血が出るほどの傷を負うと、濃度が低い場所でも侵蝕の可能性がある(アリスの証言)
エーテルは空気感染するッ?
ゴングを鳴らせっ呼吸停止だっ
「リン大丈夫? 気絶させられたみたいだけど」
「うん、どうということはないよ」
フェロクスの一派に捕まった一行は、下種な獣欲を滾らせる男たちに辱めを受ける――などということは全くなく。
リンが雲嶽山関係者であること、アリスが自社の調査監督チームであることから、どのような結果になるとしても手出しを躊躇ったフェロクスが、丁重に牢に入れておくように命じていた。
そもそも、腐ってもポーセルメックスというTOPS傘下の大企業のCEOの部下達だ、教育は行き届いており、彼等にも教養や倫理観はある。横柄な態度は目立つとはいえ、レイプなんてものをやらかすことなどない。いたら即座に退場ッさせられるだろう。
「とにかく、ここはポーセルメックスと讃頌会が共同研究をしてた危険な場所なんだ」
「柚葉……」
「そういえば、真斗君とガルシアは?」
リンは、目が覚めてから気づいたのだが、真斗とガルシアの姿が見当たらない。
「……真斗は、拘束を振りほどいて見張りに頭突きしちゃったせいで尋問に連れてかれちゃった」
「あ、ガルシアはガタイがいいって理由で一緒に連れていかれたのだわ」
「そうだったんだ……」
予想外の理由で連れていかれたものの、ガルシアにとっては渡りに船だった。
連行された彼は、あわよくば尋問の量を自分と真斗の二人に分散させようと考えていた。
尋問対象が二人に増えたところでフェロクスの部下が手心を加えてくれるなどとは毛ほども思っていなかったが、それでも威圧感のある大男二人を尋問するのは逆に精神力がいる。
隙を見せれば容赦なく拘束から脱出し、その場にいる者を叩きのめすことができるかもしれない。
加えて真斗はタフなので他三人と比べると万が一の際、命の危険性は低い。
ガルシアは、二人ならば問題なく脱出できると判断した。
「でもそのおかげで分かったこともある。あの爆薬の搬入を指示してた奴は、やっぱりフェロクスだったよ。で、あんな量の爆薬を使って工場やオブスキュラを木端微塵にしたい理由もね」
「! マネモブと一緒に爆発した怪物だね」
一行は裂け目へ入る直前マネモブ諸共、怪物が爆発で吹き飛ばされたのを目撃している。
ちなみに、リンとガルシアはマネモブは生きているだろうと思っているが、柚葉、アリス、真斗はマネモブが死んだと思っている。
それは、あの時のマネモブがかなり負傷をしており、これ見よがしに包帯などを巻いていたからだ。
特に頭部のマネキンは粘土か何かで塗り固められており、無理やり補強したような様相を見れば、爆発に耐えられる身体だとはとても思えない。
だが、あの怪物はまだ生きているだろう。彼らはそう思っている。
「フェロクスの部下達は、あの怪物を“ミアズマ・フィーンド”って呼んでた。ちょっと前から急にオブスキュラ工場の周りに現れたらしい」
怪物の名はミアズマ・フィーンド。
フェロクスは討伐作戦を決行したが返り討ちにあい、逆に被害は増したらしい。
その上、最初は工場周辺だった行動範囲も、どんどん広くなっている。このままではいつ被害者が出るかも分からず、死人が出たら出たで調査に来たHIAやH.A.N.D.に讃頌会との繋がりがバレて確実に殺される。
そのため、証拠ごと怪物をブッ壊してしまおうと思い立ったわけである。
「流石はポーセルメックス。証拠隠滅が大胆だね」
「大胆で済む問題じゃないのだわ」
「そーゆーこと」
何の因果か、一行はオブスキュラの破片から大事件までこぎ着けた。
だが、この状況をどう打開すればいいのか。
「そういえばさっき、ホロウの外との通信ができないって言ってたけど、今はどう?」
「ダメだね。何度やっても繋がらないみたい。でも接続が切れる直前にFairyが、確か『未知の対象が接近中』って言ってたんだよね。あの時は未知の対象=怪物って思ってたけど」
「まさか……通信ができない理由は適当観側にある……?」
パエトーンがH.D.Dとp接続できないのは、適当観で何かあったからかもしれない。
だがあそこには適当観の皆がいるし、最悪近くには灘・真・神影流道場があるので心配しすぎるのは早計だろう。
しかし、事の成り行きをただ手をこまねいて見るようなことはしない。三人は、早速脱出に向けて動いた。
「こんな窓の無い部屋なら換気用の通気口があるはずだから、さっきと同じように脱出できるはずだよ」
「なるほどいい考えなのだわ!」
「それに、運のいいことに見張りはあわててどっかに行っちゃったんだよねぇ~。『タシロさんが死んだあっ』とか何とか言って」
「“タシロ”さん……? ……いやまさかね」
「リン、どうしたのかしら?」
「い、いや何でもないよ! ささ、通気口を探そう!」
リンは、感覚の術でミアズマの壁を崩壊させ、通路を暴き出した。
彼女達はガルシア・アイをオカルトとか言っていたが、リンの術法も大概である……体系化された技術であるだけマシなのかもしれないが。
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「吐け! まだ殴られ足りねぇかバカヤロー!」
「とっとと吐けってんだよコノヤロー!」
「ぶっ殺すぞコノヤロー!」
真斗とガルシアを見つけ出した三人。
彼女達が目にしたのは、複数人の男から激しい暴行を受ける真斗の姿。
対してガルシアは拘束されながらも無傷……異様な状況だったが、看過できるものではない。
「しゃあっ」
「な……なんだあっ」
アリスと柚葉が不意打ち気味の一撃をしかける。それだけで何人かが失神KOされた。
そこでようやく気付いた男達が、各々の武器を構えて迎撃するが、あまりにも遅すぎた。
「やっ!」
「う あ あ あ あ」
情けない声を上げて倒れ伏していく男達。
よく訓練されているようだが……地力の差はいかんともしがたいものだ。
「ぬおおおお腐れメスブタ共ブッ殺したる」
「! リン!?」
倒れたが、気絶していない者が銃を手に取った。
その対象は、隠れていたリン。吹っ飛ばされた先が、運悪く彼女の隠れていた近くだったのだ。
このままではリンは凶弾に貫かれてしまうだろう。
だが、ゴキゴキと。
骨が鳴るような音は戦闘音にかき消され、誰も気づかなかった。
「えっ」
ゴキャ
骨の折れる不快な音。
その発生源は、リンに向け銃を撃とうとした男の腕。
「ぎ ゃ あ あ あ あ」
「ガルシア!」
そう、男の腕はガルシアに銃ごと踏み砕かれていた。
血と鉄が混ざり合い、骨との判別もつかない。
「さっきまで捕まってたのに、どうして?」
「……」
ガルシアには特有の能力……“ボーン・コントロール”が存在する。
例え関節技をかけられても、異様な角度に曲げられたとしても、その身体は折れることは無い。
まるで軟体動物。ガルシアは、関節技すら無効とする生粋の戦闘マシーンなのだ。
「……」
銃弾を無造作に拾い上げたガルシアは、それを投擲する。
「ギャッ――」
「あっ、一発で折れた――」
「やめろ、やめてくれガルシア、やめろ――」
ガルシアは100メートル先の狙撃手を正確に捉え、投擲で仕留めることができる。
数十メートルにも満たないこの距離なら、雑に投げても外すことは無い。
「よしっ、こっちは終わったのだわ」
その場にいた全員を叩きのめした後、皆は真斗に駆け寄った。
真斗は酷い怪我であり、暴行の激しさがうかがえる。
「真斗大丈夫!? 酷い怪我だけど」
「ああ、どうってことはねぇ」
ゲホゲホと咳き込む真斗。
口では大丈夫とは言っているが、あまり無事には見えない。
「頭から大量の水をかけられてたから、ちょいとむせただけっス。あいつらの尋問がカスすぎて怪我も大した事ねーし」
「うーん、言われてみれば……?」
倒れている男達と、真斗の肉体を比べてみる。
両者では、あまりにも筋肉の“分厚さ”が違う。いくら殴ろうが、大したダメージにはならないのではないか。そう錯覚するほどだ。
加えて真斗はシリオンで、しかもタフだ。
「それよりガルシアは?」
「……」
「無事みてぇだな。やっぱ俺が尋問受けて正解だったぜ」
「どういうこと?」
真斗は、ガルシアを庇ったという。そのワケは――
「ガルシアは俺より強ぇ。そりゃあ、正面切って戦うってなったら負けるつもりはねぇよ。でもガルシアの強さはそうじゃねえ」
真斗は濡れた身体をタオルで拭きとる。
「ガルシアは軍隊上がり、特殊部隊だったんだろ? じゃあ潜入とか特殊作戦のプロってわけだ。そんな技能を持ってるガルシアの体力を温存できれば、結果的に俺達も助かるって寸法よ」
「なるほど。確かにガルシアの動きはシロートじゃないね。真斗にしては中々の考えじゃん」
「まっ、ホントはダチが殴られるのには耐えられねえってだけだがな」
「真斗は真斗だったわ……」
真斗は、これまでの経験からガルシアを特殊部隊上がりの大人だと思っていた。
実際は自分よりはるか年下の少年どころか幼児なのだが、彼が見せたステルス技術や銃器の取り扱いなどを見て勘違いしていたのだ。
だが、その技術は本物だ。真斗の判断は間違っておらず、まさに最適解ともいえた。
「まあ俺のことはいいんだ。それより、どうやって脱出するんだ?」
「そうだ、早く脱出手段を探さないと!」
「あ、あのう……」
リンがそういうと、アリスが手を挙げた。
「タイムフィールド家を継ぐ者がこんなこと言うのはあまりにもあんまりなのだけど……私にいい考えがあるのだわ」
「その方法って?」
アリスのいい考えとは――
「やられたらやり返す。倍返し……はかわいそうだからそっくりのままお返しなのだわ!」
バシャッ
近くで気絶していた男に、バケツの水をぶっかける。
「ゴホッ、ゲホッ! ゲホッ! ッェエッ……オエ゛ッ! お、お前ら……」
「お、思ってたより苦しそうでリラックスできないのだわ!」
「苦しそうだね~、心臓抜いて楽にしてあげようか?」
「心臓抜くってまさか……死神――」
「シーッ! ここはホロウだ! “奴ら”に聞こえる!」
散々で好き勝手な物言いだが、彼は先ほどまで真斗を尋問していたのだ。かける慈悲はあまりない。
「どういう尋問を受けたい? 暴行か? 精神崩壊か?」
「言っとくけどここにいるガルシアはその手のプロだよ~?」
「ヒイエエエエ!? やめてくれええええ!!! 全部話す! 知りたいこと全部ゲロったる。ワシめっちゃザルやし」
わが身可愛さが過ぎるが、彼らにとっては好都合である。
「じゃあ出口は?」
「じ、実験棟の二階……」
「実験棟?」
実験棟は、倉庫の正面ゲートを出て向かいの建物らしい。
その二階の奥に安定した裂け目があり、工業港の近くまで通じており、彼らは以前、そこから来ていたという。
「お前の言葉がマジだと? そのエビデンスは?」
「お、おおおお俺のスマホがケツポケットに入ってるんだ、その中に地図があるんだ」
「ったく……せめてスーツの内ポケットに入れろよえーっ」
ケツポケットをまさぐる真斗だが、思いのほかズボンの強度が硬く苦戦しているようだ。
見かねたガルシアはポケットを破り取ってスマホをゲットした。
「どれどれ……」
「ふうん、そーゆーことか」
「柚葉、どうかしたの?」
「え? あー、何でもない。話はガチだったんだなって。裂け目は廊下の突き当りにある部屋の中……でも『以前はそこから来てた』ってどーゆーこと?」
「はっきり言ってあの建物は今マジでヤバい。讃頌会連中の妙な実験のせいで培養タンクに入ったバケモノだらけな上、停電のせいでもうかなりの数が出て来てるとか話になんねーよ」
「ふうん、そういうことか」
道中のフェロクスの話を盗み聞きして分かった、讃頌会と繋がっていること、何か封じ込めていた怪物(ミアズマ・フィーンドではない)が今にも飛び出しそうだということは本当だった。
他の出口に関しては、一行が連れてこられたルートなので使えない。つまり、実験棟を通るしかないということだ。
「お兄さんあざーす。おかげでルートは定まったよ」
「ちょっと眠ってろお前」
粗方情報を搾り取った一行は男を気絶させ、実験棟へと向かった。
Now Loading......
一度に数十と襲い来る大量のエーテリアスを退け、部下達を叩きのめして進み続ける。
一行は疲労困憊の状況だった。朝からぶっ通しでホロウで探索し、真斗に至っては怪我をしている。
柚葉やガルシアの弾薬、アリスのレイピアの切れ味も限界に近い。もはや、残された余力は少なかった。
「裂け目はこっちだよ! 急ご!」
リンを先頭として、一行が裂け目へと走る。だが、その時だった。
――――!!!
「!? な、なんだ今の音は?」
「この扉の奥から聞こえた……もしかしたら、あいつらの言ってた実験棟の怪物かも! 早く離れよう!」
扉の中から聞こえたのは、凄まじい爆発音。
危険を感じた一行は、急いでその場から離れる。
『おい! 実験棟がすげえ音がしたぞ!』
『ガキどもが逃げたあっ』
大量の部下が実験棟へとなだれ込んでくる。
「いけない、あの爆発音を聞きつけられたのだわ!」
「この状況で実験棟の怪物とやらと戦ってたら危なかったかもな」
「でも、外にも二階に行くにもリスクがある……今の状況じゃ、数を相手にするのは厳しい……」
一行は限界の中、必死に考える。
そこで妙案を出したのは、意外にも柚葉だった。
「皆聞いて! 脱出経路はもう一つある!」
「えっ」
「なにっ」
「時間がない! 早く柚葉についてきて!」
下水道へ向かう一行。
ミアズマ製エーテリアスの量は以前として多い。
特に真斗は先ほどから自分を使い潰す勢いで前衛を張り、アリスと柚葉に行く攻撃を受け止め多くの傷を負っている。
「チィッ、まさか俺が限界なんてよ……」
「真斗! 無理せず変わるのだわ!」
一行は少ない物資と体力をやり繰りし、何とか先へと進む。
「ついた! ここだよ!」
たどり着いた先は、板で塞がれた下水道。
柚葉は、この脱出ルートを知っていたのだ。
「リンちゃん、真斗を支えてあげて。アリスとガルシアは、この板を外すのを手伝って。後で浮き板として使うから」
「柚葉……どうしてこんなところを知ってたんだ……」
いくらタフとはいえ、連戦に次ぐ連戦を超えて限界の真斗が息も絶え絶えに聞く。
「ワケは後で、体力の温存を優先して! 水に流されてる時に意識を失ったら……」
「……」
なぜ柚葉がこんなにも地理に詳しいのか。
考えてみれば、応えは一つしかない。
「……ゆ、柚葉は子供の頃、ポーセルメックスの実験体としてここにいた過去があるんだ」
「なにっ」
「な……なんだあっ」
そう、柚葉はかつて実験体だったのだ。
「日も当たらない研究所で一生を終えるって思ってたんだけど、ある日知らないおじさんが
柚葉は過去を思い返す。
何一つ変わっていない。この研究所も、下水道も、ポーセルメックスの闇も。
――フェロクスの部下達であろう怒号が近づいてくる。それを聞いて、何かを決心した柚葉が口を開いた。
「追っ手がそこまで来てる。さっさと脱出しよ」
柚葉はリンと真斗に板を持たせた。
かなり大きく、二人の体重でも沈まないどころか余裕さえあるだろう。
「まずはリンちゃんと真斗。二人で一緒に水に入って」
「お、おう……」
「分かったよ。ありがとう、先に行ってるね!」
ザブン……水に浮かんだ二人は、みるみる内に流されていく。
「次はガルシアとアリスの番だね」
「……ちょっと待つのだわ。柚葉はどうするの?」
「先に行ってて。大丈夫、後から追いつくよ」
ガルシアとアリスを水に浮かべた柚葉の顔から、後から追いつくなどという考えは読み取れない。
柚葉は嘘をついている。二人うは直観的にそう思った。アリスは、柚葉の手をガシッと掴んだ。
「ま、待つのだわ!」
「離して! 先に行ってて!」
「離さないのだわ! この手は絶対に離さないのだわ!」
「……本当に大丈夫だから。ガルシア、あなたは先に行ってて」
「……」
その覚悟を受け取ったのか、ガルシアは小さめの板で流れて行った。
「どうしてなの、柚葉……」
「この戦いは柚葉達の負け。悔しいだろうけど仕方ないんだ。フェロクスは証拠なんて残さず爆破しちゃうと思う。あの男は本気だよ」
二人の少女は言い争う。
それは負の感情からではなく、友情からだ。
「柚葉! 一緒に来て!」
「アリス……」
柚葉の目に、悲壮と後悔が浮かぶ。
「あなたのパパが死んだのは……私のせいなんだ!」
「えっ」
アリスは、その言葉の意味を受け止めることができなかった。
「い、いま……なんて……」
「ごめんね……」
柚葉は、そっとアリスの手に何かを握らせる。
それはマジカルボンプ・セイラープーのヘアピン――かつて、アリスがこの研究所で落としたものだ。
「せめて償わせて……」
「これは……」
アリスがそれに気を取られた瞬間、板を押してアリスを押し流す。
「柚葉ァ――ッ」
柚葉を呼ぶ、アリスの声が
だが、柚葉はそれに背を向け、表面上は気丈に振舞い歩き出した。
「……これで、いい。私には、私のやるべきことがある!」
彼女が進むのは、フェロクスの元。
人面獣心のクソ野郎に従えば友達が助かるというのなら、いくらでも従ってやる。
柚葉には、その覚悟があった。
ザ バ ッ
「……」
先ほどまで柚葉がいた場所に手がかかり、大男が這い上がってきた――ガルシアは波を立てず、激流に逆らい泳ぎ切った。
全ては友人、リンのため、アリスのため、真斗のため……そして柚葉のため。
(ワタシは……役に立つ人間になりたい)
身震いし、びしょ濡れの衣服から水気を飛ばす。
衣服の材質も合わさりほとんど乾いたガルシアは、柚葉を追って進んだ。
Now Loading......
壁に突き刺さったナイフ
ナイフ
飛び散るミアズマ
ミアズマ
ヘレティック・ジェスターの残骸
残骸
ピエロは笑われながらショーを盛り上げる……
『ふーっよかった…』『ありがとうございました』
知能の欠片も無いとは言えど、流石はサクリファイス。
油断ならぬ相手だった。だが殺した。
特に『凶刃狂騒曲』は恐ろしい技だった。しかしマネモブは、ワープと共に宙へ浮き上がったヘレティック・ジェスターが連続で投擲した大量のナイフを全て回避。
最後に繰り出された赤いナイフをはじき返すと、ヘレティック・ジェスターは落下。多大なダメージを受けた上に崩れた体勢により、無防備となったその頭部に塊貫拳を叩き込んだのだ。
『S A Y O N A R A !』
それがサクリファイスの最期の断末魔だった。
頭部を失ったヘレティック・ジェスターはしめやかに爆発四散。
だが、戦いは終わらない。
培養槽からは、さらに大量のサクリファイスがはい出てくる。
『蛆虫の大量発生だな』『あ―――っ』
マネモブは、多勢を前にしても怯まない。
『TAZEINI BUZEIDA IッKEe』
『クククク待ってろよ』『“生まれてきてすいません”って思いをさせてやるよ』
その言葉は、サクリファイスへ向けたレクイエムだったのだ。
「な……お、お前は――」
ズブッ
フェロクスの部下だった男の胸部に、刃物が突き刺さる。
素早く切り拓かれた体内にあるのは、男が命を失ってなお脈動する“心臓”。
男を殺した下手人は、心臓を丁寧に抜き出し、特殊なエーテル保存液で満たされた箱へと入れた。
『SHINZOU YOKOSE』
大量の“
ガルシア28号が100メートル先の狙撃手を投擲で仕留めたのはガチ
恐らくアメリカ~神戸まで海を泳ぎ切るのもガチ
あ、ヘレティック・ジェスターと戦わない代わりにモブエーテリアス共の数は十倍くらいに増えてるから……この小説での一行の負担は原作とトントンでやんス