WWWを草と笑えない恐ろしい世界   作:じぱんぐ

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14.ソプラノ主催☆ たのしいウラツアー☆

『まずはここ☆ ウラスクエア☆』

 

 始めにソプラノへ案内されたのはウラスクエアと呼ばれるウイルスが寄り付かない安全地帯。

 それ故、ウラの住人が交流し、様々な情報が集まってくる。ウラで活動するならば立ち寄って損のない場所だ。

 何でも協定が結ばれているらしく、ここに暴力沙汰を持ち込むのは禁止とされ、破れば問答無用で消されるらしい。誰に、などと野暮なことは聞かない。ウラの連中が全て敵に回ると考えればいい。

 

『うわーっ! ゲリ女だっ!』

『落ち着け! ここは非干渉地帯だ! 奴とて手出しは出せぬ!』

 

 で、そんなウラの住人たちから死ぬほど恐れられているソプラノは何者だよ、っつう話よ。

 露骨に距離を置くどころか、プラグアウトして逃げる奴までいる始末。俺は正しかったんや……!

 無法者と同じ感覚? 無法者でもわかる恐ろしさを感じ取れないロックマン一行がおかしいだけや!

 

『記念に1曲……っていきたいところなんだけど☆ 「S」ちゃんからやめてって言われてるから残念☆』

『「S」ちゃん……?』

『ウラの王様なんだって☆ すんごく強くって手も足も出なかったんだ☆』

「こいつより強いとか想像付かねー……」

「『ウラの王』か……凄そうだな」

 

 ソプラノが明るく言うも、一同の温度差が凄まじい。

 Sの正体を知っている俺としても同様だ。最強のナビであるフォルテすら打ち破る隠しボスと直接戦ってるのかよ、こいつゥ! 今も生かされていることから、ウラランカーは確実だろ。

 そら誰もが恐れるわ。むしろ立ち向かったヒールナビたちの度胸が凄ぇよ。

 

『他のスクエアと同じく掲示板も置かれてるんだ☆ 表に出回らない貴重な情報をゲットできるかも☆』

 

 試しにとばかりに皆で掲示板を覗き込む。

 表の堅苦しい優等生然としたものと違い、2ちゃんねるもとい5ちゃんねるに近いクソスレも散見される。

 

『【急募】ゲリ女対策スレpart15……?』

 

 ご本人様が横にいる状況で閲覧するのもアレな気もするが、シアンが目にしちゃったから仕方がない。

 

158:NO NAME ID:nrY/5Q53g

誰だよイケメンに弱いなんて言った奴

恋愛NGとかで顔面アースクエイクなんだが

【画像】

 

159:NO NAME ID:/ywmfqYSq

>>158 

元から不細工定期

 

162:NO NAME ID:/Q5TWD2QO

あのラッパみたいなウイルス、うぜーな

破壊してもまーた召喚されやがる 

 

165:NO NAME ID:4Fmn1VGpi

>>162

ニホンじゃ見ねーし、外国産か?

 

168:NO NAME ID:jdW5Uqu3V

>>162

防音の特性カスタムにしねーと防げねーみたいだな

 

169:NO NAME ID:KGAkk+tn/

>>168

市販じゃ売ってねーし、需要もねーし、ゲリ女だけにメタるの、メモリがもったいないんだよなぁ……

 

171:NO NAME ID:Bo1nMOhuu

アイツ、ガワはいいよな、ガワは

 

174:NO NAME ID:YAcnMzybt

>>171

スレチだぞ

ファンは帰れ

 

175:NO NAME ID:nZopPdn4f

>>174

ファンは0人定期

 

177:NO NAME ID:gU0d+HRy2

つい先日さ、鉄砲玉を盾にして接近に成功した訳よ

そん時、被弾を少なくする為に姿勢を低くしてた訳

で、必殺の【フレイムソード】をお見舞いしてやった訳よ

そしたら、その風圧でゲリ女がスカートが捲れてよ

 

178:NO NAME ID:3WfwSUzvP

【悲報】オレ氏、残金120ゼニーを切る

 

181:NO NAME ID:QYgn/X3Ad

>>177

kwsk

 

184:NO NAME ID:8mhJ6YruL

>>177

ンなとこで切るな無能

 

185:NO NAME ID:gU0d+HRy2

『プレイエリアの外です』なんてメッセージと暗黒空間が広がってた訳

どーいう意味だと思う

 

187:NO NAME ID:bV+frPJpw

>>185

氏ね、って意味だと思う

 

 

 

 対策が防音カスタムしかなく、脱線しまくりなスレ。うーんこの。時間を無駄にした感じ、懐かしささえ覚える。

 

『シーアンちゃん☆ こんなの見たらダメだゾ☆ 目が腐る』

『こいつら、ちょっと許せなくて』

『いいの☆ マスターが居場所突き止めて、あたしが改心させてあげちゃうから☆』

 

 今更ながら本人が掲示板巡回していること、情報として流れないものかね?

 わかってて書き込みしているのなら、とんだM野郎たちだ。

 

 ロックマンとガッツマンはそれぞれプログラムアドバンスのヒントや、この辺りに出現するウイルスの対策を覗いていたらしい。

 熱心に強くなろうとする彼らに対して、シアンときたら雑談スレばかり眺めてるんだもの。

 まぁ、俺がイメージ共有の為にウイルスやチップ関連の情報をネタバレしまくったからだけどさ。

 でも一応目を通そうぜ? ソプラノみたいに初見の情報もあるかもしれないし。

 

『Sの書き込みがあったよ』

「コテハンだし、偽物の可能性は?」

『それはないかなっ☆ そんなことしたらヤマトマンに消されちゃう☆』

 

 ソプラノの姉御、側近の存在まで把握済みっすか。

 これヤマトマン、ダークマン両面子が敵わなくてSが出張ってきた可能性もあると考えると恐ろしい。

 ぶるりと身を震わせながら、例の書き込みを覗いてみれば、どうもWWWに掛かり切りになるであろうオフィシャルの隙を突いて、漁夫の利を狙う不逞の輩がいるらしい。

 で、そいつらに対抗する人員を募集している、とのこと。

 

『表だと海外からのアクセスを制限してるでしょ? だからウラから侵入したいみたい☆』

 

 ソプラノの姉御の言葉に得心がいく。

 なるほど、『1』で海外のインターネットに行けない理由と、ウラの管理者であるSが介入しない理由がそういうことだったとは。

 迂闊に動けばWWWがSの居ぬ間に例のプログラムを奪う可能性もあるしな。

 アレ、インターネット全体が終わるくらいやべー代物らしいし、ワイリーが狙ってもおかしくはない。

 ただ原作だと不発に終わったからなぁ。電脳世界は壊せてもたった1体のナビは壊せないとか設定負けしてるんよ。

 

『そろそろ次の場所にレッツゴー☆』

 

 ウラスクエアを出て、次に案内されたのは姉御オススメの狩場だ。

 なんでも廃棄されたジャンクデータが山盛りになっているこの場所はウイルスが集まるらしいのだが……そのわんさかいる。ざっと見て100はくだらないだろうか。

 広範囲高火力を両立するソプラノの姉御以外は厳しいと思います。

 

『じゃ次☆』

 

 軽いテンションとは裏腹に案内されたのは、最近とある暴力団が根城にし始めたというエリア。

 そこは避けるよう説明するのかと思いきや、姉御まさかの襲撃である。

 遠距離から一方的に音波をぶつけ、のこのことやってくる団員のナビを蹴散らし、最終的には【リュウセイグン】で建てられた施設を更地へと変えてしまった。

 

『みんなが通行するのに邪魔なゴミがたまーに現れるから見かけたら掃除してネ☆』

 

 こういうところで見せしめ――もとい貢献しているからウラの住人も姉御に手を出さないのか、と再確認してロックマン一行のツアーは続く。

 

『あっ、いたいた! おーいシャドーちゃん!』

『またキサマか。仕事の依頼以外話しかけるな、と何度言えばわかる』

 

 そして『1』の隠しボスでもあるシャドーマンと知り合いときた。

 もう姉御が世界を救えばいいんじゃないかな!

 

『みんなも何か頼み事があったら遠慮なくシャドーちゃんに言ってね☆』

『金さえ貰えば何でもやるとは言ったが……キサマに扮してライブの宣伝をするのは勘弁願いたい』

『嘘吐きーっ☆』

『フンッ、子守りに転職したキサマに言われたくないわ』

『子守りじゃなくてファンの子☆ 手ぇ出したら潰すから』

『金にならんことをわざわざせんよ』

 

 特にこれといった話もなく、シャドーマンと別れる。

 今後敵に回ることを考えれば今の内にデリートすることを視野に入れたものの……ソプラノの姉御が敵に回るのを考慮して取り止める。

 何ならバックアップデータで復活するだろうし、姉御を味方に引き入れる方向性で考えた方がまだマシだ。

 

『で、どうだった? 参考になったかなっ☆』

『うん、ありがとうソプラノさん』

『いいって別に☆』

 

 そして1時間に及ぶ姉御のスリル満点ウラツアーは終わりを迎えた。

 ロックマンがソプラノの姉御に頭を下げた後、ガッツマンを見やるが未だ移動中以外は固まって動かないデカブツ。

 

『良かったらさ、握手してくれる? 握手』

『いいよーっ☆』

『だって、ガッツマン』

『ガツっ!?』

 

 気を回したシアンによって、ガッツマンに姉御がファンサービスをすることに。

 

『これからも応援よろしく☆』

『ぬほーっ!』

 

 ガッツマンの大きな手を両手で包み込むように姉御が握った途端、彼の頭から湯気が飛び出す。ヤカーンかな?

 

『もう一生ガッツパンチで換装しないでガス……』

「それはやめてくれ~ガッツマン!」

『デカオ様の言うことでも聞けないでガス!』

 

 「ははははは」と笑うお決まりのアレを挟んだ後、いよいよ姉御とお別れだ。

 

『みんなは表のナビでしょ? ウラの探検は程々にね☆』

『うん』

『は~いでガス』

『また会えるかな?』

『もち☆ ライブの告知するから待っててネ☆』

「あの、よろしければ連絡先いただけませんかね?」

『え~何~☆ 急に~?』

 

 せっかく得た繋がりを離したくないと提案したが、なんだ姉御。身体をくねくねして。嫌なら嫌と早く言ってくれ。早急に謝罪するから。

 

『私もメル友になりたいかな~なんて』

『シアンちゃん……うんいいよ☆』

 

 という訳でソプラノの姉御の連絡先をゲット。プライベート用らしいが……ビジネス用is何?

 

「じゃオレらもそろそろ上がるか?」

「おう。じゃまた学校でな!」

「また明日」

 

 姉御が離れてすぐ、解散の空気になってロックマンやガッツマンと共にプラグアウト。

 

『あれ? 今日はもう終わり?』

「いんや。夕飯と風呂済ませた後にもう一度ウラに潜る」

 

 原作ではWWWがウラを実効支配していた、との描写があったが、俺のいる時空だと広過ぎるウラでは一大勢力に留まっていたしな。

 その動向を探る上でもウラに慣れるのはできるだけ早い方がいい。

 まずイメトレと実践の感覚を近付け、シアンの戦闘勘を磨き。休憩代わりに掲示板でボンバーマンの目撃情報を探ってみるか。

 

「爺ちゃん、夕ご飯にしよっか」

 

 とりあえず飯だ飯。腹が減っては何とやらだ。

 

 

 

 

 

 

「ワイリー様、ご報告です」

「……ふんっ、少しはできるようだな」

 

 右腕であるマハ・ジャラマの報告にざっと目を通したDr.ワイリーは鼻を鳴らし、革張りの椅子へ腰を下ろす。

 間抜けにもオフィシャルに捕縛されたヒノケンイチと色綾まどい、両名が口にした()アジトへまんまとやってきたオフィシャル共を施設丸ごと爆破して生き埋めにする計画だったのだが。

 手練れである伊集院炎山の活躍により、全員が生還を果たしたらしい。

 ただ無傷とはいかず、突入した内の8割の精鋭が負傷により動けなくなったのは幸いか。

 

「エレキの方はどうじゃ?」

「はっ。明後日には決行できるとのこと」

「良い報告を期待しておる」

 

 背もたれに体重を預け、ワイリーは目を閉じる。

 エレキ伯爵がこれから襲うのは古巣である科学省だ。

 知った顔触れはもう既に引退している者ばかり。かつて競った好敵手――ワイリーを科学省から追放した遠因となる相手も既にこの世を去った。

 だが、胸に抱く恨みは決して晴れない。

 光正(ひかりただし)にぶつけることなく、燻り続けた感情をどうにかせねば気が狂ってしまう。一時はアメロッパにいた友のお蔭で薄れてはいたが、彼もまたワイリーを残して亡くなってしまった。

 復讐だ。

 ワイリーを理解しようとせず、追放した科学省への。

 そして、今のネットワーク社会を築いた光正への復讐を果たす為には、世界を破滅に導かねばならない。

 

「ウッドプログラム、アクアプログラム……」

 

 かつて光正が作り上げた属性プログラム。

 元はお遊びで作ったもの。しかし作り手の技術が破格の腕を持っていたことで、究極のプログラムと化したそれは光正の遊び心によって隠されていた。

 その内の2つは既に我が手中に収めた。

 エレキプログラムは科学省にあると、ワイリーは睨んでいる。長年、苦楽を共にした相手のことだ。彼の考えそうな事は何となくわかった気がしていた。

 わかっていたのに最後に回したのは……僅かに心の底にへばりついていた感傷だろうか。

 

 そして、残るファイアプログラムの所在を掴めていないが、恐らく光祐一朗が動かしたのだろう。

 父である光正と同じ科学者であるならば、科学省で保管するか、オフィシャルに預けたと察せられる。

 前者であれば一挙両得。

 後者であるならオフィシャルの中に忍び込ませた間者に混乱を引き起こしてもらい、その間に奪取すればいい。

 

「光、正……」

 

 彼の作り上げたプログラムで以て、彼の築いた世界を破壊する。

 なんとも皮肉の効いた未来予想図にワイリーは唇を歪め、自然と意識は遠のいていく――

 

 

 

 

 

 クモンペを狩りまくり、残留データもそこそこ手に入ってウハウハ状態の俺たちの前に死にかけのナビが転がっていた。

 どうも話している言語はアメロッパ語らしい。

 ……アメロッパ語ってなんだよ。英語が現存する世界で新たにアメロッパ語が生まれる要因がわからん。

 シアンに翻訳してもらうと普通に罵倒だった。

 シアンが死に損ないを介錯してやろうとしたところ、命乞いに代わる。

 何でもウラに侵攻してきたのはいいが、皆とはぐれてしまったようだ。

 素直にプラグアウトすれば良いものを、助ける筋合いもないので黙っておく。

 ひとまず侵入してきたエリアまで連れていってやると、ぽっかりと穴が開いている。

 周囲には誰もおらず、目撃者はゼロ。用済みだ。死ぬが良い。

 

『で、どうしよっか?』

「海外に繋がってるんだよな……」

『初の海外旅行だね!』

 

 一応、ソプラノの姉御に連絡を入れておいてっと。これで彼女か彼女の知り合いが穴の修復をしてくれるだろう。

 穴を潜ってみれば、ウラとは違うエリアが広がっていた。

 海外からの刺客もいない。今のところニホンと色合いが違う程度しかわからないが、探索してみればわかることか。

 上手くいけば『2』と同じく、海外のチップが一足先に手に入る。

 

 それに、今なら間に合うかもしれないしな。

 俺なんぞに救えるかわからないが、いい機会だ。

 行ってみるか、クリームランドへ。




話がとっ散らかるので、海外での詳しい話は『2』以降で。
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