WWWを草と笑えない恐ろしい世界   作:じぱんぐ

45 / 69
43.大催眠のあとしまつ

 ハチャメチャが押し寄せてきたデンサン中央街催眠騒動から一夜明けて。

 当然、『渡』の通う秋原小学校でも話題で持ち切り――かと思いきや、被害も然程出ず、催眠中の記憶が無いことから、さらっと触れられる程度で済んでいた。

 最近、ネットバトルで世界一を決めるN1グランプリの告知をされ、そちらへ話題を持っていかれたのも一因だろうか。

 

「どーよ熱斗! オレ様たちは予選突破したぜ~?」

「ンだよ偉そうに……たかが予選だろ?」

「熱斗、連絡もくれないくらい忙しかったの?」

「おぉ、まぁな。つーか昨日も言ったけど、心配すんなってメイル」

「ホント女心がわかってないわね~光くん」

 

 煽るデカオに、不安を見せるメイル、呆れるやいとに、各々の返答に合わせてコロコロと表情を変える熱斗。そんないつも通りの光景を横目にネットニュースを流し読みする。

 いつもの4人がディレクターの口から直接聞かされて初めて判明する認知度の低さからの、たった昼から夕方までの数時間で予選を締め切る社会人涙目のクソスケジュール。からの全国各地に一瞬で広がるハイスピードな情報伝達速度の落差、といったガバを見せた原作エグゼ3序盤であるが。

 俺のいる世界では、規模が規模だけにオールドメディアでガンガン告知が打たれ、予選も1週間とある程度確保されていた。

 こんなところまで忠実に原作再現されていたら批判殺到して、最悪主催のDNN及びスポンサーのIPCにハッキング騒動が起きていたかもしれない。Z世代が起こす炎上沙汰くらい、一部のエグゼ住人の民度、マジで終わっているからなぁ……。

  

「それで熱斗、おめーも勿論参加するんだろ?」

「もち! 何なら昼休みにでもちゃちゃっと終わらせてやるぜ!」

 

 招待選手は予選免除とされているのだが、どうも熱斗は一から受けるつもりのようだった。まぁ、友達と一緒にやる、というのが何より楽しいからだろう。

 

(いいよ、ぼくは別に)

 

 『渡』に色々我慢させて悪いな、と思った瞬間に、彼の思念が届く。肉声と違って感情も割とダイレクトに伝わる為、嘘か本音かは何となくわかる。『渡』はさしてN1出場に熱意がある訳でもないらしい。

 

(プリセンス・プライドとお話する方が楽しいだろうし)

 

 その代わりに色恋に現を抜かすのもどうかとは思うが。まぁ、失恋のショックから立ち直るべく、新しい恋を見つけるのも悪くはないとは思う。

 ただ、立場的な問題でお付き合いも不可能な相手に懸想するのは如何なものか。何なら緊張し過ぎて電話越しでも全く会話にならない状況で良くも言えたものだ。

 

(そこはもうひとりのぼくが通訳として、ね?)

 

 機械で翻訳されたものをどう通訳すんねん。『渡』の言葉、エキサ〇ト翻訳2回繰り返してぐっちゃになった感じなん?

 第一、電話と違って衆目があるから会話にならないと思うのだが。

 

 

 

 

 

 そんなこんなで授業をこなして放課後。

 ネットセイバーとして招集を受けた俺と熱斗は例の如くオフィシャルセンターに赴き、通算何度目かもわからない会議室へ足を運ぶ。

 面子としては貴船総監に真辺警視、光博士、名人さん、マサさん、みゆきさん、サロマさん、炎山、そして五陽田警部と揃い踏みだった。

 

「熱斗くん、隠岐くん、昨日は実にご苦労だった」

「オレは別に……犯人にやられちゃいましたし……」

「それを言うならオレっちもそうだぜ熱斗。そう気落ちすんなよ」

「……えぇ。不甲斐ないのは私も同じ」

「犯人に会う以前の話だもの、私たち……」

 

 貴船総監からの言葉にがっくりと肩を落とす一同。事前情報無しで催眠光線に対処しろ、というのが土台無理な話な為、仕方ないことだとは思う。

 原作の、発射されてから躱すなんて人間離れした芸当された方がむしろ驚くわ。

 

「幸い、軽傷者が数名出る程度。対処の為とはいえ電子機器の破壊による補填も国が負担してくれることとなった。君たちもナビも無事なのだろう? 反省は必要だけれども、必要以上に落ち込むこともない」

 

 あえて軽い調子で話す貴船総監に、彼らはひとまず顔を上げる。

 

「さてマサくんや五陽田警部より一連の報告を受けた訳だが……君たちから補足はあるかね?」

 

 真辺警視から配られた資料には、今回の一連の流れが簡潔に記されていた。

 事件発生は午後3時頃、運良く催眠光線を浴びなかった一般市民の通報により発覚。真っ先に現場に駆け付けたマサ及びにオフィシャル職員が催眠光線に被弾。

 続けて応援に駆け付けたみゆき、サロマ率いる後続もサングラスなどの対策を取り、指揮所を構えることには成功するも、様々な角度から飛び交う催眠光線の餌食に。

 それから少し遅れて到着した熱斗が犯人の行動を逆手に取り、近辺の電子機器にプラグイン。犯人のナビと接触するも、PETから放たれた催眠光線にダウン。

 その後は五陽田警部の知る限りのことが羅列されている。

 俺は小学生ということもあってすぐ家に帰されたからな。詳しい話は後日、ということで今回の席を設けたのだろう。

 

「犯人である西古レイと直接顔を合わせたのは隠岐くんだったね?」

「えぇ」

「西古からの要求は――テトラコード。それに間違いはないかね?」

「そうですね」

 

 頷きを返すと貴船総監は喉を唸らせながら眉を顰める。実情を良く知るであろう光博士などはもっと酷かった。

 昨日提出させられた卓上のSSDを射殺すような目を向けながら、固い声音を発する。

 

「何故、君がこれを持っている? テトラコードを知っていて隠し持っていたのか?」

 

 ファイアプログラムという前例もあってか、光博士の目には疑念で渦巻いていた。彼視点、俺がどうして所持しているのか全く想像もつかないだろうしな。

 『ゴスペル』の時と違って敵視されないだけ実にありがたい。

 

「事の発端はWWWエリアの発見からです。実際に赴いたのは熱斗とロックマンですけど」

「あー、あのエリアな? プラネットマンが言うには優れた団員を集める為に作られたんだっけ?」

「あぁ。それで俺も別口で調べている最中にテトラコードの事を知りました」

 

 WWWエリアというのは『2』クリア後に裏インターネットからアクセスできる隠しエリアのことで、攻略方法を知らなければ詰むであろうプロテクトシリーズや、プリズムコンボが通じないでお馴染みのプラネットマン、「伝説って?」「ああ!」並に説明のされないナパームマン、【ポイズンアヌビス】君の方が有名なファラオマンと戦える。

 その他に強力なチップが販売されていたり、凶悪なウイルスが出現したり、サプライズでフォルテが登場したりと、お楽しみ要素として用意されたエリアだった。

 まぁ、ストーリー的には熱斗が説明した通り、団員集めに利用されていたとのこと。そいつを隠れ蓑に、原作知識を喋ることにしたのだ。

 

「……あのワイリーがそう簡単に明かすとは思えないけれどね」

「俺が知っていることも断片的ではありましたよ? でも()()手に入れたキーデータを西古に実際に見せて判明した次第です」

「偶然?」

「秋原小学校で起きたスクールジャック事件、そこで入手したんです」

「あー、あの時! 職員室の電脳はセキュリティゲートがあったなー!」

 

 思わず立ち上がった熱斗に向けて首肯し、俺は話を続ける。

 

「それで事件の後、担任のまりこ先生に見せたところ、知らないと仰られて。返すあても見つからないのでそのまま保管していた訳です」

「証拠としてオフィシャルに提出しなかったのかな?」

「熱斗、お前はそんなことしたか?」

「誰にも言われてねーからしてない! やっぱヤバいかなパパ?」

「……できればそうしてもらいたい」

 

 熱斗を巻き込んでハッキングパパの追及を封殺。

 実際のところはまりこ先生にも見せてないから真っ赤な嘘だけどな。万が一返却を求められたら俺が回収した意味が無い。

 

「そのテトラコード? ってのは一体何なのパパ?」

「WWWが狙う以上、熱斗たちには知る権利はある、か」

 

 当然とも言える息子からの疑問に、光博士は苦虫を潰したような顔で口を動かす。

 

「テトラコードというのは科学省に封印された怪物を閉じ込める4つのゲートキーのことだ」

「怪物ぅ? 聞いたことがねぇんですけども?」

「マサくん、それは科学省のトップシークレットだからね。事情が事情だけに、一部の人間しか明かされていない事実さ」

「貴船総監の言う通り、それは大変恐ろしいものであり――科学省の暗部でもある」

「暗部、ですか?」

 

 サロマさんが繰り返した言葉に、一拍置いた後、光博士は続ける。

 

「熱斗が産まれる前、世界中で電子機器の誤作動が相次いだんだ。その原因が初期型インターネットのプロトのバグによるものだった」

「光正博士の作り出したインターネット、ですよね?」

「あぁ、炎山くん。そこで私の親父、光正が内部から働きを抑制する『ガーディアン』と外部から封印するテトラコードによって科学省に封印したんだ」

「それをDr.ワイリーが再び蘇らせようとしているんですか?」

「そんなことは断じて許してはならない! ()()()と違って、今は全世界にネットワークが繋がっている! それこそプロトが復活ともなれば世界が滅んでしまう!」

 

 興奮を抑えきれず、握り締めた右拳を震わせ、歯を食いしばる様子の光博士がそう話を締めた。

 『3』終盤に明かされる情報に対して、事情を知らなかった真辺警視、マサさん、みゆきさん、サロマさん、熱斗、五陽田警部は絶句した姿を晒していた。ついでに俺も呆けた振りして、ぽかんと口を開けておく。

 

「ではテトラコードが何故科学省の外にあったのですか?」

「それは……」

 

 冷静さを保っていた炎山からのツッコミに、光博士は言葉を詰まらせる。彼自身知らないからか、それとも裏事情的に言いにくい部分があるのか。

 

「……学校にあった、ということは盗まれた可能性は低いでしょうね」

「そうかしらみゆき? 転勤に合わせて隠す場所を転々と移せるじゃない」

「……それは隠す側の理屈」

「なるほどなァ……プロトっつう化け物が目的なら4つ揃わにゃ意味ねぇし、1つだけをずっと隠し通す意味はねぇわな」

「単なる嫌がらせとか?」

「……嫌がらせならWWWとかの反社会的組織に渡して所在を明かした方がずっと効果的だわ。小心者、であれば話は別でしょうけど」

「科学省に金吹っ掛けた方が犯人としても旨味はあるわなァ」

 

 みゆきさん、サロマさん、マサさんがそれぞれの見解を明かす。対して光博士はだんまりを貫く。

 

「光正博士が科学省だけに託すのは不安だったりして?」

 

 俺がそう呟いた時、驚愕した様子で視線を向けてきた光博士と目が合った。すぐさま表情を取り繕う彼だったが、もう遅い。既に答えを言っているようなものだ。

 原作知識も踏まえて、他のテトラコードの在処を思えば推測できなくはない。

 ひとつは先程明かした秋原小学校の校長先生のPC。ひとつは科学省。ひとつはよかよか村の動物園。ひとつはビーチストリートにある湾岸病院。

 それぞれに共通点は見出せないからこそ、浮かぶものがある――光正と親しい者である可能性だ。

 テトラコードを別々の場所に分散させることで、リスクを軽減しようとしたのだろう。預けた彼らが被害に遭う可能性? それも承知で引き受けたか、あるいは原作ハッキングパパ並に光正も倫理観に欠けていた面があったのかはわからない。

 

「科学省に一纏めにして保管するのは確かにリスクが高い。が、随分と杜撰な管理をするものだ」

「何にせよ、これはオフィシャル本部に預ける、ということに異論は無いね?」

 

 名人さんが自論を述べた後、貴船総監がそう話を纏める。妥当性もあるということで、異議が唱えられることもなく、その外付けSSDはマザーコンピューターと同じ場所に保管されることとなった。

 俺としては炎山辺りが個人で所持するのがベストだと思ったが、管理体制としてはそちらが妥当だろう。

 

「隠岐くんの安全の為、あえてテトラコードの所在を明かすけれど、光主任よろしいかね?」

「致し方無いことかと。WWW以外には気付かないレベルの暗号処理を施しておきます」

 

 迷惑かけて申し訳ねぇ。でも、俺が持っているテトラコード、ひとつだけじゃないんだよな。

 彼ら個人を信用していない訳じゃない。最先端を誇るくせしてハッキングされる科学省を信用できないのだ。マジでシリーズで登場する毎にやられてやがる。

 アニメでもそうだ。お決まりのパターンで科学省のファイアウォール突破され過ぎィ!

 だから俺は保険をかけておいたのだ。

 貴船総監に預けたのは動物園にあったテトラコードで、秋原小学校で手に入れたテトラコードは外付けSSDに突っ込んだ後、物理的に破壊して取り出せないようにしておいた。

 多分、バレたらハッキングパパ激怒だし、内部事情を知る科学省及び政府関係者のお偉方も大変お冠になるだろうが、知ったことか。人命優先じゃボケ!

 

 『3』のシナリオではプロトが『ガーディアン』から解放されていない状態でも、活動を開始してしまい、全世界へプロトバグが流れてしまう。

 その結果、各インターネットの膨大なエネルギーが吸われ、機能が低下。そして、軍事関係のネットワークも狂わされたことで終末戦争が起きてしまう。

 最終的にプロト本体は熱斗とロックマンによって倒され、各地に散らばったプロトバグの機能も停止するのだが……それまでにどれだけの被害が出るか。条約締結にかかる時間やら報復合戦の可能性などは考えたくもねぇ。

 

 熱斗視点でもニホン軍が戦車を街に配備。それが前述のプロトバグによって暴走し、あろうことか人に向けて機関銃がぶっ放されるのである。

 運動神経がヤベェ熱斗相手だったから躱せたものの、普通の人間なら死んでるだろ! それが各地域に発生したとなれば、ニホンだけでもどれだけの死者が出る?

 CERO:Aの為、具体的な描写は省かれたが、その被害を考えただけで恐ろしい。身近な人間に、それこそ隠岐英さんにもしものことがあれば、俺はきっと発狂して立ち直れない。

 だから俺は、上が考えるであろう汚い思惑も、光博士の想いも踏み躙る。この場で明かされなかった()()()を考慮しても、だ。

 上の皆さんも戦争の発端がニホンとバレたせいで、国際情勢が悪化するよかマシだろ。

 

「話に一区切りついたので、オレから報告よろしいでしょうか?」

「あぁ勿論だとも炎山くん。WWWの本拠地についてだね?」

「えぇ。結論から述べますと、かつて彼らが巣食っていたアジトに変化はありませんでした。ダミーとして用意されたものも同様です」

 

 なるほど催眠事件の際、現場に訪れなかった炎山は調査をしていたのか。かつて俺が監禁されていたWWWの本拠地もデカかったし、それに繋がる坑道も随分と広かった。

 それを足を使って全て調べるとなれば、時間もかかるだろう。むしろ、WWWエリアの存在が判明してから動き出したとすれば、かなり早い方だ。

 

「新しい本拠地に繋がる手がかりも無かったかね?」

「えぇ」

「光主任、例の『ゴスペル』首領からは?」

「Dr.ワイリーに所在地に繋がる情報は何も。ただフォルテを使って何かしら企てていることだけは……」

「後は捕らえた西古からどこまで情報を引き出せるか……」

 

 現段階で集められる情報ではそれが限度だろう。

 何せWWWの本拠地――ワイリー城の場所が判明するのは終盤。プロトがハッキングした軍事コンピュータの侵入経路から逆探知することでようやく知ることが叶うのだ。

 だが、それではあまりに遅過ぎる。

 

「あー、私からも報告よろしいでしょうか?」

「隠岐くん……?」

「シアン」

『はいはーい!』

 

 困惑しつつも貴船総監が首肯したのを見たので、PETを机にプラグインする。

 そしてシアンが今まで調べてきた成果をここに披露した。

 

「これは……貨物船のデータとその航路?」

「個人的に調べたものなので裏付けは取れてませんが……少々怪しいところがありまして」

 

 それはシアンがコンテナ物流センターなどから地道に集めて来たデータである。

 ハッキング? そんな後ろめたい真似はしていない。足がつくしな。

 ただ単にそこで働くプログラム君からそれとなーく聞き出してきただけだ。

 コツとしては具体的な名詞は出さずに、その日はいつもに比べて重い軽いか、遠回りして疲れていないか、ナビたちの様子がおかしくないか、などなど。

 そこからそれっぽい数字を算出し、後はプライド殿下経由で貿易担当の人の手を借りて最終調整してもらっただけよ。

 要するに、まぁハッタリである。

 

「このひと月、随分資材が動いているのと……逆に積載量に対して少ないものまでありますよね?」

「航路は……デモンズ海域近辺だと?」

 

 デモンズ海域――それは潮の流れが異常に激しく、荒波に慣れた漁師たちでも滅多に近寄らない海域らしい。

 上空には常に乱気流が発生している為に、空路であっても避けるスポットとも言える。

 

「明らかに不自然ではありませんか?」

「確かにおかしい。もしや……Dr.ワイリーはデモンズ海域内に本拠地を構えているのか!?」

「まさか! いや、しかしリスクやコストを考慮しなければ……ワイリーは自然の要塞を手に入れたことになる」

 

 信じられない、といった面持ちで向き合う貴船総監と光博士。海の漢であるマサさんも目を剥いている辺り、常識外れの場所らしかった。

 まぁ、原作だとドデカい城作ってやがるんですけどね、ワイリーさん。『1』と違ってデザインも無印ロックマンに寄せている辺り、デザイナーの手も加わっているだろ。

 

「私ではこれで限界でしたが、どうかオフィシャルの調査部のお力を借りられませんかね?」

「ふむ……仮にDr.ワイリーに関与していなくとも、何かしら検挙に繋がるやもしれんな」

「色々と調整が必要になりますけど総監、如何しましょうか?」

「真辺くん、そうだね。私から関係各所に掛け合ってみることにしよう」

 

 ワイリーとの繋がりは全く示せなかったものの、手がかりが無いからか調査に動いてくれるらしかった。先日の催眠騒動を重く受け止めたことも関係しているかもしれない。

 

「フン……ニホンとの距離を考えるならば、その線は薄いと思うがな」

「じゃあ炎山はワイリーがニホンにいるって思ってんのかよ?」

「それくらいは理解できる頭があるようだな光」

「なんだとー!?」

 

 相変わらず人を小馬鹿にする態度の炎山に、噛みつく熱斗だったが軽くあしらわれてしまう。しっかし、口先こそ冷たいけれど、炎山の表情は随分柔らかくなったものだ。

 ふたりでシャドーマンを撃退した辺りから更に仲良くなったんじゃなかろうか? ライバル関係が良好みたいでおじさんもニッコリである。

 

 何にせよ、現状俺が打てる手としてはここまでか。

 ANSA(アメロッパ宇宙センター)などの協力を取り付けて正確な座標を割り出す、なんて事は俺には無理だしな。せいぜいオフィシャルにも働いてもらいまひょ。

 マジな話、彼らの働き如何によって被害が変わってくるといっていい。

 相手方もシナリオを無視してくるムーブかましてきやがったからな。WWWの人員や能力から事件の方向性をある程度推測できるとはいえ、不確定要素がある分、対策も不十分のまま動く羽目になる。どうしたって取りこぼしは出るだろう。

 何よりプロト解放前なら各機関に余裕があるのがデカい。最悪、ワイリーに勧告送った後、軍艦でWWW本拠地をぶっ壊す、なんて事もできるだろうし。

 

 加えて終末戦争による影響も無くなる、と考えれば『4』以降のシナリオも少しくらいは楽になるかもしれない。

 社会情勢が不安定になれば、さぞやダークチップも出回りやすいだろう。まぁ、そうでなくともチップの威力的に一定数の輩が欲するに違いないが。

 ともかく、なるはやで仕事が終わればけつかっちんなスケジュールに頭悩ませることがなくなるから、頑張れオフィシャル。

 

 

 

 

 

「名人さん、ちなみに何ですけど、みゆきさんが空飛んでたの、アレなんなんすか?」

「さんはいらない。あれはオフィシャルレッド強化計画の流用パーツだよ」

「オフィシャルレッド強化計画?」

「あぁ。見掛け倒しというのもつまらないだろう? ヒーローとしてやっていくなら色んな機構を付けたくなるのも当然の帰結じゃないか!」

 

 蛇足としてみゆきさんの一件を触れてみたところ、少々興奮した面持ちの名人からそんな返答が返ってくる。

 

「まだまだ実験段階だけど、光博士のディメンショナルエリア理論が確立すれば、特撮のように変身も必殺技も再現できるかもしれない!」

 

 コトブキマンションで起きた電脳世界との融合現象も参考になっているようで何より。ただ、こういう方向性は予想してなかったぜ、マジで。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。