「うーん……」
「どうしたんですか?」
カードを前にいちごは唸る。
そんな彼女に、周りを囲んでいたファンの1人が声をかけた。
「それが、種類が多すぎてどれを使えばいいのか……」
いちごはデッキ構築に悩んでいるようだ。
デュエルモンスターズのカードは数千という種類がある。その為、どのカードを使うべきか迷うことは初心者にはよくあることである。
悩める彼女に2人のファンが提案する。
「デッキを作るときにはまず最初に"自分が一番使いたいカード"を決めてみたらどうですか?」
「自分の使いたいカードを決めて組んだ方が楽しいし、イメージがはっきりするからデッキも組みやすいんだ」
「へぇ〜。わたし達がコーデを決めるときと一緒なんだね」
デッキ作りはセルフプロデュースと同じ。そう思って改めてカードを見る。すると、先程とは違って見え始めた。
「"自分の一番使いたいカード"かぁ……あっ!」
「どうしました?」
声を上げるいちご。男の子が尋ねる。
いちごはその男の子に聞いた。
「太陽。太陽みたいなカードってないかな?」
「太陽?」
「うん。前に"あなたは太陽になれる"って言われたことを思い出したの」
その言葉はトップアイドルであり元スターライトクイーンの"神崎美月"が彼女に言ったものだ。
「太陽……いちごちゃんにピッタリの言葉だと思います!」
「そう?嬉しいな、ありがとう!」
「太陽みたいなカードなら確か……」
何かを探す様に動く男の子。彼の後をいちごはついていく。
「あった!こんなカードどうですか?」
立ち止まり、少年は1枚のカードを指差す。
それを見たいちごは顔を輝かせた。
「カッコいい!うん、これに決めた!」
「ならこんなカードもいいんじゃないですか?」
「いちごちゃん!これも!これもいいよ!」
「このカード可愛い!あっ、このカードも!みんなありがとう!」
次々に差し出されるカード。いちごは笑顔で応えながらそれらを受け取った。
「あおい姐さんはどんなデッキにするつもりなんですか?」
らいちがあおいに尋ねる。
「私は【水属性】かな?"霧矢あおいは水"だからね」
デュエリスト歴が一番長いあおい。すでにデッキのコンセプトは決まっているようだ。沢山のカードを素早く確認し、必要なカードを決めていく。
「後は、"
"
「ならこれとか"フューチャリングガール"っぽくないですか?」
1人の女の子が2枚のカードをあおいに渡す。
「ホントだ、これいい!」
「後このカードも使ってください!イケナイ
「ありがとう、使わせてもらうね」
「あたしは
"
「蝶のカードなら……このカードとか、あとこのカードとかも」
「おおっいいな、これ。ありがとう」
「あっ!このカード"美しき刃"っぽくないですか?」
「そのあだ名は恥ずかしいからやめてくれ!」
使いたいカードを集め終わった後、それらの中から更に必要なカードを取捨選択し、足りないカードがあれば探してデッキ内容を調整。そうして暫く経ち、
「出来た!」
「わたしも!」
いちごとあおい、2人は同時に声をあげた。
2人の目の前には選び抜かれたカード達で創られたデッキが置かれている。
「2人とも早いな。あたしはまだかかりそうだし先に2人でデュエルしたらどうだ?」
机に並べられたカード達とにらめっこ状態だった蘭が顔を上げ提案する。
2人はそれに頷いた。
「わかった、蘭もできたらデュエルしようね!」
「ああ」
いちごとあおいの2人はデッキを持って一つの机を囲む。
椅子に座りデッキをデッキ置き場に置く。
「お姉ちゃんとあおい姐さんのデュエル……!これは穏やかじゃない!」
いちごとあおい、アイカツ界トップクラスのアイドル2人のデュエルなのだ。あおいの大ファンであるらいちでなくても興奮するのは当然だろう。事実、彼女達を囲むギャラリーも2人のデュエルを楽しみにしていた。
「いちご。初デュエルだからって手加減しないよ!」
「当然!あおいこそ、わたしに負けないようにね!」
「言ったなー!」
お互いにデッキをカットアンドシャッフルしながら挑発しあう。当然戯れているだけなのだが。
しかしシャッフルが終了しお互いに初期手札5枚を引いた次の瞬間、両者共真剣な目つきになった。
「いくよ……!」
「うん……!」
「「デュエル!!」」