「ねぇねぇギィ!聞いてよー!」
部屋に入ってくるなり、ラミリスが空中を跳ねながら嬉しそうに話しかけてきた。
ギィ・クリムゾンはソファに背を預け、脚を組んだまま、ちらりとラミリスに視線を向ける。
「……なんだよ、また何かやらかしたか?」
「違うって! 今回はちゃんとしてるもん! アタシね、新しい
「へぇ。今度は投げっぱなしじゃなくて?」
「投げっぱなしじゃないもん! 今回はちゃーんと、主従関係もバッチリ結んだんだから!」
自慢げに胸を張るラミリスに、ギィは鼻で笑う。
「ふーん、で? 名前は?」
「リン! 短くて可愛くて、しかも呼びやすいでしょ? アタシっぽいでしょ?」
「……まあ、お前っぽいは否定しねぇけど」
ギィは肩をすくめながら、どこか面白がるような目でラミリスを見た。
「で、その“リン”ってのは、どんなやつなんだ?」
「えへへー、それは会ってからのお楽しみ~! でもね、今回の子はすっごくいい子でね、アタシのことちゃんと見てくれる感じ! 絶対面白くなるよ!」
「ほーん。……面白いなら、ちょっとだけ顔を見に行ってやってもいいかもな」
「ギィ! 変なことしちゃダメだからね! アタシのリンなんだから!」
ギィはわざとらしく手を挙げた。
「見るだけだっての。ちょっとからかうくらいはするかもしれねぇが」
「それ、絶対やるやつじゃん!」
その日の午後。
ギィ・クリムゾンは
「……やっぱり特別な空気してんな」
静けさと魔素が濃く混じる場所。
彼にとっても、妙に居心地がいい場所だった。
だが、そんな空気を破る、なんとも間抜けな声が響いてきた。
「――……植物の肥料になる未来しか見えないんだけど!?」
ギィの目の前には、蔦と根にぐるぐる巻きにされた少女が、ぴくぴくと足をばたつかせていた。
思わず笑いが漏れる。
「――おいおい、これが新しい
上から声をかけると、少女――リンは驚いて顔を上げた。
これが、
ギィが
ギィは、今度はラミリスの元を訪れていた。
「よう。会ってきたぜ、お前の“リン”とやらに」
「どうだった!? どうだった!? ちゃんといい子だったでしょ!」
「……蔦に絡まってた」
「ええーっ!? 何やってんのー!?」
ギィは笑いをこらえながら言った。
「でもまあ……面白いヤツだったよ。お前が好きになるのも、わかる気がする」
ラミリスは目を輝かせながらくるくる飛び回った。
「でしょでしょ!? アタシ、見る目あるでしょ! ねっ、ねっ!」
「調子に乗るな。……まあ、悪くなかった」
ギィはそう言って、ほんの少しだけ笑みを浮かべた。
(……さて。どこまで育つか、ちょっと楽しみにしてみるか)