WWWを草と笑えない恐ろしい世界   作:じぱんぐ

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62.ドッドッドリルマン

 シャーロからの介入によってタイムリミットが明朝に定められたことで会議は強引に収束に向かう。

 彼らの本心からすれば少しでも決定を遅らせてニホンへ有利な条件を引き出したかったのだろう。

 しかし、その度に光祐一朗が冷や水を浴びせ、彼らを現実に立ち返らせるムーブを決めたことで要所要所が詰められていく。

 そんな中、コサックさんの作戦同行も決定。いち戦力としては数えられないものの、現場のサポートとして選出された形だ。

 恨みを買っている人物をそのまま手元に置いておきたくないが、かといってこの緊急時に彼の技術力を腐らせておくのももったいない、という本音もあったのだろう。

 コサックさん作のナビカスプログラムを提示したことやフォルテを無力化する手立てを証言したことのも説得力を強めたと信じたい。

 前者は純粋に現場の一助として、後者は()()である炎山とブルースの消耗を抑えられれば儲けもの、といったところか。

 

 後は会議に出しゃばったせいでまたもや俺を危険視する流れもあったけど、そんな些細な事を話している場合ではない現状やらコサックさんに唆された可能性も考慮されて厳重注意に留まった。

 保護という名目で監視を付ける云々を迂遠な表現で主張する者もいれば、逆に俺へ()()を付けることにデメリットを覚え反論する者もいたのは少々意外だったが。

 

 さて現在時刻は0時を回り、小学生の俺は貴船総監の気遣いによって退出されられた。

 彼や真辺警視としてはもっと早くに会議室から離れさせようとしていたのだけれども、その絶好のタイミングでコサックさんの件をブッ込んだからなぁ。

 正直、すまなかったとは思っている。

 

「夜のドライブとかすっげぇワクワクするなっ!」

 

 あの短時間の内にミストマンとボウルマンを倒し、セレナードからギガフリーズを受け取ったらしい熱斗と共に覆面パトカーに乗り込む。

 例の作戦へ選出された俺たちが、シャーロのイージス艦っぽい艦艇が停泊する港へ移動する為だ。

 ちなみに炎山はIPCの用意した車に拉致されていった。目を離した隙に仕事を進めるから強引に休ませる為らしい。付き人っぽい男性からの証言である。

 

「にしても実感湧かねーよなー。N1が終わったばっかだぜ?」

「かもな」

 

 何気なく呟かれた熱斗に気の抜けた返事を返す。

 原作『3』では他国で戦端が開かれ、終末戦争の雰囲気がニホンにまで漂っており、一般人にすら緊迫した状態に陥っていた。

 しかしながら俺の介入で随分とワイリーが計画を前倒しにしたせいで、世界の表向きでは物語終盤のヤベー感じが全然していないからなぁ。

 後……俺が悲劇の回避に動いた影響でこの時空の熱斗は平和ボケしている面も強いのもあった。

 

 特に『3』の時系列、シナリオ後半にて熱斗はかなりキツいものを背負わされる運命にあったのだ。

 友人の命を懸けて戦う羽目となった湾岸病院のイベントもなかなかだが、科学省が熱暴走を起こし、大きな火災が発生したイベントはマジで重かった。

 話の流れとしては更生した素振りを見せるヒノケンの口車に乗せられた熱斗が悪事に加担したせいで、自身の父親である光祐一朗を殺しかけるというね。

 一歩間違えれば亡くなっていたかもしれない事態に、いつも明るいメンタル強者の熱斗も流石に塞ぎ込んだレベルだ。

 それでも炎山や祐一朗本人から励ましを受けて立ち直る様は心に来るものがあるのだけど……原作知識がある身として普通に見過ごせんかったわ。

 とはいえずっとヒノケンを監視する訳にもいかないから色綾さんに目を配ってくれるよう頼んだり、英さんやその部下へ違和感があれば注意していただくよう言い含めておいたけども。

 

「実感、ねぇ」

 

 かくいう俺も知識として知っていても、実感があるとは言えなかった。

 前世にしたって戦争からは縁遠く、軍人とすら関わりが無かったからな。正直、専門の人間に全てぶん投げてしまいたい気持ちもある。

 けれど、ワイリーを相手にネームド以外に勝てるビジョンが浮かばなかったのも確かだ。

 セルゲイ大佐やライカが強者であるのは疑いの余地は無いが、ゼロに勝てるかどうかは微妙なラインでもある。

 

「熱斗……?」

 

 流れる夜景を見て感嘆の声を漏らしていた熱斗だったが、いつの間にか寝息を立てていた。

 N1グランプリやシークレットエリアに着くまでの道のりで疲労が累積し、流石に限界を迎えたのだろう。

 

(不安?)

 

 ふと『渡』が胸の内でぽつりと呟く。

 身体を共有する俺たちに誤魔化しは効かない。だから腹を割ってしまうが、ぶっちゃけ不安しかねぇよ。

 展開が前倒しになったせいで十全な対策など練れていないし、出たとこ勝負な面が強いのも否めない。

 パルストランスミッションの仕様も不利に働く可能性があるし、ワイリーの気合の入れようからして、ゼロも多分強化されているだろうしなぁ……。

 強化ゼロとフォルテを同時に相手とか考えたくねぇわ、マジで。

 

(不安ならお話するといいよ。ぼくはきみにそうしてもらったから)

 

 『渡』の発言にぱちくりと瞬きを繰り返す。俺は無意識的に不安に限らず自分の感情は自分で制御せねばならないと思い込んでいたからだ。

 でも、こんなことで愚痴ってもいいのか?

 

(ぼくも怖いから。ね?)

 

 『渡』から免罪符を得て、自然とPETに目がいってしまう。

 

『オート電話だよね』

「察し良過ぎて怖ぇよ」

 

 シアンの気遣いに頭を下げて俺は相手に繋がるまでのコール音を何となく指折りしてカウントし、

 

「おう、どうしたワタ坊?」

「こんな夜分にすいませんマサさん」

 

 繋がった先は同じネットセイバーのマサさんだった。

 

「不安で寝れねぇのか?」

「まぁ、そんなところです」

「気にしいなワタ坊のこった。防衛側に回れねぇですまねぇと思ってんのか?」

 

 俺が口にしなくとも考えていることが当てられて少し喉が詰まる。

 

「おめぇさんは子供。それに明日に大事なお役目が控えてんだろ?」

「まぁ、はい」

「むしろ大人であるオレが代わってやれねぇって方が申し訳ねぇよ」

「そんなことは……」

 

 科学省防衛側からの要望で真っ先にマサさんは確保されていったから彼個人の意見で覆ることは無かっただろうけれども。

 子供を危険な場所に送り込むことに心を痛めているのは十二分に伝わってくる。

 シャークマン自体の戦力は言うまでも無いがマサさん自身の指揮能力が高い為、集団戦としては炎山より適任というのも理由のひとつだろうな。

 

「あら? 誰と話しているのマサさん?」

「サロマぁ、みゆきぃ。おめぇらも寝とけっつっただろう?」

「深夜放送やテレビで夜更かしするくらいあるもの。平気よ」

「……子供扱いしないで」

 

 突然、電話口から複数の声が飛んでくる。どうもいつもの面子は一纏めに動いているらしかった。

 

「その反応、まりこ先生じゃないのね」

「……つまらない」

「るせぇ! 大人の恋路に口挟むなってんだ!」

 

 歳の差があっても尚、気安いやり取りに思わずクスリと笑ってしまう。何気にまりこ先生と電話番号交換しているとか進展あったんだな、マサさん。

 

「騒がしくしてすまねぇなワタ坊」

「いえ。気にしないでください」

「隠岐くん、眠れないんだって? 意外と可愛いところあるのね」

「……」

「照れちゃってかーわいい*1

 

 お姉さんムーブかますサロマさんの方が可愛いです、とは言わないでおく。

 『渡』がこそばゆい反応をした影響なのはさておいて、サロマさんも防衛側に回ったひとりだ。ウッドマンの能力的にも攻勢より守勢に当たった方が向いているだろうしな。

 

「……隠岐くん、あの時はごめんなさい」

「えっと……?」

「……見ているだけで一緒に戦わなかった情けない私で、ごめんなさい」

 

 サロマさんとは打って変わってみゆきさんは静かなトーンで謝罪を口にした。

 初めはピンと来なかったものの、遅れてゼロと再戦した時のことだと気付いた。

 

「いえ先日は役にも立てなかったんでお相子ですよ」

「……私の働きなんてあの戦果と釣り合う訳が無いわ。絶望的な強さの相手を短期間で上回った貴方たちの援護すら考えられなかった」

「みゆきさん……」

 

 あの時、ミリオネアさんやプライド殿下にばかり気を取られていたけれど、みゆきさんは後悔していたのだ。

 

「……あんなに強くなれるって信じられなかった」

 

 力不足を実感しながらも目を背けたことに恥じ入ることがあったのかもしれない。

 

「……私は、弱いわ」

「そんなことないっすよ」

「……いいえ。事実ですもの」

 

 口ばかり先行した励ましの言葉も、みゆきさんがふるふると首を振って拒絶する。

 しかし、弱気な発言とは裏腹に彼女の瞳にはしっかりとした意思の光が宿っていた。

 

「……でも、私にもできることがあるってサロマたちが教えてくれたから」

「隠岐くんみたいにすぐには強くなれなくても。手を取り合って共に強くなることはできるから」

「ワタ坊も心配なら周りの仲間を見りゃあいい」

「……私たちからは応援しかできないけれど」

「違う場所でも一緒に頑張りましょう?」

「それが力になるってぇことは魚屋マサが保証すんぜ!」

 

 事態が好転する訳でも無いけれど。オペレートの腕前が上がる訳でもナビの性能が上がる訳でも無いけれども。

 それぞれの言葉は俺の心の支えになって、不安が和らいだ気がした。

 

「お互い頑張りましょう」

 

 安直でありきたりな言葉だったかもしれないけれど、彼らにも少しだけでも気持ちが伝わるように、俺はそう投げかけた。

 

 

 

 

 

 

 総勢100名を超えたオフィシャルたちによって夜通し行われた科学省防衛だったが――何の前触れも無く襲撃が始まった。

 名人を筆頭にバックドアを虱潰しにした成果が現れ、不意打ちの形とはならなかったものの。

 ファイアウォールの正面から()()のドリルマンが力業でブチ破り、敵勢が雪崩れ込んできた。

 

「ブチかませッ!!」

 

 少なからず混乱の声が上がったものの、臨戦態勢を保っていた熟練の老兵の号令によってオフィシャル・ビームが一斉掃射される。 

 多少の乱れはあれど教官の元、訓練を積んできた彼らの初撃は敵勢の出鼻を挫くことに成功する。

 

「こんなんで安心して手ェ休ませるなッ! 待ちきれねェお客さんがわんさか来るぞ!」

 

 しかし、WWWの連中は怯むことなく前進を続ける。

 ドリルマンが風穴空け、次に飛び出るはフラッシュマンの大群。一斉に構えを取ると眩い光を放ち、ナビやオペレーター共々目を潰されてしまう。

 

「小癪なァ! 撃てェッ!」

 

 反撃を恐れ無秩序に放たれる砲撃に幾らかの損害を与えたものの、その隙にビーストマンが飛び込んで彼らの喉笛を掻っ切っていく。

 視界とPETの画面が回復した頃には隊列に穴が生まれるも何とか持ち堪えている間に二度目の目潰しが敢行――

 

『させん!』

 

 直前、黒と黄を基調としたエレキマンが【ヒライシン】を召喚。その光全てを収束させ、彼らは目を焼く閃光を免れる。

 

「ここはミーが引き受けタ!」

「助かる! 敵は分散! 射撃部隊は後退! 近接部隊は防衛ラインを押し戻せ!」

 

 派手に動き回るビーストマンの猛攻もシャークマンの獅子奮迅の活躍によって防衛線を立て直すことに成功したオフィシャルは一転攻勢に打って出ようとした矢先に、新手が現れる。

 

『わらわらと実に美しくない光景だ!』

 

 頭部に朝顔のような花を咲かせ、茨のツタを腕から垂らすのはプラントマン。

 地中から突き出したツタ――プラントウィードが彼らの死角から襲い掛かり、その全身を締め上げる。身体に食い込んだトゲは彼らに行動を許さず、呻き声を上げる置物に成り下げる、筈だった。

 

『テメーもイイ趣味してんじゃねーか!!』

 

 その状況に待ったをかけたのは上空から炎を噴射して突貫するヒートマン。周囲にヒートウェーブを及ばせ、ツタを焼き切ってみせる。

 その際、囚われていたナビも炙ってしまったが御愛嬌だろう。

 

「随分と新顔も多いが挨拶も無しか?」

『おや? 先達などいなかったと記憶しているんですがね?』

「そりゃあお前さんが世間知らずなだけだぜ。フレイムマン!」

『ヴォオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 お喋りの間にもツタを伸ばすプラントマンだったが、辺り一面を火の海へと変えるファイアブレスによって周囲に手出しできない状況に置かれてしまう。

 

「悪ぃがオレたちに付き合ってもらうぜ後輩?」

『……いいだろう。我が美しきプラントマン軍団がご教授してやろう』

 

 

 

 

 

 

 戦端が開かれてから約1時間、一進一退を続ける彼らの攻防はしかしながらオフィシャル側が押されつつあるのが現状であった。

 属性による有利対面を作り上げたヒノケン、フラッシュマンの無力化に成功したエレキ伯爵など一部優勢に傾いている箇所もあったが、それでも全体を押し上げるには至らない。何分、数が多いからだ。

 

「……にしてもワイリー様らしくねぇよな?」

「確かにナ。形振り構ってる余裕も無いって感じだゼ」

 

 ヒノケンたちの知るWWWは少数精鋭を基本とし、数の暴力で力押しするなど考えられなかったのだ。

 ワイリーの方針転換と言われればそれまでだが、如何にも()()()()()

 仮に大群を用意するにしても単調な動きばかりのデッドコピーを量産するのではなく、相応の質が伴っている事こそ彼の仕事に対するプライドだろう。

 

「……つーかよ、何してやがんだマハ・ジャラマは」

「凄ぇナ、堂々と職務放棄してやがるゼ」

 

 半眼で呆れるふたりの視線の先には座禅を組んで梃子でも動かない様子のマハ・ジャラマと、その細腕を引っ張ってがなり立てる色綾まどいの姿があった。

 

「ですから何度も言っているでしょう、まどい? 私はどちらも選ばない、と」

「それをアホだって言ってんの! このカレー馬鹿!」

「やはり盾突くなどワイリー様への裏切り。しかし、勝手に足抜けしては貴方方に迷惑がかかるからこうして放棄しているのではありませんか」

「めっちゃ迷惑被ってるっつうのッ!! そんなんだからワイリー様へ印象が残らないんじゃない!」

「言ってはならないことを口にしましたね、まどい! 貴方にはもうカレーを作って差し上げませんよ?」

「はんッ! アンタにそんな権限無いでしょうが!」

 

 これに似た会話が延々とループするものだから、オフィシャルのみならずヒノケンやエレキ伯爵も注意や説得を諦め、戦闘に身を置いている。

 

「まっ、オレらにゃどーすることもできねぇわな」

「今の状況にも言えることかもナ……」

 

 

 

 

 

 プロトが保管されるテトラゲート――最終防衛ラインにも敵の姿が視認されたことで劣勢を察するサロマだったが。

 それでも敗北はまだまだ遠いと確信できるくらいには余裕があった。

 

『チィッ!!』

 

 N1グランプリによって露呈したウッドマンの弱点であるパネル変化を駆使して戦うドリルマンが舌打ちして後退する。

 その影に遅れて通過するのは青白い鬼火。スカルマンによる攻撃だ。

 

「バトルチップ【クサムラステージ】スロットイン!」

 

 N1と違い、彼女らは一組じゃない。スカルマンが相手取ることで、サロマは戦況を十二分に立て直すことができる現状、負けは存在しない。

 負け筋となり得るゼロが相手であろうとも同様と言える。

 何故ならば以前と違い彼女らの手にはナビカスタマイザーがあり、そのプログロムのアンダーシャツが搭載されているからだ。

 確定食い縛り――HPが2以上残っていれば致死量ダメージを受けようともHP1で耐え切ることができる能力と。

 圧倒的とも言えるグランドウッドスタイルの自前の回復能力が合わされば、まさに不死のゾンビだ。

 

 サロマとウッドマン双方が防御と地形変化に専念したことで一分の隙も無い。

 ウッドマンの巨体にテトラゲートは覆い隠されており、倒さぬ限りは触れることすら敵わない。

 

『や、やっと追いついたでプク!』

 

 ドリルマンだけがしぶとく生き残り、膠着する戦況に参戦したのは、ぽっちゃりとした体型のバブルマンだ。

 隠岐渡の情報によれば狡猾な思考を持ち、自身の生存を一番に考えるタイプのネットナビだという。

 大量の泡を展開する能力は厄介だがバブルマン自身の火力自体は低く、機動力は並。またドリルマンのように空間を破壊して奇襲を仕掛けてくることも無いとのことだ。

 

(ヒートブラザースタイルのスカルマンには属性不利だけどウッドマンでフォローすればいいわ。ドリルマンの攻撃力も大体わかったし、全く問題ないわ)

 

 サロマたちの目的はあくまでテトラゲートの死守。

 勝ちに行く必要も無ければ無理をすることも無い。バトルチップのリソース管理も科学省のバックアップによって長期戦も問題無い。

 

『プクプクプクプク!!』

 

 サロマに油断は無いつもりだった。

 バブルパレードによる泡の大量展開もウッディタワーの迎撃で間に合い、隙を窺っているドリルマンもスカルマンが執拗にマークしている。

 

『プクプクプクプク!!』

「しつこいッ!」

 

 バカの一つ覚えなのか、その場から動かず一心にバブルパレードを続けるバブルマン。

 【バブルラップ】によるバリアこそ張ってはいるものの、それでも無防備だと言わざるを得ないバブルマンに時折スカルマンへのボーンストーカーが刺さるが、それでもやめない。

 そして、泡の数がパネル破壊へ意識を割かれたサロマの対処能力を超え、いよいよその泡がウッドマンに届く。

 

(ミサイルや機雷の入ったものは優先して排除した。大したダメージにならない)

 

 サロマの推測は間違っていなかった。ウッドマンの潤沢なHPからすれば例えおさかなミサイルや機雷だろうとも大したダメージにならない。

 ただ間違えたのは、それを受けて良いと下した判断。

 

『ぬぅッ!?』

『今でプク!』

 

 そう、その泡はダメージを及ぼす物とは対極の【バブルラップ】。それもバブルマンの特別性で、泡で包んだナビを宙に浮かせる効果があった。

 地から足が離れ、宙を藻掻くウッドマンへバブルマンが突っ込む。

 狙いは無論、ウッドマンとパネルの間に生まれた隙間に飛び込むつもりだ。

 

「させない!」

『やらせねェよ!』

 

 ウッディタワーによる迎撃及び進路妨害を指示するサロマ。しかし、それに先んじてドリルマンがドリルパーツをバブルマンに向けて発射。

 それを背に受けたバブルマンの身体は加速し、ウッディタワーを置き去りにしていく。

 

「……スカルマン!」

『……邪魔をするな!』

 

 追い縋るスカルマンのスピードであればギリギリ間に合う筈の計算も、ドリルマンの身を挺した行動によって阻まれ――

 

『タッーチってプク!』

 

 最後のテトラゲートはあっけなく解除され、勢いを殺せず封印されたプロトにバブルマンがでんぐり返しで突っ込んだ。

 

「まだよ!」

 

 奪取こそされてしまったが、まだ負けた訳では無い。

 【バブルラップ】から解放されたウッドマンによってバブルマンは袋の鼠。脱出経路までの距離を考慮すればまだ十分取り返せる猶予は残っている。

 

『良くやったバブルマン!! ドリルモードォオオオオ!!!!』

 

 しかし、続く想定外はドリルマンの存在であった。

 ウッドマンの背後から突撃するドリルマンは、スカルマンの攻撃をモロに受けても尚止まらない。

 

『ぬぅん!!』

 

 背から受けても揺るがない大木は受けた端から修復を続け、ドリルの前進を阻む筈だった。

 

『な、なに!?』

 

 HPこそ削られた先から回復が追い付いている。

 だが、ウッドマンのボディは穴を拡張され続け、そこへ捻じ込まれるドリルマンはブレイク性能の真価を発揮していた。

 ギュリギュリと回転音に紛れて金属の軋む音が混じり、ドリルマン自身が歪に変形しても尚、回転は止まらない。

 そして、その執念は見事にウッドマンの防御を貫き、空間の壁すら破ってみせた。

 

『ドリル兄!!』

『はやく……いけ。弟、よ』

 

 エネルギーをオーバーロードさせたツケで全身がガタついたドリルマン。そんな無残な姿を前にバブルマンが嫌々と首を横に振るが、迫る敵影を確認して、

 

『う、うわぁああああん!!!!』

 

 情けない泣き声を上げて抉じ開けられた空間の歪に飛び込んだ。

 

『戒律、その98ィ 戦い、に敗れても……タダでデリートされるな』

 

 最後に残されたエネルギーを暴走させたドリルマンが自爆を敢行し……ブレイク性能によって空間の歪を破壊され、行き先を阻まれたウッドマンとスカルマンはその場に立ち尽くすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして運命はズレながらも史実に近付く

 プロトはDr.ワイリーの手に届けられ、解凍されたことで漏れ出すプロトバグが世界中の電子機器に牙を剥く。

 海の上を行く転生者に防ぐ手立ては無い。

 

 されど、今まで紡いできた縁がまたその運命を捻じ曲げることになる。

 

*1
速水ダイスケの件を未だ引き摺って、ちょっぴりイジワル




〇大量のデッドコピー

 元ネタはアニメのファラオマン捕獲計画のストーンマンとボンバーマンの大量コピー。
 設定的には『2』のフォルテプロジェクトでバグ融合体を流用したイメージ。

 フラッシュマンはエレキマンに、ビーストマンはシャークマンに倒された。
 描写はカットマン。


〇プラントマン

 喋っている奴が本物……のバッグアップ。ワイリーの所に保管されていた。
 色々とイキってはいるけれども、ヒートマンとフレイムマン両名に勝てるビジョンが見えない為、デリートされた。
 勿論、描写はカットマン。




〇ドリルマン

 ワイリー製+ブレイク性能+空間破壊能力という贅沢セット。
 ただチート性能しているウッドマン相手には力不足であったものの、捨て身ブーストで命懸けた結果、見事に防御をブチ抜いてみせた。
 多分、ゼロとフォルテ以外にウッドマン相手に勝てる相手がいないからガチの大金星。

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