神酒←「みき」って読めんよね   作:パルプンテ権左衛門

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書きたいシーンがいっぱいあるけど、めっちゃ先の話・・・。


少女二人

 先日のダンジョン探索に疲れ、泥のように眠っていたリリルカは、珍しくベッドから転げ落ちて目を覚ました。

 

 今日は一日中することがない。いわゆるオフの日である。

 

 ダンジョンに潜る必要もなく、また仕入れや卸は別の商業部団員が行う。つまり本当にやることがない日である。

 

 ただ、特別二度寝をしたいわけでもないのにまた寝るのはもったいない。そう思ったリリルカは、服を着替え自室から出た。

 朝食を取るにはまだ早いため、先にホームの奥にある酒造工房へと向かい、ソーマから教えてもらったリンゴの酵母を確認する。

 

「うん。いい感じ」

 

 何度も何度も使っているうちに作業には慣れ、誰に教わるまでもなく酵母を作れるようになった。一緒にミード酒の状態も確認して工房を後にする。

 

「リリちゃん。今日は早いな」

「オフですけど起きちゃったので……」

「今日のりんごはどうだい?」

「順調です!」

 

 早番の人と会話をすれば頭も冴え、本格的に1日が始まる。

 

 今日は団長のネクタルは私用のため休み。最近一緒に潜るバクティはイシュタル様に呼ばれてるとのことで昨日から拠点(ホーム)には戻ってきていない。

 一人でダンジョンに行くことは許可されていないし、まだ一人で潜る勇気もないため、ダンジョンに行くという選択肢はない。

 

「とりあえず街を回ろうかな……」

 

 目的もなくただ街を歩く日があっても良いだろう。ソーマ様だって散歩は時々している。

 

「まずは……。ご飯」

 

 腹が減っては戦はできぬ。今日の朝食は何だろうか。以前食べたパンを卵で浸したやつは美味しかった。リンゴジュースともあった素敵な朝食。

 

「おはようリリルカ。今日は早いな」

「ソーマ様!」

「朝食はもう食べたか?」

「いえ、まだです」

「そうか。なら共に食べよう。今日は何をするんだ?」

「今日は散歩です! ダンジョンは今日行かないので、街中を歩こうかと」

 

 散歩は良いな。短く返答してくれたソーマ様に笑顔を向けた私は、ソーマ様の腕を引きながら食堂へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「う~ん。拠点を出たものの、どこに行こう」

 楽しい朝ごはんを食べ終わり拠点(ホーム)から出たリリルカだが、目的がないのでふらふらとオラリオの街を歩く。

 そういえば六歳になり背丈も伸びた。*1

 

「服は定期的にソーマ様から頂けるけど、たまには自分で買ったほうが良いよね……」

 

 子を養うのが(主神)の仕事だ。なんて言うようになったソーマ様。思うところが全くないというわけではないが、それでも服を頂けご飯も食べれてお金ももらえる。

 忘れかけていることが多い【神の恩恵(ファルナ)】を授かる前のころに比べれば、今は天国のようなもの。

 

「こうやって服を買いに行くこともなかったし」

 

 そうと決まれば一端の目的地はオラリオの北にあるメインストレート。

 ソーマ・ファミリアの拠点はバベルに近い位置とはいえ南東側にあるので比較的歩かなければならない。

 昼前から多くの人でにぎわうバベルの横を通り抜け、声をかけてくれる顔見知りとは挨拶をする。

 

 そういえば、【シャシン・シードル】はいつ発売し始めるのだろうか。

 そういえば、次のダンジョンはどんな冒険になるだろうか。

 そういえば、バクティさんのように鞭を使えれば戦えるだろうか。

 そういえば、ソーマ様は次にどんなお酒を造るんだろうか。

 そういえば、お父さんとお母さんは今日もダンジョンに行っているんだろうか。

 

 サポーターとして立派になれば、ソーマ様だけじゃなくて両親も喜んでくれるかな?

 

「そんなわけないか……」

 

 どうせ換金できるアイテムも、両親の代わりに拾う魔石も全部持っていかれるだけ。

 ファミリアの方針が変わり旧体制の虜であった両親が、まともな親になれるわけがない。なんて、娘でありながらどこか冷めた感情を小さく笑う。

 

「って……。どこここ」

 

 無意識のうちに曲がる場所を間違えたのだろうか。

 見るからにメインストリートではなく、一本か二本入った屋台通りに来てしまった私は、周りを見回してバベルの位置を確認する。

 バベルはオラリオの都市の真ん中であり、見え方で大体の位置はわかる。

 それに見慣れたお酒の卸先があればもっとわかる。

 

 そう思って立ち並ぶ屋台を見れば、見慣れたソーマ・ファミリアのエンブレムを掲げた小さな屋台を見つけた。

 

「じゃが丸くん?」

 

 掲げられたソーマ・ファミリアのエンブレムが木製か金属製であれば、それはソーマ・ファミリアの団員がやっているお店。でも、リリルカの目の前にある屋台は、【シャシン】シリーズのお酒を売っている証として配布している布のエンブレム。

 

「おや? 気になるかい?」

「いや、ここにお酒を卸に来た記憶がなくて……」

「ってことはソーマ・ファミリアの子供か!」

 

 店主曰く、【シャシン】シリーズを販売し始めたのは今週に入ってかららしいが、お客さんに頼まれて仕入れ始めたらお酒もじゃが丸くんも一気に売れるようになったらしい。

 

「ってことはあれか! 噂のソーマ・ファミリアの愛娘のリリちゃんって君か! 小人族の!」

 

「噂かどうかはわかりませんが、商業部(ダーナ)で働いてる小人族の中でまだ子供なのはリリだけです」

「そうかそうか! ならサービスするよ! 1個か? 10個か? 欲しい数言ってくれ!」

 

「すみません。じゃが丸くん塩バター味10個ください」

「お! 嬢ちゃんまた来たのか! オッケー。少し待っててくれよー!」

「じゃ、じゃあリリもそれ一つで!」

 

 自分と同じくらいの年齢だろうか。金色の長髪の少女に釣られるように、私はそのじゃが丸くんを注文した。

 

「じゃが丸くん、初めて?」

「は、はい!」

「そう……」

 

 油の中にどんどんとじゃが丸くん? が投入され、いい音といい匂いが私の鼻と耳を襲う。

 

「塩バターは定番。塩のみとソースも美味しい」

「な、なるほど……」

「私はもう、じゃが丸くん無しじゃ、ダメ」

「そんなにですか!?」

 

「ほらよ。嬢ちゃんも」

「あ、熱っ!」

 紙袋に入れられた茶色い塊が予想以上に熱く、リリルカは落としかけた。

「はい……」

 だが、じゃが丸くんは地面に落ちることなく、地面につく少し上で金髪の彼女が拾ってくれた。

「あ、ありがとうございます」

「食べて」

 促されるままに口に入れてみる。サクッと気持ちのいい音。食感は柔らかく、中まで日が通っているのかほくほく。バターの柔らかな甘味が、塩味によってさらに引き立っている。

 

「お、美味しい」

「でしょ!」

「ち、近いです」

 異常なほどの速さで寄せられた顔。あまりの速さに、瞬きをしたら目の前に目があった。という表現がピッタリだが、まるで風のような速さ。

 

「わたし、アイズ。またここで。今度も一緒に食べよう」

「り、リリルカ・アーデ、です。は、はい」

 

 圧力に屈して返事をした私に、アイズさんはお裾分け。と、気がつけば三つくらいしかじゃが丸くんが入ってない紙袋をそのまま渡された。

 

「これでリヴェリアにも怒られない……。それじゃあ」

「は、はあ……」

 

 やはり風のように過ぎ去る彼女に首を傾げた私は、とりあえずソーマ様にこのじゃが丸くんを届けるために拠点に戻る。

 

「服買うつもりだったけど、まあいいか」

 

 トコトコと歩きながら、残っている3つをどうするかを考える。

 一つはソーマ様。もう一つは団長に渡すのが一番良いだろうか。

 

「バクティさんって確か明日まで居ないって話だから……」

 

 余る一つ。ゴクリと喉を鳴らす。

 あの美味しさを温かい今のうちに味わいたい気持ちと、ソーマ様と共に分かち合いたいという二つの気持ちがせめぎ合う。 

 

「が、我慢……しよう」

 

 そう心に決めた私だったが、結局15分後には食欲に耐えきれず拠点に着く前に食べてしまった。

*1
小人族の六歳基準の為、正直ただの幼女である。




仕事の兼ね合いもあり各時間を作れないので、
ある程度ストックができるまで更新停止します。
できる限り早めに更新できるよう頑張りますので、しばらくお待ちいただければ……。

今更ですが、何時更新が良いですか?

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