転生したら木の中でした   作:猫田やなぎ

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前回の話のギィ側の話です。短め。


第七話

「ねぇねぇギィ!聞いてよー!」

 

部屋に入ってくるなり、ラミリスが空中を跳ねながら嬉しそうに話しかけてきた。

ギィ・クリムゾンはソファに背を預け、脚を組んだまま、ちらりとラミリスに視線を向ける。

 

「……なんだよ、また何かやらかしたか?」

「違うって! 今回はちゃんとしてるもん! アタシね、新しい樹妖精王(ドリュアス・ロード)に名前つけたの!」

「へぇ。今度は投げっぱなしじゃなくて?」

「投げっぱなしじゃないもん! 今回はちゃーんと、主従関係もバッチリ結んだんだから!」

 

自慢げに胸を張るラミリスに、ギィは鼻で笑う。

 

「ふーん、で? 名前は?」

「リン! 短くて可愛くて、しかも呼びやすいでしょ? アタシっぽいでしょ?」

「……まあ、お前っぽいは否定しねぇけど」

 

ギィは肩をすくめながら、どこか面白がるような目でラミリスを見た。

 

「で、その“リン”ってのは、どんなやつなんだ?」

「えへへー、それは会ってからのお楽しみ~! でもね、今回の子はすっごくいい子でね、アタシのことちゃんと見てくれる感じ! 絶対面白くなるよ!」

「ほーん。……面白いなら、ちょっとだけ顔を見に行ってやってもいいかもな」

「ギィ! 変なことしちゃダメだからね! アタシのリンなんだから!」

 

ギィはわざとらしく手を挙げた。

 

「見るだけだっての。ちょっとからかうくらいはするかもしれねぇが」

「それ、絶対やるやつじゃん!」

 

 

 

 

 

その日の午後。

ギィ・クリムゾンは大霊樹(ドリュアス)を訪れていた。

 

「……やっぱり特別な空気してんな」

 

静けさと魔素が濃く混じる場所。

彼にとっても、妙に居心地がいい場所だった。

 

だが、そんな空気を破る、なんとも間抜けな声が響いてきた。

 

「――……植物の肥料になる未来しか見えないんだけど!?」

 

ギィの目の前には、蔦と根にぐるぐる巻きにされた少女が、ぴくぴくと足をばたつかせていた。

思わず笑いが漏れる。

 

「――おいおい、これが新しい樹妖精王(ドリュアス・ロード)ってやつか?冗談だろ」

 

上から声をかけると、少女――リンは驚いて顔を上げた。

これが、樹妖精王(ドリュアス・ロード)リンと、魔王ギィ・クリムゾンの邂逅だった。

 

 

 

 

 

ギィが大霊樹(ドリュアス)を訪れてから数時間後――。

ギィは、今度はラミリスの元を訪れていた。

 

「よう。会ってきたぜ、お前の“リン”とやらに」

「どうだった!? どうだった!? ちゃんといい子だったでしょ!」

「……蔦に絡まってた」

「ええーっ!? 何やってんのー!?」

 

ギィは笑いをこらえながら言った。

 

「でもまあ……面白いヤツだったよ。お前が好きになるのも、わかる気がする」

 

ラミリスは目を輝かせながらくるくる飛び回った。

 

「でしょでしょ!? アタシ、見る目あるでしょ! ねっ、ねっ!」

「調子に乗るな。……まあ、悪くなかった」

 

ギィはそう言って、ほんの少しだけ笑みを浮かべた。

 

(……さて。どこまで育つか、ちょっと楽しみにしてみるか)

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