リンとラミリスが去った後、神樹宮殿内の一室では、天帝エルメシアとその側近であるエラルド・グリムワルトが向き合っていた。広大な神樹内部の穏やかな空間に、微かな緊張感が漂う。
「まさか、天魔大戦が終わる日が来るとは思いませんでしたね……」
エラルドは呟き、陰から見ていた先ほどの出来事を思い返していた。エルメシアはその言葉に同意するように小さく頷く。
「そうね。そもそも、あの混沌が終わるなんて夢にも思わなかったわ。それを成し遂げたのが……あの
エラルドは少し眉を寄せながら、考え込むように言葉を続けた。
「しかし……いくら魔王ラミリスが信じている方とはいえ、我々が彼女を全面的に信用するのは早計ではないでしょうか?」
「当然よ」
エルメシアは微笑を浮かべながらも、冷静に答えた。その瞳は、リンが植えたばかりの
「これから確かめていくのよ。この
エラルドはその視線を追い、神樹とはまた異なる威厳を持つ
「しかし、進化する
「そうね……しかも、彼女は
エルメシアは楽しげに肩をすくめた。そして、少しだけ悪戯っぽく笑いながら続ける。
「せっかくだから、今度お茶に誘ってみようかしら。いろいろ話を聞いてみたいわ」
「陛下、それは……またひと騒動起きそうな予感しかしませんが……」
エラルドは困ったようにため息をつきながらも、エルメシアの好奇心旺盛な性格を止める術がないことを理解していた。
その頃、リンはラミリスや妖精たちとともに、迷宮内で楽しいひと時を過ごしていた。
「リン、次は鬼ごっこしよう!」
「いいね、私が鬼やるよ!」
妖精たちが嬉しそうに飛び回る中、リンは軽やかに走り回った。妖精たちは小さい身体を活かして巧みに逃げ回るが、リンも
「やった!」
「ずるいよー! リン様、速すぎ!」
わいわいと賑やかな声が響く中、リンの表情にも自然と笑みが浮かぶ。
しばらく遊んだ後、ラミリスがどこからか奇妙な機械を取り出してきた。
「これ、どっかで拾ったんだけどさ、リン、一緒に改造してみようよ!」
「……改造? これ、動くの?」
「分かんない! でもやってみるのが楽しいんじゃん!」
ラミリスの言葉に呆れながらも、リンは興味を惹かれて作業に取り掛かった。二人であれこれ試行錯誤を重ねるうちに、機械が微かに動き始める。
「おおっ、動いた!」
「やったね!」
手を叩き合って喜ぶ二人。そんな時間が、リンにとっては貴重な気分転換となった。
楽しい時間を過ごした後、ラミリスがふと真剣な表情になった。
「ねえ、リン。これから帝国に協力したり、エルメシアに連絡したり、他の国を注視したりって、すっごく忙しくなるでしょ? アンタは頑張り屋だけど、無理しすぎないでよ」
その言葉に、リンは少し驚いた表情を見せた。
「……分かってるつもりだけど」
「いや、分かってない! アンタ、何でもかんでも自分で抱え込むんだから!」
ラミリスは真剣な目でリンを見据える。
「アンタの役割ややりたいことを、アタシが代わりにやることなんてできないし、アンタもそれを望まないのは分かってる。でもね、アタシはいつでも力になるから、困ったらちゃんと頼りなさいよ!」
「うん……分かった。困ったときは相談するよ」
リンは小さく笑いながら答えたが、その笑顔に、どこか強がりの色が見える。
「絶対に抱え込むなって言ってるでしょ!」
ラミリスはため息をつきながら、言葉を続けた。
「それにね……今のアンタは世界中に魔素を流し込んでいるんだからね」
「……え?」
ラミリスの言葉に、リンは戸惑いを見せた。ラミリスは厳しい表情のまま説明を続ける。
「アンタ、今までは
「うん……」
「しかも、魔素が足りなくなったら次はアンタの生命力が消費される。それも尽きたら、アンタは消滅するんだからね!」
その言葉に、リンは初めて事の重大さに気づき、愕然とした表情を浮かべた。
「……でも、自然を守るためにそうなってるんでしょ? だったら、それを止めるわけにはいかないよ」
「……アンタって子は、本当に……!」
世界を守るためなら自分を犠牲にすることも厭わないリンの覚悟に、ラミリスは深いため息をついた。そして、その胸に募る不安を押し隠しながら、静かに言葉を紡いだ。
「お願いだから、無理しないでね。いつか取り返しのつかないことになったら……アタシ、絶対に許さないから」
リンは戸惑いながらも小さく頷いた。その決意と不安が交錯する時間の中、迷宮には少しだけ重い空気が漂った。その雰囲気に漂う重苦しさを、妖精たちもどこか気まずそうに感じ取っている。
「ふう……。まあ、いいけどさ。アンタ、本当に頼りなさいよ?」
「分かってるってば」
リンが笑顔を浮かべるが、その背後から、どこか間の抜けた声が響いた。
「おーい、リン、ここにいるかー?」
リンとラミリスは一斉に振り向いた。そこに立っていたのは、だらしなく肩を落とした男──魔王ディーノだった。
「ディーノさん!?」
「……アンタ、何しに来たのよさ!」
ラミリスが声を荒げるのを横目に、ディーノは欠伸をしながら片手を軽く上げた。
「何しにって、噂を聞いてさ。リンがあの天魔大戦を終わらせたっていうから、ちょっと気になってな」
「だからって、ここまで来る!? 今はアタシたちの大事な時間なの!
「いやいや、待てないでしょ。そんな面白そうな話、気になるに決まってんじゃん?」
ディーノの軽い調子に、ラミリスは憤慨したように肩をいからせたが、ディーノ本人は全く気にした様子もなく、適当に腰を下ろしてしまう。
「……久しぶりですね、ディーノさん」
ディーノの無遠慮な態度に呆れながらも、リンは柔らかな笑みを浮かべて言った。彼女にとって、ディーノとの再会は数年ぶりだった。
「おう、久しぶり。……つか、ちょっと見ない間に偉くなったもんだな。
「そ、そんなことないですよ。ただ、ちょっと成り行きでこうなっちゃって……」
もごもごと口ごもるリンに、ディーノは興味深げに眉を上げた。
「へえ? で、その成り行きってやつを詳しく聞かせてくれよ」
「だからさ!
ラミリスが再び割り込むが、ディーノは面倒くさそうに頭を掻いた。
「いいじゃん。どうせ宴で話す内容なんだろ? 今のうちに聞いとけば楽できるし」
「アンタねえ……!」
ぷりぷりと怒るラミリスを横目に、リンは困ったような顔をしながらも、ディーノに説明を始めた。
「えっと……」
リンは少し考え込むように俯いた後、話し始めた。
「まず、天魔大戦を引き起こしていたのは、東の帝国──ルドラ皇帝だったんです。彼の目的は、その……世界の統一と平和、みたいなもので……」
「ほう、統一と平和ねえ」
「それで、私は彼と話し合って、二度と天魔大戦を起こさないように約束させたんです。私が彼に協力するという条件で呑んでもらいました」
ディーノは腕を組み、目を細めながらリンの話を聞いている。その表情はいつもの無気力そうなものとは違い、鋭い思考が滲んでいた。
「それから、各国にも説明して回りました。帝国には私が直接目を光らせているから、攻め込んだりしないで欲しいって。もし戦争になったら、私が両国を制圧して止めるって……」
言葉を重ねるたびに、リンの声は少しずつ小さくなっていく。その姿を見たラミリスは呆れたように息を吐いた。
「全部
「まあまあ、聞きたいから仕方ないだろ?」
ディーノは軽く肩をすくめ、リンの方に視線を戻した。
「なるほどね……。そりゃまた、随分と大胆なことをやったもんだな。普通、そんな真似しようなんて思わないだろ」
「そう、ですかね……?」
「そうだよ。……で、これから帝国を見張るんだろ? 正直、お前の行動力は感心するけど……」
ディーノは言葉を切り、内心で深くため息をついた。
(よりにもよって帝国に関わるのかよ……。大人しくできねえのかなコイツ)
顔には出さないが、ディーノの心の中では明らかな疲労感が広がっていた。
「ねえディーノ。せっかく来たならちょっとくらい手伝いなさいよ!」
「手伝い? いや、俺そういうの得意じゃねえし……」
「アンタ、魔王でしょ! 少しくらいリンに役立つことしなさいってば!」
ラミリスに詰め寄られるディーノだったが、彼は軽く手を振ってその言葉を聞き流した。その緩さに、リンは思わず笑みを漏らす。
「ディーノさんって、相変わらずですね」
「だろ? 俺はいつもこんな感じだ」
「でも、そんな雰囲気、ちょっと助かるかも」
リンの言葉に、ディーノは肩をすくめて言った。
「そりゃよかった。……まあ、また宴で会おうぜ。そのときは俺、寝てるかもしれないけどな」
ディーノの言葉に、ラミリスがさらに怒りを募らせる一方で、リンは苦笑を浮かべるだけだった。
転スラの設定集やらを見直しまくってますが、情報量に頭が追いつきません。なるべく本家様の設定に合わせますが、捏造やら改変やらが増えてきそうです。有識者様の知識量マジリスペクトですわ。
リンが新しく獲得するスキルはどれがいいですか?
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樹界移動を進化させる
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聖域創造を進化させる
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万象再生を進化させる
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深淵樹霊を進化させる
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「神智核」一択
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魔王覇気とか
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特に思いつかない