凍てつく白氷宮、再び
——時は遡り、天魔大戦が始まる前のこと。
ギィの居城「白氷宮」。リンが再びこの地を訪れるのは、以前の「約束」が理由だった。
ギィの髪をいじらせてもらい、そのことをヴェルザードに内緒にするというリンからのお願いの代わりに彼のお願いを聞くことになった。そしてそのお願いとは「またオレの城に来い」というもの。
その約束を果たすべく、再び白氷宮を訪れる日がやってきた。雪原を飛び越えて現れたリンは、白氷宮の威圧感ある佇まいに改めて息を呑んだ。
ギィ、ミザリー、レインが迎えに出てくると、三人ともにニヤリと笑みを浮かべた。
「やっと来たな、リン。覚悟はできてるか?」
「……覚悟って、何のこと?」
ギィの不敵な笑みに、リンは嫌な予感を覚えながら問い返す。だが、ギィは答えずにその場で踵を返すと、ミザリーとレインも笑いながら彼に続く。戸惑いながらも、リンは白氷宮の中へと足を踏み入れた。
案内された部屋に入るや否や、ミザリーとレインがリンを取り囲んだ。彼女たちは早速手際よくリンをドレスアップさせる準備に取り掛かる。
「ねえ、待って。何これ?また着飾られるの?」
「もちろんよ。今回はギィ様直々の指示だから、しっかりと着せ替えてあげるわ」
「楽しみにしてたのよね、リン。ふふふ、逃がさないわよ」
二人の息の合った対応に、リンは全く反論の余地を与えられない。ミザリーは優雅にリンの髪を梳き、レインは次々と美しい装飾品を取り出してはリンの体に合わせていく。ギィは少し離れた場所で腕を組み、どこか満足そうに眺めていた。
「やめてよ!もうこれ以上飾られたくない!」
「駄目よ。こういうのは一度やり出したらとことんやらないと」
「そうそう、リンはもっと輝けるわよ」
ミザリーとレインの押しの強さに、リンは為す術もなかった。そして完成したリンは、まるで舞踏会にでも参加するかのような豪華な装いとなり、二人はその仕上がりに大いに満足していた。
「ほら、リン。綺麗になったわよ」
「……疲れた。もういいでしょ?」
鏡に映る自分を見たリンは、その豪華さに思わずため息をついた。ギィが笑いながら近づいてくる。
「もっと飾ってやると言っただろう?似合ってるぞ」
「もう着飾るのはごめんだよ!」
リンがぐったりとソファに倒れ込むと、彼女の頭に突然アイデアが閃いた。
「……外で雪合戦しよう!」
「雪合戦だと?」
ギィが怪訝そうに眉を上げる一方で、ミザリーとレインも顔を見合わせた。
「そんな子供じみた遊びを?」
「まあ、息抜きにはいいんじゃないかしら」
ギィがリンの提案に興味を示し、4人は外に出ることを決めた。白氷宮から出ると、そこは一面の銀世界が広がっていた。
雪玉が空中で砲弾のように飛び交う壮絶な雪合戦が始まった。ギィ、ミザリー、レインの放つ雪玉はどれも尋常ではない威力で、白氷宮周辺の雪を次々と削り取っていく。
「雪玉が兵器じゃん……」
リンは呆然とその光景を眺め、半笑いになりながらも、気を取り直して魔素を込めた雪玉を全力で投げた。しかし、ギィにあっさりとかわされてしまう。
「……当たらない!」
「そんな程度で当たるかよ」
悔しがるリンを見て、ギィは笑いながらさらに強烈な雪玉を投げ返した。
「ぎゃー!」
「ほら、投げ返して来いよ!」
「無理無理無理!」
ギィからのえげつない威力の雪玉から逃げ続けるリン。ミザリーとレインがギィに便乗してリンを狙いだし、リンはドレスの裾に足を取られながら必死に彼らからの猛攻を避ける。
途中からリンはリタイアして、ギィ対ミザリー・レインとなった戦いは、もはや戦場そのものだった。お互いに全力の雪玉をぶつけ合い、白氷宮の周辺は凄まじい轟音に包まれた。
「ちょっと待って、氷土の大陸が壊れるよ!」
リンの声などまるで聞いていないギィが、楽しそうに笑いながら雪玉を投げ続ける。ミザリーとレインも容赦なくギィに向けて雪玉を叩き込んでいた。
彼らが放つ雪玉はもはやただの雪ではなく、凄まじいスピードと衝撃を伴い、白氷宮の周囲に響き渡る。
ズバンッ! ドカンッ!
「おいおい、レイン! さっきの一発、殺意込めてただろ!」
「いいえ、ギィ様が攻撃を避けないから当たっただけです」
「文句を言う暇があるなら避けてはいかがですか?」
レインとミザリーの冷たい声に、ギィは笑いながらさらに雪玉を投げ返す。
「なら、こっちも本気でいくぜ!」
3人の攻防は激しさを増し、周囲の雪原は爆風で大穴が空き始めていた。そんな様子を眺めていたリンは、小さくため息をつきながら呟いた。
「戦争じゃないんだから……」
最終的に、ギィの圧倒的な勝利で雪合戦は幕を閉じた。
ソファに倒れ込むように座るリンが、疲労感たっぷりの声を漏らした。
「次は、もっと動きやすい服がいい……」
その言葉に、ミザリーとレインがピクリと反応し、すぐさまリンを別室へ連行しようとする。
「じゃあ、着替えましょう!」
「え、今から!?もういいってば!」
必死に抵抗するリンだったが、結局再び着飾られる羽目になった。さっきよりも動きやすい服装にされて、ぐったりするリンを見て、ギィが笑い声を上げる。
「いい息抜きになっただろ?」
「息抜きっていうか、体力尽きたよ……」
ソファにだらけるリンの髪をギィがいじり始めると、彼女は急に顔を輝かせた。
「じゃあ、ギィさんの髪で遊ばせて!それなら息抜きになる!」
その言葉に、ミザリーとレインが驚愕の表情を浮かべる。ギィは吹き出しながら隣に座り、彼女に許可を出した。
「そんなんで息抜きになんのかよ。変わってるな。まあ、好きにしろ」
「やったー!」
リンは嬉々としてギィの赤い髪に触れ始めた。そのしなやかな感触にご機嫌な彼女を見て、ギィはおかしそうに笑う。
「本当に楽しそうだな、お前」
「だって、触り心地がいいんだもん!」
リンがギィの髪で三つ編みを作ったり、適当に結んだりして遊び倒す様子に、ミザリーとレインは驚きを隠せなかった。
「まさかギィ様が、他人に髪を触らせるなんて……」
「これは、貴重な光景ね……」
二人が呆然と見守る中、リンは心行くまでギィの髪をいじり続けた。
「楽しい……やっぱりギィさんの髪、最高だよ!」
そんな彼女を見て、ギィは微笑みながら静かに言葉を紡いだ。
「まあ、息抜きになったならいいんじゃねえか」
白氷宮の一室には、和やかな笑い声が響き渡っていた。
短編はどうやって投稿していこうかなぁと考えて、結局本編の中に紛れ込ませてみました。短編は短編で分けて欲しい方がいらっしゃいましたら申し訳ない…。
リンが新しく獲得するスキルはどれがいいですか?
-
樹界移動を進化させる
-
聖域創造を進化させる
-
万象再生を進化させる
-
深淵樹霊を進化させる
-
「神智核」一択
-
魔王覇気とか
-
特に思いつかない