二次創作にオリキャラは邪道だと思う反面、どっちの作品にもいそう&噛ませ犬ならいいだろという思考に駆られるッ
まあ猿先生みたいにキャラを湯水のごとく使い捨てにしてみたかっただけなんだけどね
「何ワケの分からねぇことくっちゃべってやがる! わざわざ郊外まで死にに来たのかぁ? お望み通り殺してやるよっ!」
「よせっ! そいつらはお前の敵う相手じゃない!」
走り屋の中から、血気盛んなメンバーの一人が飛び出す。
狙うは義手の男。その次は薄気味悪い半魚人だと意気込み、その顔面に向って拳を振るう。
だが――
「なにっ」
「ふぅん、覇者連盟のメンバーっつても下っ端程度じゃカスだな。俺のハンティング・トロフィーにはなりはしない。失せろ」
「う あ あ あ あ」
赤い義手が、走り屋の腹を打ち抜く。
寸勁。ワンインチ・パンチとも言われるそれは、何の前触れもなく、たった一撃で走り屋を戦闘不能に追い込んだ。
「俺の義手はいつでもどこでもどのタイミングでもワンインチ・パンチが放てる。これがどういうことか分かるか?」
「どういうことだよ?」
「ノロマなお前らじゃ勝てねぇってことだよっ」
戦いの火蓋は急に切られた。
奴らは何をするか分かったものではない野蛮人。普通に話していても、突如として烈火のごとく怒りだす危険性を秘めている。
「大将!」
「へぇ、少しはやる奴がいるんだな。腰抜けばかりかと思ったぜ」
ライトは男の義手を弾く。
その手ごたえだけで、男がかなりの実力を持っていることが分かった。
「確かに言うだけの実力はあるようだが……その程度じゃ俺達はやれないぜ」
「へっ、テメェこそ女を守って死ぬのがお似合いだよ色男。テメェの顔面はこの“プラゴミ・スパイザー”ことスパイザー様がミンチにしてやる」
男、スパイザーはライトを標的と見定め、殴り合っている。
その様子を見て、半魚人の女は呆れたように吐き捨てた。
「男ってホントバカねぇ。あなたもそう思わない? 脳ミソ小さそうなお嬢さん」
「え~っ、脳ミソ小さそうって私のこと~っ?」
流れるように罵倒する半魚人。
「ええ、あなたよ。何かあんたを見てるとムカついてくるのよねぇ」
「何で?」
「毎日がパーティー、誰も彼もが酒を飲んで踊り狂ってる夜……世界がそんな風に見えてるみたいなその目が気にくわないのよッ」
半魚人はバーニスを標的にした。
その目には憎悪と悲しみ、そして後悔が混沌と渦巻いている。
「そっちがその気なら、焼き魚にして食べちゃうよ! 郊外でお魚さんは貴重だからね!」
「やれるものならやってみなさい。そんなチンケな火じゃ私の氷のような心は焼けないわよっ! この“激震のアタ・シンチ”の冷凍光線が心の芯まで凍てつかせてあげるっ」
バーニスの火炎放射と、アタ・シンチが吐き出す冷凍光線がぶつかり、辺りは水蒸気に包まれる。
乾いた荒野ではあり得ないほどの水分量。その蒸気を意に介することなく、歩みを進める者がいた。
「どけ、ガキ。そこをどけば殺さずに済ませてやる」
「ガキってあたしのことか~? こぉんな年寄りつかまえてガキたぁ、ちょっと見る目がないんじゃないかい? 若人さんよ」
「……」
頭を金属製の笠で防護し、口元には布、全身を刃物のようなマントで覆った怪人物はパイパーを睨んだ。
「女子供でも容赦しない。立ち向かうのであれば殺す」
「へぇ~?」
男のマントが、高速で回転する。
近づけば死。切り刻まれて終わるだろう。だが、ここにもう一人回転する者がいる。
「回転使いかぁ~。実はあたしもなんだぜい」
「……」
パイパーは自分の斧を持ち、クルクルとその場で回転し始めた。
その回転は男の機械的な回転にも負けず、ぶつかり合う刃からは火花が散る。
「なんだこいつら? 変な連中ばっかだぜ」
「……殺し屋“哀しみのレイベン”は自分の妻と子の肉を食ったという。戦いが終われば彼も斬る」
「……そーゆーテメェは誰なんだ?」
手持無沙汰だったシーザーに近づく人物。
白に近い銀髪に、黒いリボン付きカチューシャをつけた少女。白いボンプが後をついてきているようだ。
その手には、二本の刀。
「斬りに来た」
「辻斬りってやつか? 殺しは御法度だぜ、この郊外でもな」
郊外には郊外の掟がある。
基本はチームの方針に従い、チームは所属する派閥の方針に従う。その中で殺人など以ての外だ。いくら荒くれ者ぞろいの郊外であるとはいえ、簡単にするようなことではない。
「やんのか? オレは簡単には斬れねぇぞ?」
「斬れば分かる」
「話通じねぇなぁ!」
シーザーは、斬りかかってくる辻斬りの刀を、堅実に盾で受け止める。
防御し、攻撃し、避けられる。防御し、攻撃し、避けられる。かなり堅実な戦い方が噛み合い、戦闘は泥仕合へと変わった。
『あの人……見たことある! 確か刀耕火炎で……』
パエトーンは銀髪の辻斬りに見覚えがあった。
零号ホロウの深奥。そこに逃げ込んだニネヴェを相手に嬉々として斬りかかる独立調査員。それが彼女だった。
会話をしたことはないが、独立調査員として顔を合わせたことはある。
『“庭師”って呼ばれてたなぁ』
その後、彼女は飽きたのか零号ホロウに姿を現すことはなかった。
『いやいや! そんなことよりルーシーは……』
「ああもう! 私は守られてるだけのお姫様じゃありませんわ!!!」
『無事みたいだね……』
未だにダウンしているマネモブを庇いつつ、雑魚野蛮人の群れをバットで殴り倒すルーシー。
ターゲットの癖して助けは無用かと思われた時、スパイザーが声を上げた。
「はっはぁ! お嬢さん、雑魚じゃ物足りなくなってきたろ? 今日は特別ゲストも来てるんだ」
「余計なお世話ですわ!」
「まあそう言うなって。あのデカいだけの木偶の坊がどこまでやれるか知らんが……ほら来やがった」
「この地鳴りは一体……?」
ズシンズシンと、断続的な地鳴りが近づいてくる。
音のする方に目を向けると、こちらに向かってくる巨大な影。
装甲は剥げ、酷い場所ともなればコードすら剥き出しになっている。パーツを別物で補っている部分も、明らかに安価なパーツを無理やりつけたような跡もある。
しかし、その巨体はまさに新エリー都が誇るハードパンチャーにして守護神そのもの。
「紹介しよう、“野良テューポーン・ボロボロ”だ」
『ウォォォォ!!!』
錆びついた機械音声が轟く。
ろくな手入れもできていないだろうスピーカーから出る音は酷いものだったが、音質とは裏腹に知性を感じさせるものだった。
『頼む、どうか負けてくれ! わざとでいいんだ! 自分を修理するのに金がいるんだ!』
「んな虫のいい話があるわけなくてよ!」
『虫のいい話なのは分かってる! だが私だって死活問題なんだ! 私はまだ生きていたい!!! 死にたくないんだ!!!』
悲痛な叫び声を上げる、ボロボロのテューポーン。
威圧的に迫りくる姿とは裏腹に、振り上げた拳には迷いが見える。
「どうしましたの!? その殴打に特化した拳は飾りではなくてよ!!!」
『う……わ、私はテューポーン、秩序の守護者……み、民間人に危害は加えられない……加えたくない……』
「んな甘っちょろい覚悟で野蛮な祭りに参加するなですわああああああああ!!!」
『やめてくれええええええええ!!!』
ルーシーが、バットで一番近くにいたヘルバをかっ飛ばす。すると、鋼の巨神はゆっくりと轟沈した。
彼女の厳しすぎるシゴキに耐え続けた結果、生命体とは思えないクソほど頑丈な肉体を手に入れたイノシシのシリオンの子供との激突は、型落ちな上にろくな整備もしていないテューポーンを沈めるのに十分な威力を持っていた。
「弱っ、弱ぇーよ」
「チッ、役立たずのデケぇガラクタが。だが今日は特別でね、もう一人来てるんだ」
『ナンナン〜』
「なにっ」
ライトは背後に現れた気配に飛び退いた。
「な、何だあいつは……?」
「お前も噂くらいは知ってるはずだ。郊外まで届く奴の悪行をな」
パエトーン、千面相、キャプテン・マッスル……新エリー都で指名手配を受けている者達。
彼らは治安官にとっては悩みのタネだが、一般人にとっては、正直何をしてるのか良く分からないけどまあ悪い奴らなんだろうなぁ、くらいの認識である。
だが奴は違う。
殺人、強盗、レイプ、放火、詐欺、偽札偽造、外患誘致、内乱罪、テロ……ありとあらゆる新エリー都の法律を犯し尽くした超凶悪犯罪者。やっていない犯罪は無いとされる正真正銘のクソ野郎。
その残虐無道の行いから新エリー都中を恐怖に陥れている、自ら地獄行き特急を乗り回す極悪人。
逃亡中に重症を負い、肉体を捨て、とある知能機械に人格のみ乗り移った史上最低最悪の逃亡犯が郊外にやってきた。
その名を――
「“ハンザイ・ボンプ”……くたばったと噂されてたが、しぶとく生きてやがったのさ」
『ナンナン〜』
まるで黒い全身タイツのような、筋骨隆々のサイバー・ボディ。
太く、長くそびえ立つ股間部分のバイブレーション・パーツ。
あまりにも醜く邪悪なその肉体の頭部は……ボンプそのものだった。
「なんて……なんて悍ましいんだ」
『こ、こんなの酷い! ボンプへの冒涜だよ!』
屈強な身体の巨漢が、ボンプの顔をしている。
そのあまりにも悍ましくアンバランスな姿に、誰も彼もが眉をひそめた。
『ナンナン〜』
だがハンザイ・ボンプ……ハンザイは、そんな化け物を見るかのような目を意に介することなく、倒れ伏したボロボロへと近づいた。
『な、何をする!?』
『ナンナン~』
ハンザイが、テューポーンの右腕に手をかける。
そして力強く引っ張ると、ミシミシという嫌な音が鳴る。
『ま、まさか……やめろっ』
『ナン~』
動けないボロボロが身をよじるが、ハンザイの怪力にかなわない。
度重なる改造によって驚異的な出力を手に入れた身体は、型落ちとはいえテューポーンすらしのぐ。
『ナンナン~』
『や め ろ お お お お』
バ キ ッ
鋼鉄の腕が、いとも簡単に引きちぎられた。
『ナン』
『う あ あ あ あ』
ハンザイは、もう用済みだとばかりにボロボロを蹴り飛ばし、遠くへ転がした。
この身も心も化け物と成り果てた邪悪に仲間意識などない。あるのは利用価値があるかどうか、快か不快かのみである。
「ひ、酷ぇ……」
「どこまで外道なんだテメェは!?」
郊外でもまず見ないレベルの悪行を、息を吸うかのようにやってのける。
その邪悪な気配はカリュドーンの子にも感じ取ることができた。彼女らは、ハンザイに対して敵意を向けた。
『ナンナン~』
「キッッッッッショ」
ハンザイはそんな蔑みと怒りの目を気にすることなく、股間のバイブレーション・パーツを振動させた。
目は女性陣にもライトにも向けられており、見るだけで鳥肌が立つ生理的嫌悪を放っている。
「タイマンなんて甘いことは言ってられないようだ、全員で奴をブッ倒すぞ!」
「多勢に無勢だいっけぇ」
カリュドーンの子と、いがみ合っていた走り屋。
それが一丸となり、ハンザイへと向かう。掟を守らない者は確実に殺される。それが郊外だ。
『ナン~』
「チィッ、こいつ強いな」
テューポーンの右腕を振り回す。ただそれだけの行為が破壊の嵐を呼び、敵対者を近づけない。
この残虐な犯罪者にとって多対一の戦いなど日常茶飯事。どんな手を使ってでも相手をなぶり殺しにする。
「キャアッ!?」
「ルーシー!?」
ルーシーが、突如として伸びてきたバイブレーション・パーツに足を取られた。
趣味の悪い武装だが、相手の意表を突くことに関しては天才的。そしてレイプもお手の物。はっきり言って、ホロウレイダーなどのならず者の感性からしても嫌悪の対象である。
『ナン~』
「ヤバいっ」
シーザーがルーシーを庇う。
しかし、無理な体勢で受け止めたせいか、徐々に押し込まれる。
その間にハンザイを攻撃しようにも、隙の無い立ち振る舞いと股間によって近づくことさえてきない。
だが、その時だった。
『ナン?』
「これは……電気?」
電撃を放つ特殊弾頭がハンザイを襲う。
それによって一瞬だけ痺れたハンザイは、急いで電撃を振り払った。
「一体誰が……」
『ンナッ』
ハンザイの指先から弾丸が発射された。
隠し玉というほどではないが、相手の意表を突いて仕留めるのに便利な武装。しかも意外と射程と貫通力もある。
ハンザイが銃弾を放った物陰から現れた人物は……
「こんな奴に良い様にやられるなんて、カリュドーンの子も大したことないね」
「お、おいプルクラ。お前の持ち場はここじゃないだろ?」
しなやかな、黄色い猫科動物のシリオンの女性。
見る者が見れば刺さる容姿をしているが、同時に危険な魅力を放っていた。
「雇い主から、怪しい連中が郊外で暴れてるから任務を中断して倒してこいって言われたんだよ。もちろん、追加料金はたっぷりもらうけどね」
「お前らしい。だが助かった、あの変態犯罪者をブッ倒すのに協力してくれ」
「もとよりそのつもりだよっ」
『ナン~』
太い腕を投げ捨てたハンザイは、迫りくる連合軍団を単身迎撃した。装甲も怪力も強いハンザイだが、徐々に押し込まれていく。
ライトとベルラムが前面に出ての、できる限り近づきたくない女性陣によるヒット&アウェイ。さらに新たに加わったプルクラの援護射撃によって、追い込まれているのだ。
『ナン~……ナンッ』
「なにっ」
『あれは……』
ハンザイがその場から離脱する。
そして、打ち捨てられたコンボイの荷台に何かを詰め込み、持ち上げた。
「何を……」
『警告。高濃度の活性エーテル反応を検知。エーテル侵蝕爆弾と予想されます』
『エーテル侵蝕爆弾!? 皆、離れて! 早く! コンボイが爆発する!』
被ばくした対象の侵蝕を加速させ、酷い時ともなればエーテリアスへと異化させることもある条約で禁止されている爆弾。
それがたっぷりと詰まったコンボイが投げつけられる――
『ナンッ!?』
「狙撃!?」
ハンザイの頭部が、何者かに狙撃された。
それが貫通することも、大きな損傷を受けることもなかったが、ハンザイは驚異に思ったようだ。
「モルスの奴か、えげつねぇタイミングだな」
「姿が見えないところで相手にはしたくないね」
覇者連合のモルス。
かつて郊外で最も恐れられた賞金稼ぎの狙撃は、寸分狂うことなくハンザイに命中したのだ。
唯一の誤算は、ハンザイが思いのほか硬かったことだが、第二の弾丸はすでに放たれている。
『ナン――』
ハンザイが持ち上げたコンボイが爆発炎上した。
活性したエーテルの粒子が輝きを帯びて周囲に飛散する。
「終わったか……とんでもねぇ奴だった――」
あの爆発に巻き込まれて無事で済むはずがない。
そう思って、一息つこうとした時だった。
『ナンンンン!!!』
「まだ生きてやがったのか!?」
明確な怒りを表し、ハンザイが煙幕から飛びかかってきた。その対象はライト。
「確か……こうか?」
だが、ライトは身構えながらも余裕綽々な態度。
やがてハンザイが間合いに入ると……
「しゃあっ、コブラ・ソード!」
『ナンッ!?』
凶悪な膝蹴りがハンザイを迎え撃つ。
先ほどまで、ライトは拳ばかり使っており、足は添える程度だった。
それに意表を突かれたハンザイは、まともに膝蹴りを喰らったのだ。
『ナ、ナンナンンンン!!!』
「まだ動けんのか。だが動力源はめちゃくちゃらしいぜ。それに――」
「――オレっちを忘れてもらっちゃ困るぜ!!!」
『ナンンンン!?』
ベルラムのチェーンソーが、ダメ押しとばかりにハンザイを削り取る。
それを見届けたライトは離れ、ベルラムがニヤリと笑う。だが、チャンスとばかりにベルラムを殴りつけるハンザイは気づかない。
「ちなみにこの武器は火炎放射もできるんだぜ」
『ナンッ』
「食らいやがれっ」
ベルラムの武器から高温の火炎が放射される。
チェーンソーとベルラムに気を取られていて、火炎放射器に気づかなかったのだ。せいぜい、楽に避けられるグレネードランチャーだと思い込んでいた。
『ナ ン ン ン ン』
ハンザイが炎上し、やがて燃え尽きる。
煙を上げるハンザイは、また立ち上がろうとしていた。だが、それよりも。
『お……おい、あれを見ろ。“死神医療チーム”が待機してやがる。決着がついたらすぐに“心臓”を抜き取るために』
「えっ」
いつの間にか現れた、死神医療チーム。
今度は車体をドリフトさせ、中から2体のエーテリアスが急いで駆けてきた。
『ISOGEッ』
側まできた1体が倒れたハンザイを拘束し、もう1体がメスを取り出した。
「あ、あれは……」
『あれは超侵蝕エーテル無麻酔メス。あの死神医療チームを“死神”足らしめてる最悪の医療器具だよ』
メスがハンザイの胸部に当てられる。
機械の肉体に痛覚など存在しない。存在しないはずなのだが――
『ナンッ!? ナ ン ン ン ン』
「は、ハンザイが激痛にもだえているっ」
超侵蝕エーテル無麻酔メス。
それは、相手を特濃エーテルで侵蝕しつつ、地獄の激痛を与えながら切り開くというもの。
その特殊なエーテルが侵蝕すれば、機械にすら擬似的な痛覚を与えて地獄を見せることができる。
『ナッ……ナッ……』
『あれは機械人用の高級エーテル動力性強化心臓。きっと誰かから奪ったものなんだろうな』
全身から様々な液体を出しながらハンザイが痙攣する。もはや侵蝕によって死は免れず、命は風前の灯火だろう。
そんな凶悪犯罪者を一瞥することもなく、死神医療チームの2人が救急車型エーテリアス、“奪命車”のバックドアを開く。そこには――
「うげっ」
「何だあれは……」
担架に乗せられている、脈動する“心臓”。
2人はその心臓にハンザイから取り出した心臓を埋め込む。すると、脈動する心臓が一層強く脈打つと、心臓同士が融合した。いや、取り込まれたというべきだろう。
『う、噂は本当だったんだ』
「噂って?」
『死神医療チームは、大量の心臓を集めてあるものを作ろうとしてるんだ』
「あるもの?」
『うん。それが移植した者に異能を与える魔の心臓……“ガルシア・ハート”』
かくして、野蛮人によるカリュドーン・ラッシュは終了した。
これから彼女達は、ツール・ド・インフェルノに向かって備えていくのだろう。
「俺はキャプテン・マッスルだぁっ
まだルーシーを倒してないなんてお前達には安心したよ
5000万ディニーなんてはした金と大切な命で釣り合うと思うなよ
せめて命ぐらい大事にしてくれよ
そんな勇気と無謀を履き違えた君たちにいい知らせがある
“カリュドーン・ラッシュ”という依頼は撤回された
今回かかった費用
医療費・抗侵蝕薬・武器…とにかく何でも補填だ
お前達とルーシーの命さえ無事なら言うことはない
ただし負傷したなら必ず一報を入れろ
もたもたしてると超危険エーテリアス“死神医療チーム”が現場に急行するからな」
野蛮人大全
『アタ・シンチ』
・半魚人のような魚のシリオン。
かつては貧しい生活をしており、漁師をして食い扶持を稼いでいたが、不漁の影響で家庭は崩壊した。
それからは水中でも生きられることを生かして新エリー都中を転々とし、違法な漁やホロウレイダーまがいなことをしていた。
口から冷凍光線を吐ける。
『スパイザー』
・右手が義手になった男。
元ホロウレイダーであり、その際に仲間の裏切りによって右腕を失い、超強化不活性エーテル・プラスチック製の赤い右腕を手に入れた。
その義手はどんなタイミングでもワンインチ・パンチを放つことができる。また、奥の手として掴んだものをスパイス化することができる。
『レイベン』
・全身に超合金エッジを取り付け、それを回転させて戦う謎多き殺し屋。
『庭師』
・二刀流の少女。
ハンレイという白いボンプを連れ、ホロウや新エリー都で強者と殺し合っている。
また、彼女と行動を共にするハンレイは、彼女のデータを日常生活から戦闘にいたるまで全て記録する、文字通りの半身である。
何故かアンビーや11号に似ている。
『野良テューポーン・ボロボロ』
・ボロボロのテューポーン・チャレンジャー。
エーテリアスとの戦闘の影響で回路にバグが起き、奇跡的に知能を得て防衛軍を追われることになってしまった。
以降は自分を構成するパーツの調達に苦心し、市販のパーツや代替品によって騙しだましやってきた。しかし、限界が近づいていることを察し、大金を得るためにカリュドーン・ラッシュに参加した。
それ以外には犯罪などはほとんどしておらず、ホロウ内に勝手に入り込んで機械のパーツを拾っていたことくらい。例え知能を得て脱走しても、彼の心は市民の味方だった。
『ハンザイ・ボンプ』
・新エリー都において全ての犯罪を犯した極悪人。手配書はもちろんデッド・オア・アライブであり、生死は問わないが死が望まれている。
かつては生身の人間であったが、逃亡中に重症を負い、ボンプへと意識を移した。