中央歴1639年1月 パーパルディア皇国 工業都市デュロ海域上空
「こちらデュロ基地所属第2竜騎隊、デュロ方面海域本日も晴天なり。」
隊長らしき人が本部へ定期連絡を入れる。雲ひとつもない空にワイバーンという竜に分類されるワイバーンロードが5騎程優雅に飛んでいる。
ワイバーンロード、ワイバーンの品種改良型。ワイバーンの最高速度が250㎞/hに対し、ロードは350km/h以上と、機動力は格段に速くなっている。戦闘能力強化の代償として、生殖能力が失われており、ワイバーンと比較しても1.3~1.7倍高価。
他にもワイバーンオーバーロードと呼ばれる改良版が開発されていると基地内で噂になっているそう。
「隊長ぉ、こんなほぼ毎日なにもない海なんか見て哨戒しても意味ありますかねぇ。」部下のひとりがダルそうに聞く。ここ第三文明圏で唯一の列強であるパーパルディア皇国に敵などいない。周辺国を属領とし武力で従わせることでパーパルディアに莫大な富を築いてきた。そんな国に戦争なんか吹っ掛けられる訳がない。できるとしても列強1位、2位の神聖ミリシアル帝国やムー国といったところだろう。
「そう文句言うな、それでも皇国竜騎手か。軍人である以上哨戒をするのは仕事として当たり前だろうよ。」隊長が言う。
「といっても時間が時間だ、待機中の部隊と交代だな。」と連絡を入れようとした瞬間、部下のひとりが声をあげる。
「隊長!!右前方に何かいます!」と指を右に指す。確かに右前方に何かが飛んでいる。
「ここは我が国の海域だぞ!?確認を取る、お前らついてこい!」5騎は速度を上げた。
C-2 機内
「飛行を開始してからもう1時間半…なにもありゃしない、海ばかりだ。」機長らしき人が言う。
「もしかしたら異世界に来ちゃったりして?なことないですよねぇ」と副機長。
「そんなことあるわけないだろ?非現実的すぎるしそもそm」言いかけたその時、航空機関士が声をあげる。
「左後方から何か来ます!」
「何だって!?国籍の確認は取れたか?」
「それがさっきから無線で呼び掛けているのですが返答がありません!あと戦闘機の速度にしては、異様に遅すぎます!」機関士が慌てて答える。
「何だって?くそ!それじゃあ直接視認するしかない!速度を上げ、左旋回を始めろ!」
大きな機体がゆっくりと左旋回を始める。視認できたと思ったが、
「なんじゃあれは?」明らかに戦闘機ではない。凹凸が多すぎるし、羽ばたいているようにも見える。
「き、機長!あれワイバーンじゃないすか!」副機長が興奮気味に声をあげる。
「っよくわからんが兎に角、本部へ連絡しろ!我が国異世界に来た可能性あり、とな!」
目の前に見える空飛ぶ蜥蜴はこちらにだんだんと近付いてくる。しかもその上に人が乗っているようにも見えるではないか
「なんてこった、人が乗っているぞ!」
「機長!ワイバーンの口から火球を確認!攻撃来ます!」副機長が双眼鏡を覗きながら報告する。その間にも機関士は欠かさず全てを無線で報告、指令部の方も驚きを隠せていないようだ。
「ファンタジーの世界かよ!避けるぞ!!」
5騎から放たれた火球はまっすぐC-2をめがけて飛んでくるが、加速しながら上昇することで間一髪避けることに成功する。
「あれを避けただと!?なんていう上昇力だ!」
「隊長!敵の国籍を表すマークを確認!赤い丸印です!」部下のひとりが叫ぶ。
「赤い丸印の国とか聞いたことがないぞ!?」話をしているうちにC-2はどんどん上昇。ついにはワイバーンロードも追いつくことができなかった。
「ちくしょう、とりあえずデュロ基地に魔信を入れる!現在、赤い丸の印を持つ国のワイバーンを追跡するも振り切られた。デュロ方面に向かっている模様!至急増援を求む!」戦力の増援を求めた第二飛竜隊はC-2のはるか下の方で追跡を続けるしかなかった。
「機長、国籍不明騎はどうやら我々についてこれないそうです。現在、我々より2000m下方のいる模様。」
「もう訳がわからん。ただ、あのワイバーンというやつには人が乗っていたのは間違いない。近くに陸地があるのは明確だろう。」機長は操縦悍を引き、さらに上昇した。
「任務は続行する。国籍不明騎が来たと思われる方向に向け、進路は変更し速度このまま。」
C-2は先ほどよりも西の方向に向かって飛んでいった。
「さっきの羽ばたいていなかったワイバーン、なんだったのでしょうか?」第二竜騎隊で好成績をおさめている最近入隊した新人が問う。
「わからん。もしかしたらムーの飛行機戒かもしれないな。あれは明らかに金属で出来ていた…」
「と、ということはムーは我々に戦争を仕掛ける気でしょうか!?」
「そうかもしれないが…」
「隊長!敵が、敵がデュロ方向に進路を変えました!」望遠鏡を覗いていた一人が言う。
「何だって!?直ちにデュロ基地に魔信を入れろ!」
パーパルディア皇国 デュロ基地
警報を報せるサイレンがけたたましく鳴る。基地職員、兵士が自分の位置につこうと慌ただしく走る。
デュロ、皇国の工業力の要であると共に、北方や南方からの侵略に備える拠点でもあり、陸軍基地のほか戦列艦隊も存在している。デュロ基地は皇国に存在する三大陸軍基地のひとつで盾であり矛でもある。基地司令ストリームはアナウンスで指示を出す。
「哨戒していた竜騎隊によれば、敵はこちらに向けて進路を変更し、まっすぐ向かっているとのことだ。又、不確定情報ではあるが敵は飛行機械の可能性があるそうだ。各員パーパルディア皇国に侵入したアホに痛い目を見せてやれ!」
ワイバーンロードが次々と離陸する。
士気向上のため放送で直接言う基地司令のストリーム。しかし、ストリーム本人は内心焦っていた。なぜならここ第三文明圏で唯一の列強国に得体の知らない何かが向かってきているのだ、しかもワイバーンロードが追い付けない速さで。普通、周辺国ならば大使館を通じて来るが、それは列強同士との間で行われる。文明圏外に国などには適当に期間を開けて話すが、所詮文明圏外の国。周辺国に理不尽な要求を繰り返しては、拒否されると問答無用で侵略・征服を行う。下に見ても何の問題もない。列強に口答えできる訳もなく、皇国に有利な条件で国交を結ぶ。これが皇国の外交方針だ。国力の弱い国が我が皇国のワイバーンロードを超すはずがない、そう思っていた。
C-2 機内
「機長!陸地を確認しました!」
「よし!このまま人の確認を急ぐ、本部に報告!」
陸地を発見したことと、このまま任務を続行する趣旨を伝える。報告を受けた職員は陸地の発見にホッとする。大使館から連絡がないことや、打ち上げていた衛星が通信不能になっていたりと大混乱となっていたが、まともらしい報告を受けて胸を撫で下ろす。
「ん?何か地形の形が違う気がする…」
「確かに緑が多いし、何せ無線で呼び掛けても応答がない。周波数は変えてみたか?」
「しましたが、雑音しか流れてきません。」
「いったいどう言うことなんだ…。仕事場に軍人がいないというのはあまり考えられないし…」
「た、大変です!前方から無数の国籍不明騎を確認!こちらにまっすぐ向かってきます!」レーダーを覗いていた隊員が言う。
「何だって!数はどのくらいだ?」
「およそ30です!」
「数が多すぎる!一旦上昇して任務続行。建造物を確認しだい、帰還する。」
機体は大きな音を発しながら上昇し、ついにはワイバーンロードが飛ぶことのできない圏に入る。
「機体、電子機器に異常なし。任務を続行します。」
白い大きな雲を抜けるC-2。その先には緑色を放つ大陸が広がっていた。
「陸地を確認しました!明らかに韓国ではありません!」
「よし、速度このまま。沿岸に沿うように偵察を開始する。あと本部に連絡!」
東京都 首相官邸
「入間基地より報告!偵察任務に出していたC-2から陸地を発見したと連絡が入ったそうです!」
「よし!よくやった。てなると、韓国かロシア連邦との確認は?」
「それが、明らかに韓国やロシアではないとのことです…」
部屋が一瞬シンとなる。
「そ、それは機体が別の国に飛んでいったということなのか?」
「衛星が繋がってない状況だとまだ判別できません…」
衛星がやられたのはとても痛かった。GPS機能や気象衛星も含まれているため、天気の予報も出来ないほどだった。
「う~ん、JAXAからの返答はまだか!?」
「あそれについてですが、」職員が報告したかったことがいつ言えるか、戸惑っていた。
「JAXAからは衛星の打ち上げについて、アメリカと連絡が取れず、連携がない今だと最低でも1年程かかってしまうと言っておりました。」
「1年は長すぎる、半年で打ち上げろと言っておけ!日本の運命が懸かっているとな。」
職員は急いで部屋を出た。
「まああとは続くC-2からの報告待ちと言うことか…」
C-2 機内
「機長!韓国方面に向かっていた一機が不明勢力に攻撃を受けるも、なんとか陸地を発見したそうです!」
「え?攻撃を受けた?どういうことだ、韓国軍の戦闘機が発砲したということか?」
「それが、戦闘機ではないドラゴンのようなものに乗った人らしき者を確認したそうですが…」
「ドラゴン!?お伽噺の世界かよ…」
「おっしゃる通りです、あ、あと本部より帰投せよと命令が出ていますがいかがいたしましょう。」
「そう言われちゃしょうがない。空振りだが、これより帰投する!」
「「了解!!」」
ロシア方面に向かっていたC-2は結局なにも見つけることはできなかった。しかし、日本海周辺の海図が完成したことで後に、海上自衛隊、海上保安庁、そして一次産業である漁業などが活動を再開することができたのが功績と言えよう。
C-2 機内
「不明勢力を撒くことができたみたいです。」
「よし、武装がついていないこの機が攻撃を受けたらひとたまりもないからな…」
C-2は元は輸送機として開発されているため、フレアなどの防衛装備などある訳がない。そんな航空機が「火球」なんかを浴びたらひとたまりもないだろう。又、一機がおよそ230億円とする代物を落としてしまえば日本の自衛運営が難しくなるに違いない。混乱が続く今こそ慎重に行動するべきなのだ。
「あ、右下方に建造物らしき物を確認!近付きます!」部下のひとりが言う。
だんだんと物がはっきり見えてくる。しかしそこには今の時代ではあまり見慣れない石材などでできた建物が湾を中心に広がっていた。他にも、かなり近代的な基地らしき物や湾内は木造船が多数浮かんでいる。さらに奥に進むと工場のような建物が沿岸に隣接するようにあった。
「すげぇ、こりゃ中世のヨーロッパの世界にいるみたいじゃないか…」食いつくように眺める機長。
「しかしこうなると、我々が別のどこかに飛ばされたのは本当のようですね。ほんの数百キロしか飛んでいないのにヨーロッパに着くはずがありません。」冷静に分析する機関士。
「そうとも言えるな。とりあえず街らしきものを発見することはできた。これより帰投する!」
東京都 首相官邸
「総理、韓国方面に向かっていたC-2が街らしきものを確認した模様です。」
「よし来た!ではできた海図を元に、空母いずもとそれに随伴する艦艇数隻を向かわせろ!国を確認次第、国交を結べ!」迫力のあるように指示する石間首相。すべての国と連絡ができなくなった日本は食料問題をはじめ、石油危機に陥っていた。これを打破するために早急に貿易を再開しないといけないのだ。
神奈川県横須賀市 横須賀基地 空母いずも艦内
「艦長、出港命令が出ました。」
「わかった、ではこれより横須賀基地を出港する!出港準備!」
艦内にいた艦員が配置に着く。
「作戦を開始する!最大戦速!」
巨大な艦を持つ、空母いずもは少しずつ動き始める。それと同時に、護衛の艦艇3隻も出港した。本作戦に参加する艦艇は以下である。
横須賀基地所属 第一護衛隊群護衛隊
DDH-183 いずも
DDG-179 まや
DD-101 むらさめ
DD-107 いかづち
計4隻になる。なお、空母いずもに関して元は護衛艦だったに対してなんやかんやで2025年12月に空母化が完了したのである。2番艦のかがはまだ改装途中であるため、海上自衛隊で唯一の空母である。C-2の作成した海図を元に、街らしきものがあった場所に向かう4隻は東京湾を抜け、伊豆半島を通過し豊後水道を通り、関門海峡を通過して行く予定である。今後未知の国家と接触したことで日本の運命を大きく変えるなど、まだ誰も知らない。
今回かなり投稿が遅れてしまいました。
今後テスト等控えてますので、頻度は下がるかもしれませんが頑張っていきたいです。
次回、横須賀を出港した第一護衛隊。パーパルディア皇国と接触するがトラブル発生か!?
ロウリア王国、どうしたい?
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難癖つけて植民地化
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その他(コメントで教えて)