混乱と安堵が入り交じる中で、突如
「なんだかよくわからないけど、なんでいなくなったんだろうなぁ?」
そんなことを呟くミリムに、隣で見守っていたリンの分身体が静かに告げた。
「……本体が
ミリムの顔が一気に喜びに満ち、大急ぎで分身体を引き連れてリンの住まう
「リン!大丈夫か!?」
慌ててリンのもとに駆け寄り、その身体を揺り動かす。ミリムの焦りと心配が伝わる様子に、リンの分身体が静かに説明した。
「……本体は魔素を過剰使用し、昏倒している状態です」
それを聞いた瞬間、ミリムの表情が一変し、意気揚々と胸を張って言った。
「ふふん!ならば、ワタシの出番だな!」
ミリムは自信たっぷりにリンの手を取り、自身の魔素をリンに分け与え始めた。
以前、ギィやラミリスに魔素を譲渡したことを思い出しながら、ミリムは満足そうに笑みを浮かべている。彼女は心の底から、リンのために役立てることが嬉しかったのだ。
「たっぷりと魔素を渡してやろう!」
ミリムは勢いよく魔素をリンの身体に送り続け、その力強いエネルギーがリンの中に流れ込んでいく。そして、やがてリンの意識がゆっくりと戻り始めた。
リンが薄目を開くと、目の前にミリムの満面の笑顔が広がっていた。
「リン、よかったのだ!無事なのだ!」
ミリムは安堵したように声を張り上げ、リンを抱き起こすとそのまま強く抱きしめた。
「ぐ、ぐるしい……」
ミリムの力強い抱擁に、リンは苦しげに息を詰まらせるが、それでも彼女を抱き返し、笑顔を浮かべた。
「ミリム、本当にありがとう」
ミリムは鼻を鳴らし、得意げに笑った。
「これくらい、お安いご用なのだ!それにまだ足りないなら、いくらでも魔素をやるぞ!」
リンは微笑みを浮かべ、ミリムの申し出に感謝しつつ答えた。
「大丈夫。もう充分だよ、ミリムのおかげで助かった」
その言葉に、ミリムは心から安心したように笑い返した。そしてふと、話題を変えるように口を開く。
「そうだ、分身体から聞いたが、
その質問にリンは少し迷った。彼女は東の帝国での出来事をそのまま話すべきかどうか、心の中で葛藤し、最終的に一部を伏せて話すことに決めた。
「うん、実はファルムス軍がこの
ミリムは驚いた表情を浮かべるが、リンは続けた。
「それを直前にスキルで知って、ファルムス軍を守るために
あまりに無謀なリンの行動にミリムは何か言おうと口を開きかけて、だがまずはリンの話を聞こうと口を噤む。
「それで、
リンはそこで話を切り、少し苦笑を浮かべながら話をまとめた。
「その後、特に危険なことはなかったけど、各地に
ルドラや東の帝国への協力関係については伏せつつ、リンはミリムの様子を伺う。
ミリムは少し納得した様子で頷き、にっこりと笑みを浮かべた。
「ふむふむ、何もなかったならよかったのだ!リンに何かあれば、ワタシは暴れまくるところだったぞ!」
冗談か本気かもわからないミリムの言葉に、リンは苦笑いしつつ謝罪した。
「心配かけてごめんね、ミリム」
するとミリムは少し照れたように顔を伏せ、口ごもりながら言葉を絞り出す。
「……リンは強いが、心配するのは当然なのだ、リンは……」
そこで言葉に詰まるミリムに、リンは優しく微笑みかけて言った。
「友達だから?」
その言葉に、ミリムは一瞬目を瞬き、驚いたような表情を見せた。そして、次の瞬間、全身で喜びを表すかのように笑顔を輝かせ、勢いよくリンに抱きついた。
「そうなのだ!友なのだ!リンはワタシの友だから心配するのだ!」
リンはその強い抱擁に応え、優しくミリムの身体を抱きしめ返す。
「ありがとう、ミリム……嬉しいよ」
その言葉に、ミリムはますます嬉しそうに笑みを浮かべ、リンのことをぎゅっと抱きしめ続けた。
白氷宮にて、ヴェルザードは静かに気配を探り、
「ギィ、リンが
ギィは彼女の言葉にニヤリと笑みを浮かべる。
「じゃあ、あのじゃじゃ馬を連れてくるか」
そう言うと、ギィは空間移動のための扉を作り出した。ヴェルザードはそんな彼を微笑みながら見送る。
ギィは軽い足取りで
すると、中ではリンとミリムが抱き合っている光景が広がっていた。
「何してんだお前ら」
リンとミリムはその声に驚き、リンはギィが目の前にいることを確認すると、先ほどまでの安堵が一気に吹き飛んでしまった。
彼からの命令を無視してしまったことが脳裏をよぎり、「やばい」と内心焦りつつも、ここは甘んじて彼の説教を受けるしかないと観念し、しょんぼりと縮こまった。
しかし、そんな彼女をよそに、ミリムが勢いよく話し出す。
「ギィ!リンはすごいやつだぞ!リンの分身体は
「へえ」
ミリムのはしゃいだ声に、ギィは興味深そうにリンを見つめ、にっこりと微笑んだ。
「ひえっ」
その笑顔に、リンは思わず短い悲鳴を漏らし、さらに縮こまる。ギィはそんなリンの様子を面白がるように眺めながら彼女に近づき、笑顔のまま低く囁いた。
「おいじゃじゃ馬、ちょっとツラ貸せよ」
「はい喜んで!」
リンは反射的に答え、すぐに立ち上がった。
少しでも彼の機嫌を損なわないようにするため、慎重に振る舞う。
「リンに話があるからお前は来るな」
ギィはミリムに向き直りそう告げるが、ミリムは唇を尖らせて不満を露わにした。
「何故なのだ?ワタシはリンの友だぞ!一緒に行くのだ!」
そう言いながら再びリンにしがみつき、彼女から離れようとしない。
その「友」という言葉にギィは興味深そうに目を細め、しばし黙った後、諦めたように肩をすくめた。
「……まあ、好きにしろ」
ミリムが嬉しそうに頷き、ギィはリンとミリムを伴って
「お前、いつもみたいに分身体を置いてこないのか?魔素の供給に必要だろ」
リンは一瞬戸惑いながらも、正直に答えることにした。
「……実はね、
リンの説明に、ギィは目を見開いて驚愕した様子で黙り込む。しかし、やがて何かを納得したように頷き、感心したように呟いた。
「……本当に予想外なやつだな、お前は。まあ、問題ないならいい」
それ以上、特に問題視することもなく、ギィは白氷宮に戻るための扉を再び呼び出した。
扉をくぐり抜けた三人が到着したのは、ヴェルザードが待つ広々とした一室だった。扉をくぐった瞬間、リンは目の前に立っているヴェルザードを見つけ、驚愕の表情を浮かべる。
「ヴ、ヴェルザードさん……」
リンは以前から向けられていたヴェルザードの冷たい視線や態度を思い出し、その場で怯え始める。
そんな彼女に、ヴェルザードはゆっくりと歩み寄り、穏やかな微笑みを浮かべた。
「また会えて嬉しいわ、リン」
その柔らかな言葉に、リンは思わず間の抜けた声を出してしまう。
「へ?」
さらに、ヴェルザードは続けた。
「以前のあなたは弱すぎて、正直何の価値もないと思っていたけれど……今のあなたは違うみたいね。私も態度を改めることにしたわ」
その言葉を聞いても、リンは頭の処理が追いつかず、ぽかんとした顔をしていたが、ヴェルザードは気にする様子もなく微笑みを続ける。
「仲良くしましょうね」
リンはまだ混乱していて返事ができず、ただ戸惑いを見せるばかり。そんな彼女にギィがからかうように声をかけた。
「ヴェルザードと仲良くしたかったんだろ、よかったな」
「え、うん、ええ?いや、あの」
リンは突然振られた言葉にさらに動揺し、しどろもどろになりながら言葉にならない様子でテンパり始める。それに応じて、ヴェルザードが穏やかに微笑み、リンの手をそっと握った。
「あら、そうなの。嬉しいわ。これからはヴェルザードと呼び捨てでいいわよ、リン。またお話しましょうね」
リンが答える前に、ヴェルザードはそのまま優雅に部屋を出て行った。
リンは、突然変わったヴェルザードの態度に唖然とし、ぼんやりと部屋を出ていく彼女を見送る。そして意識が戻った瞬間、思わずギィに尋ねた。
「あの……ヴェルザードさん、本物なの?」
その質問に、ギィは愉快そうに吹き出し、豪快に笑いながら答えた。
「本物だから安心しろ」
しかし、そう言われてもリンの混乱は収まらず、彼女の困惑した表情にギィはさらに笑みを深めた。
ギィの前で椅子に腰掛けたリンは、すぐ隣に座るミリムの温かい視線を感じつつ、向かいに座るギィの冷静で鋭い目に見つめられた。
「さて、説明してもらおうか?」
ギィがニヤリと笑みを浮かべると、リンは冷や汗が滲むのを感じた。彼に全てを正直に話さなければ、後々恐ろしい事態になりそうだと直感し、覚悟を決めて口を開いた。
「……全部話すね」
そして、リンはつらつらと語り始めた。
各地の
そして
ラミリスから魔素を譲り受けたことで
ファルムス軍が
その間、ギィは表情を変えずに話を聞いていたが、内心では驚愕や頭痛に見舞われていた。
ミリムもまた、途中でいくつか質問したくなる場面もあったが、リンが一心に話している様子に黙って耳を傾けていた。
リンが話し終えると、静かな空気が漂った。ミリムは思わずポツリと呟いた。
「そんなことがあったのか……」
彼女は少し考え込むようにリンの顔を見つめ、心配そうに問いかけた。
「お前はそれで大丈夫なのか? 酷いことされないか?」
リンは穏やかに微笑みながらミリムを見返す。
「大丈夫だよ、ルドラとは友達だからね」
「そうか……リンが決めたことなら、ワタシはそれを信じるのだ。でも、困ったことがあればすぐに言うのだぞ」
ミリムの力強い言葉に、リンは感謝の気持ちが溢れ、深く頷いた。
ギィはそんな二人のやり取りを見つめながら、静かに言葉を発した。
「リン、お前が今やっていることは、世界の行く末を左右するほどの影響を持つ。お前が
リンはギィの言葉を真剣に受け止め、自然と背筋が伸びる。
「それを知る者はお前を傷つけようとはしないだろう。だが、お前の力を利用しようとしてあらゆる手段で近づいてくる輩もいるはずだ。その全てを自身で見極め、守り抜く覚悟はあるのか?」
リンは一瞬の迷いもなく、きっぱりと答えた。
「ある」
その即答に、ギィはフッと笑い、満足そうに頷いた。
「まあ、お前ならそう言うだろうと思ったよ」
彼は真剣な表情で続ける。
「ルドラに協力するのは見逃してやるが、やり過ぎるなよ。お前の力はお前が思っている以上に強力だ。使い方を誤れば、破滅を導くことになる」
ギィの重みある言葉に、リンもまた真剣な眼差しを向け、意志を込めて答えた。
「私は皆を、私が守りたいと思う全てを守るためにこの力を使う。もし誰かが私の力を私欲のために利用しようとするならば、その者は叩き潰すよ」
いつも柔らかく優しい表情を見せるリンが、初めて冷酷さを帯びた一面を見せたことに、ギィは驚くと同時に満足そうに微笑んだ。
「それでいい。お前が自分で選んだ道なら、オレはそれを見守ってやろう」
リンはその言葉に応えるように強い意志を込めて力強く頷いた。
お許しいただきました。そしてヴェルザードさんがちょっとだけ優しくなりました。ご覧いただきありがとうございました!
20241116:魔素と魔力を書き分けるため修正。
リンが新しく獲得するスキルはどれがいいですか?
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樹界移動を進化させる
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聖域創造を進化させる
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万象再生を進化させる
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深淵樹霊を進化させる
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「神智核」一択
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魔王覇気とか
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特に思いつかない