リンの一日
私の一日は、いつも穏やかに始まる。
「おはよう、みんな。今日も元気かな?」
そう話しかけても、もちろん返事はない。それでも、少し成長した彼らの魂を見ていると、どこか親しみが湧いてくる。まだ実体を持たない彼らを、いつの日か本当の姿で愛でられる日が来るのだろうか……そんな期待を胸に、毎日こうして挨拶するのが私の日課だ。
「早くみんなとお話ししたいな……」
ふわふわと漂う
その後、私は
「今日も外はきれいだな……」
青空の下に広がる大森林の景色を楽しんでいると、小さな鳥のような魔物がふわりと近寄ってきた。鳥の姿をした魔物は、私の存在に気づいたのか、ちらちらとこちらを伺っている。
「こんにちは!」
私は笑顔で挨拶してみた。けれど――
「ピッ! ピッピッ!」
鳥の魔物は私を見た途端に驚いたように羽ばたいて、すぐに逃げてしまった。
「え……逃げられた……」
せっかく笑顔で挨拶したのに……。ほんの少し寂しさを感じつつ、外の景色をもう少しだけ眺めてから、私は
その後はお待ちかねの修行タイムだ。私は異空間に移動し、まずは風の魔法の復習を行う。ミリムから教わった「感覚で覚える」という無理難題の練習は、今も続いている。
無詠唱で風の刃を生み出す練習を繰り返し、徐々に魔素を操作することに成功する。ミリムの修行が厳しいおかげで、少しずつ成長していることを実感できる。
その後、新たに挑戦しているのは水の魔法だ。水の魔法はまだあまり得意ではないけれど、練習すればきっと上達するはず。私は手のひらに魔素を集中させ、空中に水を生み出す。
「よし……次は、もっと大きな水の流れを……!」
魔素を集中し、水を形作ろうとするが、思ったよりも難しい。水は風と違って流れを掴むのが難しく、どうしても力加減がうまくいかない。
「もう少し……!」
何度も試行錯誤を繰り返していると――
《警告。魔素の過剰使用が確認されています》
「もう……ダメか……」
どうにかして少しでも成長しようと頑張るけれど、すぐに限界が来てしまう。今日はここで修行はおしまいにすることに決めた。
修行が終わった後は、
「んー……やっぱり、この実は美味しいなぁ……」
実の甘みを感じながら、疲れた体を癒す。この瞬間が一番幸せだ。何も考えず、ただゴロゴロして、実を食べる――それだけで満足できる。
魔素が回復してきた頃、私は心地良さからうとうとしだして、そのまま寝てしまった。そして目が覚めると、次にやることは決まっている。
「さて、今日はどこを探そうかな……」
「
《解。根は魔素の循環に重要な役割を果たしていますが、特に珍しいものではありません》
「そっかぁ……じゃあ、この葉っぱは?」
《解析鑑定結果……
探検が終わる頃には、再び眠気が襲ってきた。いつものように、
そして時々、ラミリスさんと念話でおしゃべりするのも、私の一日の楽しみのひとつだ。
『リン、最近どう? 修行は順調?』
(うん、順調だよ。でも、ミリムの修行はやっぱり大変……)
『いや、あのミリムの修行についていけてるだけでもすごいじゃない! でも無理はしないでね! アタシもいつか修行つけてあげるから!』
ラミリスさんの明るい声に、私は少し笑顔を取り戻す。
また、通信用の水晶を手に取り、ギィさんに話しかけることもある。でも、大半は繋がらないことが多い。
「ギィさん、聞こえる……? 今日は何か面白いことあった?」
……返事がない。そう、だいたいこうなるんだよね。ギィさんは忙しいんだろうな、と思いながらも、たまに繋がると少しだけおしゃべりができる。そんな時は少し得した気分だ。
「ギィさん、今日はミリムにまた修行をつけてもらったんだけど、反撃の隙がなくて一方的にぶっ飛ばされたよ……」
『ふーん、そりゃ大変だったな』
簡素な返事しか返ってこないことがほとんどだけど、それでも少し話すだけでなんとなく安心する。
そんな一日を繰り返しながら、私は少しずつ成長している――そう感じられるようになった。