高濃度猿侵蝕体“マネキン・モブ”   作:アースゴース

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オリホロウ調査員、オリボンプ注意。
まあ名無しのモブなんやけどなブへへへ


マネキン・モブ(死人のように生きてるクズ)

 零号ホロウ。旧都陥落の原因であり、ありとあらゆる強力なエーテリアスや、凶悪なホロウレイダーの溜まり場と化した野蛮人の巣窟。

 そんな恐ろしい場所に、とあるホロウ調査員が入り込んでいた。理由はもちろん、調査のためである。

 

 「いやー、ついに来たのおォ、零号ホロウ」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 対浸食装備に身を包んだ調査員と、眼帯をつけたボンプのコンビだった。

 彼らは未だ謎多き零号ホロウの調査に来たのだ。

 

 「見ろ、病院もそのまま残ってる。ちょっと入ってみようか」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 まだ未探索のエリア。

 そこに存在したのは、かつての病院。旧都陥落の際、打ち捨てられたものだ。

 中にいた患者は避難したのか、それとも想像を絶する悲惨な末路を遂げたのかは分からない。だが、それも今回の調査で判明するだろう。

 

 2人は病院の内部に侵入する。

 中はところどころ崩れていたり、電気が止まっていたりするものの、原型はとどめていた。その上、しばらく探索すると抗エーテル剤までもが見つかった。

 だが、そこには大量のエーテリアスが徘徊しており、物資を持ち出すことは難しかった。

 

 「こいつらまだ医療従事者気取りか? 何だってエーテリアスになってまで働いてんだよ」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 そこには多くのエーテリアスが、まるで医療従事者のように職務に追われていた。

 恐らく、生前の行動が強く発現したのだろう。隠れているとはいえ、調査員にもボンプにも気づかず、無人のストレッチャーを押したり資料をあちこちに運んだりしている。

 

 「とにかく見つからないように動こう」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 彼らはエーテリアスを避けつつ、別の道へと進む。

 その途中で、落ちていた資料を拾い集める。彼らは何も目的もなく病院へ入ったわけではない。このような病院に存在するカルテや名簿などの資料を集め、犠牲者や生存者の捜査を目的としたのが今回の調査である。

 

 「……? 待て、この廊下なんか綺麗だぞ?」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 どこも崩れていない壁、電気の通った非常ベル、磨かれたリノリウムの床。

 まるで、通常の病院のような光景。まさか、エーテリアス達が掃除したわけでもあるまい。

 彼らは慎重に、やや前屈姿勢となって廊下を進む。いつ、何が出てきてもいいように。

 

 「! 何か来る!」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 廊下の曲がり角から、何かが見える。

 エーテリアスか、ホロウレイダーだろう。どちらにせよ、1人だけなら楽に対処できる技量が調査員にはあった。

 警戒を最大限に高め、その存在を待つ。

 

 「あ、あれは……!?」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 見えたのは、屈強な身体。

 そして、マネキンのように生気の無い顔。

 堂々と廊下を練り歩くその姿はまさしく――

 

 「うぁぁぁぁ…え、エーテリアスが廊下を練り歩いてる」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 その全身にみなぎるエーテル濃度から、デッドエンドブッチャーレベルの超危険エーテリアスだと理解できる怪物だ。

 それこそ、虚狩りでも呼ばなければならないほどであるというのが分かる。

 

 彼らはファールバウティくらいなら勝てるが、そんな怪物に抵抗する手立てはない。

 急いで逃げようと、窓を叩き割ろうとする。だが、待っていたのはさらなる絶望だった。

 

 「お……おい、あれを見ろ…“死神医療チーム”が待機してやがる。俺達が動けなくなったら殺すために」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 窓の外を見ると、白衣を着た2体のエーテリアスと、救急車をそのまま改造したようなエーテリアスが待機していた。

 彼らは死神医療チーム。自ら人間や知能機械を襲うことはないが、獲物が動けなくなったら容赦なくその心臓を奪いに来る超危険なエーテリアスだ。

 さらに、人間のみならず同じエーテリアスまで毒牙にかかっている。

 

 その恐ろしさから、ホロウ調査協会からは要警戒エーテリアスに指定されていた。

 彼は、かつて見たホロウレイダーの恐ろしい死に方を想起し、戦慄した。

 

 「ファーックいずれ俺たちもああなっちまうのか」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 あのエーテリアスの武器は何かと考察する。

 何も持っておらず、屈強な肉体を持つことから、ゴブリンのように打撃が主体だろう。

 だが、他に備わった特殊能力は? タナトスのように重力を無視した高い次元での瞬間移動能力を持っているかもしれない。

 

 彼らは来るだろう攻撃に備えて身構える……が、予想に反してエーテリアスは彼らを横切っていっただけだった。

 そして、医療に従事するエーテリアス達の群れに混ざり、やがて見えなくなった。まるでその他大勢(モブ)のように。

 

 「……帰って急いで報告だ」

 『ンナンナ(ですねぇ)』

 

 やがて帰還した調査員は、件のエーテリアスを記録した映像を提出した。

 ホロウ調査協会は、その奇妙な行動を取るエーテリアスに、こう名付けた。

 

 マネキン・モブと。

 

 

 





 『死神医療チーム』弱点:なし 耐性:なし
 人型2体、救急車型1体からなる三位一体のエーテリアス。
 直接的に生物や知能機械を襲うことはないが、危機的状況にある者を感知するとどこからともなく現れ、死ぬまで待機する。これは、危機に瀕した生物のアドレナリンなどを感知しているという説が有力。知能機械に関しては、電波の乱れなどの説がある。
 獲物が倒れた際には、その心臓を抜き取ってどこかへ去って行くという恐ろしい生態をしている。

 倒れ伏し、動けない状況。
 響く足音はまさに死神そのもの。
 ホロウへの愚かな侵入者は、その心臓を以て罪を贖うこととなる。

 「お……おい、あれを見ろ。“死神医療チーム”が待機してやがる」
 「決着がついたらすぐに“心臓”を抜き取るために」
 ――ドラゴン・ラッシュ参加者の会話








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