『並列存在』を得てから数十日が経過した頃、
「リンー!!」
その声にリンは驚いて振り向いた。そこに立っていたのは、ピンク色の髪をツインテールにまとめた少女の姿をした
「ミリム!なんかちょっと久しぶりだね!」
「うむ!元気そうで何よりだ!」
相変わらず無邪気に笑うミリムに、リンも自然と笑顔になった。ミリムが
「なあなあ、リン。せっかくだから修行しないか?」
ミリムがキラキラと目を輝かせながら提案する。リンは少し困惑しながらも、ミリムの期待に応えるように頷いた。
「いいよ。でも本気でやったら危ないからね?」
「ふふん、心配するな!ワタシが手加減してやるのだ!」
二人はエリオンが開いた異空間へと移動した。広大な空間に立つミリムが、興奮した様子で周囲を見回している。
「やはりここはいいな!思いっきり暴れられるし!」
「うん。じゃあ、さっそく始めようか?」
リンが軽く準備運動をしながら言うと、ミリムがにやりと笑った。
「その前に、リン。
「え、あれを?」
「そうだ!分身体の攻撃もすごかったが、本体のリンが使ったらどれくらいの威力になるか、試してみたいのだ!」
少し悩んだリンだったが、ミリムの真剣な表情を見て頷いた。
「わかった。じゃあ、やってみるね」
リンは目を閉じ、意識を集中させた。その体から膨大な魔素が放出され、髪が真紅に染まる。肌は浅黒く変化し、両腕には木の根のような模様が浮かび上がり、冷たい雰囲気を纏った姿へと変わった。
「……どうかな?」
「おおーっ!やはりすごいな!じゃあ、始めるぞ!」
リンが最初に放ったのは
「そんなのじゃワタシには効かないのだ!」
ミリムの拳がリンに向かうが、リンは
「じゃあ、これならどうだ!」
今度はリンが
何もない空間から現れる根がミリムに向かっていくが、ミリムはそれを次々に拳で粉砕していく。
「ふふん、こんなのじゃ全然足りないな!」
リンもまた負けじと攻撃を繰り出す。最後に繰り出したのは、切断力の高い
「やはり分身体と同じなのだな。だが、本体の攻撃は威力が段違いだ!」
ミリムが楽しそうに叫ぶ。リンも息を切らしながら、苦笑いを浮かべた。
「ワタシも全力でいくぞ!」
ミリムの体が光を放ち、戦闘形態へと変わる。その姿はさらに威圧感を増し、リンは思わず身構えた。空間が震え出すほどの魔素量がミリムから溢れ出し、それが収束していく。
「
ミリムが放ったのは、以前リンが
「これ、やばい……!」
リンは結界の強度を最大限に高めるが、それでもミリムの攻撃には耐えきれず、結界にはひびが入っていく。
(やっべ、割れる……!)
結界が砕ける寸前、
「また防がれたのだー!!リン、本当に強くなったな!すごいぞ!」
ミリムがリンに向かって親指を立てる。その誇らしげな様子に、リンは少し照れながら微笑んだ。
「ありがと。でも、ミリムにはまだまだ敵わないよ」
その時、リンの頭の中に声が響いた。帝国の
『リン様、フェルドウェイです。これから帝国に来ていただけますか?』
リンは帝国の
(わかりました。伺います)
『では、こちらでお待ちしております』
リンはミリムに向き直り、修行を終わらせることを告げた。
「えーっ!もう終わりなのか!」
ミリムが肩を落とす様子に、リンは申し訳なさそうにしながら
異空間から出てミリムを見送り、その後、
実はこの
ポン、と音がしそうな勢いで
「すみません。助かりました……ありがとうございます!」
リンが慌てて謝罪と感謝を述べると、フェルドウェイは穏やかに頷いた。
「お気になさらず。ルドラ様がお待ちです。どうぞこちらへ」
フェルドウェイに案内され、ルドラの元へと向かうリン。宮殿内では彼女を紹介するための準備が進んでいた。
フェルドウェイに案内されながら、リンは広大な帝国宮殿の中を歩いていた。目に映る建築の壮大さに圧倒されつつも、フェルドウェイの静かな存在感にどこか緊張を感じていた。
「こちらです」
フェルドウェイの言葉に頷き、ルドラが待つ部屋の扉をくぐるリン。そこには、帝国の皇帝でありながらもどこか親しみやすい雰囲気を持つルドラが立っていた。彼の隣にはヴェルグリンドが佇んでおり、リンに微笑みを向けてくる。
「来たか、リン。呼び出してすまない」
「ううん、大丈夫」
ルドラはリンの謙虚な態度に微笑みながら、さっそく要件を切り出した。
「これから、お前を帝国内で正式に紹介しようと思う。宮殿に勤める者たちに一挙にお前を知ってもらうためにな」
「……え?」
思わず目を丸くするリン。その意図がすぐに飲み込めず、少し戸惑った様子を見せた。
「お前がここで活動する以上、周囲がその存在を知らなければ不便だろう?お前のような者が突然現れれば、混乱を招くかもしれぬからな」
「えっと……でも、私、顔を覚えるの苦手なんだけど……」
ルドラは苦笑しながら首を振る。
「安心しろ。お前が顔を覚える必要はない。ただ、お前がどういう存在なのかを周囲に知らしめるだけでいい。あとは黙って立っていれば問題ない」
その言葉に、リンは少し考え込んだが、最終的に渋々頷いた。
「……わかった」
「なら、まずは準備だな。せっかく皆に紹介するのだから、着飾ってもらおうか」
ルドラが微笑を浮かべながら提案すると、リンは即座に反応した。
「さすがギィさんの友達だな!同じ発想しやがる!」
突然の吐き捨てに、ルドラは目を瞬かせ、ぽかんとした表情を見せる。
「ギィ……?ギィにも似たようなことをされたのか?」
「そうだよ!やたらドレスを着せたがるし、髪を弄りたがるし!いや髪は別にいいけど、ドレスはやだ!」
その言葉にルドラは少し意外そうな表情を見せた。そして、徐にリンの髪に手を伸ばす。
「髪を弄る……というのは、こういうことか?」
柔らかく滑らかな髪を指で梳きながら、ルドラは目を細めた。その触り心地の良さに驚いたのか、小さく呟く。
「……これは確かに弄りたくなるな」
リンは少し驚きながらも、ルドラの行動を拒絶することなく見守っていた。そして、くすりと笑って呟く。
「そういうところもギィさんそっくりだね」
その言葉に、ルドラは小さく笑みを浮かべた。ひとしきりリンの髪を楽しんだところで、ルドラは提案を取り下げた。
「嫌なら無理に着飾らなくてもいい。お前の自然体で十分だ」
「ほんと!?よかった……ドレスって窮屈で、肩がこるんだよね」
リンは嬉しそうに笑みを浮かべた。その様子に、ヴェルグリンドが残念そうな表情でリンに声をかける。
「着ないのね。楽しみにしていたのに」
「ヴェルグリンドさん……そんな顔されると申し訳ないんだけど」
「なら着てくれる?なんなら私がドレスを選びましょうか」
にっこりと笑うヴェルグリンドに対し、リンは顔を引きつらせた。
助けを求めるようにルドラに視線を移すと、リンの意を汲み取った彼が苦笑しながらヴェルグリンドを諫める。
「ヴェルグリンド、無理強いはするな。リンはこのままで問題ない」
「あなたがそう言うなら諦めるわ。残念だけれど……」
あっさり引き下がりながらも、あわよくばリンを着飾らせようと企むヴェルグリンド。
彼女の企みなど知る由もないリンは、ルドラの気遣いに感謝しつつ、内心でギィとは違う対応をしてくれたルドラに感心していた。
(ギィさんもルドラみたいに、もっとこう、私の気持ちを汲んでくれたらいいのになぁ……)
そんなことを思いつつ、リンはこれからの挨拶に向けて意を決した。
ルドラとのやり取りを終えたリンは、再びフェルドウェイに案内されながら宮殿内を移動していた。先ほどのルドラの配慮に胸をなでおろしながらも、これから行われる挨拶というイベントに対して内心の緊張を隠せないでいた。
「……大丈夫だよね?挨拶だけで済むなら、そんなに難しいことはないはず……!」
自分に言い聞かせるように呟くリン。その声を聞いたフェルドウェイが、淡々とした口調で助言を与える。
「リン様、挨拶をする際はルドラ様がすべて指示を出します。おそらく、リン様にとって負担はほとんどないでしょう」
「うん、それなら良いんですけど……でもやっぱり緊張します……」
フェルドウェイの落ち着いた対応に少しだけ安堵しながらも、リンはこれから自分が注目を浴びるという状況に不安を覚え続けていた。
リンを案内しながら、フェルドウェイは彼女に対する自分の内心を整理していた。天魔大戦を終結させ、帝国と協力関係を築いたという事実は、彼女がただの力ある存在ではないことを示している。
(彼女は力だけでなく、行動力と決断力も持ち合わせている……しかし、その善性ゆえに隙が多い)
リンの無防備な態度を見て、フェルドウェイは改めて考えを巡らせた。多少の信頼関係を築けば、こちらの思惑に沿うよう行動してくれるだろう——そう確信しつつも、どこか腑に落ちない感情が胸をよぎる。
(……この無垢さが厄介なのかもしれないな)
一方のリンは、フェルドウェイの表情をちらりと見ながら、彼の態度を少し誤解していた。
(なんか怖そうな見た目だけど……意外と優しいのかも?)
フェルドウェイの落ち着いた物腰に安心したのか、リンの緊張は少しずつ和らいでいった。
ついにたどり着いた宮殿の大広間は、荘厳な雰囲気を漂わせていた。天井は高く、豪華な装飾が施された柱が並び、その中央には宮殿で働く者たちが整然と並んでいた。
「……すごいなぁ」
思わず呟くリン。その声が響いてしまい、少し恥ずかしそうに俯く。ルドラが壇上に立ち、リンを手招きする。
「さあ、リン。ここに来て立つだけでいい」
「う、うん……!」
ルドラの指示に従い、リンは壇上へと足を踏み入れる。大広間に集まった者たちの視線が一斉にリンへと向けられる。慣れない注目に、リンは背筋をぴんと伸ばして必死に耐えた。
ルドラが軽く咳払いをし、集まった人々に向けて宣言する。
「こちらは、
その言葉に、大広間にいる全員が頭を下げた。その姿にリンは少し驚きながらも、慌ててぺこりとお辞儀を返す。
挨拶が終わると、ルドラが満足そうに微笑みながらリンに話しかけた。
「これでお前のことを知らない者はいなくなるだろう」
「……ほんとに、立ってただけだね」
ホッと胸を撫でおろすリン。その言葉に、ルドラは愉快そうに笑った。
「だろう?さて、これでお前も帝国に溶け込みやすくなる。後は時間をかけて皆と交流するがいい」
「うん……でも、私、まだ頑張ることたくさんあるけど、少しずつ慣れていけるようにする!」
その力強い宣言に、ルドラは満足げに頷いた。
ルドラに礼を述べ、フェルドウェイに再び案内されながら大広間を後にするリン。その表情には、どこか安心した笑顔が浮かんでいた。
(これからの道は長いけど、頑張らなきゃな)
リンはそう決意しながら、次なる一歩を踏み出していった。
ギィさんとルドラは似てるとこありそうってことで似たようなことさせてみました。
リンが新しく獲得するスキルはどれがいいですか?
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樹界移動を進化させる
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聖域創造を進化させる
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万象再生を進化させる
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深淵樹霊を進化させる
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「神智核」一択
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魔王覇気とか
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特に思いつかない