第7話
「そういえばさ」
「何?いちご」
「あおいと蘭って昔デュエルモンスターズしてたの?」
今日は日曜日。先日3人で話していた街で買い物の日だ。彼女達はアイドルなので、いちごは長い髪を帽子で隠してリボンを帽子に括り付け、あおいは赤い伊達眼鏡、蘭はロシア帽にサングラス、とそれぞれ変装して歩いている。
「あたしは昔モデル友達がしてて少しな。あおいはどうしてなんだ?あんまりこういのはしなさそうなイメージなんだが」
いちごの問いに答え、あおいに話をふる蘭。
「わたしはもちろんアイドルの為ですよ!昔、"デュエリストアイドル さなぎちゃん"にハマっててね。そのときに猛勉強したの」
あおいは目を輝かせ熱弁する。
「ふふっ、あおいらしいや」
「だな。いちごは一度もしたことないんだろ?」
「うん。前にらいちが友達と何回かしてたのは見たことあるけど……」
らいちというのは星宮らいち、3歳年下のいちごの弟で、いちごがアイドルになるきっかけを作ったのは彼である。
もっとも、彼はあおいの大ファンなのだが。
「あっ!見えたよ!」
そう言ってとある建物を指差すあおい。その先には一軒の店舗が。
黒い外装に黒いカラスのキャラクターの描かれた看板がかかっている。
「ブラックバード……ってこの店大丈夫なのか?なんか危ない店じゃないんだろうな」
少し信用してない雰囲気の蘭。半目であおいを見る。
「だ、大丈夫。キラキラッターで聞いたらここが一番だって色んな人に言われたんだから」
「とにかく入ってみようよ!」
デュエカツ、デュエカツと呟きながら軽い足取りで店に向かっていくいちご。あおいと蘭も後を追った。
いちご達が目的地を探していたその頃、星宮らいちは彼女達の目的地、カードショップ"ブラックバード"にいた。
「《スクープ・シューター》でプレイヤーにダイレクトアタック!」
「負けたー!やっぱりらいち君強いなー!」
「僕はまだまだだよー」
フィールドに出ていたカード達を片付けながら、らいちの向かいに座っていた少年は言った。
「そういえばらいち君、星宮いちごちゃんは"キャンペーンデュエリストオーディション"受けないの?」
うーん、どうなんだろう。と考え込むらいち。姉、星宮いちごは今まで一度もデュエルモンスターズをしたことがないし興味も無かった。ただあの姉なら、
「はいはいはーい!わたし受けます!」
みたいな感じでオーディションの内容も知らずに受けるかもしれない。
個人的には姉より"姐"に出て優勝してもらいたいのだが。
「お姉ちゃんからはまだそういう話聞いてないかな」
「そうなんだ。もしオーディションに出るんだったら、頑張ってくださいっていちごちゃんに伝えてよ」
「うん、その時は伝えておくよ」
2人は話しながらデッキを交換し、お互いにカットアンドシャッフル。
「よし、それじゃもう一戦……」
意気込んでデュエルを始めようとしていたらいちだったが、
(くんくんくん……アイドルの匂い……?この匂いは――)
店の外から漂ってくる
「こんにちわー!」
「ちょっ、いちご!?」
店内へ入ってきた人物の姿を見たらいちは目を丸くした。
「お、お姉ちゃん!?」