魔導王朝サリオンの空が、不気味な輝きを帯び始めた。冷たい光が広がる中、
「このままじゃ国が……! 我らがサリオンを守り抜くんだ!」
兵士たちは上空を見上げ、必死に防御を固め、襲い来る光の刃や
その時、上空から爆発的な力が放たれ、何体もの
「よーし、やっぱりここも騒がしいのだ!さあ、お前たちを全部吹き飛ばしてやる!」
ミリムは楽しげに叫び、拳に魔素を込めた。そして彼女の拳が
「……あれは……魔王、ミリム……!」
「どうしてここに……!?」
兵士たちは混乱しつつも、ミリムの圧倒的な力に希望を見出し始めていた。彼女が一撃ごとに
その時、もう一つの影が戦場に舞い降りた。薄緑の髪を持つ少女——リンの分身体だった。冷静な表情で周囲を見渡し、淡々と
分身体は無表情のまま魔素を用いて風を操り、冷徹に敵を見据えながら攻撃を繰り出した。
分身体が生成した鋭い風の刃が
それでも、分身体は淡々と戦いを続けている。
「なあ、さっきワタシに見せた力は使わないのか?」
ミリムが笑いながら分身体に声をかけると、分身体は
「すごい……! 何者だ……?」
「まさか、あの魔王ミリムの仲間なのか……!?」
その問いかけに答えることなく、分身体は冷静に
闇の根が
ミリムも続いて、
「す、すごい……あれが魔王の力……!」
「この戦場がまるで一方的に……」
ミリムは笑みを浮かべながら攻撃を続け、分身体も冷徹に、確実に
サリオンの兵士たちは信じられないという表情で、戦場を静かに見渡していた。
戦いが静まったサリオンの戦場で、ミリムはまだ興奮冷めやらぬ表情を浮かべ、周囲の様子を確認していた。
その時、ミリムに寄り添うようにいたリンの分身体が淡々と口を開いた。
「本体が……
ミリムは一瞬、分身体の言葉の意味を理解できずに硬直した。そしてその言葉が何を意味するかを理解した瞬間、目を大きく見開き、焦りの表情を浮かべた。
「えっ……?リンが連れて行かれただと!?どこに!?」
分身体は無表情で続けた。
「本体は
ミリムの中に怒りが沸き上がった。
大切なリンが連れて行かれるなど、決して許せることではない。ミリムはすぐに助けに行こうと勢いよく飛び上がりかけたが、ふと足を止め、分身体を見つめた。
「お前は来ないのか?」
ミリムは、分身体が動こうとしないことを不思議に思い、問いかけた。分身体はその問いに対し、淡々と答えた。
「本体から、ここでサリオンの防衛と監視に努めるよう命じられています。そのため、私はここに留まります」
分身体の冷静な答えに、ミリムは思わず表情を曇らせた。
しばらく黙り込んで考え込むと、やがて彼女は小さく頷いた。
「……そうか、リンがそう命じたなら仕方ないな」
ミリムの声には少しの悔しさと、寂しさが滲んでいた。しかし、彼女はその気持ちを押し殺し、真剣な表情で続けた。
「リンからは、『分身体を頼む』って言われてるのだ。だからワタシもここに残ることにする」
ミリムは分身体の目を見つめ、その目にはリンの本体に対する信頼が見て取れた。
「大丈夫だ、きっとリンは無事に戻ってくる」
そう言って、ミリムは決意を込めた笑みを浮かべた。
分身体も静かに頷き、淡々とした表情のまま、サリオンの防衛に意識を戻した。ミリムもその姿を見届けると、彼女の隣に立ち、リンの帰りを信じて共にサリオンに留まる決意を固めた。
東の帝国の広大な玉座の間で、ルドラは静かに立ち尽くし、窓の外を見つめていた。彼の表情には微かな疲労が漂っており、その瞳には幾重にも重なった苦悩の影が隠されている。しかし、帝国の皇帝としての威厳を崩すことなく、その存在感は依然として周囲を圧倒していた。
彼の隣には、凛とした姿勢で立つヴェルグリンドが、静かに彼の顔を見つめている。彼女の視線には深い愛情と、ルドラへの不安が浮かんでいたが、彼の前でそれを表に出すことはなく、ただ静かに寄り添っている。
「……もうすぐだ。あの
ルドラは少し遠くを見るように窓の外を見つめ、淡々とした口調で言葉を発した。その声には冷静さを装っているが、どこか焦りを含んでいた。
ヴェルグリンドは彼の横顔を見つめながら、柔らかな声で問いかける。
「ルドラ、どうしてそこまでその子にこだわるの?帝国にとって脅威になるのではないかと感じるわ」
ルドラは一瞬、視線をヴェルグリンドに向け、その目に少しの苦笑を浮かべた。
「ヴェルグリンド、お前の心配は理解している。だが、彼女の力は帝国のために必要だ。……彼女の持つ
ヴェルグリンドはその言葉に納得しきれない様子で微かに眉をひそめた。
「帝国のために必要だと言うけれど……本当のところ、あなたは彼女の力で何を得たいの?」
その問いかけに、ルドラは一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに落ち着いた表情で微笑んだ。
「お前はいつも勘が鋭いな、ヴェルグリンド。しかし、今はまだ話せないことが多い。……彼女の力が、余に必要なのだ」
ヴェルグリンドは彼の言葉にどこか引っかかりを感じながらも、ルドラの疲れた表情を見つめ、静かに溜息をついた。
「あなたが何を抱えているのか、知りたいとは思わないわ。ただ、無理をしないでほしい。それだけよ」
ルドラはその言葉に小さく頷き、ヴェルグリンドの手をそっと取り、その手を少しだけ握りしめた。
「ありがとう、ヴェルグリンド。……余は、お前がいてくれるからまだこうしていられるのかもしれない」
彼女はルドラのその言葉に微笑みを返し、その目にはほんの一瞬だけ優しい光が宿った。しかし、次の瞬間には再び厳格な表情に戻り、背筋を伸ばした。
「さて、あの子がどのような存在か、私も少し興味が湧いてきたわ。あなたがそこまで注目する理由、見せてもらいましょう」
ルドラはその言葉に頷き、再び視線を遠くに向けた。その心の中には、帝国のためという建前と、自分自身のためという本音が渦巻いていたが、それを表に出すことは決してなかった。
勘の良い方ならおわかりになる展開。ご覧いただきありがとうございました!
20241116:魔素と魔力を書き分けるため修正。
リンが新しく獲得するスキルはどれがいいですか?
-
樹界移動を進化させる
-
聖域創造を進化させる
-
万象再生を進化させる
-
深淵樹霊を進化させる
-
「神智核」一択
-
魔王覇気とか
-
特に思いつかない