊をぶち殺してやるぜ!』

 

 目指すはシンギュラ・リーク。そこからエレベーターを伝い街に侵入する。

 ツイッギーからの情報で指名手配がなされていることから、レミエールもそこにいるはずだ。

 マネモブは駆け出した――仮死状態にしたボンプを置いて。

 

 「なにっ、センチネルがブッ壊れてるのだ」

 「こ、この残気……マネモブがいたッ」

 

 そしてボンプは直後にやってきたリンとノルムーに救助された。

 

 

 

 次回『邂逅』

 ついにレミエール・ダンとの邂逅を果たすマネモブ。

 しかし、そこに現れたのは未知のエーテリアス達。マネモブは虚狩りへ挑み、目的を果たせるのだろうか。

 




まだ溜め回なのん
次回か次々回でこの章は終わると考えられる
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