恐らくアンチ・ヘイトまではいかないと思われるが……不快に思われたら修正するのん
パールマンが思ったより小さくて困惑したのは俺なんだよね
そしてお見事ですパールマン。あなたのやったことを擁護するつもりはないが、私の睨んだ通りあなたは強かなCEOだ
ブリンガー……あなたは謎だ
サラ……あなたも謎だ
始まりの主=神
最も強いから神なんや
「――ええい! 癪に障る演説だァーっ!」
自分で考えた演説内容なのに自分でキレるブリンガー。
そんな彼のもとに、何者かがやってきた。洒落た服に化粧、見るからに出来る女性といったその女。
「フフフ……自分で考えた原稿でしょう? 何をムキになっているのかしら?」
「サラ……何しにここへ来た?」
この女、一見仕事めっちゃできますよオーラを出しているが実際はそんなことはない。
普通にFairyを奪われたり、裏でパールマンを操ってスラム爆破を防がれたり、白祇重工を邪魔しようとしたけどサクリファイスは普通にH.A.N.D.の手の中だったり、バレエツインズをNHMウイルス爆破も未遂に終わり、恐らくルシウスのケツ持ちとして色々用意したけど新たな強者を生み出すに終わり、六課をVR空間に閉じ込めたけど普通に観光された上データも千面相も消え去ったり。
やることなすこと全部失敗に終わってる人面獣心のポンコツ女ことサラである。
「ヴィジョンという隠れ蓑は社会的に絶命し、モニュメントの中身はH.A.N.D.の手の中、千面相はいつの間にか忽然と姿を消し、郊外のバカ共は伝説を目の当たりにしてさらに勢力を増した……そんな人生は虚しいか?」
「計画は目的のための手段であって、目的そのものではないわ。シチュエーションに基づいて調整するか、新しい計画を立て直すか……信徒としての資質が試されるわね?」
「……(いや、計画が失敗を織り込み済みでも最終目標を達成できてなさそうだから言っているんだが……指摘したら面倒だから言うのはやめておこう)」
その計画をその場にいた連中やマネモブにめちゃくちゃに荒らされておいて、今更何を言うのか。
ブリンガーにはそれが理解できなかった。まあ、これだけ荒らされても冷静さと余裕たっぷりなのは彼女の才能なのかもしれない。あるいは面の皮が死ぬほど厚いのか。
「……私と貴様の位に差はないんだ。頭ごなしに何かを言われる筋合いはないんだ。我々に命令できるとしたらあの人くらいだぞ」
「そう興奮しないでちょうだい。ちょうど、あなたの新しい計画に手を貸してあげたいの。この人の情報でね」
「……ま、まさか」
ブリンガーはサラの持つタブレットを凝視する。そこには、ある人物が映っていた。
大柄なブリンガーをはるかに超える巨体、今も運ばれている食料を貪り食っている、恐らくは女性と思わしき人物。その名は……
『星見雅のことが気になってるんだろ』
「カ、カズ婆……!」
カズ婆と呼ばれた巨大な女性。
ブリンガーは、その姿に緊張しているようだった。
『そんな緊張しなくていいさ、ガーちゃんと私の仲だろう?』
「え、ええ。それで、星見雅のこと、とは? 確かに虚狩りのことは気になりますが……」
『星見雅の秘密を教えてあげよう――』
カズ婆は語る。
星見家にまつわる歴史、そして妖刀“無尾”にまつわる秘密を。
「――あ、あの星見家にそんな秘密が!?」
『その通りさ。私の予言的中率は知っているだろう?』
「き、90パーセント……!」
『1割を引かなければね』
カズ婆は的中率90パーセントをほこる予言者であり、ブリンガーやサラを超える“教団”の重鎮である。
その予言によって高い発言力を得たカズ婆に逆らえる者はあまりにも少ない。少なくとも、ブリンガーは内心はともかく逆らおうとはしなかった。
ちなみにサラはカズ婆を利用する気満々であり、カズ婆はそれを見抜いて、サラはそんなことは織り込み済みで、カズ婆はそれも見透かして……そして自己崩壊が始まる。
「まあそういうことよ。それで、この情報をもとにしたプランがあるのだけれど……それにはあなたの助けがいるのよ。清廉潔白なヤヌス区総監の手助けがね」
「……また連絡する。このクソッたれな原稿を丸暗記した後でなぁ」
「好きにしてちょうだい。あなたらしい演説を期待しているわ……ブリンガー次期総監さん」
肩を怒らせて露骨に不機嫌に遠ざかるブリンガー。
不意にサラが、明るい声で聞いた。
「ねぇ、演説で言ってたリーダー……小さいあなたを新エリー都に導いた英雄は……その後どうなったの?」
「――彼は侵蝕症状に侵されていた。新エリー都に到着する直前、自分がずっと守ってきた人々の手によって荼毘に付したよ。骨だけは持ってきて今はある場所に置いてある」
「ある場所?」
「それはいい。今度はこっちから質問だ……カズ婆、我々の未来について……あなたは一体何を見たんです?」
カズ婆は、画面の向こうのブリンガーを見ながらくつくつと笑い、こう答えた。
『ああ……降臨した始まりの主に、人々が平伏し、
「……だと良いのですがね」
「あら? カズ婆を疑う気?」
『いいさ、しょせんは90パーセント……アテにできる確率じゃない。せいぜい頑張ることだね』
果たして、ブリンガーとサラに、カズ婆の言葉の真相を知る術は無かった。