ビッグゲテスターに転生したので、科学の力で宇宙一を目指したいと思います 作:ちいさな魔女
例えば………生きる上で大切なモノを失うとか。当たり前の物を失うとか。
孫悟空には双子の姉が居る。サイヤ人とは思えない程に理性的かつ穏やかな性格をした、サイヤ人の突然変異と言うべき存在だ。更に、材料さえあればどんな物でも作れるほどの優秀な科学者であった。
但し、彼女にはとある欠点があった。
下半身不随。それは、下半身が麻痺して自分では動かせない病だ。
この世界に、孫悟空の双子の姉として転生した彼女は、最高の科学力と引き換えに、当たり前に出来る事を失った。
それでも彼女は前向きに生きる。
歩けない体でも戦える。不可能を可能にする。誰に何を言われても、私は諦めない。
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ドラゴンボール。それは日本が生んだ世界一の漫画と言っても過言ではない。
主人公は孫悟空。そのキャラクターに多くの人が惹かれ、愛された。正に日本が生んだジャンプの代表キャラクターだ。
私も悟空の推しだ。
無印、Z、GTは神!超は設定こそ面白いがストーリーは駄目だ。ゴッドもブルーも、身勝手の極意も我儘の極意も、ヴィラン達も悪くないのに、とにかく駄目だ。勿論良い所もあるのは分かるが、駄目な所が目立ちすぎる。
で、なんでこんな話をしたかと言えば………もう分かっているでしょう?
ギネ「見てよバーダック!この子、壁にこんな落書きしてるんだよ」
バーダック「……細いな。オマケに女か。噂に聞いたが、歩けないのは本当か?」
ギネ「そうだよ……可哀想に。ほんの少しなら歩けるけど、」
バーダック「そうか……だが、壁の落書きはただの落書きじゃないな。方程式だ。しかも、かなり複雑だ。コイツは将来、研究者になるかもしれんな」
ギネ「そうだね。おーいラディッツ!お前もこっちに来なよ!」
ラディッツ「なんだ?お袋。またキャロがなんか書いてんのか?」
バーダック「……どうだ?これ、凄いだろ?」
ラディッツ「俺には分かんねぇよ。歩けないんじゃ戦いに役立てそうにもないぜ」
ギネ「こらラディッツ!妹に対して失礼だろ?」
ラディッツ「うっ………」
そう。私は転生してしまったのだ。
ドラゴンボールの世界に!
私は、ギネとバーダック、それからラディッツを見た。超側の見た目をした、綺麗な両親であった。そして、ラディッツは私に対しては冷たい目線を送る。
会話の流れから分かるだろう。
私は歩く事が出来ない。いや歩けない訳では無い。ほんの数歩なら歩けるのだが、それ以上は例え壁や手すりに掴まっても倒れてしまう。
脊髄の不調による先天的な症状だ。
でもそれがあまり気にならなくなる位のアドバンテージが、私には出来ていた。
先程描いていたのは、一人用のポッドの改造方法の方程式だ。
生き残る為に私は、科学者になる決意をする。その為には、強力なメカを造る必要があるのだ。
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あれから数年の時が経過した。
私には戦闘員の才能が無い。私はサイヤ人に転生したが、戦闘力は1以下。オマケに私はふざけたレベルで肉体能力が低い上に、下半身不随なのだ。役立たずと周りから言われた時は、本気で泣いた。ギネは母として慰めてくれたし、バーダックは「あんなの気にするな」と言ってくれた。ラディッツは相変わらず冷めた目で私を見てたけど、兄としての情なのか、無関心なのか、私に対して何も言わなかった。
とはいえ、何も無い訳では無い。ラディッツにはその事で時々からかわれる。しかし、面倒見が良いのか、歩くリハビリには付き合ってくれた。ただ、リハビリは特に進展してない。
普段は自作の車椅子で生活しており、お風呂の時はギネが介助してくれる。
確かに私はサイヤ人であり、何のトレーニングもしてない上に武器持ちではない地球人より若干力は強いだろう。現に車椅子から転んだり、岩石に身体をぶつけても痛いだけでほぼ無傷だ。
しかし、私はサイヤ人史上最悪の出来損ないと烙印を押された。
ラディッツ「おーいキャロ!お前に言われて集めて来たぞ!」
しかし、私には一つ大きな特技がある。それは、科学方面に長けている事だ。見ただけで装置の仕組みを理解出来るし、改造方法だけでなく、材料かデータが揃えば製作方法や改造方法が頭の中にポンポン浮かんでくる。前の私はそんな事は出来なかったのに。
幸い、此処はドラゴンボール世界。一人用のポッドや宇宙船、スカウターといった便利アイテムもわんさかある。ドラゴンボールはその戦闘力や気を使った技に注目されがちだが、何気に高性能なマシンや技術が多いのだ。
それに、超サイヤ人に勝てる人造人間やマシンミュータント、超では悟空達を苦しめた科学の宇宙である『第三宇宙』が存在する。それらを作れる科学者が居る。旧作ブロリーの力を、一時的にとはいえコントロール出来るようにした装置を作れる科学者も居る位だ。その科学者は別の意味で有名だが。
ならば、身体を強くせずとも強敵に勝てる手段は沢山あるのだ。
そして、私は一人用のポッドに近付いた。それも使用が出来なくなり、ゴミ捨て場に廃棄された壊れたポッドだ。
この一人用のポッドは、一人用の宇宙船で、見た目に反して高性能なのだ。大気圏突入による過熱にも耐えられ、隕石の如く落下しても耐えられる頑丈さ、そして乗り込んでも窮屈さを感じない快適さ。小さくても夢の宇宙船だ。
先程のラディッツの台詞にある通り、私はラディッツやバーダック、そしてギネに頼んで集めてもらったのだ。
バーダックの休日を返上するような形にはなったが、家族総出で一人用のポッドを沢山集めてもらった。
ギネ「キャロ。これで良いのかい?」
バーダック「こんな使えないポッドで何をする気だ?」
キャロ「うん!ありがとうパパ、ママ!それに、兄さんも!」
ギネ。バーダックの妻だ。どうやら超のギネらしく、髪の毛は若干ラディッツ寄りだ。それに、私はギネと瓜二つの容姿をしていた。サイヤ人の下級戦士には顔の違いが無い事が多いので、私は母と瓜二つになったのは、単なる偶然だろう。
孫悟空………いやカカロットは、まだ自宅の保育カプセルの中だ。成長が遅いタイプらしい。いずれ別の星に飛ばされるらしい。そうなる前に、私は少しでも出来る事をしたい。試してみたい事も全部やる。
私は用意してもらった道具を使い、廃棄された一人用のポッドを解体していく。
ラディッツ「………ホントに何すんだ?」
キャロ「お楽しみに!」
バーダック「そうか。無理はするなよ」
キャロ「うん!」
ギネ「手伝うよ。手の届かない所とか、何かして欲しい事はあるかい?」
バーダック「折角だ。俺も手伝うよ」
ラディッツ「……まっ、暇潰しに付き合ってやるよ」
キャロ「ありがとう!じゃあ、やってほしいのは――」
作業工程はカット。強いて言うならバーダックことパパが重いパーツを運んで、ギネことママが塗装をして、ラディッツこと兄さんには私と一緒に部品のチェックと調整を行った。プログラムも私が整えた。
軈て一時間も経過した頃には、沢山のスクラップ化したポッドは5メートルの巨大な人型のメカに変化していた。元より一人用のポッドは大人並に大きいのだが、組み合わせと改造を重ねて5メートルの人型メカに凝縮出来た。
キャロ「完成!パパ、ママ、兄さん!ありがとう!」
見た目に関しては、映画『アイアンマン』に登場するヴィラン『アイアンモンガー』を白くしたような姿だ。胸の中央にはポッド特有の開閉する扉が有るが、ポッドが下向きに開くのに対して、こちらは左右に開く。
そして、私はパパに抱えられながらロボットの扉を潜り、コックピットの席に座る。そして、取っ手に似た形をした操縦桿を握り締める。操縦桿はエヴァの操縦桿を参考にした。
キャロ「パパ!一緒に空を飛んでみたい!併走してくれる?」
バーダック「ああっ、構わないぞ」
キャロ「ありがとう!」
操縦の仕方は感覚的に分かる。
キャロ「さてと………名前は………『モンガー』にしよっかな。じゃあ、モンガー…………起動!!」
私は操縦桿を握り締めた、その瞬間、私の乗るコックピット内の壁が透明化し、周囲の風景が映り始めた。更にディスプレイも起動して、周囲の情報やホログラム式のレーダー、天候予報や地面の感触、そしてママや兄さん、パパのバイタルサインも現れた。
アイアンマンで観てから夢見たディスプレイだ、
さあ、後は飛ばすだけだ。
私は操縦桿を引いて、モンガーの飛行実験を開始した。
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バーダックは空中でモンガーの起動を待っていると、突然モンガーの全身に赤い線が走り、目が一瞬だけ光り輝いた。
そして、モンガーは大きな体格にも関わらず、空中へ浮かび上がってきた。
バーダック「なに?」
バーダックは一人用のポッドが浮かぶのは知っているが、まさか思いのままに操縦出来るとは思わなかった。ましてや材料は使えなくて棄てられたポッドの筈だ。
それを、自分の娘は改造し作り直し、そして新たな戦闘マシンへと作り替えたのだ。
バーダック「やるな。だが、俺に付いてこられるか?」
キャロ『やってみないと分からないよ!』
バーダック「よし、付いてこい!」
バーダックは空を飛び始めた。下級戦士でありながら戦闘力はベジータ王を上回るバーダックの速度は、サイヤ人の中でもトップクラスだ。
キャロのモンガーがそれに付いてこれるか、バーダックは気になったのだ。
すると、バーダックは背後を一瞬見た時、驚愕のあまり目を見開いた。
バーダック「何ッ!?」
なんと、モンガーが自分の背後から迫って来ていた。
キャロ『いえええぇぇぇぇえええいっ!!!空を飛んでる!!夢みたい!!』
コックピット内のキャロは純粋に楽しんでいるようだ。
バーダック「ハハッ!驚いたな」
元々星間飛行が可能なポッドは、光速の85倍もの速さで宇宙空間を移動出来る高性能だ。それを、目の前の娘は戦闘用にアレンジし、バーダックにも追い付けるよう改造したのである。
そして、バーダックの背後を取り続けたモンガーは、バーダックと共にギネやラディッツの元へ降り立とうとした。
しかし、此処で思わぬアクシデントが起きる。
キャロ『あれ?姿勢が戻らない?違う!両足で着地!!あれ?あれぇ!?』
キャロは大慌てになった。地面へ顔を突っ込むように、モンガーが地上へ降りているのだ。アイアンマンのように降り立とうとしているが、姿勢が戻らない。
ギネ「えっ!?キャロ!!」
ラディッツ「おい!?激突しちまうぜ!?」
バーダック「何ッ!?くそっ!!」
バーダックは地面に向かって落下するモンガーの前に立ち、モンガーを正面から受け止めた。
バーダック「うおおおおおおおおおおっ!!」
バーダックは気を解放し、モンガーの落下速度を少しでも緩めようと前に向かう力を込める。
軈て、モンガーの落下速度は徐々に緩くなり、最終的に止まった。しかし、止まるまでにバーダックはモンガーによって、ギネやラディッツの居た場所から1kmも離れた所まで押されていた。幸いにも空中だったので、地上への被害は免れた。
そして、バーダックは地上に降り立ち、モンガーを仰向けに寝かせる。
モンガーの扉が開いたのを確認して、バーダックはコックピット内を見た。すると、其処には両腕の力でコックピットから這い出てくるキャロの姿があった。但し、額に大きな痣が出来ていた。
バーダック「おい!キャロ!」
キャロ「アハハ………姿勢制御も、考えとくんだった………」
そして、キャロは気を失った。
余談にはなるが、キャロはあの後バーダックによってモンガーもろとも運ばれ、自宅で治療を受けた。幸いにも大きな怪我にはなったものの、命に別状は無かった。
しかし、バーダックやギネからは説教とモンガー製作の賞賛を受けた。ラディッツも「見直したぜ」と嫉妬混じりの賞賛を受けた。あのラディッツが?とキャロは驚きのあまり目を丸くした。
そして、運命の日が迫ろうとしていた。
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キャロだよ。あれから何年かが経過した。私は車椅子に乗って、ママと一緒に料理をしていた。
ママは大きな肉を中華包丁で切り分けて、皿に盛り付けていく。私は野菜とお肉を挟んでサンドイッチを完成させる。
バーダック「よお。帰ったぞギネ」
ギネ「バーダック!」
バーダック「街は随分賑やかだな」
ギネ「皆帰ってきてるからね!」
話し声が聴こえてきた。どうやらパパが帰ってきたようだ。
因みに私はママと一緒に、自力で造ったキッチンで料理をしている。料理は前世で見た事のある料理を、私の記憶を頼りに作ってるだけだ。その評判はかなり良い。この5年間で、私の料理はサイヤ人達の中で大人気となった。
バーダック「ああっ。ラディッツはどうした?」
ギネ「もう戦闘員だよ。ベジータ王子やべジュー王女と一緒に星へ行ってる。まだ帰ってきてないけどね」
バーダック「ベジータ王子に、べジュー王女か。王子はともかく、王女は厄介だな。虐められて無ければ良いが……キャロは?」
キャロ「パパ!」
私は料理を皿に盛り付けた後、パパに正面から抱き着いた。車椅子から前のめりに体を傾けて抱き着いている。
バーダック「よおキャロ。大きくなったな」
キャロ「えへへ!」
パパに撫でられる。
バーダック「カカロットは?まだ保育カプセルの中か?」
ギネ「ああっ。もうそろそろ出すけどね」
キャロ「こっちこっち!」
私はママと一緒に悟空………もといカカロットの元へ案内した。
カカロットは保育カプセルの中だ。成長が遅いタイプで、能力も平均以下の下級戦士と烙印を押されている。
我が弟がそんな烙印を押されるのは、凄くモヤモヤする。だって、一番の推しを出来損ない呼ばわりされたら、誰だって嫌でしょ?
3人で保育カプセルの中で眠り続けるカカロットを見つめる。ホントに可愛い。今の姿だけ見ても、この子が世界を救う存在になるように見えない。でも、カカロットは世界を救う存在になるんだ。そんなカカロットの姉になれただけでも、凄く嬉しい。
バーダック「………なあキャロ。お前の作ったあのモンガー、別の星に飛ぶ事は可能か?」
キャロ「えっ?うん、出来ると思うよ」
星間飛行はまだやってない。何回か星を回ったりはしたけど、星と星への移動はまだやっていない。
バーダック「…………夜になったら、フリーザ軍の監視が届かない場所へ行くぞ。お前等を、星に飛ばすんだ」
ギネ「えっ!?なんで今わざわざそんな事するんだよ!?キャロは戦えないし、カカロットはまだ言葉も教えてないんだ!」
バーダック「どうせカカロットの潜在能力じゃ、何処かの星に飛ばされる運命だ。キャロももう開発部に入れないかもしれねぇ。だったら、少しでもマシな星に飛ばしてやる。言葉なら、お前等で教えてやれ」
キャロ「開発部に……入れないって?」
私は、その一言で全てを察した。
ギネ「でも………カカロットはまだ早いよ………って、キャロが開発部に入れないって?キャロは頭が良いし、これまで凄い物を作ってきただろ!?なんで開発部に入れないんだよ!」
………今日なんだ。惑星ベジータが消されるのって………。
バーダック「時間が無いかもしれないんだ。俺には………死の予感がするんだ………」
その言葉で更に確信が持てた。今日が惑星ベジータの消える日だ。いや、消される日と言うべきだろう。
キャロ「………もしかして、フリーザって人が惑星ベジータを消しちゃうの?」
ギネ「ッ!?」
ママが驚いた顔をしている。
バーダック「………お前はホントに賢いな。そして察しが良い。そうかもしれねぇんだ。奴は……伝説の超サイヤ人の出現を恐れてる。老人共が話してたのを小耳に挟んだが、超サイヤ人ゴッドってのも居たらしいな」
ギネ「超サイヤ人?超サイヤ人ゴッド?そんなの………ただの作り話じゃないか!」
作り話ねぇ。なんか、王族が広めたからそうなんだって風潮があるから、作り話のルーツが調べられてないのかな。私も出来る範囲で調べたけど、その超サイヤ人の伝説について書かれた本は、全て王族のベジータ王の住む城から出版されている。何か誤魔化されてる気がする。
でも今は、言及しないでおこう。私ではなれないと思うから。
キャロ「………作り話があるって事は、そうなるような出来事が過去にあったから語り継いできたけど、いつの間にか作り話として伝えられてしまった。だから……その根本を絶って……安心しておこう……って事かな」
バーダック「そこまで分かるなら、カカロットを預けられるかもな」
こうして、私とカカロットは、原作の舞台となる惑星、地球へ旅立つ事になった。
バーダック「……キャロ。モンガーに乗り込んだ奴の戦闘力を消せるか?」
キャロ「ん?出来ると思うよ。まだその装置は取り付けてないけど、即席でも出来るから」
バーダック「………そっか」
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私はママの背中におんぶしてもらい、パパはモンガー・ポッドを両手で持ち上げながら、両親は飛び跳ねるように移動した。カカロットはモンガーのコクピット内で泣き続けている。産声と呼ぶべきだろう。私は歩けないので、ママにおんぶしてもらっている。
因みに、私とカカロットはそれぞれ戦闘服を着用している。カカロットはパパと同じ戦闘服を、私は未来でベジータが着る単純な戦闘服だ。丈夫な割に身軽なのが、この戦闘服の良い所だ。排泄の際にも、脱ぎやすくて便利である。
それに、私は兄さんに次いでカプセルから出てるせいか、成長が速い。というのも、身長は既に兄さんを越し始めていた。頭脳に特化してるせいかな?
ギネ「ねぇ。思ったんだ。4人で何処か遠くへ逃げよう!キャロのモンガー、見た限りじゃ4人で乗っても大丈夫みたいだしさ!」
バーダック「駄目だ。スカウターですぐ見つかっちまう。心配しなくても、俺の勘違いだったら全員助けに行ってやる」
ギネ「でもどうしたんだよ。男が子供の心配なんて、サイヤ人らしくないよ」
そう。サイヤ人は赤ん坊が生まれるとすぐに戦闘力が測定され、3歳ごろまで保育機で育つ。戦闘能力が低いと判断されたサイヤ人は自宅の育児カプセルで育てられ、そして辺境の惑星に宇宙ポッドで飛ばされることが多い。それに対して、潜在能力を認められた優秀な赤ん坊はサイヤ人の育児室に入ることを許され、その中でもさらに優秀な赤ん坊は特別カプセルに入ることを許される。上級戦士は惑星ベジータで戦闘の英才教育を受けることができ、選ばれたサイヤ人の子供だけは短期間だけ特別な訓練を受け、さらに高い戦闘力を身につけるのだ。
とはいえ、サイヤ人とはいえ子供が戦地に出るという事は、死の危険が常に付き纏う。だから子供の内に死んでしまう事も珍しくない。
だから、パパやママのように繁殖目的以外で愛し合う事は滅多にない。
だから、男のサイヤ人は子供を心配する事は少ない。
バーダック「戦いに赴く内に、気まぐれに救いたくなっちまったのかもな。特に下級戦士と判定されたカカロットや、周りから役立たずと呼ばれたキャロを……な」
パパの言葉に、私は目が潤み始めた。
そして、パパはモンガーを降ろしてくれた。モンガーをその場で直立させて、コクピットの扉を開けさせた。カカロットが泣いてるのを、私は頭を撫でて落ち着かせる。
バーダック「地球という遠い北の銀河にある星に、座標を入力してくれ。お前なら分かるだろ?」
キャロ「うん」
私は取っ手のキーボードを入力し、地球の座標を入力した。此れでモンガーは何時でも地球へ飛び立てる。
バーダック「戦闘力も文明レベルも低い星だ。自然が美しいと言っても大した価値も無いから、フリーザ軍に狙われる可能性も低い。お前等姉弟でも生きていけるだろう」
そして、私はコクピットの席に座る。カカロットが乗り越える前に、コクピットを閉めようとした。その時だった。
バーダック「お前達の父親になれて、俺は嬉しかった。ギネ、お前には、随分迷惑を掛けちまったな。そして、今も迷惑掛けて済まない」
ギネ「なんだよバーダック……」
バーダック「……愛してるぜ、ギネ」
ギネ「えっ?」
ママが呆然とした、その時だった。パパがママの首筋に鋭い手刀を食らわせた。いや正確には後頭部に近い部位だ。
キャロ「はっ?えっ?」
そして、パパは気絶させたママを私達の元へ放り込んだ。
予想してなかった行動だった。扉が閉まり、窓からパパが顔を覗かせる。
バーダック『ギネを頼んだぞ。カカロット、キャロ。ギネが目を覚ましたら、お前等が見たままを伝えてくれないか』
キャロ「パパ!?だったら、パパも!!」
バーダック『ダメだ。俺の戦闘力が急に消えたら、フリーザ軍は怪しむ。そしたらクウラにも気付かれるかもしれない。俺の勘違いなら、迎えに来てやるからな』
パパは窓に手を置く。それはそうだ。パパの戦闘力は確か一万位だった。この時のサイヤ人としては規格外の戦闘力だ。その戦闘力が消えたら、サイヤ人を警戒するフリーザは怪しんでしまう。そして、私達を追ってくるかもしれない。だからママと私達なんだ。ママの戦闘力なら、消えたとしても怪しんだりしない。せいぜい弱いサイヤ人が同士討ちで消えたとしか思わないかもしれない。
バーダック『良いか?3人共、絶対に生き延びろよ』
すると、隣で泣いていたカカロットが手を伸ばし、ガラス越しにパパの手に触れた。
バーダック『………じゃあな』
キャロ「………また会おうね。パパ」
絶対に叶わない、約束の言葉。私は操縦桿を握り締めて、モンガーを起動する。そして、宇宙へ向けて発進させた。
モンガーは自動操縦で地球へ向かう。だから、私は操縦席で座り込み、体育座りになって蹲る。
キャロ(私………戦えないのを言い訳に……何も出来なかった………!)
ギネ「………ん……あっ…………バーダックッ!!」
ママが目を覚ましたようだ。そして、自分が乗ってるのがモンガーだと気付き、全てを察したようだ。
ギネ「………バカァ!!だったら一緒に来いよぉ!!」
ママが泣きながら声を上げた。
キャロ「ごめんなさい………ママ!私……何も出来なかった!」
ギネ「キャロ…………」
カカロット「あう?あーい!」
カカロットが私とママの手を撫でる。無邪気に笑うカカロットに撫でられた私達。私とママが隣り合うように座って、カカロットが私達の脚に乗っている。
キャロ「………カカロット。ありがとう、私は大丈夫だよ」
ギネ「……バーダック。また会えたら、頬を引っ叩いてやるよ」
ママが涙を指で拭きながら微笑んだ。
キャロ「………私、強くなるよ。私は私のやり方で、カカロットと一緒に戦う!」
ギネ「キャロ……でも、キャロは足が動かせないし、歩けないんだよ?」
キャロ「分かってる!でも、私にはこの頭脳がある!そしてモンガーも居る!まだどうしたら良いか分からないし、不安もあるよ!でも…………それでも私は強くなりたい!!いや、強くなる!!私は私のやり方で、パパの仇を取る!!」
ギネ「そうか………なら、アタシも強くなるよ。アタシも何時までも非戦闘員なんて肩書きに縛られたくないからね!」
キャロ「ママ………」
もう身内は、ベジータ王子やべジュー姫と共に戦闘員として旅立ったラディッツと、そして私と共に地球へ旅立ったカカロットとママだけだ。
キャロ「………モンガーも、一緒に強くなろうね」
私はサイヤ人だが、恐らくカカロットのように強くはなれない。これは変えられない事実だ。しかし、私には科学者としての力が、頭脳がある。
私のやり方で、カカロットを護る。そして、カカロットに将来出来るであろう家族も、仲間も、皆を護れる程に強くなる。
私はカカロットを抱き締めて、二人一緒に眠りに入る。
ギネ「………お休み、キャロ、カカロット」
これが、ドラゴンボール世界へ転生した私の、始まりの物語である。
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その頃、惑星ベジータの近くにある、クウラ軍の宇宙船。
サウザー「これでサイヤ人はおしまいだな」
ネイズ「ん?あれはなんだ?」
ドーレ「宇宙船?いや、ロボットか?惑星ベジータから飛び立ってやがる!?」
彼等はクウラ機甲戦隊。クウラが組織した少数精鋭の部隊だ。
そして、惑星ベジータから飛び立ったロボットのコックピット内をモニターで確認すると、3人のサイヤ人が乗っていた。一人は女性のサイヤ人で、後は幼年と幼女のサイヤ人だ。親子で惑星ベジータから逃げていたのだ。
ドーレ「なんだこりゃあ!?サイヤ人があのロボットを操ってんのか!?」
ネイズ「逃さねぇ!撃ち落としてやる!」
サウザー「迎撃用意!」
クウラ「放っておけ」
すると、彼等の背後からクウラが現れた。クウラの元へ振り返り、跪く機甲戦隊。
クウラ「あれはフリーザのミスだ。自分で狩らせろ。今は………リリスとの修行を優先する」
フリーザの兄、クウラ。彼は、史実とは大きく異なる変化を遂げていた。
クウラ(恐らくは、奴もイレギュラー。この世界には存在しない別次元の何者かが、運命を少しずつ変えている。あの女に見せられた俺の未来のようにはならん!そして、破壊神ビルスに媚びへつらう父上のようにもな!!)
彼は、見たのだ。破壊神ビルスに頭を下げて、媚びへつらう無様な父親の姿を。
そして、彼は出会ったのだ。自らを『
数年前に、彼女は接触してきたのだ。
リリス『貴男がクウラですね。私は元アブソリューティアンの戦士、アブソリュートリリス。遥か数万年後の未来から、そしてこことは違う別次元の世界からやって来ました』
そして、クウラは見せられたのだ。リリスが額に触れて見せた未来を。
孫悟空と戦い、最後は追い詰めたにも関わらず太陽へ押し込まれて敗北。次に、ビッグゲテスターという機械惑星と融合し、メタルクウラとして数の暴力で一度は圧倒するも、エネルギーを吸収しようとした事が仇となって敗北。そして、別の未来ではフリーザと手を組んでもマグマに突っ込んで星の爆発に巻き込まれて敗北。またビッグゲテスターと融合するも、今度はトランクスやタイムパトローラーに敗北。
そして、フリーザが金色の姿となってパワーアップする姿も。
クウラは未来を見て、自分が負ける事に驚きを隠せなかった。そして、弟が自分を超える形態を編み出した事にも。
リリス『クウラ、私が貴男を強くしたい。破壊神に怯まなかった貴男を強くしたいのです』
クウラは何故と問う。
リリス『私が強くなった貴男と戦いたいからです』
リリスの、強者に飢えた目を見た。
そしてクウラは、リリスの提案を呑んだ。
クウラ(今に見ていろ!俺はビルスも、そしてリリスも超えてみせる!!)
クウラは強い決意を抱き、リリスの元へと向かった。
そしてそれから長い年月が経ち、クウラはビッグゲテスターと思わぬ形で出会う事になるのだった。
キャロの時系列は、所々で飛ばす予定です。
アブソリュートリリスは、私のオリキャラです。