「あたし、エクシーズ召喚は知らないな」
「蘭も知らないの?」
いちごは尋ねる。
「ああ。あたしはシンクロが1番流行ってた頃にやめたから」
「あおいは?」
「わたしは少し知ってるよ」
「蘭ちゃんもエクシーズ召喚は知らないってことか。なら、2人にわかるように説明しないとな」
モニターに黒いカードが浮かぶ。
「シンクロが白ならエクシーズは黒なのか……」
「そう。"エクシーズモンスター"は黒い枠のモンスターだ。エクシーズモンスターにはそれまでのモンスターとは少し違うところがあるんだ」
「違うところ……?」
首を傾げるいちご。蘭はモニターに映ったカードをじっと見つめる。
「違いか……あっ。見つけた」
「え?どこどこ?蘭」
「レベルのところを見てみろ。今までのカードは全部右側に星があったけど、このカードは左側に星が集まってる」
「ホントだ!」
これまで見たカード達は右側に赤と黄色の星があったが、エクシーズモンスターは黒と黄色の星がカードの左側に描かれていた。
「エクシーズモンスターにはレベルが存在しないんだ。その代わりに、ランクというものがモンスターに設定されている」
「成る程……レベルがないってことはB地区にかからないってことか」
「そういうこと。蘭ちゃん鋭いな」
クロウの説明を受け、蘭は呟く。
"B地区"というのは《レベル制限B地区》というレベル4以上のモンスターの攻撃を封じる魔法カードのことである。しかしエクシーズモンスターにはレベルが存在しないため、効果を受け付けず攻撃することができる。
「クロウさん。エクシーズモンスターはどうやって召喚するんですか?」
「エクシーズモンスターの召喚、"エクシーズ召喚"は同じレベルのモンスターを2体以上フィールドに揃えて行うんだ」
モニターが切り替わる。現れたのはレベル4のモンスター、《アレキサンドライドラゴン》。同じくレベル4モンスター、《フォトン・スラッシャー》。そしてランク4のエクシーズモンスター、《No.39 希望皇ホープ》だ。
「《No.39 希望皇ホープ》のテキストには『レベル4モンスター×2』と書いてあるだろ?これはフィールド上のレベル4モンスター2体を召喚に必要とするって意味なんだ」
《No. 希望皇ホープ》のテキストが拡大される。
「テキストの条件を満たしたフィールド上に存在する2体以上のモンスターを重ね、その上にエクシーズモンスターを乗せる。これがエクシーズ召喚だ」
「同じレベルがいるだけでいいのか。シンクロ召喚よりずいぶん簡単なんだな」
「そう。エクシーズ召喚はとても簡単。その代わり"エクシーズ素材"――エクシーズモンスターの下に重なってるカードのこと――を消費しなくちゃ効果が使えないんだ」
エクシーズモンスターの効果は一部例外もあるが自身の下にあるエクシーズ素材――オーバーレイユニットと呼ばれたりもする――を取り除くことで発動する。その為、効果の発動は有限なのだ。
「それじゃあ、エクシーズ素材がなくなったら……」
「ただのモンスターになる。と言っても、ステータスは当然高いんだけどな」
こんなもんか。と一段落させてモニターの電源を落とす。
いちご達は後ろで見学していたらいち達と話していた。
「デュエルモンスターズのカードってモンスターだけでも一杯あるんだね」
「お姉ちゃん大丈夫なの?全部覚えられる?」
「いちごちゃんなら大丈夫だよ!そうですよね?」
「うん!大丈夫大丈夫!」
「本当に大丈夫かなぁ……」
自信満々ないちご。
らいちは訝しむ。
「そう言えばいちごちゃん達、オーディション用のデッキは持ってるの?」
クロウが3人に聞く。デュエルをする為にはデッキが必要なため、オーディションに出るにも当然必須である。
「あっ!そうだよね、デッキがないとオーディションに出られない」
「あたしは家から少しカード持ってきたけどそのままじゃ不安だな」
「きっと強者揃いだろうし、新しく組んでおいた方がいいかも」
「ならウチで組んでいったらどうだ?カードの在庫もあるし、ここならすぐに調整もできるしな」
クロウが提案する。
「いいんですか?」
「勿論!デュエリストが増えるのは嬉しいことだし、いちごちゃん達には頑張って欲しいからな!」
サムズアップし、笑顔で言うクロウ。
彼の店には数えきれない程のカードが存在している。
それだけの数があれば大抵のデッキが構築できるだろう。
「ありがとうございます!クロウさん。絶対優勝してみせます!」
「おう!期待してるぜ!蘭ちゃんもあおいちゃんも、好きに使ってくれよ」
「はい、ありがとうございます!」
笑顔で優勝宣言するいちご。
「いちご、すごい自信だね」
「ああ、あたし達も負けてられないな」
すでにカードが並ぶ棚を見ながらデッキを考え始めているいちご。
それを見ながら言葉を交わし、2人もまたデッキ構築を始めるため向かった。