ギィがふと思い出したように、リンの瞳に視線を向けて尋ねた。
「ところでリン、お前の瞳の色……前は翡翠色だったよな。今は鮮やかな赤になってるみたいだが、何があった?」
リンが答える前に、横からミリムが元気よく口を挟んだ。
「それはギィのせいなのだ!」
「オレのせいだと?」
「そうなのだ!前にギィがリンに魔素を与えたではないか。それでリンは
ミリムが楽しそうに語る一方で、ギィは驚いたような顔をした。彼の予想以上の影響を及ぼしていたらしい。
「なるほど……オレの魔素が原因で、か」
ギィは興味深そうにリンの顔を覗き込むように近づき、その赤い瞳をじっと見つめた。
「オレと同じ色の瞳か……悪くないな」
ギィの顔が近づきすぎて、リンは思わず赤面した。
「いや、近すぎ!」
リンは顔を逸らし、少し照れくさそうに視線を外す。それを見たミリムがさらに話を盛り上げるように声を上げた。
「それだけじゃないのだ!リンは
ミリムがリンの変化に興奮している様子に、ギィはますます興味を引かれたようだ。
「ほう、
(……隠しておきたかったのになぁ)
リンは仕方なく、
「やっぱりすごいのだ!」
ミリムはその姿に目を輝かせて、嬉しそうにはしゃいでいる。
一方で、ギィは変貌したリンの姿をじっと見つめ、何かを考え込んでいるようだった。しばらくして、彼は慎重な口調で忠告を始めた。
「リン、お前……それ、ルドラには見せるなよ」
リンは思わず眉をひそめて問いかける。
「どうして?」
ギィは真剣な表情で説明を続ける。
「お前の身体は、他の魔素の影響を受けやすいようだからな。それをルドラが知れば、間違いなく利用しようとするはずだ」
ギィの言葉には、彼がルドラをよく知っているからこそ感じる危機感が滲んでいた。リンもその忠告を胸に刻み、彼が言うのだから気をつけるべきだと頷いた。
その時、不意にリンの頭の中にラミリスからの念話が届いた。
『リン!
リンは少し焦りながらも、正直に答えた。
(今、ギィさんのところにいるよ)
『ギィのとこ?……すぐ行くから待ってなさいよ!』
ラミリスからの念話が途切れる。
リンはミリムとギィに視線を戻して、苦笑しながら告げた。
「ラミリスさんがここに来るって」
その言葉を聞いたミリムは、楽しそうに笑い出した。
「ギィ、ラミリスに怒られるぞ!」
ギィは少し面倒くさそうな表情を浮かべながら肩をすくめ、リンも苦笑した。
「私もきっと、ものすごく怒られると思う……」
三人はそれぞれに思いを抱きながら、ラミリスの到着を待つこととなった。
ラミリスがギィの居城に現れるやいなや、
「ぎゃーっ!!な、なんでリンがギィみたいな姿になってんのよ!!」
叫ぶや否やラミリスはギィに掴みかかり、勢いよく揺さぶりながら叫んだ。
「アタシのリンになんてことしてんのよー!何よあの髪!あの気配!アンタが魔素をあげたせいで……!どういうつもりなの!」
ギィは、面倒くさそうに息をつきながらリンを指し、しれっと言い返した。
「そもそもコイツが無茶したのが原因なんだぜ?」
その言葉に、リンは頷き、申し訳なさそうにラミリスに向き直った。
「ラミリスさん、悪いのは私だから、ギィさんを責めないで」
リンがそう言うと、ラミリスはしょんぼりした表情で口元を尖らせる。
「アタシのリンが……ギィみたいに……アタシのリンなのに」
と、ぶつぶつ呟き、悲しそうに視線を落とした。
それを見たギィは、呆れたように肩をすくめ、軽くラミリスの肩を叩いてなだめるように言った。
「はいはい。お前のリンってことに変わりはねえんだから、落ち着けよ」
ラミリスは少し落ち着いたが、それでも名残惜しそうにリンを見つめていた。リンはこれ以上ラミリスを刺激するのも良くないと感じ、
ようやくラミリスが安堵の表情を浮かべ、視線が穏やかになると、ふと話題を変えるように尋ねた。
「で、三人で集まって一体何してるの?」
その問いに、ギィとミリムが一斉にリンの方に視線を寄せる。それにつられて、ラミリスもリンを見つめた。
最古の魔王たちの視線を一身に受け、リンは縮こまりながら、小さな声で呟いた。
「……私が、天魔大戦の間にしたことの説明です……」
ラミリスは一瞬目を瞬かせ、そしてにっこり笑ってソファに座り込み、聞く体勢を整えた。
「じゃあ、じっくり聞かせてもらおうかしら」
リンは少し緊張しながらも、覚悟を決めて先ほどギィとミリムにした説明をラミリスにも話し始めた。
——すべてを語り終えた頃、ラミリスはリンを真っ直ぐに見つめ、身を乗り出してきた。
「アンタはまた無茶ばっかりして!
リンは思わずしゅんとした表情を浮かべるが、ラミリスはそのまま続ける。
「もし
その怒りを込めた声に、リンは申し訳なさそうに視線を落とした。
「ラミリスさんを頼らなかったのは……危ないことをお願いするのは嫌だったからで……」
ラミリスはその言葉に少し動揺したが、すぐに声を強めた。
「だからって、アタシを頼らないで無茶するなんて!それにギィもミリムも頼らなかったなんてどういうことよ!」
リンはしばらく迷ったが、誠実に答えることにした。
「ギィさんを頼らなかったのは、天魔大戦の最中に手間をかけさせたくなかったから……。それに、ミリムには分身体と一緒にサリオンを守ってほしかったから……」
その言葉に、ラミリスは一瞬言葉を詰まらせ、複雑な表情を浮かべた。
「……アンタ……アンタって子は……」
ラミリスは感情を抑えるように肩を震わせ、少し困ったような顔でリンを見つめると、目を伏せて静かに言葉を続けた。
「アンタが大切に思ってくれるのは、もちろん嬉しいわ。でも……アンタが危ない目に遭うのは見てられないのよ。頼ってくれないと、アタシはどうすればいいか分からないの」
リンはその言葉に心を打たれ、ラミリスの思いがひしひしと伝わってくるのを感じた。
「……ごめんね、ラミリスさん。心配かけて」
ラミリスはじっとリンの目を見つめると、軽く鼻を鳴らして言った。
「ったく……次はちゃんと頼るのよ?アンタが無茶ばっかりするたびに、アタシがどれだけヒヤヒヤしてるか、ちょっとは考えなさい!」
リンは頷き、改めてラミリスの優しさに感謝の気持ちを抱いた。
そこでふと、ラミリスはじっとリンを見つめ、その気配から何かを察したように口を開いた。
「ねえリン、もしかして……アンタ、
リンは一瞬驚いた表情を見せたが、素直に頷いた。
「うん。私、今は
その答えを聞いた瞬間、ラミリスはハッと息をのみ、やがて目を潤ませた。
「そう……そうなのね……」
それまでは心配で少し怒っていたラミリスだったが、やがて肩を震わせるようにして、溢れる感情に押されるように泣き出してしまった。
「よかった……本当によかった!これでアンタは……アンタは
ラミリスの涙と笑顔が入り混じった表情に、リンも少し驚きつつも、優しい微笑みを浮かべた。
「……ラミリスさん、そんなに泣かなくても……」
「泣くわよ!アンタが今まで……どれだけ危うい状態だったか分かってるの?私はアンタが
ラミリスの言葉に、リンも静かに頷いた。彼女が抱える覚悟と心配を、今改めて感じ取った。
しかし、ラミリスは涙を拭いながらも、ふと真剣な表情に戻り、リンに提案した。
「でもねリン、アンタが
その言葉に、リンは少し困ったような顔をして答えた。
「それは……できないかな」
ラミリスは少し眉をひそめた。
「どうして?アンタがどこか安全な場所にいてくれたら、少しは安心できるのに」
リンは優しい笑みを浮かべながら、しっかりとした口調で説明した。
「
ラミリスはその言葉に一瞬言葉を詰まらせ、そして小さくため息をついた。
「……ほんとに、アンタって……優しすぎるわね。いつも他の誰かのことばっかり考えて」
リンは恥ずかしそうに微笑んだが、その瞳には揺るぎない決意が宿っていた。ラミリスはそれを見て、少し感動したような表情を浮かべたが、同時に心配の色も隠しきれなかった。
自然は世界そのものと言っていいくらい世界と密接な関係にあるので、リンが消えれば自然が壊滅=世界の滅亡も同然というわけです。
ご覧いただきありがとうございました!
20241116:魔素と魔力を書き分けるため修正。
リンが新しく獲得するスキルはどれがいいですか?
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樹界移動を進化させる
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聖域創造を進化させる
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万象再生を進化させる
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深淵樹霊を進化させる
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「神智核」一択
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魔王覇気とか
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特に思いつかない