そこでふと思った。
(ねえ、
『いいえ。再度侵攻については、リン様とエリオン以外には個体名ラミリス、ミリムのみが知っていると思われます』
(……それ、ちょっとまずくない?)
リンたちは知っているからこそ、こうして備えることもちょっと気を抜くことも出来る。だが知らない者たちはいつまた
そんな状態が続けば疲弊するし、いざ戦いが始まったときに身体が思うように動かないかもしれない。
リンは少し頭を抱え、何か手を打たなければと思考する。
(うーん……手っ取り早いのは知らせに行くことだよね。もう時間はないけど、知ってた方がいいだろうし。
『
(え!?そうなの?……えー、じゃあ私が行くしかないのかな。いやでもギィさんが怒りそうだし……)
ではラミリスに念話で頼もうかと考えるが、自分の力で乗り越えると決めたからには彼女は頼れない。そもそもそんな使いっ走りのような真似をさせるわけにはいかないと、リンはラミリスに頼む選択肢は除外した。
ではミリムが連れている分身体を使うのはどうだろうと考える。
(……よし、じゃあ
『はい。
リンの頭の中に鮮明な映像が映し出された。
ドワルゴン、ユーラザニア、ルベリオス、ファルムス——そしてサリオン。
(いや多いな!っていうかサリオンって
『魔導王朝サリオンは「神樹」の守護が強く働いているため、不要かと思われます』
(神樹?
『はい。神樹とは魔導王朝サリオンの首都を守護する神の樹であり、現存する2つの神の手による聖遺物の内の1つです。世界の魔素を安定させて天災からこの星を守る役目を担っている大樹であり、過去に起きた個体名ミリムの暴走では、汚染の被害からサリオンの地を守っていました』
なんだかよくわからないけどすごい樹らしい。すごい樹ばっかりだなこの世界、とリンは妙に感心する。
(えっと、その神樹があるから大丈夫なんだね?)
『サリオンの首都“エルミン”は巨大な神樹の内部に築かれた都であり、それは
(すごいなあ。いつかちゃんと見て回りたいな。……じゃあ、サリオンはいいとして、他だね。ドワルゴンとユーラザニア、ルベリオス、ファルムス……これ間に合わないんじゃ?)
思索に耽っている今このときは、思考加速により現実での数秒間であるため問題はない。だがもう
(あああ、後手後手だあ……どうしよう)
『ドワルゴン及びユーラザニアは
(……うーん、なんか申し訳ないけど仕方ないか。後で謝るとして、ルベリオスとファルムス優先かな?あ、でもファルムスはまずいかも)
ファルムスはどうも厄介なところがある。リンは自分を狙ったりユーラザニアを狙ったりしているかの国に対してあまりいい印象は抱いていなかった。しかし傍観することは己の役割に反するため憚られる。
(あー……どうしよう
『……ファルムス王国に限定して、
(はあ??えっ、
『
あの国は本当に何を考えているのかとリンは舌打ちしたい気分になった。いっそ再度侵攻については知らせず放置してやれば
「ああもう!こんなときぐらい大人しく自分の国にいればいいのに!」
『ファルムス王国の目的はリン様を懐柔し、その力を自国のために使うことである模様です』
「誰が懐柔されるか!私は皆のために力を使うの!ファルムスだって危なくなるようなら守るし、それじゃ足りないんかー!」
(……とりあえずルベリオスはミリムと分身体に任せよう)
リンはすぐに分身体を介してミリムとコンタクトを取ることにした。
遡ること1時間前——
「なあなあ、
分身体は静かな表情でミリムを見つめ返した。本体が命じた以外のことは行わない。
ミリムは、まるで自分の存在を無視されているような気がして、呆然とした後少し寂しさを覚えてしゅんとして、やがて悔しそうにムッとした表情を浮かべる。
「——待つのだ!ワタシを無視するなど許さないのだ!」
分身体はミリムの制止など意にも介さず、地上を見下ろして監視の命を実行し続ける。ミリムは何とか分身体の意識を自分に向けさせるため、手に魔素を収束させて、分身体に向けて放った。
「いい加減にこっちを向くのだー!」
ミリムが放った魔素の塊は、分身体へぶつかる直前にフッと消え失せる。
ミリムはさらに悔しそうに顔を歪めて、より強い一撃を喰らわせようと空気が震えるほどの魔素を集めだす。
「……——攻撃行動を確認。敵と認識します」
「えっ?」
分身体が唐突に喋り、ミリムは思わず動きを止めた。ミリムの手には視認できるほどの魔力が溜め込まれており、分身体は自分に対しての悪意ある——ただしミリムにそんな気はない——行動と判断して、危険を排除するために戦闘態勢に移行する。
「
分身体が己の内に眠る魔素を呼び起こし、共鳴する。白い肌が浅黒く染まり、薄緑の髪が赤く変化した。曝け出した両の腕には木の根が蔓延っているような模様が浮かび上がり、普段は抑えられている魔素が爆発するような勢いで増大した。
ミリムはその変貌ぶりに咄嗟に距離を取る。
「……この気配、
ミリムの推測は間違いではなかった。ギィから与えられた魔素と共鳴することでその力を発揮する、それが
「発動完了。……排除します」
「——!!」
瞬く間に分身体がミリムとの距離を詰め、その拳で殴打する。ミリムは多重結界によりほとんどダメージはないが、以前のリンとはまるで別人のような姿と力に笑みを浮かべた。
「……面白いのだ。遊んでやろう」
本体が「何かあれば連絡するように」と命じていれば、このような事態にはなっていないのだが、残念なことにリンはそれを失念していた。
ミリムと分身体の様子を書いてたらこんなことに。まあ(ミリム的には)遊びなので。そして分身体からすれば何かあったら対処してねという命令を実行してるだけなので(言い訳)。ご覧いただきありがとうございました!
20241116:魔素と魔力を書き分けるため修正。
リンが新しく獲得するスキルはどれがいいですか?
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樹界移動を進化させる
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聖域創造を進化させる
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万象再生を進化させる
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深淵樹霊を進化させる
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「神智核」一択
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魔王覇気とか
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特に思いつかない