各地の
——そこでふと気になったことがあり、
(
『はい。
(あー……そうだね、来ないなら来ないでその方が嬉しいけど、一応どうなるのか見せてくれる?)
『
監視中の各地の様子とは別に、
目で見るわけではないので、複数のことを同時に考えなきゃいけないような状態は正直頭が破裂しそうである。
そんなことを考えながらゆっくりと流れる映像に意識を傾け——悲鳴をあげそうになった。
「——!!」
見えたのは、鎧を纏った者たちの亡骸の山。
全員が血に塗れ、酷く損傷している。その惨い映像に、リンはたまらず頭の中の映像を追い払った。
あるはずのない心臓が冷えるような、悍ましい光景。あんな事態がここを目指しているファルムス軍に起きるのか。
リンは震える指先を握りしめて、息を整える。
(……
『はい。ファルムス軍は行軍中に
(
『
淡々と説明する
なんでも上級は上から
昨晩現れた下級は特に名称はないのだそう。
上級である三天使は覚醒魔王と同等——つまりギィやミリムなどとやり合えるほどの力を持っている。
中級は少なくともAランクオーバーとのことだが、そんなランク付けではリンには強さを想像できない。
——しかし、ルベリオスに現れたのがこの中級であると言われ、その強さに背筋が凍りついた。
(…………ファルムス軍が、
『はい。現状では最も可能性の高い未来です』
リンは震え続ける手を力いっぱい握る。
ミリムたちにはサリオンの様子を見に行って欲しい。サリオンが神樹のおかげで大丈夫だとしても、ルベリオスのようにならないとは言えない。
もしものときに備えて、ミリムたちにサリオンに行ってもらうのがいいだろう。
覚醒魔王と同等——と言っても幅はあるらしいが、それでも自分よりも格上だろう。
ラミリスに頼る?彼女に
ではギィに連絡して助けてもらうか?きっと条件次第では手を貸してくれそうではあるが——。
(……失望されるかも)
天魔大戦では外に出るなと、ギィに命じられているリン。
その命令を守り、ここで出来る限りのことをしている。
だが、各地に
バレたら確実に怒りを買うことだろう。もうバレてそうではあるが。
(……終わったら、目一杯謝ろう)
ギィに怒られようと失望されようと、ラミリスに泣かれたとしても、守ると決めたら守る。
躊躇いはあるしすぐには決断できないばかりだが、結局はその答えに行き着くのだ。
——リンの手は、もう震えていなかった。
(
『
ブルムンドは確かここから少し北にある国だ。
土地の強化のときに立ち寄ったが、居心地が良さそうな国だったように思う。
だがあそこは発展した都市とは言い難い。
(……ブルムンドを狙ってるわけではない?)
『一体で一国を襲撃することは考えにくいため、可能性は極小です』
(なんで一体で彷徨いてるんだろ。何か探して——)
リンの頭の中にフッと思い浮かんだ。
今回の襲撃で
(まさか……ファルムス軍を探してる?ファルムス王国を狙ってるなら、そこの戦力を削ぐために……)
『ブルムンド王国を狙う可能性よりは、そちらの方が有力です』
いくら気に食わない国であろうと、自分を狙ってくる連中でも、死んで欲しいわけではない。
どんなに酷いことをされようと、あの人たちも守りたいと思ってしまうのだ。
(ファルムス軍は今どこに……)
『……
相変わらず賢いスキルである。
リンは
(……できそう?)
『——完了しました。ここより北北西、約120km先と思われます。なお、
(5……)
思っていたよりも時間がない。
5分で120km先——全速力でも間に合わない、なんて迷ってる暇はない。
(……私が
『——リン様、それは危険過ぎる』
(エリオン、私、もう同一化してるのと同じなんでしょう?)
それならここに留まらなくても大丈夫だよね?とリンが問いかける。エリオンは少し黙った後肯定した。
(ならよし。さすがにこのまま行く気はないから、私自身にも
言いながら、
これで合計6ヶ所に使っていることになるが、不思議といつもの倦怠感は感じなかった。
(
『……承知いたしました』
『リン様、相手は
なんだかエリオンが心配性になっているような気がするリンだが、この状況ならそんな反応にもなるだろうなと少し嬉しくなった。
(充分気をつけるよ。死にたくないからね)
そう笑いつつ、リンは
頭の片隅に、あの黒髪の女性からの言葉が蘇り、リンは約束を破ったことを心の中で彼女に謝罪した。
ファルムス軍はリンが住まう
王国の大魔法使いラーゼンも、護衛の兵たちと共にその中心に佇んでいる。長い時を生き、「叡智の魔人」と恐れられた彼の視線は険しく、周囲を鋭く見渡していた。
その時、前方の森から不気味な静寂が広がり、突如として冷たい圧力が空気を満たした。何かが、ゆっくりと近づいてきている。
「何か来るぞ……全員、備えろ!」
ラーゼンの低い声が響くと、兵士たちは武器を構え、緊張の面持ちで周囲を見回す。
その場の者全員が、押し寄せる不穏な気配に圧倒されていた。
やがて、銀色に輝く光が森の奥から姿を現した。姿を見せたのは、一人の
その美しくも冷酷な顔立ちは、表情一つ変えず、静かにファルムス軍を見つめている。
声なき意思が伝わるかのように、
「くっ……!」
ラーゼンはその光景を目の当たりにし、即座に魔法障壁を展開する。
しかし、兵士たちは皆、
次の瞬間、
「ぎゃあああっ!」
絶叫が響く中、兵士たちは次々と切り裂かれ、地面に倒れていく。
血が辺りに広がり、冷たい土が赤く染まっていく様子を、
その冷徹な視線には、一切の感情がなかった。
「……この強さ、その姿……
ラーゼンは唇を噛みしめながら、一瞬でも油断すれば自分も討たれるであろうという緊張感を保ちつつ、
槍は純白の輝きを放ち、見る者すべてに死を告げるかのように冷たく輝いている。
ラーゼンはその一撃の威力を感じ取り、すかさず間合いを取った。
「さすがに、これほどの存在が出てくるとはな……!」
ラーゼンは距離を保ちながら、高速詠唱で魔法の力を集中させる。
だが、その間にも兵士たちは次々と
その光の中で、兵士たちは叫ぶ間もなく命を失い、次々と崩れ落ちていく。
見るも無残な光景が広がる中、ラーゼンは冷静に魔力の精度を高め、反撃の機会を伺っていた。
「これが、
ラーゼンは炎と氷の混ざり合う高等魔法を放ち、ソロネに向けて攻撃を仕掛けた。
炎と氷の一撃が
その目には絶対的な力への確信が浮かんでおり、彼に対して一切の恐れも感じられなかった。
ラーゼンは内心焦りを感じながらも、決してその表情には出さず、静かに魔法の詠唱を続ける。
「ファルムスを守るためなら、我が身など惜しくはない……だが、貴様のような存在に屈するわけにはいかない!」
ラーゼンの周囲に青白い光が集まり始め、彼の目に冷たい決意が宿る。
ブルムンド近郊の
(
リンの問いかけに、すぐさま
『ここより南西へ約20kmの森林に、ファルムス軍および
(わかった、ありがとう!)
リンは
やがて見えてきたのは、あの
倒れ伏す兵士たちの血が周囲に広がり、残酷な静寂が辺りを支配していた。
リンは息を呑み、震えるように飛び出してラーゼンの前に立ちふさがると、
「——お願い、彼を殺さないで!」
その突然の登場に、ラーゼンは目を見開き、驚愕に震える声でリンに問いかける。
「……なぜ、お前がここに……」
リンはラーゼンの言葉に短く答えた。
「守ると決めたから」
毅然とした彼女の姿に、ラーゼンはしばし黙り込んだ。リンの様子が以前とはまるで違うことを、彼は言葉もなく見つめる。
しかし、
リンは身構えたが、
そのとき、
(——その女を連れて来い)
次の瞬間、
リンの目では追えない速さで動き、彼を捕らえてその身を拘束する。
「ラーゼン!」
リンは息を呑み、
「この男を救いたければ、大人しくついて来い」
唐突な言葉にリンは驚き、思わず呆れたように「は?」と声を洩らした。
その言葉の意味を考えかけた時、頭の中でエリオンが必死に警告する。
『
リンはエリオンの声を頭の片隅で聞きながらも、無視してしまうことに申し訳なさを感じつつ、
「私がついていけば、その人は殺さないでくれるの?……それを約束できる?」
ソロネは淡々と答えた。
「我が主が望むのはお前だけだ。その他はどうでもいい」
リンは冷静に彼の言葉を受け止め、決意を込めて告げた。
「……それなら、絶対にこの人には手を出さないで。そう約束するなら、私がついて行ってあげる」
その瞬間、エリオンの抗議の声がリンの頭の中に強く響く。
『リン様、行ってはならぬ!その者はそなたの敵だ!』
リンは頭の中で叫ぶエリオンに苦しげな気持ちを抱きながらも、
すると、再び
(その男には手を出すな)
命令を受けた
「この男には手は出さない。約束しよう」
リンは安堵の息をつき、静かに頷いた。
ラーゼンの方へ向き直り、短く言い聞かせるように告げた。
「ファルムスには
ラーゼンは、言葉もなくリンを見つめていた。
彼女の瞳に浮かぶ覚悟の光が何を意味するかを感じ取りながら、複雑な思いを胸に言葉を飲み込んだ。
リンは一つの頷きを返し、
ラーゼンはただ呆然とその二人の背中を見つめ、遠ざかっていく姿を見送るしかなかった。
大変なことになってきましたがまだまだ色々書きたい。ちなみに
ご覧いただきありがとうございました!
20241116:魔素と魔力を書き分けるため修正。
リンが新しく獲得するスキルはどれがいいですか?
-
樹界移動を進化させる
-
聖域創造を進化させる
-
万象再生を進化させる
-
深淵樹霊を進化させる
-
「神智核」一択
-
魔王覇気とか
-
特に思いつかない