広大な玉座の間に、冷たい静寂が広がる中、
「……あなた、ギィさんの友人で、天魔大戦を引き起こした張本人……ルドラって人だよね?」
ルドラは彼女の問いに頷き、微笑みを浮かべた。
「そうだ。お前が
「帝国の強化……」
ギィが難色を示していたその内容に、リンは警戒の色を強めながら返答する。
「私は、自分の力は皆のために使うって決めてる。一国だけのために使うつもりはない」
その言葉に、ルドラはわずかに眉をひそめたが、隣で控えていたヴェルグリンドが前に進み出て、優雅な声で話し始めた。
「リン……その意志、理解するわ。無理に協力を強いるつもりはないけれど、よく考えてみてほしいの。あなたの力がもたらす未来が、どれだけの人々を救えるか……」
リンはヴェルグリンドの言葉を聞いて深く考え込み、しばしの沈黙が流れた。やがて、彼女は目を細め、静かに条件を提示する。
「じゃあ、こうしよう。今すぐに、各地で暴れてる
ルドラは彼女の言葉を聞いて少し驚きながらも、自らの目的を果たすためにはまずリンの信頼と協力を得なければならないと考え、ゆっくりと頷いた。
「……いいだろう。約束しよう、もう天魔大戦は起こさないと誓う」
リンはあっさりと約束を受け入れられ、少し驚いて目を丸くするが、ヴェルグリンドも反対する様子がないので、少しほっとした。
「じゃあ、わかった……それでいいなら」
一旦その場に落ち着くことを決めたリンは、
「ホントに約束を守ってくれるんだ……」
その言葉に、いつの間にか隣に立っていたルドラが彼女に声をかける。
「
「連れてきたのはあんたでしょうが……」
と、軽くツッコミを入れつつ、リンは表情を変えずに答えた。
「別に大丈夫。
ルドラは少し目を瞬かせ、疑念の表情を浮かべる。
「……だが、
リンは一瞬、躊躇するような表情を見せたが、やがて口を開いた。
「……
その言葉を聞いたルドラはしばらく考え込むように黙り込んでから、真剣な表情で問いかけた。
「つまり、お前は自由に出歩けるのか……」
リンが頷くと、ルドラは何かを言いかけ、思わず言葉を失ったかのように静まり返った。やがて、彼はどこか縋るような目でリンを見つめ、しばらくの沈黙の後、口を開いた。
「……リン、どうしてもお前の力を貸してほしいことがある」
「帝国の強化の話?」
リンが眉をひそめると、ルドラは首を振った。
「いや……余自身のことだ」
その言葉に、リンは少し驚き、静かに彼の話を聞く姿勢を整えた。ルドラは重い口調で語り始める。
「余はある目的を果たすため、転生を繰り返してきた。しかし、そのたびに魂が擦り減り、このままではいずれ自分を失うだろう。……それを防ぐために、お前の力を借りたい」
ルドラの言葉を聞き、リンは思わず息を呑んだ。彼がそんな状態にあるとは想像もしていなかった。
しかし、よく見れば確かに彼の顔には、言葉にできない違和感のようなものが見え隠れしている。ルドラが嘘をついているとは思えなかった。
「……あの女の人…」
「ヴェルグリンドか?」
「そう、ヴェルグリンドさんは、これを知ってるの?」
リンが問いかけると、ルドラは首を振り、険しい表情で答えた。
「彼女には話していない……それに、お前にも話さないでほしい」
リンは彼の願いに静かに頷き、思考を巡らせながら
『持続的に
リンはその答えを受けて、ルドラに視線を戻し、少し考え込んでから問いかけた。
「試しに……私のスキルを使わせてもらってもいい?」
ルドラは短く頷き、その手を差し出した。リンは彼の手を握り、
その瞬間、リンはルドラの中にルドラではない別の何かの存在を感じ取った。思わず不快感が走り、
さらに
「……もう一つスキルを使うね」
そう断りを入れ、リンは再び彼の魂に働きかけ、「
その瞬間、
ルドラの顔色もみるみるうちに良くなり、彼の目には力が戻っていった。
「……礼を言う。余の魂を救ってくれるとは……感謝の言葉も足りないほどだ」
ルドラの心からの感謝の言葉を聞き、リンは優しい笑みを浮かべ、軽く肩をすくめた。
「いいよ。まぁ……これで本当に天魔大戦を終わらせるなら、ね」
二人の間には穏やかな沈黙が流れ、リンはその場を離れる準備をしながら、ルドラが安心した表情を浮かべるのを見つめていた。
リンはふと周囲を見回し、ヴェルグリンドがいつの間にか姿を消していることに気づいた。不思議に思い、隣のルドラに尋ねる。
「ヴェルグリンドさんは……どこに行ったの?」
ルドラは肩をすくめ、少しだけ微笑みながら答えた。
「彼女には、お前と話す時間を取るために一時的に下がってもらった」
リンはその言葉に頷きつつも、胸の奥に小さな引っかかりを覚える。ヴェルグリンドに感じた気配——それは、ギィの傍にいるヴェルザードの気配に似ていた。
「ヴェルグリンドさんって、もしかして……竜種?」
率直な質問に、ルドラは即座に肯定するように頷き、言葉を続ける。
「その通りだ。彼女は真紅の竜、灼熱竜ヴェルグリンド。そして——余の愛しい恋人でもある」
その答えに、リンは内心驚き、反射的にルドラの手を離した。ヴェルグリンドに見られでもしたら、どんな目に遭うかわからない——そんな考えが一瞬脳裏をよぎる。
「そ、そうなんだね……あはは、修羅場にならなくてよかった……」
「修羅場?」
ルドラが眉をひそめるが、リンは焦りつつも話を切り上げようと首を振った。
「いや、なんでもない!」
動揺を隠すため、リンは素早く
「じゃあ、私はこれで帰るね」
そう言って去ろうとするリンだったが、ルドラは引き留めるように彼女の腕を掴んだ。
「
その問いに、リンは少し面倒くさそうに肩をすくめた。
「確かにそうだけど、あそこが私の居場所だから帰るの。また来るよ」
ルドラは彼女の言葉に納得しきれないような顔で、なおも腕を掴んだまま問いかけた。
「……お前がその約束を守る保証はあるのか?」
「ちゃんと守るってば!」
リンは呆れたように返したが、ルドラは目を細め、冷静に言葉を返す。
「信用できんな」
その一言に、リンは苛立ちを覚えつつも、頭の中でエリオンに問いかけた。
(エリオン、もう同一化のスキルはないけど、
『可能だ。これまで通り、リン様が魔素を流し込むことで
その返答を聞いて満足したリンは、ルドラに視線を向け直し、問いかけた。
「帝国に
突然の質問にルドラは目を瞬かせたが、やがて小さく笑みを浮かべて答えた。
「宮殿の地下にある」
「ここの?……そんな気配しないのに?」
「結界で厳重に守られているからな。そう簡単には感知できないだろう」
「なるほど、地下か……
リンはぼそりと呟きながら、考えをまとめて言葉を続けた。
「じゃあ、その
ルドラは彼女の提案に少し驚いたようだったが、すぐに冷静な表情に戻った。リンの能力が非常に有用であると同時に厄介であることを改めて実感する。しかし、ここで彼女の要求を断るメリットはないと判断し、静かに頷いた。
リンは一息つき、少し気まずそうに提案を追加した。
「でも、ギィさんに黙って帝国に協力するのはちょっと怖いから……ルドラと友人になったって体で協力するってことにしてもいい?」
その提案に、ルドラは口元に笑みを浮かべ、少しだけ楽しそうに答えた。
「それで構わない。協力関係というなら、余もお前に手を貸そう」
リンは一瞬考え込んだが、特に思いつくことはなく、困ったような笑みを浮かべて答えた。
「今は何もないけど、何かあったらお願いするね」
ルドラは軽く頷き、彼女を宮殿の地下へと案内し始めた。リンはその背中を見つめながら、心の中で微かな不安を抱えつつ、一歩一歩進んでいった。
ご覧いただきありがとうございました!
20241116:魔素と魔力を書き分けるため修正。
20241229:後半をちょっと修正。
リンが新しく獲得するスキルはどれがいいですか?
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樹界移動を進化させる
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聖域創造を進化させる
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万象再生を進化させる
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深淵樹霊を進化させる
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「神智核」一択
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魔王覇気とか
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特に思いつかない